在宅事件の流れと期間|起訴率・不起訴率と身柄事件との違い

「警察から呼び出しを受けたが、このまま放置して大丈夫なのだろうか」「いつ終わるのか、このまま起訴されてしまうのか」。在宅事件で捜査を受けている方は、こうした不安を抱えているのではないでしょうか。

在宅事件とは、逮捕・勾留といった身柄拘束を受けないまま、在宅で捜査が行われる刑事事件です。日常生活を送りながら手続に対応できる一方で、捜査の終了時期が見通せずに長期化したり、対応を誤って途中から逮捕されたりすることもあります。もっとも、在宅事件の多くは比較的軽微な事案であり、早い段階から適切に対応すれば不起訴を獲得できる可能性は十分にあります

この記事では、刑事事件の解決実績が豊富な弁護士が、次の点を解説します。

  • 在宅事件と身柄事件の違い
  • 在宅事件の流れと捜査期間の目安
  • 起訴率・不起訴率
  • 不起訴を獲得するための対応

なお、在宅事件についてお悩みの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談へお気軽にご相談ください。

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在宅事件とは?身柄事件との違い

在宅事件(ざいたくじけん)とは、逮捕・勾留によって身柄を拘束されていない事件のことをいいます。つまり、日常生活を送りながら、警察・検察・裁判所からの呼び出しに応じて取り調べを受けたり、裁判に出廷して刑事裁判を受けたりするのが在宅事件です。

捜査機関が被疑者を特定した場合でも、必ずしも逮捕されるわけではありません。逃亡したり証拠を隠滅したりするおそれがないと判断された場合には、身柄を拘束されずに在宅事件となります。逮捕・勾留されずに在宅で捜査を受ける被疑者は決して少数ではなく、刑事事件全体の6割程度を占めるとされています。

身柄事件との違いは時間的制約の有無

身柄事件(みがらじけん)とは、逮捕・勾留によって身柄を拘束された状態にある事件のことをいいます。逮捕・勾留されると留置場や拘置所などに収容され、日常生活を送ることができなくなります。留置場や拘置所で生活しながら、必要なときに限って警察署で取り調べを受けたり、検察・裁判所に護送されて取り調べや裁判を受けたりするのが身柄事件です。

在宅事件と身柄事件の最大の違いは、刑事手続に時間的制約があるかどうかです。時間的制約がないのが在宅事件、あるのが身柄事件です。

身柄事件では、逮捕から勾留請求までは最大72時間、さらに勾留期間は最大でも20日間と法律で決められています。検察官は、この期間内に起訴・不起訴を決めなければならず、期間内に判断できない場合は被疑者を釈放しなければなりません。

他方で、在宅事件にはこうした時間的制約はありません。いつ捜査を行うのか、いつ刑事処分をするのかは捜査機関の判断に委ねられており、事件が長期化する可能性があります。

こうした違いが生じるのは、身柄事件では身柄拘束という重大な権利制約を伴うため手続を迅速に進める必要がある一方、在宅事件ではその必要が乏しいからです。

在宅事件のメリット

在宅事件の最大のメリットは、日常生活を送りながら手続に対応できるという点です。

身柄事件と同様に「処分はどうなるのか」「どんな刑罰を科されるのか」といった不安はあるでしょう。しかし、身柄を拘束されていないため、普段どおり職場・学校へ行き、プライベートでもやりたいことができます。身柄事件に比べて肉体的・精神的な負担が軽くなることは間違いありません。

また、身柄事件では本人のみならず周囲(家族・職場・学校など)に与える影響も大きくなりがちです。他方で、在宅事件ではこうした影響も必要最小限に抑えやすくなります。

在宅事件の流れと期間

在宅事件の全体の流れ

在宅事件と一言でいっても、当初から在宅事件のものもあれば、当初は身柄事件だったものが釈放されて在宅事件となるものもあります。まず、どのような流れで在宅事件となり、その後どう進むのかを、以下の図(フローチャート)で確認しましょう。

在宅事件の流れ

当初から逮捕されず在宅事件になるケース(②→⑪)と、警察に逮捕されたものの検察官に身柄を送致される前に釈放されて在宅事件になるケース(④→⑪)のその後の流れは、次のとおりです。

  1. 警察からの呼び出しに応じて出頭し、取り調べを受ける
  2. 警察の捜査が終わると、捜査書類や証拠物を検察に送る(これを「書類送検」といいます)
  3. 検察官が証拠等を確認し、さらに捜査が必要と判断すれば、検察官も被疑者を呼び出して取り調べなどの追加捜査を行う
  4. 検察官が捜査を終えると、刑事処分(起訴または不起訴)を決定する
  5. 在宅起訴(在宅事件で起訴されること)された場合は、自宅から刑事裁判に出廷する

