探偵詐欺で払った費用は取り戻せる?手口と返金を求める方法

探偵に調査を依頼したものの、報告書の中身が契約時の説明とかけ離れていた。追加料金を次々と請求された。解約を申し出たら高額な違約金を求められた。当事務所には、探偵の費用をめぐるこうしたご相談が全国から寄せられています。

いったん支払った以上は諦めるしかない、と考えておられるかもしれません。ただ、契約の経緯や調査の中身によっては、支払ったお金を取り戻せる場合があります。

ただし手段によっては期限があり、何もしないまま時間が経てば使えたはずの権利が消えます。

この記事では、詐欺被害の返金に取り組む弁護士が、探偵に払った費用が戻ってくるケースと、実際に取り戻すための手順を解説します。

  • 探偵詐欺とはどんなトラブルか
  • 返金が認められる5つのケース
  • 探偵に払ったお金を取り戻す手順
  • 探偵詐欺によくある手口と契約前に確認できること

なお、探偵に支払ったお金の返金でお悩みの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談へお気軽にご連絡ください。

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探偵詐欺とは?トラブルは調査の中身と費用に集中している

探偵詐欺とは、探偵業者に依頼したのに説明と違う調査しか行われない、事実と異なる説明で高額な契約を結ばされるといったトラブルの総称です。法律上の詐欺にあたるとは限らず、契約の不履行や取消しの問題として扱われることもあります。

背景には、探偵業の仕組みがあります。探偵業は届出制です。公安委員会に届け出れば足り、資格試験も許可の審査もありません。届出や標識は、その探偵業者が届出をした事実を示すだけで、調査の技量を保証するものではありません。依頼してみて初めて問題に気づくことが少なくありません。

ご相談は大きく二つに分かれます。国民生活センターが公表している探偵・興信所のよくある質問も、調査の結果に納得できない場合と、解約料や返金をめぐる場合が中心です。ひとつは調査の中身で、素行調査を頼んだのに対象者の行動がほとんど記録されていなかった、報告書が写真数枚だけで説明とかけ離れていた、といったものです。

もうひとつが費用です。見積もりになかった経費を後から積み上げられた、成功報酬と聞いていたのに成果がないまま満額を請求された、解約を申し出たら契約書にない違約金を提示された。調査は数十万円規模になることが多く、金額が大きいだけに、納得できないまま支払ってしまう方が少なくありません。

国民生活センターの紛争解決委員会が扱った事案にも、探偵の調査契約の解約をめぐる紛争があります。

支払ってしまったご自身を責めておられる方もいます。ただ、契約前に確認できることには限りがあり、調査が実際にどう行われるかは依頼してみるまで分かりません。責任の所在より、いま何ができるかに目を向けてください。

探偵に払った費用の返金が認められる5つのケース

探偵と契約した以上、いったん合意した費用を後から取り戻すのは、原則としてできません。ただし次のような事情があれば、返金や契約の取消しを主張できる余地があります。ご自身の経緯と照らし合わせてみてください。

なお、以下のうち消費者契約法とクーリングオフを根拠とするものは、個人が私生活上の目的で依頼した場合に限られます。会社の取引先調査など事業のための依頼は対象外です(消費者契約法2条1項)。債務不履行や詐欺・公序良俗を理由とする主張には、この区別はありません。

契約した内容と違う調査だった

探偵と交わした契約書や重要事項説明書に書かれた調査と、実際に行われた調査が食い違っている場合、債務不履行を理由に返金を求められる可能性があります。約束した日数より短い期間しか動いていない、調査員の人数が契約より少なかった、報告書を作る約束だったのに渡されていない、といった場合です。

判断の手がかりになるのが調査報告書です。通常の調査報告書には、いつどこで何を確認したかが時系列で記録され、撮影した写真が添えられます。日付や場所の記載がない、写真が数枚だけ、見積書にあった調査時間と報告書の中身が合わない。そうした報告書は、探偵が契約どおりに動いたかを疑う材料になります。

調査には結果が出ないこともあるため、成果が乏しいことだけを理由に返金を求めるのは簡単ではありません。争点になるのは結果ではなく、約束した作業が行われたかどうかです。

