マッチングアプリはサイト運営会社によるユーザーの本人確認や監視体制がしっかりしています。そのため、出会い系のように援デリ業者やサクラが紛れ込んでいるということが少なく、比較的安心して利用している方も多いのではないでしょうか。
しかし、マッチングアプリは、異性との交際や性的関係を求める人々が利用する点においては出会い系と共通しています。そのため、マッチングアプリにおいても出会い系と同様に、「美人局」の被害に遭うケースも少なくありません。
特に、当事務所への相談として最も多いのは、「未成年」を利用した美人局の被害です。性的関係を持った女性が本当に18歳未満の未成年であった場合には、各都道府県の淫行条例や児童買春禁止法違反となってしまうため、警察に相談できずに弁護士にご相談される方がいるのです。
そこでこの記事では、恐喝・脅迫被害に強い弁護士が、「マッチングアプリで未成年をネタに脅迫・恐喝された男性の解決事例」を紹介していきます。
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目次
マッチングアプリで脅迫・恐喝された男性の解決事例
ここでは、当事務所の弁護士が介入したことで、マッチングアプリの男性利用者が恐喝・脅迫被害を免れた解決事例を紹介します。プライバシーへの配慮のため内容に一部変更を加えています。
相談内容
この事案は、マッチングアプリで女性と関係を持ったところ、その女性の兄を名乗る男から脅迫・恐喝されたというものです。
被害者の男性には、会社員で妻と子どもがいます。軽い気持ちで利用をはじめたマッチングアプリを利用して知り合った女性と直接会うことになり、男性はその女性とホテルに行き、性的関係を持ちました。男性は、性行為のあとに女性から実は自分が17歳であることを告げられ驚きましたが、その日は何もなく別れました。
後日、女性の兄を名乗る男から電話が入り「最近妹の様子がおかしいので問いただしたところ、うちの妹とやったらしいな。未成年と性行為をするのは犯罪じゃねぇのか?」と呼び出されてしまいます。
その男性から「警察にパクられるか誠意をみせるか自分で決めろ」と要求されました。ことが大きくなることを恐れた被害男性は、コンビニのATMで預金されていた40万円を引出し相手に交付しました。その日は相手男性はその金額で納得して帰っていきました。
未成年とは知らなかったとはいえ、金銭の支払いで解決できたことから、被害男性は一安心しました。
しかし後日、その男性から再度、連絡が入り、「妹が妊娠したっぽい」「中絶費用や通院費用が必要だからあと50万払え」「払わねぇなら警察に直行な」と再び金銭を要求されてしまいました。
このままでは、延々と相手男性から金を絞りとられてしまうと考えた男性は、インターネットで検索して当事務所の弁護士に相談することにしました。
被害者の希望としては、今後一切の請求をしてほしくない・関わり合いを完全に断ちたいというものでした。
解決結果
弁護士に対応を依頼した結果、残金の支払いなし、被害男性とは今度一切の接触をしないことを約束した合意書を取り交わし、この合意書に違反した場合には賠償責任が発生することを約束させることができました。
弁護士の対応
依頼を受けた弁護士は、代理人弁護士の名前で相手男性の電話番号に電話をかけて連絡をいれました。電話口の男性は取り乱した様子で電話を切り、その後、弁護士からの電話にはでなくなりました。
そこで、弁護士会照会を利用して男性の氏名や住所を特定しました。携帯電話番号が分かっている場合には、携帯電話会社に照会を行うことで、会社が保有している契約者情報(氏名・住所・書類送付先・料金の引落先金融機関など)を特定できる可能性があります。
男性の行為は、脅迫や恐喝に該当する犯罪行為に該当する可能性が高く、今後刑事告訴や損害賠償請求などの法的措置を検討していること、この通知が到達してから特定の期間内に代理人弁護士に連絡するように、内容証明郵便を送付しました。
内容証明郵便の到達からほどなくして男性から弁護士宛てに連絡が入りました。
弁護士とのやり取りの中で、相手女性は実際は未成年ではなく、相手男性も女性の兄ではなく交際相手であることが判明しました。そこで弁護士は、今回の恐喝・脅迫行為は刑事事件となる可能性が高いことを警告したうえで、今後、被害男性に対していかなる名目であっても金銭の請求をしないこと、今後二度と被害者に接触しないという条件で不問に付すという提案を行いました。
男性が弁護士の提案に応じるということだったため、弁護士は合意書を作成し、男性の住所に送付、署名・押印のうえで返送してもらうことができました。
この書面には、清算条項や賠償額の予定についても合意されています。清算条項とは、当事者の間で示談された事件についてこれ以上の債権債務関係がないことを示す条項です。そして合意書に違反した場合には、予め予定した賠償金の支払いに応じることが約束されています。