書類送検の詳細については「書類送検とは?前科はつく?逮捕との違いを弁護士が解説」で解説しています。

捜査期間はどのくらい?長期化することもある

在宅事件は、身柄事件のような捜査期間のルールが適用されません。そのため、捜査期間が長期化することがあります。

一般的な目安としては、比較的軽微で被疑者も容疑を認めている事件であれば、書類送検から起訴・不起訴の判断まで1〜2か月程度、全体でおおむね数か月で終わるケースが多いといえます。もっとも、事案が複雑な場合や証拠の収集・精査に時間がかかる場合には、起訴・不起訴の判断までに半年から1年以上を要することもあります

在宅事件となるのは、身柄事件と比べて軽微な事件であることが多いため、期間制限のある身柄事件が優先され、在宅事件の処理は後回しにされがちです。とはいえ、在宅事件だからといっていつまでも処理を放置できるわけではありません。

在宅事件にも公訴時効が存在する点は身柄事件と同様です。公訴時効とは、検察官が公訴を提起できる期間の制限のことをいいます。公訴時効期間が経過すると、検察官が公訴を提起しても、裁判所は判決で免訴(有罪・無罪の判断をせずに手続を打ち切ること)を言い渡すことになります(刑事訴訟法第337条4号)。公訴時効は「犯罪行為が終わった時」から計算され(同法第253条1項)、犯罪の重さによって期間が異なります。以下は、比較的在宅事件になりやすい犯罪の公訴時効の例です。

  • 公訴時効1年:軽犯罪法違反 など
  • 公訴時効3年:暴行罪、脅迫罪、名誉毀損罪、侮辱罪、器物損壊罪 など

在宅起訴された場合のその後の流れは「在宅起訴とは|在宅起訴になる条件は?【図で流れが分りやすい】」で解説しています。

在宅事件の呼び出しと取り調べで知っておきたいこと

在宅事件になると、捜査機関から呼び出しを受けて取り調べに協力することになります。ここでは、呼び出しの回数の目安、連絡がなかなか来ない場合に考えられる理由、取り調べで気をつけたい点を解説します。

警察・検察から呼び出される回数の目安

呼び出しの回数は事件の重さや複雑さによって変わるため一概にはいえませんが、軽微な事件で被疑者本人も容疑を認めている場合には、警察段階での取り調べは1〜2回程度にとどまることが多いといえます。

その後、検察官へ送致(書類送検)された段階で、検察官がさらに取り調べが必要と判断した場合には、検察庁に呼び出されて取り調べを受けることになります。検察段階での呼び出しは1回程度のことが多いものの、事案によっては複数回に及ぶこともあります。

なお、在宅事件では書類送検の時期そのものが本人に知らされないため、今どの段階にいるのかが分かりにくくなります。ひとつの目安として、警察の取り調べが一段落し、以後のやり取りの窓口が検察に変わったと感じられたら、捜査の中心が検察へ移り始めた段階だと考えられます。

捜査機関からの呼び出しは、被疑者本人の電話番号に電話する方法で行われるのが一般的です。仕事の都合などでどうしても出頭が難しい場合には、日程を調整してもらえる可能性がありますが、夜間や休日・祝日などには対応してもらえないのが通常です。

連絡が来ない3つの理由

在宅捜査では、捜査機関が捜査の必要に応じて被疑者に連絡し、出頭を求めます。しかし、ケースによっては数週間から1か月以上たっても連絡が来ないことがあります。連絡が来ない場合に考えられる主な理由は、次の3つです。

  • 事件の重要度が低く、処理が後回しになっている
  • 捜査に時間がかかり、方針が決まっていない
  • すでに不起訴となり、捜査が終わっている

被害金額が少額の万引きや軽度の暴行・傷害事件などは、強盗や特殊詐欺、殺人事件などと比べると悪質性や法益侵害が小さい事件と考えられます。捜査機関のマンパワーにも限りがあるため、同時期に重大事件や複数の身柄事件が重なると、在宅事件の処理判断が後回しになることがあります。

また、捜査が継続している場合にも連絡が遅れることがあります。検察官が被疑者を起訴するのは、犯罪を犯したと合理的な疑いを超えて確信できた場合であり、証拠の収集・精査に時間がかかると捜査が長引くことがあります。

