「ひとり暮らしの母親のところに久しぶりに行ったところ、10件以上のリフォームの契約を結ばされていました。母の預貯金は既に底をついていて、年金受給日に合わせて集金に来ていたようです。なんとかしてお金を取り戻せないでしょうか…」
あくまでも一例ですが、当事務所にはこのような高齢者を狙ったリフォーム詐欺に関する相談が多くあります。
この記事では、詐欺被害の返金に強い弁護士が、
- リフォーム詐欺の手口
- リフォーム詐欺の見分け方
- リフォーム詐欺の被害にあわないための対策
- リフォーム詐欺の被害にあった時の対処法と相談窓口
についてわかりやすく解説していきます。
なお、既にリフォーム詐欺でお金を騙し取られた方で、この記事を最後まで読んでも問題解決しない場合には弁護士までご相談ください。
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リフォーム詐欺の手口
①大げさに問題点を説明して家主の不安を煽る
リフォーム詐欺の典型例としては「不要な工事」をさせて「高額なリフォーム費用を請求する」というものです。
詐欺業者の手口として、実態とは異なる大げさなことを言って住んでいる人の不安を煽るというものがあります。
「このままでは床が抜ける」「壁が崩れる」「屋根が落ちる」などオーバーな表現をされると家主は安心して生活することができなくなります。建築した家屋に経年劣化はつき物です。実際は心配する必要のないケースや、大規模な修繕までは必要ないケースも多くあります。
さらに悪徳業者になると、意図的に住宅の一部を破壊したうえで、リフォーム工事の必要性を指摘してきたり、他人の家の床下画像などを見せて不具合を誤信させたりするものもあります。
②意味のない耐震工事を行わせようとする
意味のない耐震工事を勧めてくる詐欺業者も数多く存在しています。
突然自宅に訪問してきて「無料の耐震診断がでますよ」などと調査するふりをして、「お宅は国の耐震基準を満たしていない」と耐震工事を勧めてきます。そのうえで無意味な工事を実施して高額な工事費用を請求するというのが詐欺の典型的な手口です。
このようなリフォーム詐欺は、震災や大きな災害が起こった後に増える傾向があります。また、1年に数回は震災を取り扱った特別番組がテレビやラジオで組まれますので、そのような機会を狙って一人暮らしの高齢者の自宅を訪問するという事例が後を絶ちません。
詐欺業者の多くは無料診断のあとにすぐに耐震工事の見積書を提示して契約させようとしてきます。しかし、耐震工事の見積書は短時間のうちに算出できるような性質のものではありません。耐震診断自体に2時間前後かかり、さらに見積もりの前提となる診断書を作成するのに1週間前後かかるからです。
自宅訪問時にすぐに見積書を提示して高額なリフォーム契約をさせようとしてくる業者は、リフォーム詐欺の可能性があるため注意が必要です。
③公的な援助・保険が利用できるなどと虚偽を伝える
ほかにも「実質的に無料で工事できる」とリフォーム工事を指せようとする詐欺業者もいます。
そのような理由として詐欺業者が使うのが、「政府や市区町村の補助金」や「火災保険」が利用できるといったものです。しかし実際にはそのような助成金などは利用できず、全額自費で負担しなければならなかったとしてトラブルになったケースもたくさんあります。
たしかにリフォーム工事について自治体の助成金が利用できるケースはありますが、助成金を受領するには定められた条件を満たす必要がありますし、工事を開始するよりも前に申請しておく必要があります。
さらに助成金の申請には自治体から派遣された耐震コンサルタントが発行する診断書を提出する必要がありますので、リフォーム業者が判断できることではないのです。
そうであるにもかかわらず、助成金や保険金が当然受けられるように説明して契約を迫る業者は、決して誠実な対応であるとはいえませんので注意しておく必要があります。
リフォーム詐欺の見分け方
事前連絡なく訪問し無料点検を迫る
事前連絡・アポなしで突然訪問してくる業者には注意しておきましょう。
