
詐欺被害で失ったお金は返ってくるのか、返金してもらうには何をすればよいのかと、不安を抱えていませんか。
払ったお金は、振込先の口座にお金が残っている場合や、相手が分かり財産がある場合には、取り戻せる可能性があります。ただし、警察に届けるだけで戻るわけではなく、被害者の側からも動く必要があります。
その口座のお金は、時間がたつほど引き出されるおそれが高まるため、気づいたらすぐに動きたいところです。
この記事では、詐欺被害の返金に強い弁護士が、次の点について解説します。
- 失ったお金が返ってくるケース
- 使える4つの返金方法
- 返金されない・全額が戻らない理由
- 返金のために早めにすべきこと
お読みいただくことで、ご自身のケースで使える方法と、今日から何をすべきかを整理できます。
なお、詐欺被害の返金についてお悩みの方は、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談へお気軽にご連絡ください。地域を問わずご相談を承っています。
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詐欺で失ったお金は返ってくる?返金が見込める3つのケース
詐欺の被害で払ったお金も、取り戻せる見込みがまったくないわけではありません。
ただし、返金が見込めるのは一定の条件がそろったときで、全額が戻るとも限りません。返金が見込める主なケースは、次の3つです。
振込先の口座にお金が残っている
銀行振込で支払い、振込先の口座にまだお金が残っていれば、振り込め詐欺救済法による返金が見込めます。
振り込め詐欺救済法は、詐欺などに使われた口座を凍結し、残っていたお金を被害者に分配する仕組みを定めた法律です。
犯人にお金を引き出される前に、すぐに振込先の金融機関へ連絡することが大切です。
使える被害の範囲や手続きの流れは、「1.振り込め詐欺救済法を利用する」で説明します。
相手が分かり、支払えるお金や財産がある
詐欺をした相手の氏名や住所が分かっていて、支払いにあてられるお金や財産を持っている場合は、相手に直接返金を求めることで取り戻せる可能性があります。
相手が個人なら預貯金や給料、会社なら売上金などが、回収の手がかりになります。
もっとも、請求すればすぐに全額が戻るとは限らず、交渉や裁判に時間がかかることもあります。進め方は「2.相手に直接返金を請求する」で取り上げます。
相手が逮捕され、被害弁償を申し出てくる
相手が詐欺の疑いで逮捕・起訴されると、相手の弁護人(相手側についた弁護士)から示談や被害弁償を申し出てくることがあります。
示談とは当事者どうしの話し合いで事件を解決する合意のことで、被害弁償とは相手が被害額を支払って償うことをいいます。
相手が示談を望むのは、被害者への返金や弁償が、処分や刑の重さを決めるときの事情として考慮されうるためです。申し出を受けたときの注意点は「3.刑事手続の中で示談・被害弁償を受ける」で説明します。
詐欺被害で使える4つの返金方法
詐欺被害の返金を求める方法は複数あり、どれを使えるかは、お金をどう支払ったか、相手が誰か分かるかによって変わります。主な方法として、次の4つを取り上げます。
- 1.振り込め詐欺救済法を利用する
- 2.相手に直接返金を請求する
- 3.刑事手続の中で示談・被害弁償を受ける
- 4.クレジットカードで払ったときはカード会社に相談する
1.振り込め詐欺救済法を利用する
振り込め詐欺救済法(正式名称:犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律)とは、詐欺等で使われた振込先口座を使えなくし(凍結)、もし口座にお金が残っていた場合にそのお金を被害者に分け与える制度です。
名称に「振り込め詐欺」とありますが、この制度は、架空請求や融資保証金詐欺、還付金詐欺といった、犯人が金銭を騙し取る手口として振込みが利用されたことで被害を受けた人が対象となっています。
そのほか、ヤミ金等の恐喝行為で振り込んでしまった人も対象となります。投資詐欺やロマンス詐欺なども、口座への振込みで支払ったのであれば同じです。
参考:「振り込め詐欺」にはどのようなものがあるでしょうか・・・???:金融庁
この制度で返金を受けるための流れを以下で説明します。
ステップ① 振込先口座の金融機関に電話をして口座を凍結してもらう
