私たちがインターネットで調べ物をするとき、直接調べたいサイトにアクセスするのは稀です。ほとんどの場合は、どこに情報が載っているかを探すためにグーグルやYahooのトップページにまずアクセスし、そこで調べたいキーワードを入れて検索をかけるのではないでしょうか。
例えば就職活動や転職活動をするときに、希望する企業の情報を調べることはよくありますね。そのときに、グーグルの検索結果に「会社名+ブラック」などのキーワードが盛り込まれたサイトが表示されたらどうでしょうか。実際にはブラック企業ではなくても、ブラック企業という印象を持ってしまいますよね。また、飲食店などのお店を営んでいる場合に、食べログなどの口コミサイトに、店の評判を落とすような悪口が書かれていたら、それは即売上に反映してしまいますので、経営者としては死活問題となりかねません。
その他にも、自分の名前を検索すると、罵詈雑言や前科、住所や勤務先などの個人情報など、人の目に触れて欲しくない情報が表示されてしまうこともあります。
そこで今回は、グーグルの検索結果に誹謗中傷や風評被害が含まれているときの削除方法を詳しく解説します。
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記事の目次
グーグル検索結果画面で誹謗中傷ワードが表示されてしまう2つの箇所
①サイトタイトルやスニペット
グーグルのトップページにアクセスすると、検索窓が表示されます。
※グーグルの検索窓
この検索窓にキーワードを入れて検索すると、候補となるサイトがいくつか出てきますが、この時の画面を検索結果画面といいます。
このとき表示されるのは上から順に以下のようになっています。
①ページのタイトル ②URL ③サイト内の文章で、検索キーワードが含まれている部分(スニペット)
※googleの検索結果画面
ページのタイトルはその名の通り、そのページの表題にあたるものでえす。
スニペットとは、サイト内の本文から、検索されたキーワードが含まれた箇所の文章の一部をピックアップして検索結果画面に表示するため、サイトを開かなくてもある程度内容がわかるといった機能を果たしています。
この、検索結果画面のタイトルとスニペットに、あなたの悪口や名誉を害することが書かれていた場合に、それが表示されないように削除する必要があります。
②関連する検索キーワード
グーグルの検索画面でキーワードを検索し、検索結果のページに行ったとき、最下部に「◯◯に関連する検索キーワード」と表示され、その下にいろいろなキーワードが表示されています。
※検索されたキーワードに関連する検索キーワード
この関連する検索キーワードは、実際にネットユーザーが検索したキーワードの中でも特に検索回数が多いものをグーグルがピックアップして表示するシステムです。
例えば、「あなたの名前」でグーグル検索した時に、「あなたの名前 犯罪者」「あなたの名前 詐欺師」といった名誉を害するような誹謗中傷のワードが表示されることがありますので、この関連キーワードの削除も行わなければなりません。
関連キーワードの削除方法については、別記事で詳しく解説しますので、この記事では、グーグルの検索結果画面のうち、タイトルとスニペットに該当する箇所を削除する方法をお伝えします。
検索結果画面には表示されないが、検索時に表示されるサジェストワードにも注意!!
※グーグルのサジェスト機能で表示されるサジェストワード
グーグルの検索窓にキーワードを入力したときに、さらに単語が加わったものがその下にいくつか表示されることがあります。例えば「東京 観光」と検索窓にいれただけなのに、その下に「東京 観光 スポット」「東京 観光 子供」など、入力していない単語が表示されるようなケースです。
こうして表示されているワードのことを「サジェストワード」と言います。サジェストワードは、実際に検索されているというよりも候補として表示されるものです。このサジェストワードでも、誹謗中傷や名誉毀損に関するワードが出現することがありますので、別記事でその削除方法についても解説します。
グーグルの検索結果を削除しないとどんな問題が起きるか
このように、インターネットで検索するときにも誹謗中傷に関わるワードが表示されることがわかります。では、具体的にはどういったことが問題となるのでしょうか?