「近くで工事をしているのでお声がけした」「目に入って気になった」などといって無料診断や点検を勧めてきます。そのうえで診断・点検を許可すると「今すぐ修繕した方がいい」や「倒壊の可能性がある」などと申し向けて、相手の不安を煽るのが特徴的な詐欺の流れです。
リフォーム詐欺の業者は、ターゲットとできそうな築年数の経っている住宅を探して来訪してきます。または高齢者が一人で住んでいる住宅を狙って訪問してくる場合があります。
そもそも依頼もしていないのに突然訪問してくるリフォーム業者には警戒しておくようにしましょう。
訪問当日にすぐに見積書を提示してくる
訪問当日に見積書を提示してリフォーム契約を締結させようと迫ってくる業者には要注意です。
まともな業者であれば事後のトラブル回避のためにも、見積もりから契約まで顧客に十分説明し検討の期間を用意しています。前述のように正確に見積もりを算出するにはそれなりの調査期間も必要となります。また他の業者との見積もりを比較することも顧客の当然の権利です。
そうであるにもかかわらず、「すぐに工事をしないと危ない」と煽情的な言葉を並べる相手や、他の業者との見積もりを比較されることに消極的な言動を見せる業者の場合には、詐欺業者のおそれがあります。
大幅な割引をして契約を迫る
リフォーム契約はしたくないという態度を見せると、大幅に値下げして契約を迫る場合も詐欺業者を疑いましょう。
「今回キャンペーンが適用できるので、そうすれば〇〇万円割引を受けられます」と切り返してくるのも詐欺業者の典型的な手口のひとつです。
通常見積もりは、人件費や材料費などを考慮して算出されているので、赤字とならないように値下げできる幅としては5~10%程度が相場です。
その範囲を超えて異常な値下げを提示してくる場合には、そもそもの見積金額にまったく合理性が無かったということになります。
したがって、このような業者はいくらであっても「契約さえできればいい」と考えている悪徳業者である可能性が高いのです。
相談から工事開始までの期間が短すぎる
リフォーム業者が訪問、相談してから工事開始までの期間が短すぎる場合には、リフォーム詐欺の可能性があります。
なぜなら、一般的な業者であれば契約して作業の内容を定め、作業員や材料・車両を準備する必要がありますので、相談から着工までに2週間程度かかるからです。工事費用が数十万円程度の軽微なリフォームの場合であっても、最低でもこれくらいの期間がかかります。
これに対して問題となるリフォーム工事の場合には、100万円以上の高額な費用を要する工事の場合も多く、そのような大規模な工事を要する場合には当然工事開始までの期間も長くなります。
しかし、リフォーム詐欺の場合には、意味のない工事をするため相談から工事までの期間が非常に短いという特徴があります。なぜならお金を騙し取るのが最大の目的であるのと、被害者に考える時間を与えたくないからです。
リフォーム詐欺の被害にあわないための対策
訪問販売には対応しない
訪問販売は無視するようにしておくことも詐欺被害を予防するためには重要な点です。そもそも訪問販売はあなた自身が望んで業者に問い合わせたわけではありません。
訪問販売と思わず対応してしまった場合でもきっぱりと断るか、その場で契約など何らかの判断をしないように心がけておきましょう。来訪者に対してはインターフォン越しに要件を確認し、むやみに扉を開けないように決めておくことも効果的な予防策になります。
また、玄関のドアや門に「訪問販売は一切お断り」のシールを貼っておくことでセキュリティー意識の高い住人という印象を業者に与えますのでこちらも効果的です。
複数の業者の見積もりを比較する
適切なリフォームであれば前向きに検討している場合でも、複数の業者の見積もりを比較してから契約業者を選ぶようにしましょう。
3社程度に見積依頼をすればリフォーム費用の相場を推し量ることができるでしょう。
ここであまりにも他社より安い見積もりを提示してくる業者にも注意が必要です。適切に見積もりをしていない結果、後々追加で費用請求されたり、杜撰な工事によって手抜き工事が実施されるおそれもあります。
業者から名刺をもらっておく
リフォーム業者が来訪した場合、まずは名刺をもらうようにしておきましょう。
会社名や担当者の名前を確認して、インターネットで会社の所在地やホームページを確認しましょう。
