既に探偵に詐欺に関する調査を依頼された方には酷なお話になりますが、アナタは詐欺の二次被害にあった可能性があります。
- 「でも、公安委員会に届出を出しているちゃんとした探偵社ですよ?」
- 「詐欺被害の救済や解決の実績も多数あるみたいです」
そう思われた方は、もう十分なほど探偵に騙されています。
アダルトサイトのワンクリック、投資、攻略、出会い系などの詐欺被害で焦る気持ちはわかりますが、冷静な判断能力を失って探偵に依頼すれば余計に損失が拡大します。
ここでは、詐欺被害の解決や救済を謳う探偵社に依頼してはいけない理由を、弁護士がわかりやすく解説していきます。
悪徳な探偵に騙されてさらなる損失を被らなくても済むようになりますので是非ご一読ください。
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目次
公安委員会に探偵業の届出をしているから安心?
探偵は、その事業を行う際には営業所所在地のある都道府県の公安委員会に届け出をしなければいけません。届出を出すと、公安委員会から、探偵業届出証明書が発行されます。
しかし、この証明書を発行してもらうためには単に「届出」を出すだけです。資格制でも許可制でもなく、届出制のため、はっきり言ってしまえば「誰でも探偵になれる」ということです。
つまり、誰でも簡単に探偵事務所を開業できるということは、依頼者からお金を騙し取るような不届き者も参入しやすいということです。
各都道府県警察本部のホームページでは、違法行為により営業廃止や停止等の行政処分を受けた探偵社の名前等が公表(過去3年分のみ)されていますが、これらの探偵社は全て、公安委員会届出済みです。
「公安委員会に認められているので安心です!」ともっともらしい宣伝文句に騙されないよう注意しましょう。
探偵は不当請求を止めたり、詐欺の返金交渉ができるの?
詐欺業者に対して不当請求や架空請求をしないよう交渉したり、騙し取られたお金を返金請求することは”法律行為”にあたります。
この法律行為を有償で代理することが認められているのは、弁護士か認定司法書士のみです。
探偵業者に適用される、「探偵業の業務の適正化に関する法律」においても返金や解約業務などは一切認められていません。
探偵が依頼を受けてこれらの業務を行えば、弁護士法72条の非弁行為(弁護士資格の無い者が報酬を得る目的で法律事務等を扱うこと)として2年以下の懲役または300万円以下の罰金刑で処罰される違法行為です。
以下の事例のように逮捕者も出ていますので、違法な探偵社に依頼しないよう注意してください。
鳥取署は26日、弁護士法違反の疑いで、大阪府箕面市の探偵業の男(29)を逮捕した。逮捕容疑は、弁護士資格がないにもかかわらず、昨年5月から同9月にかけ、鳥取市の男性の依頼で、男性の元交際相手に対し、 仲裁、退去要求などの法律業務を行った疑い。
引用-日本海新聞
参考:探偵調査に係る契約の解約に関する紛争(23)(ADR(裁判外紛争解決手続)の紹介)_国民生活センター
調査を依頼された探偵は何をするの?
上記で説明したように、返金交渉などの業務を探偵が行うと弁護士法違反となるため、調査契約書には「詐欺被害の返金をします」とは記載しません。
ホームページ上では、「詐欺被害の救済・回復・解決・対応」などと謳い、営業段階になると、「解決のためには詐欺業者の企業調査が必要です」と契約に誘導する手口です。
依頼を受けた探偵は、「登記情報提供サービス」や「帝国データバンクの企業情報・与信情報サービス」といったネットで数百円~数千円で企業情報を得られるサービスを利用します。
そして、その得た情報と建物の外観を撮影した写真を組み合わせて報告書を作成します。
企業調査で得られた情報は、ハッキリ言って詐欺被害の解決には全く役に立たない情報です。
調査料金を受け取っておいて調査をしないと詐欺罪に問われるため、契約を履行したことの形作りのために安価な費用で適当に作れる報告書を依頼者に渡してくるのです。
内閣府のホームページ掲載されている、アダルトサイト詐欺の企業調査で探偵とトラブルになった相談事例も確認しておきましょう。
探偵に詐欺被害の相談をしても大丈夫?
詐欺の無料相談を受け付けている探偵事務所が存在しますが、これは、相談電話をかけてきた被害者から情報を聞き出し、(無意味な)企業調査等を勧めて契約に結び付けるためです。
また、探偵社のホームページにおいて、具体的な会社名(サイト名や商品名のケースもある)を挙げ、詐欺被害の注意喚起を促すページを掲載していることもあります。
例えば、「〇〇株式会社のパチンコ攻略詐欺に騙されないで!」「出会い系〇〇はサクラしかいない詐欺サイトなので注意!」といったページです。
「〇〇(会社名・サイト名・商品名)+詐欺」とネット検索する詐欺被害者は多く、こういった注意喚起のページを作っておくことで検索にヒットさせ、”カモ”の集客を図っているのです。
”無料だし相談だけでもしてみようかな…”と安易な気持ちで電話をし、言葉巧みに勧誘されて調査契約を結んでしまう人も少なからずいますので注意してください。
「詐欺のお金が取り戻せる」と探偵から電話勧誘。信用していい?
詐欺被害者の氏名や電話番号などのデータは名簿販売業者(通称、名簿屋)から入手することができ、悪徳業者の間で出回っています。
悪徳探偵社はその名簿に記載されている詐欺被害者に片っ端から電話して、「投資詐欺(その他、未公開株詐欺など)の被害金が回収できます」などの甘い言葉をかけ、調査契約を結ばせようとします。
実際に、「損失を取り戻せる」という探偵からの電話勧誘で調査依頼をして紛争になった事例が国民生活センターのホームページで紹介されていますので確認しておきましょう。
探偵詐欺で返金させるには?
詐欺被害の解決や回復に全くもって意味のない企業調査等であっても、一応形の上では調査契約を交わし調査も実施している以上は詐欺罪に問うことは難しいでしょうし、詐欺であることを立証して、民法96条の詐欺取消を主張することも厳しいでしょう。
しかし、「詐欺のお金の取り戻しが可能です」と電話勧誘を受けた場合は、特定商取引法の電話勧誘販売に該当し、8日以内なら書面でクーリングオフによる取消ができます。
また、電話勧誘でなく自分から探偵社に電話し調査契約を結んだ場合であっても、例えば「必ず返金させることができます」といった断定的判断をされたようなケースでは消費者契約法により契約を取り消すこともできます。
その他、調査契約に際して重要事項の説明や書面の交付に不備があった場合は探偵業法違反として業務停止処分等が下されることもあるため、その点を引き合いに返金交渉することも一つの方法でしょう。
ただこういった法律的な判断は難しく、一般の方が法律知識を振りかざしても悪質な探偵社に無視されることも少なくありません。
当事務所では、探偵による詐欺の二次被害に遭った方の相談も全国から受け付けております。親身誠実に返金に向けて全力で対応しますので、まずはお気軽にご相談ください。相談する勇気が解決への第一歩です。
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