- 復縁屋や別れさせ屋の工作ってなんか怪しい…詐欺や違法行為ではないの?
- 復縁屋(別れさせ屋)に依頼してお金を騙し取られた…返金請求するには?
このような疑問や悩みをお持ちではないでしょうか。
大好きなあの人ともう一度やり直したい…。
今の交際相手と別れて新しい人生のスタートを切りたい…。
そのような人の切実な悩みに漬け込んで多額の工作費用を騙し取る悪質・悪徳な復縁屋・別れさせ屋は少なからずあります。
そこでこの記事では、詐欺被害に強い弁護士が、
- 復縁屋・別れさせ屋は詐欺や違法になるのか
- 復縁屋・別れさせ屋の詐欺の手口
- 騙された場合の返金請求方法
などについてわかりやすく解説していきます。
既に被害に遭われた方で、記事を最後まで読んでも問題解決しない場合には弁護士までお気軽にご相談ください。
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目次
復縁屋・別れさせ屋とは
「復縁屋」とは、破局したカップルや夫婦を復縁させるためにさまざまな工作を仕掛けることを業務として受けている事業者のことを指します。
この復縁屋に業務を依頼したいと考えている人としては、交際していて別れてしまった恋人に未だに未練があり復縁したいと切望している人や、関係の終了や離婚を求められているパートナーとヨリを戻して関係を継続したいと望んでいる人などです。
逆に「別れさせ屋」とは、現在付き合っているカップルや夫婦を破局させるためにさまざまな工作を仕掛けることを業務として受けている事業者のことを指します。
この別れさせ屋に業務を依頼したいと考えている人としては、気になっている人物の現在交際している異性を別れさせたいと希望している人や、不倫している配偶者と不倫相手との交際を終わらせてほしいと望んでいる人などです。
上記のような二ーズがあることから、復縁させたり別れさせたりする工作が事業として成り立っているのです。このような業務については届出をした探偵事務所や調査会社が引き受けているというケースもあります。
以上のような「復縁屋」や「別れさせ屋」を利用した事案で多数のトラブルが発生しています。代表的なトラブルとしては以下のようなものがあります。
- 復縁・破局をお願いして料金を支払ったのに望むどおりの結果にならなかった
- 復縁・破局工作が発覚して依頼者と対象者が揉めることになった
- 復縁・破局工作をお願いして高額な費用を支払ったにもかかわらず何ら対応をしてくれた形跡がない
復縁屋・別れさせ屋の詐欺の手口
ここでは、復縁屋・別れさせ屋の詐欺の手口を事例形式で解説していきます。
やらずぼったくりで中途解約しても返金しない手口
この事例は、家を飛び出して愛人と同居している夫を家庭に戻ってこさせるために別れさせ工作を依頼した妻のケースです。妻が着手金を支払ったにもかかわらず別れさせ屋から一切進捗の報告がなく、工作を実施している様子が伺えないため中途解約を申し出ましたが業者は一切返金に応じませんでした。
このようなやらずぼったくりの手口は返金額の割合があらかじめ決まっている業者に多く見られる手口です。業者からしてみれば何ら業務をせずとも着手金がまるまる会社の利益とすることができますし、たとえ一部返金したとしても何も行動することなく利益を出すことができるためコスパが良い詐欺手口なのです。
虚偽の報告をする手口
この事例は、恋人と破局したものの未練があるために復縁屋に復縁を依頼した男性のケースです。元恋人との復縁を依頼して着手金として数十万円を支払いました。業者からは調査を開始すると言われて待っていましたが数週間経過しても連絡がなかったため、男性は進捗確認をしました。「相手の行動パターンを把握するための調査には時間がかかる」「彼女には新しい恋人がいるため、復縁工作には時間がかかる」などと説明されたことから辛抱強く待つことにしました。
しかし、依頼から数か月が経っても進展がないため依頼をキャンセルして返金を要望したところ、「既に調査を実施したので返金はできない」と伝えられ契約関係が終了しました。
事後的に対象者の女性には当時新しい恋人などいなかったことが分かったため、業者に虚偽の報告をされていたことが判明しました。
高額な相談料を請求する手口
この事例では、当時交際していた男性とうまくいっていなかった女性がインターネット上に広告を出していた「復縁屋」の無料相談を利用するために事務所に赴きました。女性は事務所の個室に通され担当者と面談が始まりました。序盤は親身に相談に乗ってくれていましたが、次第に「早く依頼を決めてくれなければ復縁は絶望的だ」と圧力をかけられもう少し検討したい旨を伝えたところ相手の態度が大きく変わりました。
強引に契約を結ばせようとした挙句、女性が帰ろうとしたところ相談料として10万円近い金額を請求されてしまいました。業者のホームページの目立たない箇所に「契約が成立した場合は相談料無料」という記載がされており、業者はその記載を盾に取って高額な相談料を請求してきたのです。
同様な手口で複数の無料相談に訪れた方が相談料として金銭を請求されていることが後から発覚しました。
復縁屋・別れさせ屋は詐欺?