詐欺業者の場合には、会社が存在しなかったり架空の住所を記載したりしている可能性もあります。必ず会社の実体を確認することも詐欺被害を予防するためには重要です。
リフォーム詐欺の被害にあった場合の対処法
クーリングオフする
リフォーム詐欺の被害に遭った場合には、クーリングオフ制度を利用しましょう。
クーリングオフとは、いったん契約の申込みや契約を締結した場合であっても、契約を再考できるように、一定期間であれば無条件で契約の「申込みの撤回」をしたり、「契約を解除」したりできる制度のことです。
「訪問販売」、「電話勧誘販売」、「特定継続的役務提供」、「訪問購入」による取引の場合には、「8日間」のクーリングオフ期間が定められています。
クーリングオフ期間は、申込書面または契約書面のいずれか早い方を受け取った日から起算されます。ただし書面の記載内容に不備があるときは、所定の期間を経過してもクーリングオフできる可能性があります。
クーリングオフの通知はご自身で書面や電子メールを用いて行うことができます。
クーリングオフができる取引なのか、書面の書き方が分からないという場合には、弁護士や消費者センターに相談することでスムーズに進められる場合もあります。
刑事事件にしたい場合は警察に相談
リフォーム詐欺は刑法上詐欺罪に該当する犯罪行為です。そのため刑事事件にしたい場合には警察に相談することができます。
詐欺事件として立件して捜査してもらうためには、詐欺の証拠を示して警察に説明する必要があります。具体的にはデタラメな耐震診断の診断書や相手が提示してきた見積書、業者との具体的なやり取りが分かるものなどを持参して相談することが重要です。
ただし、リフォーム詐欺の被害にあって騙し取られたお金を取り戻したいという場合には、警察への相談は効果的ではありません。警察は被疑者を逮捕することが仕事ですので、騙し取られたお金を取り返してくれるわけではないためです。
リフォーム業者に刑事罰を与えたいのではなく、お金を返してもらうことが目的であれば次に説明する「弁護士への相談」をお勧めします。
弁護士に相談する
リフォーム業者からの返金を望む場合には、弁護士に依頼することが重要です。
相手方に交付した現金を取り戻すためには、返還請求や損害賠償請求をする必要があります。
弁護士を代理人として相手方業者に内容証明郵便を送付して、任意での支払いを請求していきます。
この段階で相手が素直に支払えば話は早いですが、相手との交渉が必要となるケースもあります。このような交渉事項も弁護士であれば一任しておくことができます。
また、相手方が悪徳業者で一切の返金に応じないような場合には、裁判手続を利用していく必要があります。そのような場合でも必要書面の作成や証拠収集については弁護士が主導で行ってくれます。最終的には民事訴訟で勝訴判決を取得したうえで、相手方の財産に強制執行をかけていくことになります。
当事務所はリフォーム詐欺の返金交渉を得意としており実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力でサポートしますので、まずは当事務所の弁護士までご相談ください。お力になれると思います。
各種相談窓口への相談
警察や弁護士に相談する前に、まずはご自身や家族がリフォーム詐欺の被害にあったのか、建築関係の専門家に確認してもらいたい方もいることでしょう。その場合、以下で紹介する相談窓口を利用してみましょう。
住まいるダイヤル(住宅リフォーム・紛争処理支援センター)
住まいるダイヤルは、国土交通大臣から指定を受けた相談窓口です。相談員として一級建築士が対応してくれるため、「このリフォームは本当に必要だったのだろうか」「屋根が壊れていると言われたけれど、この説明は正しいだろうか」「本当にこんなに高額のリフォームが必要なのか」といった、技術的な相談ができるところが特徴です。
さらに弁護士も常駐しているため、すでに業者と契約しており、トラブルになってしまっている場合や、これから契約しようと思っているけれど、リフォーム詐欺などの被害にあわないためにどんなことに気をつければよいかといった予防的な相談にも対応している、幅広く利用できる窓口です。
