
競馬詐欺では、「必ず儲かる」「関係者から裏情報を入手した」といった甘い言葉で近づき、高額な情報料をだまし取る手口が繰り返されています。競馬情報をかたる詐欺では、実際に逮捕・摘発された事件が全国で相次ぎ、被害総額が数十億円規模に及ぶケースもあります。
「怪しい競馬情報の勧誘を受けたが、これは詐欺なのだろうか」「すでにお金を払ってしまったが、取り戻せるのだろうか」と不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、詐欺被害の返金に強い弁護士が、競馬詐欺で実際に逮捕された5つの事件を取り上げ、各事件の手口と見抜くためのポイントを解説します。
- 実際に競馬詐欺で逮捕された事件
- 詐欺師が使う勧誘の手口と共通点
- 競馬詐欺で狙われやすい人の特徴
- 被害に遭ったときの相談先
なお、競馬詐欺についてお悩みの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談へお気軽にご連絡ください。
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競馬詐欺の逮捕事例
①高額配当が得られる情報を提供する?虚偽の情報提供で競馬情報会社の元社長ら逮捕
千葉県警は、千葉県市川市で競馬情報提供会社を経営していた男や元従業員ら13人を詐欺容疑で逮捕しました(朝日新聞デジタル報道)。男らは「高額配当が得られる競馬情報がある」などと偽り、4人から計約190万円をだまし取った疑いが持たれています。さらに、複数の社名を使い分けながら名簿をもとにダイレクトメールを送る手口で、全国の延べ約4万人から計約29億円を集めていたとみられています。
この事件には、次のようなポイントがあります。
①「必ず儲かる」
「高額配当が得られる競馬情報が入手できる」、「競馬専門紙の優秀な人物からの情報がある」等、事件によって表現は違いますが、詐欺師は、「必ず儲かる」という話を持ちかけて、あなたに近寄ってきます。この様な言い回しがあればご注意ください。
②あなたは特別な会員
このニュース記事には記載されていませんが、「必ず儲かる」という様な言い回しと、「あなたは特別な会員」、「あなたは、この話を聞けて非常に幸運だ」という言い回しはワンセットです。これらの表現で言い寄ってきたら、詐欺であることの蓋然性が高くなっていきます。本件も同様な経緯があったかもしれません。
③被害額について
この事件では、「4人から計約190万円」と、一人当たり、50万円から100万円くらいになる金額を「情報料」として請求してきます。50万円から100万円と言うと、ちょうど一般人が消費者金融やカードローンで借りられるくらいの金額です。これくらいの金額を狙って、情報料と称して請求してきている事件は多いです。
④組織形態について
「全国各地の延べ約4万人から計約29億円」、「複数の社名を使い」、「入手した名簿をもとにダイレクトメールを送り」と手口が組織的です。当職も同様の経験があります。この手の詐欺は、会社名が異なるだけで、手口が全く同じです。表は違う会社名かもしれませんが、中身は同じなのでしょう。
競馬情報会社による詐欺の典型的な手口や見分け方については「競馬情報会社の予想詐欺の手口・対処法・見分け方を解説」で詳しく解説しています。
②有名競馬騎手の親戚を騙り勝つ馬を教える?住所不定無職の男を逮捕
京都府警は、騎手の武豊さんの親戚をかたって「勝つ馬がわかる」とうそをつき、京都市内のすし店の板前から2万円をだまし取ったとして、住所不定無職の男(72歳)を詐欺容疑で逮捕しました(朝日新聞デジタル報道)。男はJRAの調教師になりすまし、実在する元調教師の名前が書かれた偽の名刺を渡して信用させていました。架空のレースの馬券代行を持ちかける手口で、同様の相談が他に7件寄せられていたとのことです。
この事件で注目すべき点は、次のとおりです。
①関係者に成りすます
「武豊の親戚」、「日本中央競馬会(JRA)の調教師」、「日本中央競馬会の実在する元調教師の名前が書かれた偽の名刺を渡す」、「親戚だから『今度、豊をつれてくるわ』と言い、名刺も出してきたので信じてしまった」等、関係者に成りすまし、言い寄ってくる事件は後を絶ちません。JRAのホームページにも下記のとおり、記載があります。