探偵側の落ち度で調査の目的を果たせなかった

探偵の調査契約は、結果そのものを保証する契約ではないと解されています。対象者が警戒していれば、通常の注意を払っていても尾行に気づかれることはあり、成果が出なかったというだけでは返金の理由になりません。

分かれ目は、うまくいかなかった原因がどちら側にあるかです。依頼者が調査の予定を対象者に話していたなど、原因が依頼者側にあるときは、探偵の責任を問うのは難しくなります。逆に、撮影した記録を紛失した、調査員が不用意に接近して察知されたなど、専門業者として求められる注意を欠いていたのであれば、債務不履行として返金を求められる可能性があります。

依頼の目的が契約書に明記されているか、口頭でどう伝えたかも判断を左右します。やり取りの記録が残っていれば材料になります。

できないことを「できる」と説明されて契約した

探偵が事実と違うと知りながら説明して契約させた場合には、詐欺を理由に契約を取り消せることがあります(民法96条1項)。実際には取得できない書類を職権で取れると言われた、所在の判明が見込めない調査を可能だと説明された、といったケースです。

ただし、探偵がそうと知っていたことは主張する側が示す必要があり、立証は容易ではありません。

なお、探偵が公的な権限で戸籍や住民票を取得することはできません。そうした説明を受けていたなら、その時点で説明の正確さを疑う理由になります。

「必ず成功する」と言い切られた、帰らせてもらえなかった

探偵の調査が成功するかどうかは、契約の時点では不確実です。それにもかかわらず確実であるかのように言われて契約した場合、消費者契約法4条1項2号の断定的判断の提供にあたり、契約を取り消せる可能性があります。

探偵事務所での面談の席で帰りたいと伝えたのに話を続けられ、契約するまで席を立たせてもらえなかったという経緯があれば、同法4条3項2号の退去妨害が問題になります。自宅に来た探偵の担当者が、帰ってほしいと伝えても帰らなかった場合は、同項1号の不退去です。

さらに踏み込んで、危害を加えるような言動で脅されて契約した場合は、民法96条1項の強迫にあたり、契約を取り消せます。ただし脅された事実は主張する側が示す必要があり、その場のやり取りを記録していなければ立証は難しくなります。

消費者契約法にもとづく取消権は、追認できる時から1年、契約から5年で行使できなくなります(同法7条1項)。迷っているうちに期限が来ることがあります。

契約前の説明書面がない、費用が相場からかけ離れている

探偵業法8条1項は、契約前に書面を交付して説明することを義務づけています。記載すべき事項には、費用の概算額と支払時期、契約の解除に関する定めも含まれます。同条2項は契約後にも書面の交付を求めています。これらを渡されていなければ、探偵業者は法律上の義務を果たしていません。それだけで契約が無効になるわけではありませんが、次に述べるクーリングオフの期間が進まない理由になり得ます。

費用があまりに高額なときは、公序良俗に反するとして契約の無効を主張できることもあります(民法90条)。目安として、探偵の調査員2名が動く場合の料金は1時間あたり1万5,000円から2万円程度とされており、総額は稼働した時間と人数で決まります。契約書の内訳がこの水準からどれだけ離れているかが、判断の起点になります。

ただし合意した金額は原則として有効です。相場を上回るという程度では無効にならず、著しく均衡を欠く場合に限られます。

探偵に払ったお金を取り戻す手順

探偵に払ったお金を取り戻すには、動く順序があります。ここからは実際の手順を、上から順に見ていきます。

契約書と報告書、やり取りの記録を確保する

最初にすべきは、手元にあるものを散逸させないことです。探偵から受け取った契約書、重要事項説明書、見積書、領収書や振込明細、納品された調査報告書、探偵の担当者とのメールやLINE、通話の履歴。いつ何を約束され、実際に何が行われたかを示す資料になります。

書面を受け取っていない場合は、受け取っていない事実そのものが意味を持ちます。「ないから何もできない」と考えず、その状態のまま保存してください。

クーリングオフができないか確認する

個人が私生活上の目的で探偵に依頼した調査契約は、特定商取引法上の役務提供契約にあたります。そのため、次のいずれかにあてはまるなら、クーリングオフの対象になります。