「話し合いで解決しないのだが、法的措置をとることができるか」「契約を結んでしまったのだがクーリングオフできるだろうか」といった法的な相談は「専門家相談」を活用することができ、1時間無料で相談することができます。
なお、専門家相談については利用できる人が以下に限られているので注意してください。
・評価住宅(建設住宅性能評価書が交付された住宅)の取得者または供給者
・保険付き住宅(住宅瑕疵担保責任保険が付された住宅)の取得者または供給者
・住宅リフォーム工事の発注者または発注予定者
電話番号 | 0570-016100(IP電話からは03-3556-5147) |
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受付時間 | 平日10:00〜17:00 |
増改築相談員
「訪問業者がきて、『このままでは家が危ないからリフォームが必要だ』と不安を煽るようなことを言われたが詐欺ではないのか。本当のことか知りたい」と思ったとき、知り合いに信頼できる工務店などがなければ、どこに相談すればよいかが分かりません。
そんな人のために、住宅リフォーム・紛争処理支援センターでは、住宅の新築工事やリフォーム工事についての具体的な相談に対応しています。増改築相談員は全国に13,000人以上おり、近くにいる相談員を探すことも可能です。
増改築相談員はリフォーム計画や見積もりなども行ってくれるため、より具体的な相談をしたいという場合は利用してみてはいかがでしょうか。
電話番号 | 以下のサイトを参照してください。 |
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受付時間 | 相談員によって異なりますので、登録者名簿検索を参考に、最寄りの相談員に問い合わせて見てください。 |
日本建築家協会(JIA)の建築相談室
日本建築家協会(JIA)では、消費者を対象に対面で無料相談を実施しています。
「リフォームを依頼してお金も払ったのに全く工事を始めてくれない」といった業者とのトラブルや、「大がかりな修繕が必要だと言われたが、リフォーム詐欺ではないのか。本当に必要か確認したい」といった設計、施工などに関すること、「リフォームしてもらったが、欠陥がある気がする」などの技術的な相談なども行うことができます。
最大2回まで無料で相談できますが、相談の結果から実地調査が必要になった場合は有料での対応となります。また、建築相談室では電話相談は受け付けていないため、この点も合わせて注意が必要です。
また、必要に応じて弁護士が対応することもありますが、弁護士が同席しての相談は1回限り無料となっていますので、回数制限には注意してください。
相談する際には図面や契約書などの資料があった方が具体的な相談がしやすいため、予約するときには持ち物も確認しておきましょう。
電話番号 | 03-3408-7125(支部によって異なるためまずはこちらに電話して確認しましょう) |
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受付時間 | 基本的に予約制となっており、受付時間は支部によって異なります。 |
住宅紛争審査会
住宅紛争審査会は、「住まいるダイヤル」と同じく、国土交通大臣から指定を受けた相談窓口です。
全国に窓口があり、リフォーム会社と被害者、当事者同士の話し合いでは解決しない場合や、紛争に発展してしまったときなどには、住宅紛争審査会を通じて調停や仲裁手続、あっせんという裁判外の紛争解決方法を利用することができます。
調停や仲裁手続き、あっせんなどの住宅紛争処理手続きを依頼する際には、申請手数料が1万円必要となりますが、訴訟を起こす場合に比べると費用を抑えることができます。
電話番号 | 03-3581-9040 |
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受付時間 | 平日9:30~12:00 13:00~15:00 |
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