「JRA公認」「○△馬主会」「○△調教師会」などと称し、実際には存在しない団体や個人から極秘の情報提供を得ている、前もって結果が決まっているレースがあるなどと虚偽の広告・宣伝をして、会員を募集している悪質な予想・情報提供業者が存在します。
「関係者である」「情報を流す」と言ったら間違いなく疑ってかかるべきです。JRAの公式ホームページでも上記のように説明しているわけです。関係者が情報を流すはずはありません。また、関係者が情報漏洩したとなると、会社も個人も、民事上・刑事上の責任を問われることになります。その様なことを日本中央競馬会(JRA)がするはずがないです。
②勝つ馬が分かる
「勝つ馬がわかる」、「間違いなく勝つから代行して馬券を買ったる」と言っています。しかし、そんな情報はありません。JRAのホームページにも下記のとおり、記載があります。
「前もって結果が分かっているレース」等は、一切存在しません。
この犯人に限って言うならば、あまりにも迂闊で、素人臭さがあります。また被害金額も低く、他の事件と比べて、組織的ではありません。
ただ全ての事件に言えることは、被害の大小に関わらず、詐欺師は、美味しい話をしてきます。美味しい話があったら、乗らないことです。気を付けましょう。
③「全戦全勝の実績を誇る革新的な情報」がある。1億4千万円を騙し取ったとして男二人を逮捕
警視庁は、競馬の勝ち馬情報を提供すると持ちかけて現金をだまし取ったとして、横浜市の男ら2人を詐欺容疑で逮捕しました(朝日新聞デジタル報道)。男らは競馬情報サイト「プロジェクト」を運営し、登録者に「全戦全勝の実績を誇る革新的な情報」などとメールで勧誘。神奈川県の40代女性から計約240万円を振り込ませましたが、情報は一切提供されていませんでした。同様の手口で全国の約200人から計約1億4千万円を集めていたとみられています。
この事件からは、次の点が読み取れます。
①「競馬の勝ち馬を教える」、「全戦全勝の実績を誇る革新的な情報」
「競馬の勝ち馬を教える」そんな情報はありません。JRAのホームページにも記載があります。詐欺の常套手段と思ってください。また、「全戦全勝の実績を誇る革新的な情報」など、事件によって表現は違いますが、詐欺師は「必ず儲かる」という言葉で、言葉巧みに勧誘してきます。どのような言い方であれ、確実に勝てるという勧誘はすべて詐欺の常套手段です。
②メールでの勧誘
「登録した覚えがないのになぜメールが届くのだろう。」と不思議に思うかもしれません。考えられる理由は2つです。
- 他の競馬情報サイトで自身のメールアドレスを登録したことがある
- 個人情報が出回っている
このような詐欺まがいのサイトは水面下で他の競馬情報サイトと繋がっているため、1つのサイトに登録したメールアドレスがリスト化され、詐欺業者の間で転々としていることもあります。その他、カード会社、消費者金融から流出したリストや卒業アルバムを入手して連絡してくる競馬情報会社もあります。当たり前のことかも知れませんが、知らないところからメールが来たら相手にしないことです。
最近ではマッチングアプリを通じた競馬投資詐欺も増えています。具体的な手口については「マッチングアプリの競馬投資ソフト詐欺の手口と返金させる方法」をご参照ください。
③被害者について
被害者は、40代女性と、競馬に無縁の方に思われます。しかし、「競馬とは無関係の人たち」がターゲットとされることは多いです。実際に騙されてご相談にくる方々は、競馬にそれほど詳しくない方が圧倒的に多いです。競馬を知らないので騙されてしまうのかもしれません。
④被害額について
「約200人から計約1億4千万円」と、一人当たり、70万円くらいになる金額を「情報料」として請求してきています。一般人が消費者金融やカードローンで借りられるくらいの金額です。これくらいの金額を狙って、請求してきているのでしょう。
⑤組織形態について
「競馬情報サイト「プロジェクト」に登録した人に、「全戦全勝の実績を誇る革新的な情報」などとメールを送って勧誘していた。」と手口が組織的です。
④競馬が当たる予想を教える?犯人はホテルを転々と。組織的犯罪で犯人逮捕