まずは振込先の銀行に電話をして、口座を凍結してもらうのが先決です。口座にお金が残っていれば、引き出されないようにすることで返金の可能性を残せるからです。
その際、口座の情報(支店名・名義人氏名・口座番号)と、どのような詐欺にあったのかを伝え、口座の凍結を依頼してください。各銀行の連絡先は、一般社団法人全国銀行協会の金融犯罪に遭った場合のご相談・連絡先に掲載されています。
ただし、銀行は依頼を受けてすぐに凍結するとは限りません。振込みの有無や口座の取引の状況などを確かめ、犯罪に使われた疑いがあると判断したときに取引を止めます。
ステップ② 警察に被害届を出し、金融機関へ連絡してもらう
銀行の調査に時間がかかると凍結が遅れ、その間に犯人にお金を引き出されるおそれがあります。そのため、警察への被害届の提出も欠かせません。
警察などの捜査機関から口座の不正利用について情報が寄せられることは、金融機関が取引を止めるかを判断するときの事情の一つとされています(振り込め詐欺救済法3条1項)。
また、捜査機関のほか、弁護士からの連絡をきっかけに金融機関が凍結を検討することもあります。
ステップ③ 公告を確認し、期間内に申請する
凍結された口座は、この制度の公告を担う預金保険機構のウェブサイトで公告(手続きの開始を広く知らせる公表)されます。振込先の口座番号などで公告を検索できます。
分配金の申請を受け付ける期間は、支払手続の開始が公告された日の翌日から30日以上と定められています(振り込め詐欺救済法11条2項)。
申請は、振込先の金融機関に申請書を出し、本人確認書類や振込みの事実が分かる資料を添えて行います。期間を過ぎると、この制度による分配金は受け取れません。
ステップ④ 分配金が支払われる
申請期間が終わると、金融機関が申請の内容を確かめて、支払う相手と金額を決め、被害回復分配金として支払います。
分配金は、連絡してすぐに受け取れるものではありません。金融庁は、実際に支払いを受けるまで半年以上かかるのが一般的だと案内しています。
2.相手に直接返金を請求する
詐欺の相手を特定できる場合は、相手に直接、返金を求める方法があります。
請求の根拠になるのは、だまされたことで受けた損害の賠償を求める不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)や、詐欺を理由に契約を取り消したうえで、払ったお金の返還を求める不当利得返還請求(民法96条1項・121条の2)です。
まずは、やり取りの記録や振込先の口座から相手を特定します。相手が偽名を使っていても、弁護士に依頼すれば、弁護士会を通じて金融機関に口座名義人の情報を照会できることがあります(弁護士法23条の2)。
相手が分かったら、内容証明郵便(いつ、どんな内容の文書を誰に送ったかを日本郵便が証明する郵便)で返金請求をし、交渉します。
相手が返金に応じたときは、金額や支払方法を書面に残しましょう。分割払いなど、約束どおり支払われないおそれがあるときは、強制執行(裁判所の手続きで相手の財産を差し押さえ、支払いにあてること)に応じる旨を記載した公正証書(公証人が作成する公文書)にしておく方法もあります(民事執行法22条5号)。
交渉で解決しなければ民事訴訟を起こし、判決が出ても支払わないときは、相手の預金や給料などを差し押さえる強制執行を申し立てます。
民事訴訟の和解で支払いを受けた実例は、「同僚に7年間で1700万円騙し取られた詐欺被害を解決した事例」で紹介しています。
3.刑事手続の中で示談・被害弁償を受ける
警察に被害届を出したり、刑事告訴(犯人の処罰を求める意思を捜査機関に伝えること)をしたりすると、捜査が進むきっかけになります。
もっとも、警察が行うのは犯罪の捜査や犯人の検挙であり、被害者に代わってお金を取り戻すことまでは担っていません。詐欺の加害者が逮捕されても、返金は別に求める必要があります。
届け出たのに捜査が進まないと感じるときは、「詐欺で警察が動かない4つの理由|民事不介入と動いてもらう方法」も参考にしてください。
相手が逮捕・起訴されたあと、相手の弁護人から示談や被害弁償の申し出があったときは、応じる前に支払われる金額と時期を確かめ、ほかに請求しないと約束する内容が含まれていないかも確認しましょう。示談は当事者を拘束する合意なので、内容に不安があるときは弁護士に確認してもらうと安心です。