  • 自宅や喫茶店など、探偵事務所の営業所以外の場所で契約した(訪問販売)
  • かかってきた電話で勧誘され、そのまま電話やメール、郵送で申し込んだ(電話勧誘販売)
  • 勧誘とは告げられずに事務所へ呼び出され、その場で契約した(訪問販売)

3つ目は見落とされがちです。「詳しい話をしたいので一度お越しください」とだけ言われて出向いた場合、探偵事務所での契約でも訪問販売として扱われます(特定商取引法2条1項2号、同法施行令1条)。

なお、会社の取引先調査や従業員の素行調査など、事業のために依頼した契約はクーリングオフの対象外です(同法26条1項1号)。個人が私的な目的で依頼した場合と分かれる点です。

期間は契約書面を受け取った日から起算して8日間(それより前に申込書面を受け取っていれば、その日が起算日)。解除の通知は発信した時点で効力が生じるため、8日目の発送で間に合います。期間内なら違約金や損害賠償を請求されることもありません(同法9条3項・24条3項)。

8日を過ぎていても諦める必要はありません。同法9条1項・24条1項は、探偵業者がクーリングオフについて事実と違うことを告げたり、威迫して困惑させたりしたために期間内に手続きできなかった場合、改めて交付を受けた書面から8日間と定めています。「もう解約できない」と言われて手続きしなかったのであれば、この場面にあたる可能性があります。

内容証明郵便で返金を求める

クーリングオフの通知も、契約の取消しや解除の意思表示も、内容証明郵便で送るのが確実です。いつ、どのような内容の書面を送ったかが記録に残り、後に争いになったときの証拠になります。

探偵側に落ち度があると考えるなら、どの約束がどう果たされていないのかを具体的に書きます。感情ではなく、契約書の記載と実際の履行のずれを指摘するほうが交渉は動きます。

弁護士に依頼する前に公的な窓口を使う

探偵業者が話し合いに応じない場合や、自分で交渉を続けることに不安がある場合は、お住まいの地域の消費生活センターを利用する方法があります。消費者ホットライン188番に電話すれば最寄りの窓口につながり、あっせんで話がつくこともあります。探偵業の業界団体でも契約に関する苦情を受け付けています。詐欺被害全般の相談先の選び方は「詐欺被害はどこに相談する?相談窓口と注意点を解説」でまとめています。

話し合いで解決しない場合は訴訟を検討する

探偵業者が返金に応じない場合、最終的には裁判所の手続きで請求することになります。請求額が60万円以下であれば少額訴訟を使えますし、相手が争ってこない見込みなら支払督促という方法もあります。

もっとも、訴状の作成や証拠の整理には法的な知識が要り、期日には出頭しなければなりません。ご自身で進めるより、弁護士への依頼を検討することをおすすめします。弁護士に依頼した場合の費用相場や費用倒れを防ぐ方法については「詐欺被害の弁護士費用と相場|費用倒れを防ぐ方法も解説」で詳しく解説しています。

探偵詐欺によくある手口と、契約前に確認できること

ここまでは、すでに支払ってしまった場合の対応を説明してきました。まだ契約していない方、契約したばかりの方に向けて、探偵詐欺で繰り返し現れる手口と、契約前にご自身で確認できることを整理します。

契約前後によく見られる手口

ご相談の内容や、公表されている探偵業者への行政処分の事例からは、いくつかの手口が繰り返し現れます。

  • 「必ず見つかります」「成功率100パーセント」と結果を断言する
  • 成功報酬をうたいながら、着手金や経費の名目で高額な前払いを求める
  • 契約後に「調査が難航している」「経費がかさんだ」として追加費用を重ねて請求する
  • 実地の調査をほとんど行わず、公開情報を集めただけの報告書を納品する
  • その場での契約を求め、検討したいと伝えても引き止める

このうち結果を断言する勧誘と、契約後に理由をつけて費用を積み増す請求は、とくに注意が必要です。探偵の調査は対象者の行動や周囲の状況に左右されるため、結果そのものを確実に約束できる性質のものではありません。断言していること自体が、契約を急がせるための説明である可能性があります。