「復縁屋・別れさせ屋に依頼したけど望む結果にならなかった!工作が相手にバレて大変な状況になっている!これは詐欺ではないのか!?」
弊所の弁護士に復縁屋・別れさせ屋への返金請求を依頼される方の多くが、「詐欺」被害に遭ったと主張されます。
しかし、工作によってご自身が望む結果を得られなかっただけでは法律的には詐欺にはなりません。では、どのようなケースで詐欺にあたるのか確認しましょう。
まず、法的な詐欺に該当する場合には、民法上の詐欺と刑法上の詐欺があります。
民法上の詐欺に当たる行為とは、欺罔(ぎもう)行為により他人を錯誤に陥れそれによって法的な意思表示をさせる行為をさします。詐欺による意思表示は取り消すことができます(民法第96条1項参照)。次に刑法上の詐欺に当たる行為とは、欺罔行為によって他人を錯誤に陥らせて財物や財産上の利益を交付させる行為をいいます。刑法上詐欺罪に該当する場合には「10年以下の懲役」に科されることになります(刑法第246条1項参照)。
復縁屋・別れさせ屋でいえば、例えば、工作の成功に関する虚偽の実績や情報に基づき相手に契約させた場合にはそのような契約は取り消すことができますし、料金を支払わせた場合には詐欺罪に問われる可能性があります。
また、前述の事例のように、端からやらずぼったくりをするつもりで依頼料金を受け取っていたような場合も詐欺にあたります。
(詐欺又は強迫)
第九十六条 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
(省略)
(詐欺)
第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
復縁屋・別れさせ屋は違法?
このようにお考えになる方もいるのではないでしょうか。
復縁屋や別れさせ屋の業務が違法、すなわち、法律に反しているかどうかについては、以下の2点が問題となります。
- ①公序良俗違反になるのか
- ②探偵業法違反になるのか
①公序良俗違反になる?
公序良俗違反とは、「公の秩序又は善良な風俗に反する法律行為」のことです。この公序良俗とは社会一般の道徳・倫理観念のことです。民法上、公序良俗違反の行為は無効と規定されています(民法第90条参照)。つまり、復縁屋・別れさせ屋との間の契約内容が公序良俗に違反していれば、契約に基づく料金を支払う義務はないことになります。
この点、「復縁屋」や「別れさせ屋」についてはそのような業務そのものが、公序良俗に違反しているという見解も存在しています。
一般社団法人日本調査業協会では、別れさせ屋に準じた事案は公序良俗に反するなどの理由から、受任や広告掲載しないよう自主規制を設け、協会正会員に対する指導などを実施してきました。また、「~~工作」を依頼しないよう消費者に対して注意喚起もしています。
もっとも協会のHP上でも、「~~工作」が公序良俗に違反する根拠が示されているわけではありません。後述しますが、別れさせ工作の公序良俗違反を否定した判例も存在します。復縁工作や別れさせ工作が公序良俗に違反するかどうかはあくまでもケースバイケースであることに注意が必要です。
②探偵業法違反になる?
復縁屋や別れさせ屋の多くが公安委員会に届出をした探偵業者です。工作活動に対象者の調査はつきものですが、探偵業を営む者は公安委員会に探偵業の届出をしなければならないと探偵業法に定められているからです(探偵業法第4条参照)。
しかし探偵業法第2条には「探偵業務」の定義について以下のように規定されています。
第二条 この法律において「探偵業務」とは、他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務をいう。
上記のような定義からは人間関係を破壊するような工作や復縁工作については探偵業務には該当しないといえるでしょう。
したがって、復縁屋や別れさせ屋の工作活動自体が探偵業法違反、すなわち、違法行為になることはありません。
もっとも、復縁屋や別れさせ屋が工作活動をする前提として、対象者の所在や行動について調査を実施することは当然あります。しかしその場合でも、復縁屋や別れさせ屋の実施した探偵業務が、対象者の人権やプライバシー権を侵害する場合に初めて探偵業法違反となり得ます(探偵業法第6条参照)。
(探偵業務の実施の原則)
第六条 探偵業者及び探偵業者の業務に従事する者(以下「探偵業者等」という。)は、探偵業務を行うに当たっては、この法律により他の法令において禁止又は制限されている行為を行うことができることとなるものではないことに留意するとともに、人の生活の平穏を害する等個人の権利利益を侵害することがないようにしなければならない。
復縁屋・別れさせ屋に関する裁判例
別れさせ工作が公序良俗に反しないとされた裁判例
この事例は、別れさせ工作委託契約が公序良俗に反しないとして、契約に基づく残報酬の請求が認められた事例です。
裁判所は、本件契約の目的達成のために想定されていた方法は、人倫に反し関係者らの人格や尊厳を傷付ける方法や、関係者の意思違反してでも接触を図るような方法であったとは認められないと判断しました。