マッチングアプリで実際に起きた脅迫・恐喝事件
2024年に入ってから、マッチングアプリを介しての脅迫・恐喝事件が立て続けにニュースで報道されています。
2024年3月には会社員の男性(28歳)から現金と乗用車を脅し取ったとして市内の女子中学生2人(ともに15歳)を恐喝の疑いで逮捕された事案がありました。後日、交際相手の男子中学生(15歳)と無職少年(16歳)も同容疑で逮捕されています。警察は女性が男性を誘惑して因縁をつけ、金品を脅し取る美人局を行ったと発表しています。4人はマッチングアプリで男性を誘い出し女子中学生と会わせ、現れた少年が「金を出せ。5万円だ」と脅迫しました。男性の車でコンビニエンスストアへ行き、現金を奪い、車で立ち去りました。
参考:28歳会社員から乗用車1台と5万円を脅し取った疑い…男女中学生ら4人を逮捕、「美人局」か : 読売新聞
また、マッチングアプリで当時18歳の少女と知り合った警察官らから金品を脅し取ったなどとして、恐喝と器物損壊、傷害の罪に問われた女(53歳)に、懲役2年(求刑・懲役3年6月)の実刑判決が言い渡された事案もあります。女は少女(自分の娘)と共謀し、市内で男性警官に金品を要求して計約29万円を、男性会社員からバッグなど8点(販売価格計約188万円)を脅し取っていました。
参考:警官恐喝の女に懲役2年判決 群馬・前橋地裁 | 上毛新聞社
さらに、4月に入ってからは、男性から慰謝料などと称して現金30万円を騙し取ったとして男女2名が恐喝の疑いで逮捕された事案があります。逮捕されたのは、自称アルバイトの男(21歳)と住所不定無職の女(22歳)で、協力して美人局をしていたことを認めており、他にも余罪があったと考えられています。
参考:「美人局にあった」マッチングアプリ利用の20代男性 ”現金30万円”脅し取られる…「とりあえず慰謝料だ」21歳アルバイト男と22歳無職女を恐喝容疑で逮捕|FNNプライムオンライン
マッチングアプリで脅迫・恐喝被害に遭わないためには
マッチングアプリで脅迫・恐喝被害に遭わないためには、美人局をはたらく女性の特徴を把握しておくべきでしょう。
美人局の手口・対策・対処法を弁護士が解説【出会い系・マッチングアプリに注意】に詳しく書かれていますが、例えば、
- 会うまでがやたらスムーズ
- 女性の方から性交渉に積極的
- 人目に付きにくい場所を待ち合わせ場所に指定してくる
- ホテルやホテルまでのルートを女性が誘導してくる
といった女性は、美人局を目論んでいる可能性が高いです。
そのため、マッチングアプリで知り合った女性と出会うまでは時間をかけてやり取りし、実際に会う段階になったとしても最初から性的な関係を結ばないようにしましょう。待ち合わせ場所は人通りの多い場所にし、移動する際も、入る店やホテル、ホテルまでのルートは全て男性側がリードするようにしましょう。また、女性の見た目や言動からして、未成年の可能性が少しでもあると感じた場合には絶対に性的関係を持たないことが重要です。
マッチングアプリで恐喝・脅迫の被害にあってしまったら
マッチングアプリで恐喝や脅迫の被害に巻き込まれた場合に重要なことは、「現場では抵抗しない」ことです。
最近のマッチングアプリでの美人局では、女の不良仲間の男が複数人登場し、被害者に対して暴力を振るうケースも多くみられます。そのため、周囲に人が少ない場所で仲間の男に取り囲まれた場合には、相手の指示することに従い、抵抗したり逃走を図るなどの行動は控えておくべきでしょう。
そして、加害者から身柄を解放された後は、その足でそのまま警察署に向かい、被害申告をするようにしましょう。先ほど紹介した解決事例のように、繰り返し金銭請求される事案も少なくありません。加害者から、身分証や保険証の写真を撮られたり、会社の名刺を取り上げられた方も多いでしょう。一度お金を払っても完全解決とはなりませんので、警察に被害届や告訴状を提出し、刑事事件として処理するのが最も効果的です。
ただし、事件を公にすることを望まない人や、自らも児童買春禁止法や淫行条例に触れる可能性がある場合、警察に相談することをためらうこともあるでしょう。
その場合には、先ほどの解決事例のように、弁護士に相手と交渉してもらうことを検討しましょう。マッチングアプリでの恐喝・脅迫事案に精通した弁護士であれば、穏便かつ内密にトラブルを解決することも可能です。
当事務所では、脅迫・恐喝の加害者との交渉、穏便・内密にトラブルを解決することを得意としており多数の実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力で守りますので、家族や周囲の方にマッチングアプリでのトラブルを知られたくない方は、まずは当事務所の弁護士までご相談ください。
恐喝・脅迫された時の目的別の相談先と対処法|警察と弁護士の使分け
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