
「触れてもいないのに犯人扱いされている」「相手も受け入れていたのに、あとで警察に訴えられた」と、不同意わいせつで思いもよらない疑いをかけられ、このまま冤罪で有罪になってしまうのかと不安を抱えていませんか。
冤罪を晴らすうえで最も大切なのは、罪を認めず、起訴される前に不起訴(裁判にかけられずに事件が終わること)を勝ち取ることです。いったん起訴されると、裁判で無罪になる人はごくわずかだからです。
この記事では、性犯罪の弁護に強い弁護士が、次の点について解説します。
- 不同意わいせつで冤罪が起きやすいケース
- 被害者の証言だけで起訴されるのか
- 冤罪を疑われたときにすべきこと
- 冤罪を晴らすために弁護士ができること
お読みいただくと、取調べでどう振る舞い、どの証拠を残すべきかを判断できます。
なお、冤罪でお困りの方は、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談へお早めにご連絡ください。地域を問わずご相談を承っており、早期対応が結果を左右します。
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不同意わいせつで冤罪が起きやすいケース
不同意わいせつ罪(刑法176条)は、暴行・脅迫、アルコールの影響、睡眠、立場による影響力など8つの類型やこれらに類する行為・事由によって、相手を「同意しない意思」の形成・表明・全うが難しい状態にさせ、またはその状態に乗じてわいせつな行為をした場合に成立します。法定刑は6月以上10年以下の拘禁刑です。
わいせつな行為ではないと誤信させたり人違いをさせたり、それらの誤信や人違いに乗じたりしてわいせつな行為をした場合(同条2項)や、16歳未満の者にわいせつな行為をした場合(同条3項)も処罰されます。
2023年7月13日施行の改正で、同意しない意思を示しにくい状態だったかが広く問われるようになり、同意の認識のずれが冤罪の疑いを生むこともあります。なお、2023年7月12日以前の行為には、改正前の強制わいせつ罪や準強制わいせつ罪が適用されます(改正法附則2条1項)。
罪の要件や旧強制わいせつ罪との違いは、「不同意わいせつ罪とは?旧強制わいせつ罪との違いをわかりやすく解説」をご覧ください。
身に覚えがないのに犯人とされたケース
被害者と面識がない、体に触れたことがない、犯行とされる日時に現場にいなかったのに、不同意わいせつの犯人とされているケースです。
被害者や目撃者の見間違いや思い込みで、犯人とされる冤罪が起こりえます。金銭目的で被害を偽って申告される、美人局のようなケースもあります。
電車内などで見間違いから痴漢を疑われた場合の対応は「痴漢冤罪の4つの対処法と5つのNG行動|逃げるのが厳禁な理由」で解説しています。
同意があった・あると思っていたケース
相手が実際に同意していれば罪は成立しません。問題になりやすいのは、相手が同意しない意思を形成・表明・全うすることが難しい状態にあったのに、こちらは同意があると受け取っていた場合です。たとえば、酒に酔った相手や、断ると職場で不利益を受けると心配した部下との間で起こりえます。
不同意わいせつ罪では、罪を犯す意思(故意、刑法38条1項)として、相手が同意しない意思の形成・表明・全うが難しい状態にあると認識していたことも必要です。相手の言動などから、そうした状態にあるとは思わなかったことに合理的な説明ができる場合は、故意を欠くとして無罪となることがあります。
性交を伴う場合に同意があったと合理的に示す方法は、「不同意性交罪は証拠がなくても逮捕される?同意の証明と対処法」で紹介しています。
相手が16歳未満だと知らなかったケース
16歳未満の者へのわいせつな行為は、同意の有無にかかわらず処罰されます(刑法176条3項)。相手が13歳から15歳のときは、相手より5歳以上年上の者の行為に限られます。