この事例で実際に実行された行為も工作員女性が対象男性と食事をするという程度であったことから契約が公序良俗に反するとまではいえないと認定されました。
過去の判例では人倫に反する行為について婚姻秩序や性道徳に反する行為については無効であると判断しているものの、有効・無効の判断はケースバイケースです。「別れさせ工作」といっても内容はさまざまであるため個々の契約内容や契約締結過程に即して具体的に判断されることになります(大阪地方裁判所平成30年8月29日判決)。
実際、この判例の原審では、別れさせ工作の全てが公序良俗違反になるとは言えないものの、
としています。
復縁屋に対する返金が認められた裁判例
この事例は、原告が被告会社に合計12回の復縁工作の実施を委託し、原告が被告に対して業務委託契約に基づく報酬116万円を支払っていた事例です。
原告は本件契約が公序良俗違反により無効である点と委託業務の不履行をそれぞれ主張して支払った金銭の返還を請求しました。原告は、契約期間の3か月の間、被告が4回だけ対象者の親族が経営する飲食店に赴いて飲食しただけであって、これは契約に基づく債務の履行とは言えないと主張しました。
裁判所は、被告が復縁工作を円滑に進めず、原告の確認などに誠実に対応していなかったことを認定して原告の返金請求を認めました(東京地方裁判所平成30年6月27日判決)。
復縁屋・別れさせ屋から返金させるには
これまで見てきたように、復縁屋・別れさせ屋との契約内容や工作内容等が公序良俗に反する場合には契約の無効を主張して返金請求できます。
また、工作成功率〇〇%などと虚偽の実績で依頼者を錯誤に陥らせて契約を結んだり、端からやらずぼったくりで着手金を得る目的で契約を結んだようなケースでは、民法の詐欺取消を主張して返金請求できることもあります。
さらに、工作や調査業務に着手はしているものの、契約内容とはかけ離れた業務を行ったり、虚偽の報告をするなどの行為があった場合には、債務不履行に基づく損害賠償請求や契約の解除も可能です。
もっとも、悪徳業者である復縁屋・別れさせ屋が依頼者からの返金請求に素直に応じることはまずありません。一般の方が法律に明るくないことは業者もわかっていますし、訴訟を起こしてくることもないであろうと高を括っていますので、いくら返金請求したところで軽くあしらわれて有耶無耶にされることがほとんどです。
返金請求は弁護士に相談・依頼
そこで、復縁屋・別れさせ屋から返金がなされずにお困りの場合には、弁護士に相談してください。
弁護士に相談することで返金請求が可能な事案なのかの判断をしてもらえますし、業者に返金させるためにどのような証拠を集める必要があるのかアドバイスももらえます。
また、弁護士に返金請求の依頼をすることで業者から騙しとられたお金を回収できる可能性が高まります。法律の専門家である弁護士を言い包めて煙に巻くことができないことは業者も重々理解していますし、無視をすれば訴訟や詐欺で刑事告訴されるリスクもありますので、交渉のテーブルにつかざるを得ないのです。
弁護士による交渉でも解決できない場合には訴訟を提起することになりますが、弁護士であればその後の裁判手続対応や和解交渉についても引き続き対応をお願いすることができます。弁護士に一任することで裁判手続きや業者との交渉をする手間や精神的負担もなくすことができます。
弊所では、復縁屋・別れさせ屋との返金交渉を得意としており豊富な回収実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力でサポートしますので、お困りの方は弊所の弁護士までご相談ください。
復縁屋・別れさせ屋の被害に遭わないためには
弊所ではこれまで、復縁屋や別れさせ屋に被害に遭われた方から数多くの相談を受けてきましたが、真っ当な業者の存在を疑いたくなるほど、この業界には悪質な詐欺業者(詐欺まがいの業者も含む)が蔓延っています。
もちろん、法律事務所の特性上、被害者からのお話だけが入ってくるため、中には復縁や別れさせに成功するケースも存在するでしょう。
しかし、復縁工作について考えると、あなたが相手にとって魅力的でないことが別れの原因の一つであれば、仮に復縁に成功したとしても再びあなたの元を去るでしょう。怪しげな業者に依頼する多額のお金を自分磨きに回した方が遥かに有意義です。
別れさせ工作についても、例えば、恋人のDVや脅迫で別れられない人は、警察や弁護士を頼れば解決を図れます。
配偶者と不倫相手を別れさせたい人は、仮に破局させることに成功したとしても、浮気癖のある配偶者であれば次の不倫相手を見つけのにそう時間は要しないでしょう。配偶者と不倫相手に慰謝料を請求して離婚を選択することも検討すべきでしょう。
カップルを別れさせて空いた席に自分が座りたい人は、復縁のケースと同様に、逆に相手からアプローチされるくらいになるまで自分を磨きましょう。他人の恋人を略奪して得た幸せは長続きしないものです。
いずれにしても、復縁屋や別れさせ屋は違法・詐欺にあたることが多いため、大切なお金を失いたくないのであれば利用しないことが最も効果的な対策です。
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