業務妨害
例えば先ほどの例のように、会社名を検索したとき、サジェストワードや検索関連ワードなどで「ブラック」といったワードが合わせて表示された場合、実際はどうかに関わらずそれを見る人には「この会社はブラック企業だ」と見えてしまいます。
ブラック企業であるということが一人歩きしてあたかもそれが真実かのように広まってしまう・結果求人広告を出したとしても人が集まりにくい・ひいてはその会社のブランドイメージが低下して売り上げや株価が落ちてしまう...といった影響が考えられます。
法人やお店などの場合は、業務妨害罪が問題となりやすいのです。
プライバシー侵害
著名人に多い被害事例として、プライバシー侵害があります。
検索窓に名前を入れると、関連キーワードやサジェストワードに「本名」「恋人」「自宅」などのワードが表示され、そのワードで検索をかけやすくなるという具合です。
この他にも、自分の名前で検索した結果数年前の逮捕歴に関する検索結果が表示されるということも実際にありました。
最近ではインターネット上で本名やビジネスネームを使ってブログやサイトを開設して仕事をしている人が増えてきました。
こういった人を狙って誹謗中傷のサイトが立ち上がったり、掲示板にスレッドが立ったりといったことが起きていますので、知名度がない個人だったとしても安心はできません。
また、スニペット部分にプライバシーを侵害するような情報が表示されてくることも考えられます。
名誉毀損、侮辱罪
業務妨害罪のところとも類似しますが、固有名を検索したときにネガティブなキーワードが関連してヒットしてくることでその人の名誉を毀損するケースは多いものです。例えば「不倫」「借金」「前科」「詐欺」といったワードが関連してヒットしてくれば、その事実がなかったとしても「本当なのかもしれない」と見た人に思わせてしまいます。
検索結果に関連ワードなどで上がってくると、人は「火のないところに煙は立たないはずだ。検索されているということは何かあるのかもしれない」と考えてしまいがちです。
誹謗中傷の検索結果を放置することの危険性
対策としては、一刻も早く検索に引っかからないようにすることと、誹謗中傷の投稿そのものを削除するしかありません。
投稿そのものを削除することも大切ですが、それだけでは片手落ちです。
実際にサイトそのものがなくても、検索結果に誹謗中傷に関するワードがヒットする・キャッシュが残ったままで自由に閲覧することができるとなれば、せっかく投稿を削除したのにまだ被害が広がっていきかねません。
よく、Twitterで炎上している人がすぐに投稿を削除したにも関わらず、その後も延々とネット上に書き込みが拡散されていることがあります。
これは、削除前の投稿を見たユーザーがスクリーンショットなどでその書き込みを保存していたり、キャッシュにまだ残っていてそれを閲覧することができるからです。
できればこうなる前に対策を打たなければなりません。
グーグルの検索結果を削除する失敗しないための削除手順
グーグルの検索結果とは、サイトのタイトル・URL・スニペット・関連検索キーワードで構成されていることを解説してきました。また、検索結果に誹謗中傷や風評被害などの名誉を毀損する情報が表示されてしまうことによりどのような問題が生じるかについても理解していただけたと思います。
そこで、こういった問題を解決するためにも、グーグルの検索結果から、自分の望まない情報を削除する、つまりは、表示されないようにする必要があります。
しかし、インターネットにあまり馴染みのない方に多いのですが、検索結果画面から情報を削除してしまえば、これ以上、自分の名誉やプライバシーを害する情報が人目に触れないと勘違いしているケースがあります。
「グーグルの検索結果から削除されれば、もう自分が人目に触れて欲しくない情報がなくなるんじゃないの?」と思われている方はまずは、次の画像を見てください。
※グーグルの検索結果の仕組みを表す画像
引用:http://www.seo-ch.jp/seo/whatseo.php
皆さんがインターネットブラウザ(インターネットエクスプローラや、Chromeなど)の検索窓に調べたいことに関するキーワードを入れて検索ボタンを押すと、検索結果画面に、そのキーワードに関連するサイト(WEBサイト・ホームページともいいます)のタイトルやURL、スニペットが表示されますよね。
この仕組みを簡単に説明すると、インターネットユーザーがある特定のキーワードを検索窓に入れて検索ボタンを押すと、グーグルが運用している「クローラー」というロボットが、世界中に存在するサイトから、検索されたキーワードにマッチする情報が書かれたサイトのページを集めてきます。
そして、その集めたページに1位・2位・3位・4位~……といった形で順位をつけてインデックス化して検索結果画面にそのインデックス化された情報を表示しています。インデックスというのは、日本語で、「目次・見出し・牽引」のことです。