4.クレジットカードで払ったときはカード会社に相談する
クレジットカードで支払った場合は、すぐにカード会社に連絡し、詐欺の被害に遭ったことを伝えて相談してください。
カード会社に申し出ることで、カードでの支払いが取り消される(チャージバック)場合もあります。カードでの被害については、「クレジットカード詐欺の返金は?補償されないときの対処法」で詳しく解説しています。
全額は戻らないことも多い?返金が難しくなる理由
詐欺被害では、法律上は返金を求められる場合でも、実際には一部しか戻らない、あるいはまったく戻らないこともあります。主な理由を次の5つに分けて見ていきます。
口座の残高を被害者で分配するため全額にならないことがある
振り込め詐欺救済法で戻るお金は、凍結した時点で口座に残っていた金額が上限です。凍結までに加害者が引き出していた分は戻らないため、早く凍結できるかどうかが戻る金額を左右します。
同じ口座に複数の被害者が振り込んでいた場合は、残っていた金額を、それぞれの被害額の割合に応じて分けます(按分)。そのため、口座の残高が被害額の合計より少なければ、一人ひとりが受け取れる額は被害額を下回ります。
また、凍結した口座の残高が1,000円未満のときは、支払いの手続き自体が行われず、分配金は受け取れません(振り込め詐欺救済法8条3項)。
被害額の全部が戻るのは、口座に残っていた金額が、申請した被害者全員の被害額の合計以上だった場合に限られます。返金率に決まった目安はありません。
現金を手渡し・郵送したときは救済法の対象外になる
振り込め詐欺救済法の対象は、お金を得る手段として口座への振込みが使われた被害です(振り込め詐欺救済法2条3項)。
そのため、現金を相手に直接渡した場合や、指定された住所へ現金を郵送・宅配便で送った場合は、この制度を使えません。電子マネーのカード番号を伝えた場合や、暗号資産(仮想通貨)で送金した場合も、振込先の口座がなければ対象になりません。
このような場合は、相手を特定して直接請求する方法(2.)や、刑事手続の中での示談・被害弁償(3.)を検討することになります。現金を手渡した場合でも、相手の身元を確かめて取り戻した実例は、「SNS投資詐欺で騙し取られた200万円を全額返金させた事例」で紹介しています。
ただし、現金や暗号資産はお金の流れを追いにくく、相手の特定や回収が難しくなりやすい点に注意が必要です。送り状の控えや、受け取りに来た人物の特徴などは、警察に伝える手がかりになるので残しておきましょう。
相手が誰か分からない
SNSやマッチングアプリで知り合った詐欺の相手が偽名を使っていたり、他人名義の口座を使っていたりすると、相手を特定するのは簡単ではありません。
相手が分からなければ、返金を求める書面を送ることも、裁判を起こすことも難しくなります。相手の手がかりになるやり取りの記録や振込先の口座情報は、消される前に残しておきましょう。
相手の手元にお金や財産が残っていない
相手を特定し、裁判で返金を命じる判決を得ても、相手がお金を使い切っていたり、財産を別の名義に移していたりすると、強制執行で回収できるお金や財産がありません。
相手が財産を処分してしまうおそれがあるときは、裁判の前に財産を仮に押さえておく仮差押えという手続きを使えることがあります(民事保全法20条1項)。
相手や口座が海外にある
相手が海外にいる場合や、お金が海外の口座に送られた場合は、相手の特定や裁判、財産の差押えに時間と費用がかかります。
被害額によっては、回収できる見込みより費用のほうが大きくなる、いわゆる費用倒れになることもあります。暗号資産や海外が関わる被害については、「仮想通貨詐欺の被害は返金できる?必要な情報と海外のケース」もご覧ください。
返金の可能性を高めるために早めにすべきこと
返金を受けられるかどうかは、詐欺に気づいてからどれだけ早く動けるかに大きく左右されます。
やり取りや振込の記録を証拠として残す
返金を求めるには、お金を払った事実と、だまされた経緯を示す証拠が欠かせません。救済法の申請、警察への届出、相手への請求のどれにも使うため、次のような記録をすぐに保存しておきましょう。
- 振込明細や利用明細、ネットバンキングの取引画面
- メール・SNS・チャットアプリのやり取りの画面
- 相手のウェブサイトやアカウントのURLと画面
