
未公開株を「今買っておけば高く売れますよ」「絶対にもうけが出ます」などといって勧誘してきたり、利回りのよい不動産が海外にあるので投資物件としてどうですかと執拗に勧められたりといった被害が増えています。投資詐欺被害は年々増え続けており、実質的な被害総額は5億円を超えるともいわれています。投資詐欺のターゲットは女性や高齢者など、広範囲に及んでいます。
そして実際に被害にあったとき、相談として皆さんが思い浮かべるのは「警察」でしょう。警察では「(局番なしの)#9110」といった警察相談専用電話を設け、あらゆる犯罪被害を気軽に相談できる窓口を設置しています。また、最寄の警察署に出向いて相談することもできます。
しかし、投資詐欺の相談は一般的な詐欺と違い、株式や金融関連の高度な知識を持った者でないと被害状況を正確に把握することはできないでしょう。警察はこの点においては専門家ではないため、相談に行っても被害内容を理解してもらえず徒労に終わることも少なくありません。
また、警察は逮捕することが業務であってお金を取り返してくれるものでもありません。そこで弁護士による被害金の回収が最も効果的ですが、法律家に回収を依頼する前に、まずは投資・金融関連の専門家に自分が詐欺の被害にあったのか確認してみたいと考える方もいることでしょう。
そこでここでは、投資詐欺の返金に詳しい弁護士が、専門の相談窓口をいくつか紹介します。
- 競馬やオートレースなどの予想情報、八百長情報を高額で提供している
- 社債や未公開株、私募債やファンドに投資すれば儲かるといわれた
- CO2排出権取引をすれば儲かるといわれた
- 株式の名義変更をするために手数料がかかるといって手数料を払わされた
- パチスロ機を購入し、レンタルして投資するという詐欺被害に遭った
- ワンルームマンションや海外不動産などの不動産投資を執拗に勧められた
- 海外業者とのバイナリーオプション詐欺被害に遭った
こちらは愛知県警察が公開している「投資詐欺」のチェックリストです。「はい」「いいえ」で答えられるようになっていますので、投資詐欺に遭っているか不安な方はぜひ一度チェックしてみてください。
詐欺被害に強い弁護士に無料相談
目次
1.金融庁 金融サービス利用者相談室
仮想通貨や証券取引、融資など、投資全般に関して何らかのトラブルに遭ってしまったときに相談に乗ってくれるのが、金融庁の「金融サービス利用者相談室」です。
投資詐欺というのは巧妙で、投機的な性質を持っているため、正常な投資商品に投資したとしても必ず利益が出るわけではありません。そのため、自分が投資詐欺の被害に遭っているのかどうか判断がつきにくいこともあるのです。
金融サービス利用者相談室では、そういった「これが投資詐欺の被害かどうかわからないけど、違和感がある」「不安に感じる」という漠然とした相談にも対応してくれ、論点を整理してくれたり、必要に応じて他機関を紹介してくれたりという対応をしてくれます。
ただ、すでに投資詐欺被害に遭っていることが明確で業者とトラブルになっていて、間に入って業者からお金を取り戻してほしい、自分の代わりに交渉してほしい、といった要望には応じてはもらえませんので、その場合は他の相談窓口を利用するようにしてください。
電話番号 | 0570-016811(IP電話からは03-5251-6811) |
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受付時間 | 金融サービス利用者相談室では24時間電話での相談を受け付けていますが、電話での相談が難しいときには問い合わせフォームから相談を申し込むこともできます。その場合は、基本的に平日の10時から17時の間に電話で回答してくれます。 |
2.金融庁 事前相談(予防的なガイド)
まだ実際に投資を始めているわけではないが、投資詐欺の被害に遭わないようにどんなことに注意すればいいのか、投資商品の契約では一般的にどんなことに気をつければいいのかといった、投資詐欺に遭わないための予防的な相談をしたいときには、金融庁の事前相談というサービスを利用することができます。
基本的に、金融庁や、全国銀行協会、日本証券業協会といった、投資に関連している公的ホームページの情報をベースに、相談員が質問事項に対して説明をしてくれます。
事前相談(予防的なガイド)はあくまでも一般的な情報の説明にとどまるため、個別具体的な相談に対しては対応してくれません。具体的なトラブルについての相談は他の相談窓口を利用しましょう。
電話番号 | 0570-016812 ※IP電話からは03-5251-6812 |
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受付時間 | 平日10時00分~17時00分 |