もっとも、同項で罪が成立するには、相手が16歳未満だと認識していた(16歳未満かもしれないと思っていた場合を含む)ことが必要です。認識の有無は相手の外見や会話などの事情も踏まえて判断され、知らなかったと認められるときは、故意を欠くとして無罪となることがあります。
年齢を知らなかった場合でも、1項の8つの類型やこれらに類する事情、2項にあたる事情があれば、不同意わいせつ罪に問われることはあります。
被害者の証言だけで起訴される?不起訴・無罪の見通し
不同意わいせつ事件では、当事者の供述のほかに証拠がないケースも少なくありません。検察官は、有罪を立証できると判断すれば、被害者の証言を中心に起訴することもあります。
起訴されると無罪になるのはごくわずか
刑事裁判では、犯罪の証明がないときは無罪を言い渡さなければなりません(刑事訴訟法336条)。とはいえ、不同意わいせつを含むわいせつ事件の無罪はごくわずかです。
司法統計年報(令和7年)によると、地方裁判所の通常第一審で「わいせつ、不同意性交等及び重婚の罪」(公然わいせつなども含む区分)の裁判を終えた2,259人のうち、無罪は10人(約0.4%)でした。
冤罪なら嫌疑不十分による不起訴を目指す
冤罪の場合に目指すのは、犯人でないことが明らかな「嫌疑なし」や、犯罪を認定する証拠が足りない「嫌疑不十分(証拠不十分)」による不起訴です。罪を犯したことを前提に起訴を見送る「起訴猶予」とは異なります。
どの理由でも、不起訴になれば刑罰は受けず、前科もつきません。また、罪を犯さなかったと認めるに足りる十分な事由があるとして不起訴になれば、身柄拘束の期間について被疑者補償規程による補償を受けられることがあります。
逮捕・勾留(逮捕に続く身柄拘束)された場合、検察官は逮捕から最長23日のうちに、起訴するか釈放するかを決めなければなりません(刑事訴訟法205条・208条)。
不起訴を得る進め方は、「不同意わいせつ(旧強制わいせつ)で不起訴を獲得するには?」をご参照ください。
改正前の強制わいせつ罪で無罪となった裁判例
現在の不同意わいせつにあたる行為で冤罪が争われ、無罪となった裁判例を、当時の罪名のまま紹介します。
他の者が犯人である可能性を排斥できないとして無罪
この事案は、被告人Xが満員電車で乗客A(当時17歳)の下着内に手を入れ臀部や肛門を触り、乳房を着衣の上から揉んだという、強制わいせつ罪の容疑で起訴された事案です。
この事例では被害少女Aの供述の信用性に疑義があると判断されました。
- 公判供述内でも質問者ごとに供述を変遷させていた
- 自分に気に入らない質問を受けたときには「気分が悪い」と言い出したり、証言台に突っ伏し不快な感情をあらわにするなど、やや無責任かつ投げやりな供述態度であった
- 犯人として面識のないXを駅員に突き出したことから自分の判断を正当化するために、曖昧な記憶があたかも明確な記憶に基づくかのような供述をしていった可能性があった
- Aは、被害になっている際に明確に犯人の特徴を知覚できておらず、被害直後から特に犯人の特徴に関しては、明確な記憶がなかった
- 痴漢されているときにAが見たというXが着用していたコートについて捜査官の誘導や暗示などの影響もあって、見ていないものを見たもののように供述した可能性がある
以上のような事情を考慮して、Aの供述により、被告人Xが本件強制わいせつの犯人であることの蓋然性があることは認定できるが、X以外の者が犯人である可能性を排斥することができないためXを犯人であるとは認められないとして無罪が言い渡されています(大阪地方裁判所平成12年10月19日判決)。
被害者の目撃供述の信用性を欠くとして無罪
この事例は、路上でA(当時23歳)に対し背後から着用していたワンピースの裾をまくり上げ、手を下着の中に入れて陰部を触るなどして逃走したという、強制わいせつの疑いで被告人Xが起訴された事例です。