つまり、グーグルの検索結果とは、インターネットの世界に無数に散らばるサイトのページを目次にして表示しているに過ぎないのです。
これを前提に考えると、グーグルの検索結果画面に表示されているページのタイトルやスニペットは、グーグルの検索エンジンロボットであるクローラーが収集してきたページ群に順位をつけたうえで目次にしたものにすぎません。そして、それらの目次が存在するのは、あくまでも、「ページが存在するから」です。
これが何を意味するかといえば、グーグルの検索結果から、名誉毀損や風評被害に該当する内容が書かれた情報が削除されたとしても、それは単に、「目次が削除されただけ」で、その情報そのものが削除されたわけではないということです。
もう少しわかりやすく例えてみましょう。
あなたが図書館で借りた本の中に、他人に見せたくない・見られたくない!といった内容の文章があったとします。そこであなたは、その本の、他人にみせたくないページの箇所の目次をマジックで塗りつぶしたとします。しかし、いくら目次をマジックで塗りつぶして見えなくしたとしても、本の中にはその気に入らない記述について詳細に書かれたページが残っています。グーグルの検索結果を削除するというのはそれと似たようなことなのです。
※本の目次(インデックス)の一部をマジックで塗りつぶした画像
つまり、グーグルの検索結果に表示されてしまう、自己にとって都合の悪い目次(ページのタイトルやスニペット)を削除したところで、都合の悪い情報が書かれたページはインターネットの世界に残るわけですから根本的な解決にはならないのです。
しかし逆を言えば、都合の悪い情報が書かれたページや、或いは、そのページの都合の悪い情報の記載箇所だけでも削除してしまえば、グーグルの検索結果からもその情報が消えることになります。なぜなら、先ほども解説したように、グーグルはクローラーというロボットが、インターネットに存在する無数のサイトから検索キーワードにマッチしたサイトのページを収集し勝手に目次を作っているだけですので、その大元を削除してしまえば自ずと目次からも消えていくことになるからです。
最初にグーグルの検索結果を削除してから大元の情報であるページやページ内の問題箇所を削除する手順ですと時間や費用がかかるばかりか二度手間になってしまいます。時間が長引けば長引くほど、誹謗中傷や風評被害の書き込みが多くの人の目に晒され、さらにはそれらの書き込みが他のサイトに転載されるなどして広まり、より損害が広がるリスクは増すばかりです。
これらを踏まえて、根本的な解決に繋がる、グーグルの検索結果削除の手順をお伝えします。
手順その1:まずは問題となっているページまたはページ内の問題の記述箇所を削除する
まずは、誹謗中傷や風評被害、名誉毀損やプライバシーの侵害などの書き込みがされているサイトの該当箇所の削除をするのが手順としては第一順位です。
そこでまずは大元の原因であるサイトのコンテンツ、或いは、コンテンツ内の問題の箇所の削除を試みるところから始めるのが王道です。
①-2コンテンツが削除できたらキャッシュの削除も忘れずに
コンテンツの削除ができたとしてもまだ完全ではありません。
グーグルの検索結果画面のURLの一番右の箇所の「▼」をクリックすると、「キャッシュ」と書かれたボタンのようなものが出現します。
このボタンのようなものをクリックすると、そのサイトのキャッシュが見れる状態となります。
※googleでサイトのキャッシュを見るためのボタン
キャッシュとは、ブラウザがそのページを以前検索したときに表示された記憶のようなものです。
過去の状態が保存されているため、サイトの内容が更新されたあとでもキャッシュを開くことで過去のサイトの文章を見ることができます。
せっかく、誹謗中傷にあたる書き込みを削除させることに成功したのに、削除した過去の情報が見れてしまうのでは意味がないですよね。
そこで、コンテンツ自体を削除し終えたら、グーグルの「Ssarch Console」というページからキャッシュの削除リクエストを行います。
まずは削除を依頼するサイトのURLをコピペします。そうするとグーグルがそのページがまだ削除されていないか、もう削除されているかをチェックしてくれます。
もしも削除がまだ済んでいなければ「まだサイト所有者が削除していないようです」という表示が出ますので、確認しましょう。
削除が済んでいる場合は、「元のウエブサイトで更新または削除されていますか?」のあとの「はい」にチェックをし、次に進みます。
さらにグーグルがURLを分析していきますが、削除が住んでいる場合はポップアップの表示に従って先に進み、削除リクエストを完了させてください。
グーグルのキャッシュの削除方法については、詳しく別記事でご紹介します。
手順2:問題箇所の削除ができない場合に初めて、グーグルに対して検索結果の削除依頼をする