3.日本証券業協会 被害防止コールセンター
社債の勧誘をしたいから名義を貸してくれといってその名義で違法行為を行う「名義貸し詐欺」や、すでに投資詐欺被害に遭った被害者を騙す「被害回復型詐欺」など、投資詐欺にはさまざまな形態の詐欺があります。
こういった詐欺まがいの勧誘を受けたときに相談できる窓口が、日本証券業協会の被害防止コールセンターです。日本証券業協会は日本全国の証券会社や金融機関が会員となっている社団法人で、投資する人が安全に投資を行えるよう、自主規制業務や投資に関する啓発活動などを行っている組織です。
平成30年4月からの1年間で日本証券業協会被害防止コールセンターに寄せられた相談件数は271件。被害総額は1億7000万円以上に上っています。多くの人から相談窓口として利用されているということがわかります。
特に特筆しておきたいのが「日本証券業協会」の職員を名乗るものからの投資商品の勧誘という投資詐欺が行われていることです。もちろん日本証券業協会の職員が投資勧誘をすることはありませんから、もしもそういった投資勧誘を受けたときには、絶対に応じてはいけません。
被害防止コールセンターでは、金融庁の金融サービス利用者相談室と同じく相談に対して論点を整理したり、必要に応じて他機関を紹介したりという対応をしてくれます。また、相談内容については警察に情報も情報提供されるため、投資詐欺被害が複数に上る場合には警察が被害の実態を把握しやすいようになっています。
被害防止コールセンターでも、現実に起きているトラブルについて仲介に入ったり、調停などを行うことはしていませんので注意してください。
電話番号 | 0120-344-999 |
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受付時間 | 平日9-11:30、12:30-17:00 |
4.証券・金融商品あっせん相談センター(FINMAC)
投資運用を業としておこなうときには、国に申請して金融商品取引業の登録を受けなければなりません。しかし、無登録で金融商品取引業を行って高齢者などに執拗な勧誘をするという悪質な業者も多くあります。
こういった悪質な業者の勧誘に応じてしまい、投資詐欺の被害に遭うというケースが多発しているのですが、登録を受けている業者だからといって完全に信用できるとは限りません。
金融商品取引業の登録を受けている業者とトラブルになってしまったときに相談窓口として役立つのが「証券・金融商品あっせん相談センター(FINMAC)」です。
これまでにご紹介した金融サービス利用者相談室などでは、個別のトラブルについて論点の整理や他機関の紹介はしてくれても、業者との間に入って仲介をしてくれたりはしませんでした。
しかし、FINMACでは間に入って相手方事業者と話をしてくれます。それでも解決ができない場合には、あっせんや訴訟という手段を使ってトラブルを解決に導いてくれます。
「あっせん」という解決方法は、あまりなじみがないかもしれません。あっせんとは、トラブルの当事者の間にあっせん委員という第三者が入って、話し合いによってトラブルを解決しようという方法です。
あっせんは裁判のように第三者が解決方法を決めるわけではないため、話し合いが決裂してしまうこともありますが、裁判に比べると比較的手続きも簡単で解決までの時間も早いというメリットがあります。
なお、FINMACへの相談に関しては無料ですが、あっせんや訴訟を申し立てるときには申立金などの費用がかかりますので、この点は注意してください。
また、FINMACが対応している事業者は、日本証券業協会の協会員・一般社団法人 投資信託協会の正会員・ 一般社団法人 日本投資顧問業協会の会員・一般社団法人 金融先物取引業協会の会員・一般社団法人 第二種金融商品取引業協会の正会員に限定されています。
無登録の業者とのトラブルについては対応していませんのでこちらも注意が必要です。
電話番号 | 0120-64-5005 |
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メールフォーム | FINMACのサイトに相談フォームがあります |
受付時間 | 月~金曜日 午前9時~午後17時 ※祝日(振替休日を含む)および年末年始(12月31日~1月3日)を除く |
5.全国銀行協会相談室・銀行とりひき相談所
「絶対に利益が出る」などと言って未公開株などの投資商品を勧められ、言われるがままに銀行にお金を振り込んでしまった。このように、投資詐欺被害に遭って銀行にお金を振り込んでしまったときには、「振り込め詐欺救済法」の適用によってだまし取られたお金が戻ってくることがあります。