この事例では犯人とXとの同一性について、Aの供述をもとにXが犯人と断定するには合理的な疑いが残ると判断されました。
- Aの視力は左右0.6で乱視もありその時間も約1秒くらいで、路上にいた犯人の容貌を詳細に認識できたとはいえない
- Aは犯人を「やせ型」・「配達人風」と供述していたが、Xは身長175㎝、体重74㎏でがっちり型・茶髪・口ひげとあごひげの美容室勤務であったため一致しない
- Aは一貫して犯人はピンク色の長袖シャツを着用していたと供述してるが、X宅から同様の衣服は発見されておらず、処分した形跡もない
以上のような点を考慮して裁判所は、被告人Xが犯人であると認定するにはAの供述の信用性に疑問があるとして、Xに無罪が言い渡されました(東京高等裁判所平成12年8月2日判決)。
最高裁が被害者の供述の信用性に疑いが残るとして無罪
電車内で、女子高生のパンティの中に左手を差し入れ、その陰部を触るなどして強制わいせつ罪に問われた事案。第一審、第二審では被告人に有罪判決が言い渡されたものの、最高裁は「犯罪事実を証明する証拠である被害女性の供述の信用性にはなお疑いが残る」と判断して無罪判決を言い渡しています。なお、本件事案では、被害女性の供述のほか、犯罪事実を証明しうる証拠はありませんでした(最高裁判決平成21年4月14日)。
故意の証明が不十分だとして無罪
電車内で、隣に座っていた被害女性に無理やりキスしたなどとして強制わいせつ罪に問われた事案。裁判では被告人に強制わいせつ罪の故意があるかどうかが争点となったところ、裁判官は、「被害女性は隣に座った被告人に名前や勤務先を教えている」、「被害女性から私的な情報を教えてもらった被告人が被害女性から好意を抱かれていると誤信した可能性がある」と判断し、強制わいせつ罪の故意が証明できていないとして被告人に無罪を言い渡しています(名古屋地裁判決平成29年9月5日)
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不同意わいせつの冤罪を疑われたときにすべきこと
不同意わいせつの冤罪では、罪を認めず、取調べで認められた権利を使い、同意や不在を裏付ける証拠を残すことが大切です。
その場で周囲から疑われたら、現場から逃げず、氏名や連絡先を正直に明らかにし、警察の呼び出しにも応じましょう。逃げると逮捕のリスクが高まり、裁判でも「やましいから逃げた」とみられかねません。
絶対に罪を認めない・謝罪しない
冤罪であれば、絶対に罪を認めないことが大切です。当初から一貫して否認していれば、その言い分は信用されやすくなります。一方、一度罪を認めると、あとで否認しても受け入れられにくくなります。
罪を認めた内容は供述調書(供述を記録した書面)にまとめられ、裁判で証拠として使われることがあります。
また、被害者に謝罪してはいけません。謝罪の言葉や謝罪文は、罪を認めたと受け取られるおそれがあるからです。示談の扱いは後述します。
取調べでは黙秘権と署名押印拒否権を使う
取調べでは、自分の意思に反して話す必要はなく、取調べの前にその旨が告げられます(刑事訴訟法198条2項)。話さなくてよい権利を黙秘権(供述拒否権)といい、使ってかまいません。否認するか黙秘するか迷うときは、話す前に弁護士の助言を受けましょう。
供述調書に誤りがあれば訂正を申し立てることができ、申し立てた内容は調書に記載されます(同条4項)。また、調書への署名押印は拒めます(同条5項ただし書)。言い分と異なる調書に署名押印すると、後から不同意わいせつの冤罪を争うのは難しくなることがあります。
同意や不在を裏付ける証拠を残す
冤罪を晴らすには、「やっていない」という主張を裏付ける客観的な証拠が重要です。同意があったと主張するなら、会う前後に相手と交わしたLINEやSNSのメッセージ、通話履歴が、二人の関係や当日の経緯を示す材料になりえます。店やホテルの防犯カメラ映像、予約記録も考えられます。