元のサイトが削除依頼に応じてくれない、その他、削除するためのあらゆる手を尽くしたが叶わなかったような場合には、検索エンジンが検索結果としてそのサイトやページを表示しないようにグーグルに依頼する必要があります。この場合は、「法的な削除リクエスト」を行います。
削除対象となるコンテンツを選択する
削除対象となるコンテンツはいろいろあり、ウエブサイトの他にもYouTubeやGoogle playなどについても削除依頼を行うことが可能です。削除リクエストページには、ここから飛ぶことができます。
報告したいことを選択
例えば「ウエブ検索」の削除を選択した場合、報告したい内容を選ぶ場面に移りますので、「検索結果から個人情報を削除したい」「コンテンツは削除されたが検索結果にはまだ表示されている」など、問題に合わせて報告内容を選択します。
このように、画面に従って適切なものを選んでいくことで手続きが進んでいきます。
自分が管理しているサイト以外のサイトで誹謗中傷や風評被害が行われていることがほとんどですが、誹謗中傷や風評被害による名誉毀損やプライバシーの侵害に対し、相手方には表現の自由があります。
そのため、その削除依頼が不正に行われていないか・不正に行われた場合不利益が生じる可能性があることを認識しているかという表示が出ることがありますので、この点についてはしっかりと確認しておきましょう。
手順3:グーグルが検索結果の削除に応じない場合は仮処分の申し立て
検索結果を削除してもらうよう依頼したにもかかわらず、グーグル側が削除に応じてくれないこともあります。
先ほども少し触れたとおり、サイトを作成したり書き込みをしたりしている人にも表現の自由が認められるためです。名誉毀損などは本当にその要件を満たしているのかの判断が難しく、安易に削除に応じてしまうのも危険ということで、削除リクエストをしたからといって必ずしも希望通りの対応をしてくれるとは限りません。
その時に有効な手段として、検索結果削除の仮処分申し立て、または検索結果削除請求訴訟が考えられます。一般的に仮処分は、その状態を放置することによる不利益が大きく、暫定的な対応が必要であると判断された時に認められるもので、早ければ数週間で仮処分命令が下されることもあることから、まずは仮処分の申し立てを行うのが妥当でしょう。
【注意】申し立ての債務者は米グーグル社
グーグルは世界規模の法人で、日本法人もあるものの、本社はアメリカのカリフォルニア州にあります。仮処分の申し立てはグーグルの日本法人ではなく米グーグル社に対して行わなければならないので注意してください。
海外の法人が仮処分や訴訟の相手方になる場合は、まず、「その国の法律に従って設立された会社である」ということを証明するための資格証明書を取得する必要があります。
Yahooの検索結果は削除しなくていいの?
日本国内で検索エンジンといえば、グーグルとヤフーが2大検索エンジンです。
そうすると、グーグルと合わせてヤフーに対しても対策をしなければならないのではないかと思えますが、今のところグーグルに対してなんらかの削除依頼をすれば、それがヤフーにも反映されますので、ヤフーに対して検索結果やキャッシュの削除請求を行う必要はありません。
実は2010年以降、グーグルの検索技術はヤフーに提供されているというのがその理由です。
ただ、ヤフーでも削除の手続きはできますので、徹底的に削除したい・グーグルでは削除できているのにヤフーにはまだ残っている、という場合にはヤフーに対して削除依頼をすることも可能です。
グーグルの検索結果削除は弁護士に相談を
ネット上で誹謗中傷が行われているとき、まず必要な対策としては、誹謗中傷や風評被害の原因となっている大元の書き込みを削除することでした。しかし、投稿そのものを削除したとしても閲覧できる状態にあったり、キーワードを検索したときに関連ワードとして表示されたりしてしまえば効果は半減です。
ですので、徹底的に誹謗中傷や風評被害のダメージをなくすためには、グーグル検索エンジンに対しても検索結果やキャッシュの削除リクエストを行う必要があります。この点、グーグルは専用のリクエストフォームを用意しており手続きは簡単ですが、必ずしも削除リクエストに応じてくれるとは限りません。もしも削除リクエストに応じない場合には、仮処分や訴訟といった法的措置に出る必要が出てきます。
仮処分や訴訟は法的知識や経験がなければ、自分で行うことは難しいものです。ましてやグーグルの場合は日本法人ではなく海外法人となるため、通常よりも手続きは煩雑です。当法律事務所では、このような誹謗中傷トラブルを多く扱っています。風評被害や誹謗中傷の問題を迅速に解決するためにも、まずは当弁護士事務所にお気軽にご相談ください。
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