流れとしては、被害に遭ってすぐに警察や銀行(振り込んだ先の銀行)に連絡することによって銀行がその口座を凍結します。そして凍結した口座に残っている残高に応じて騙されたお金が返ってくるという仕組みです。
投資詐欺被害に遭ってしまったら、全国銀行協会が運営している「全国銀行協会相談室」や、各地の銀行協会が運営する「銀行とりひき相談所」に相談しましょう。
電話番号 | 全国銀行協会相談室:0570-017109(ナビダイヤル) または03-5252-3772 |
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受付時間 | 平日9:00~17:00 |
6.全国一斉投資被害110番
全国の弁護士会では、証券取引や未公開株、社債などの幅広い投資詐欺被害に関して毎年2月に「全国一斉投資被害110番」として、電話での無料相談を実施しています。
日程は都道府県によってことなりますが、無料かつ電話で弁護士に相談ができるということで、利用者も多い相談先です。年に1回という頻度ではありますが、こういった連絡先があるということは頭にとどめておいて損はありません。
電話番号 | 弁護士会によって異なります。その日のみ繋がる番号が設定されていることもあるので、地域の弁護士会に問い合わせるなどして確認してください。 |
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受付時間 | 10:00〜16:00など、弁護士会によって異なります。 |
7.被害者の会や弁護団がある可能性も
ファンドや未公開株といった投資詐欺被害は、被害者が何百人、中には1万人という大人数にわたり、被害額も何千億と大規模な犯罪になることもあります。
過去に起きた有名な投資詐欺被害としては大和都市管財事件、夢大陸事件などがありますが、こういった投資詐欺被害に関しては、被害者が集まって被害者の会を結成し、弁護団とともに集団訴訟を起こしていることが多々あります。
もしも自分が投資詐欺被害に遭ってしまった場合には、こうした弁護団が形成されている可能性がありますので、一度調べてみてください。また、最近では集団訴訟のプラットフォームもインターネット上で出てきています。
こうしたプラットフォームに登録して同じ投資詐欺被害にあった人を募り、集団訴訟を起こすという動きも加速しています。
8.情報提供のための窓口
情報受付窓口投資詐欺被害で投資した資金を取り戻すためには、1人で闘わずに同じように被害に遭っている被害者を見つけ、投資詐欺を摘発することが重要です。
そのためには、公的機関に投資詐欺が行われていることを情報提供することが大事です。そこで、ここでは情報提供のための窓口を合わせてご紹介します。
8-1.証券取引監視委員会
投資被害にあっている場合は、証券取引監視委員会の情報受付窓口で情報提供をすることも重要です。
この窓口では、投資詐欺被害について個別に相談したりアドバイスを求めることはできません。あくまで情報提供のみの窓口となっていますが、できるだけ早く投資詐欺被害を事件化するためにも、情報提供を行っておきましょう。
情報受付窓口では、疑わしい金融商品、無登録業者など幅広く情報提供を受け付けています。また、これまでに情報提供されて事件化している投資詐欺もあります。
電話番号 | 0570-00-3581 (ナビダイヤル)(一部のIP電話等からは 03-3581-9909)電話の他、インターネットやFAXでの情報提供も受け付けています。 |
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受付時間 | 24時間 |
8-2.関東財務局
関東財務局は、東京を中心に1都9県の金融等の行政を実施している組織です。登録業者、無登録業者を問わず、怪しい投資勧誘を受けたという場合や、投資してしまって被害を受けているという場合には、関東財務局の窓口に相談できます。
関東財務局では、無登録業者による投資詐欺被害の拡大防止に力を入れています。関東財務局に相談し、トラブルが報告された無登録業者に対しては「その行為を止めるように」という警告をするだけでなく、関東財務局のホームページ上で警告した業者を公表しています。
「投資勧誘してきている会社が怪しい気がする」と不安に思ったときには、関東財務局が公開している警告業者リストを確認してみてください。
参考:無登録で金融商品取引業等を行っている者に対する警告/関東財務局
電話番号 | 048-613-3952(関東財務局理財部証券監督第一課) |
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受付時間 | 平日9:00〜17:00 |
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