身に覚えがない場合は、犯行とされる日時に別の場所にいたことを示す資料を集めます。スマートフォンの位置情報、交通系ICカードの履歴、レシートやカードの利用明細などです。
防犯カメラの映像は上書きされることがあるため、早めの対応が必要です。手元のメッセージは削除せず保存してください。一方、相手に直接連絡して被害申告の取り下げを求めることは、証拠隠滅を疑われかねないため避けてください。
否認したまま示談するかは弁護士と決める
冤罪を主張していても、相手との示談(話し合いによる解決)を検討する場面はあります。起訴前に示談が成立すれば、不起訴につながる可能性があるためです。もっとも、示談による不起訴は、罪を犯したことを前提に起訴を見送る処分となりえ、嫌疑不十分とは異なります。示談に応じること自体も、罪を認めたと受け取られかねません。
まったくの人違いなら示談に応じる理由はなく、不起訴を目指して争うのが基本です。同意の有無が争いになっている場合は、否認を続けたときの見通しや身柄拘束の負担も踏まえ、示談を選ぶ余地があります。その場合は、弁護士が示談書の文言を工夫し、罪を認めた内容にならないようにします。示談するかは弁護士と相談して決めてください。
示談金の相場や進め方は、「不同意わいせつ(旧強制わいせつ)の示談金相場や示談の進め方」をご確認ください。
冤罪を晴らすために弁護士ができること
弁護士は、逮捕の前後を問わず、不同意わいせつの冤罪を晴らすために次のような活動をします。
接見を重ねて取調べへの対応を助言する
身柄を拘束されている場合、弁護士は立会人なしの接見(面会)を重ね(刑事訴訟法39条1項)、依頼者の冤罪の訴えを聞きながら取調べへの対応を助言します。拘束されていない場合は面談を重ねます。
本人が逮捕中で動けないときも、配偶者、親などの直系の親族、兄弟姉妹は独立して弁護人を選べるため、家族から依頼できます(刑事訴訟法30条2項)。
違法・不当な取調べに異議を申し入れる
不同意わいせつ事件で逮捕されると、連日取調べが続くことがあります。冤罪を訴えて否認や黙秘を続けると追及が厳しくなることがあり、違法・不当な取調べに及ぶおそれもあります。そうした取調べが疑われる場合、弁護士は捜査機関に異議を申し入れ、やめるよう求めます。
証拠を集めて不起訴を働きかける
弁護士は、冤罪を訴える依頼者の言い分を裏付ける証拠を集め、被害者の供述と食い違う点を整理します。そのうえで、検察官に意見書を提出するなどして、有罪を立証する証拠が足りないことを示し、嫌疑不十分による不起訴を求めます。
起訴された場合は裁判で無罪を争う
起訴され、身柄拘束が続くときは保釈を請求します。裁判では被害者への反対尋問(弁護側からの質問)を行い、証言の信用性に疑いがあることを示して冤罪を訴えます。捜査段階の自白調書が証拠として請求された場合は、任意にされたものでない疑いを示して、証拠から外すよう争います(刑事訴訟法319条1項)。
不同意わいせつで冤罪を疑われたら早めに弁護士へ相談を
不同意わいせつの冤罪を晴らすには、起訴される前の対応が何より大切です。罪を認めず、取調べでの権利を正しく使い、同意や不在を裏付ける証拠を早めに確保することで、不起訴の可能性を高められます。
やっていないのに疑われる苦しさは大きく、一人で抱え込むと、追及に耐えきれず罪を認めてしまうことにもなりかねません。警察から連絡が来た場合や、ご家族が逮捕された場合は、すぐにご相談ください。
当事務所では、不同意わいせつ(旧強制わいせつ)の冤罪事件の解決実績があります。弁護士が迅速に動き、依頼者の不利益を最小限に抑えるために全力を尽くします。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