契約前に確認できること

探偵業を営むには、営業所ごとに都道府県公安委員会への届出が必要です(探偵業法4条1項)。届出をせずに営業した場合、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が定められています(同法18条1号)。

届出をしているかどうかは、標識で確認できます。探偵業者は、届出をしたことを示す標識を営業所の見やすい場所に掲示し、あわせて自社のウェブサイトにも掲載しなければなりません(同法12条2項)。標識には、届出先の公安委員会名、届出書の受理番号、提出した年月日が記載されます。ただし、ウェブサイトを持たない場合や従業者が5人以下の場合は、ウェブサイトへの掲載義務が免除されます。

過去に処分を受けているかどうかも、手がかりになります。公安委員会は、法令違反があった探偵業者に対して必要な措置を指示し、悪質な場合には6か月以内の期間を定めて営業の全部または一部の停止を命じることができます(同法14条・15条)。処分を受けた業者を公表している都道府県があり、公表の期間を処分の日から3年間と定めているところもあります。契約前に、お住まいの都道府県警のサイトを確認してみてください。

もっとも標識があることは、その探偵業者が優良である、あるいは安全であることの保証ではありません。届出は要件を満たせば受理されるもので、業務の質を審査する仕組みではないためです。この点は千葉県警も明記しています。

契約前には、重要事項を記した書面が交付されます(同法8条1項)。前述のとおり、費用の概算額や支払時期、契約の解除に関する定めが記載されるもので、これを交付しない探偵業者には30万円以下の罰金が定められています(同法19条3号)。書面が出てこない、口頭の説明だけで済まされるという時点で、契約を見送るのは十分に合理的な判断です。

「詐欺の被害金を取り戻せる」という勧誘は別の問題

性質が異なるトラブルがひとつあります。投資詐欺などで金銭を失った人に「被害金を回収できます」と持ちかけ、調査契約を結ばせる手口です。

探偵の業務として法律に定められているのは、依頼を受けて特定の人の所在や行動についての情報を集めることです。聞込み、尾行、張込みといった実地の調査を行い、その結果を依頼者に報告するまでが業務の範囲とされています(探偵業法2条1項)。相手の居場所を調べる、行動を記録するといった調査そのものは、探偵の業務にあたります。

一方で、探偵に、相手と交渉してお金を返させる権限はありません。返金交渉は法律事務にあたり、報酬を得て代理できるのは弁護士と、取扱額の範囲内の認定司法書士に限られるためです(弁護士法72条)。探偵業法にも、この法律によって他の法令で禁止・制限されている行為ができるようになるわけではないと定められています(探偵業法6条)。

実際には、契約書には「企業調査」とだけ書かれ、納品されるのが登記情報に外観写真を添えた程度の報告書であることも少なくありません。

この場合も、支払った費用については前述の各ケースがあてはまります。

探偵詐欺で支払った費用でお悩みの方は弁護士にご相談ください

探偵に支払ったお金が戻るかどうかは、どこでどう契約したか、そして約束された調査が実際に行われたかで決まります。どの手段を使えるかは、契約書の記載と調査の実態を突き合わせて判断することになります。

ご自身では「もう手遅れだ」と思っておられたケースでも、法律で定められた書面を受け取っていなかったために、解除できる期間がまだ残っていたということは珍しくありません。逆に、取消権のように期限が決まっているものもあります。

当事務所は詐欺被害の解決に注力しており、探偵の費用をめぐるご相談にも全国から対応しております。高額な費用を支払ったまま納得できずにおられるなら、お一人で抱え込まず、まずは無料相談をご利用ください。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

詐欺被害の返金交渉に豊富な実績を持つ。一般社団法人 詐欺・不当要求対策協会の代表理事として、詐欺被害の撲滅に向けた研究・啓発活動にも取り組んでいる。投資詐欺、情報商材詐欺、占い詐欺など多様な手口に精通し、被害者の大切なお金を取り戻すために迅速に行動する。警察が動かないケースでも、弁護士による返金交渉や刑事告訴で解決に導いている。

投資詐欺 情報商材詐欺 占い・霊感商法 サクラサイト詐欺 不動産投資詐欺 返金交渉
メディア掲載 フジテレビ「とくダネ」/ ダイヤモンド・オンライン / @DIME / サイゾー 他多数
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