そして、すでに捜査が終了し、不起訴の判断がされている場合もあります。後述のとおり、不起訴になっても通知が届くとは限らないため、本人が気づかないうちに事件が終わっている可能性もあります。

取り調べで不利な供述をしないための注意点

在宅事件だからといって、捜査の手が緩められるわけではありません。取り調べでは、次の点に注意する必要があります。

まず、起訴前の在宅事件では、原則として国選弁護人が選任されません。国選弁護人とは、資力が乏しいなどの理由で私選弁護人を選任できない場合に、国が費用を負担してつける弁護士のことです。起訴前の被疑者段階での弁護活動が不起訴獲得のカギを握るため、在宅事件となった場合は、できるだけ早く私選弁護人に相談しておくことが重要です。

また、当初から在宅事件の場合は、身柄事件に切り替わる可能性が残されています。切り替わりやすいのは、正当な理由なく不出頭を繰り返した場合です。再三の呼び出しに正当な理由なく応じないと、逃亡のおそれを疑われ、逮捕(身柄事件への切り替わり)につながることがあります。なお、一度逮捕・勾留されて釈放され在宅事件になったケースでは、原則として再び身柄事件に切り替えることはできないとされています(再逮捕・再勾留禁止の原則)。

在宅事件の起訴率・不起訴率

在宅事件で最も気になるのは、「起訴されるのか、不起訴になるのか」という点でしょう。ここでは、起訴率・不起訴率の目安と、不起訴になった場合の連絡の有無・時期について解説します。

不起訴とは、検察官が被疑者を刑事裁判にかけない決定をすることです。不起訴処分となれば、その後に身柄拘束される心配もなくなり、前科もつかないため、実質的には無罪と同様の効果が得られます。前科がつくことによる具体的なデメリットについては「前科とは?前歴との違いや前科がつく5つのデメリット」で詳しく解説しています。

在宅事件の起訴率(不起訴率)はどのくらい?

日本では、起訴された場合に被告人が有罪と認定される確率は99.9%以上とされています。もっとも、捜査された事件のうち、実際に起訴されるのは一部にとどまります。

令和7年版犯罪白書によると、令和6年における検察庁終局処理人員総数の起訴率は32.6%でした。裏を返せば、およそ3分の2は不起訴で終わっている計算になります。

不起訴の理由としては、起訴猶予(証拠上は犯罪の成立が明白でも、刑事裁判にかける必要がないと検察官が判断して不起訴にすること)が最も多く、次いで嫌疑不十分(犯罪の疑いを裏付ける証拠が十分でないこと)を理由とする不起訴が多くなっています。起訴猶予の詳細については「起訴猶予とは?前科はつく?不起訴・起訴との違いを解説」で解説しています。

在宅事件は一般的に軽微な事件であることが多いため、重大事件に比べると起訴猶予により不起訴となる可能性が高い傾向にあります。つまり、在宅事件の不起訴率は、上記の全体の数値よりも高くなると考えられます

不起訴になったら連絡は来る?

在宅事件で不起訴になった場合、必ずしも不起訴の連絡が来るとは限りません

法律上、「検察官は、事件につき公訴を提起しない処分をした場合において、被疑者の請求があるときは、速やかにその旨をこれに告げなければならない」と規定されているからです(刑事訴訟法第259条)。つまり、被疑者の請求があってはじめて不起訴処分告知書が交付される仕組みになっており、請求しなければ通知が届かないことがあります。

不起訴処分告知書は、不起訴が確定した後でなければ請求できないため、検察官からの連絡手段として利用できるものではありません。

不起訴になったことはいつわかる?

不起訴になったことがわかる時期は、身柄事件と在宅事件とで大きく異なります。

身柄事件の場合は、前述のとおり厳格な身柄拘束の期間が法律で定められており、勾留から最長20日間のうちに起訴・不起訴が判断されます。不起訴になれば身柄拘束を続ける必要がなくなり釈放されるため、被疑者は明確に不起訴になったことを知ることができます。

これに対して、在宅事件の場合は、自分が不起訴になったのかどうかがわからないというケースがあります。連絡が来ない場合、不起訴で終結している可能性もあれば、依然として捜査が続いている可能性もあるからです。起訴された場合は在宅の被告人のもとに起訴状が送達されるのに対し、不起訴の場合は必ずしも通知が届くとは限らない点に注意が必要です。

なお、在宅起訴された場合には、正式裁判となる公判請求のほか、書面審理で罰金・科料が言い渡される略式手続(略式起訴)となることもあります。略式手続で罰金が確定した場合でも有罪であり、前科がつく点は同じです。