- 相手の名前・電話番号・振込先の口座情報
相手がアカウントやサイトを消してしまうと、あとから詐欺の経緯を確かめられなくなることがあります。画面は、日時や相手のIDが分かる形で撮っておくと安心です。
明細が手元にないときは、取引した金融機関やカード会社に、取引の記録を出してもらえるか問い合わせてみてください。
申請期間や時効を意識してできるだけ早く動く
詐欺被害に気づいたら、その日のうちに振込先の金融機関と警察へ連絡しましょう。
振り込め詐欺救済法の申請には受付期間があり、過ぎてしまうと分配金を受け取れません。振込先の口座が公告されていないか、預金保険機構のサイトでこまめに確かめることが大切です。
相手に返金を請求する権利にも時効があり、一定の期間がたつと請求できなくなります。期間の考え方は「詐欺罪の時効は刑事・民事で何年?逃げ切られる前にできること」で解説しています。
期間を逃さないためにも、どの方法を使えるか分からないときは、早めに弁護士などの専門家に相談して、ご自身のケースで取れる手段を確かめてください。
相談先に迷うときは、消費者ホットライン「188」に電話すると、身近な消費生活センターなどの相談窓口を案内してもらえます。急ぎではない警察への相談は、警察相談専用電話「#9110」でも受け付けています。弁護士以外に頼れる機関は、「詐欺被害はどこに相談する?相談窓口と注意点を解説」にまとめています。
詐欺の返金を弁護士に依頼するとできること
詐欺の返金を求める手続きには、被害者が自分で進められるものもあります。ただ、弁護士に依頼すれば、次のような対応を任せられます。
相手を調べて返金を交渉・請求してもらえる
弁護士は、弁護士会を通じた照会などで相手の特定を試み、内容証明郵便による請求から返金交渉、訴訟、強制執行まで、代理人として対応できます。
なお、「返金できる」と持ちかけて手数料などを求める連絡は、新たな詐欺であることもあります。依頼する前に、連絡してきた相手が弁護士・法律事務所であるかを確かめてください。
また、交渉や裁判には費用がかかり、被害額によっては費用倒れになることもあります。依頼する前に、回収の見込みと費用をあわせて確認しておくのが望ましいです。依頼した場合の金額の目安は「詐欺被害の弁護士費用と相場|費用倒れを防ぐ方法も解説」をご参照ください。
振り込め詐欺救済法の申請や口座凍結の依頼を任せられる
詐欺に使われた口座について、弁護士から金融機関に不正利用を伝え、凍結を求めることもできます。
分配金の申請書類の準備も手伝ってもらえるため、振込先が複数の口座に分かれている場合や、振込の記録がそろっていない場合も、返金に必要な資料を整理しながら進められます。
刑事告訴や示談の窓口になってもらえる
警察に詐欺の被害を申告するときは、告訴状の作成や、被害の経緯をまとめた資料づくりを弁護士に任せられます。
相手が逮捕され、相手の弁護人から示談交渉を申し入れられたときも、弁護士が窓口になって金額や支払方法などの条件を確かめ、被害者に不利な内容で合意しないよう交渉します。
詐欺被害の返金でお困りの方は弁護士にご相談ください
詐欺で失ったお金は、振込先の口座に残高がある場合や、相手が分かっていて財産がある場合には、取り戻せる見込みがあります。一方で、振り込め詐欺救済法では口座の残高を被害者で分け合うため全額が戻るとは限らず、動き出すのが遅れるほど見込みは下がります。
弁護士に依頼すれば、口座凍結や分配金の申請から、相手の特定、交渉・訴訟、示談への対応まで任せられ、ご自身だけで手続きを抱え込まずに済みます。
返金されないかもしれない不安を抱えながら一人で対応するのは、大きな負担です。すでに金融機関や警察に連絡した方も、これから動く方も、まずは状況をお聞かせください。
当事務所は詐欺被害の返金に力を入れており、ご相談者の状況に合わせて、使える方法と見込みを丁寧にご説明します。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
詐欺被害の返金交渉に豊富な実績を持つ。一般社団法人 詐欺・不当要求対策協会の代表理事として、詐欺被害の撲滅に向けた研究・啓発活動にも取り組んでいる。投資詐欺、情報商材詐欺、占い詐欺など多様な手口に精通し、被害者の大切なお金を取り戻すために迅速に行動する。警察が動かないケースでも、弁護士による返金交渉や刑事告訴で解決に導いている。