関連記事:不起訴とは|無罪との違いと不起訴になる理由・前科前歴の有無

在宅事件で不起訴を目指すための対応

在宅事件で不起訴を目指すには、早い段階から適切な対応を取ることが重要です。ここでは、代表的な3つの対応を解説します。

できるだけ早く弁護士に相談する

前述のとおり、日本では起訴されると99.9%以上の割合で有罪判決となります。在宅起訴されて罰金刑で済んだ場合でも、有罪である以上は前科がついてしまいます。そのため、逮捕されずに在宅事件となった場合でも、まずは弁護士に相談し、取り調べで不利な供述をさせられないための助言を受けるようにしましょう。

弁護士に依頼すれば、警察や検察からの呼び出しに同行してもらい、取り調べ中も取調室の外で待機してもらえます。取り調べで不安を感じた場合や、黙秘すべきかどうか判断がつかない場合には、取調室から退出して弁護士に相談することも可能です。

捜査に誠実に協力する

在宅事件で不起訴を目指すうえでは、捜査に協力する姿勢を見せることも大切です。身に覚えのある犯罪であれば、事実を認めて取り調べに誠実に応じることで、反省の姿勢が評価され、不起訴につながる可能性が高まることもあります。

もっとも、捜査に協力することは、捜査機関に迎合することとは異なります。取り調べの場で、自分がやってもいないことや思ってもいなかったことを、警察官に言われるがままに認めてはいけません。いったん調書に残された自白を、起訴後に覆すのは非常に困難だからです。取り調べが威圧的で不利益を被りそうだと不安な場合には、ためらわず弁護士に相談しましょう。

被害者と示談を成立させる

被害者がいる事件の場合は、被害者と示談を成立させることで、不起訴となる可能性が高まります。示談が成立すれば、被害者が告訴や被害届を取り下げたり、すでに十分な被害回復がされたと判断されたりして、刑罰までは必要ないと評価されることがあるためです。

もっとも、犯罪被害者は加害者に嫌悪感や恐怖感を抱いていることが多く、加害者本人が示談交渉にあたろうとすると拒否されがちです。また、被害者と面識がなく連絡先がわからない場合、捜査機関が被害者の個人情報を加害者に伝えることはありません。他方で、弁護士になら連絡先を伝えて交渉に応じてもよいという被害者は少なくありません。示談交渉をスムーズに進めたい場合は、弁護士に依頼することをおすすめします。示談の流れや示談金の相場については「刑事事件で示談するメリットは?示談金相場と流れを徹底解説」をご参照ください。

よくある質問

「警察用語で在宅」とはどういう意味ですか?

「在宅」「身柄」という言葉は、法律の条文に定められた用語ではなく、警察・検察などの実務で使われる呼び方です。「在宅」は被疑者を逮捕・勾留せずに捜査すること、「身柄」は逮捕・勾留して身体を拘束したうえで捜査することを指します。したがって「在宅事件」とは、身柄を拘束されずに捜査・処分が進められる事件のことを意味します。

在宅事件で実刑になる確率はどのくらいですか?

在宅事件の多くは比較的軽微な事案であり、そもそも不起訴となるか、起訴されても罰金や執行猶予付き判決で終わることが多い傾向にあります。そのため、在宅事件から実刑(刑務所に収容される判決)に至るケースは、身柄事件に比べると多くありません。もっとも、前科・前歴や事案の内容によっては実刑となる可能性もあるため、「在宅だから必ず実刑を回避できる」というわけではない点に注意が必要です。見通しは事案ごとに異なるため、不安がある場合は弁護士に確認することをおすすめします。

在宅事件でお悩みの方は弁護士にご相談ください

在宅事件は、日常生活を送りながら捜査を受けられる一方で、処分の見通しが立たないまま長期化したり、対応を誤って身柄事件に切り替わったりするリスクもあります。不起訴を獲得するためには、被疑者の段階から適切に対応することが何よりも重要です

弁護士に依頼すれば、警察や検察の取り調べに同行し、不利な供述をしないための助言を受けられます。被害者がいる事件でも、弁護士が間に入ることで示談交渉を進めやすくなり、不起訴の可能性を高められます。

「警察から呼び出しの連絡が来ている」「連絡が来ないまま何か月も不安が続いている」。このような状況では、一人で抱え込むほど精神的な負担は大きくなります。処分の見通しや今後の対応に迷ったら、早めに弁護士へご相談ください。

当事務所は、在宅事件での不起訴獲得を数多く手がけてきた実績があります。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

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