警視庁と福岡県警は、「競馬が当たる予想を教える」と電話でうそをつき現金をだまし取ったとして、東京都葛飾区の男(37歳)を詐欺容疑で逮捕しました(産経ニュース報道)。男は八王子市の女性(61歳)に電話をかけ、競馬予想の情報料名目で5万円を振り込ませた疑いが持たれています。男の詐欺グループは兵庫や広島のビジネスホテルを転々としながら活動しており、グループの他の3人も逮捕されています。競馬予想をうたった詐欺の被害は当時、全国で約35件、被害総額は計約1億4000万円に上るとされていました。
この事件のポイントを見ていきます。
①競馬が当たる予想を教えると電話で嘘を言い、現金をだまし取った
先ほどからお話ししているとおり、詐欺師は、「必ず儲かる」、「必ず当たる。」と言い寄ってきます。冷静に考えれば、確実に当たるレースなど存在しません。また、電話がかかってきたのも、どこかで登録したサイトからか、ご自身のクレジットカードの顧客情報のリストが出回っているのでしょう。
②「兵庫や広島のビジネスホテルなどを転々としており」
自身の足がつかない様に場所を転々としている詐欺集団なのでしょう。当職も同じ様な詐欺被害について担当した経験があります。被害は、札幌、東京、名古屋、大阪でありました。相手の会社名は違いましたが、契約書のひな形は同じ、商品も同じ、手口も全く同じである詐欺集団でした。
③被害者について
被害者は、競馬と縁遠い61歳女性です。競馬に詳しくない方ほど、狙われやすいのかもしれません。
⑤元競馬関係者の情報ルート?競馬関係者が密約を交わした情報?偽の情報で逮捕が相次ぐ
大阪府警と兵庫県警は同日、競馬の偽情報で現金をだまし取ったとして、それぞれ別の詐欺グループ計8人を逮捕しました(日本経済新聞報道)。大阪の事件では、「元競馬関係者の情報ルートがある。1千万円単位でもうかる」と都内の70代男性に電話で持ちかけ、情報提供料名目で190万円を振り込ませた疑いが持たれています。兵庫の事件では、「競馬関係者が勝馬について密約を交わした情報を提供する」という文面のダイレクトメールを送り付け、尼崎市の女性(64歳)から約190万円をだまし取ったとされ、同社の口座には全国約200人から約4千万円の振り込みがあったとのことです。
今までご紹介した事件の集大成みたいな事件です。以下のとおり、かなりの共通点があります。
①勝馬が分かる
ここまでの事件でも繰り返し出てきた手口です。最初から勝馬が分かるレースなどありません。明らかな偽情報です。JRAのHPにも注意喚起されています。前もって結果の分かっているレースは存在せず、勝つ馬を事前に知ることはできません。
②関係者を装った勧誘
他の事件と同様の手口です。元競馬関係者が情報を流すはずがないですし、勝馬について密約を交わしたりなどしません。また、その様な情報など存在しません。
③被害者について
被害者は、70代男性、64歳女性です。この事件もまた、競馬には詳しくない人がターゲットにされています。競馬に詳しくない人ほどご注意が必要です。
④ダイレクトメールの送付
事件④でも触れたとおり、個人情報のリストが詐欺業者の間で共有されている可能性があります。心当たりのないダイレクトメールや電話には決して応じないでください。
競馬予想詐欺の被害に遭ってしまった場合の具体的な返金方法については「競馬予想詐欺の3つの返金方法と実際に返金された2つの事例」で解説しています。
競馬詐欺の逮捕についてよくある質問
競馬詐欺は警察に相談すれば動いてくれますか?
競馬詐欺は刑法上の詐欺罪にあたる犯罪であり、警察に被害を相談することができます。ただし、警察は立件に足りる証拠がそろっているかを重視するため、勧誘に使われたメールやメッセージ、振込明細、契約書、業者とのやり取りなどをできるだけ保全しておくことが大切です。なお、振り込んでしまったお金の返還は警察の捜査とは別の手続きになり、口座の凍結や返金交渉といった被害回復は、対応が早いほど回収の可能性が高まります。
逮捕率はどのくらいですか?
競馬詐欺だけを取り出した公的な統計はありませんが、詐欺全体の検挙率(認知件数のうち検挙に至った割合)は近年3割前後にとどまっています。令和7年版犯罪白書のもとになった警察庁の統計によると、2024年(令和6年)の詐欺の検挙率は約28%(認知件数57,324件に対し検挙件数16,175件)で、刑法犯全体の平均より低い水準です。競馬詐欺のように業者が社名を変えて全国で活動する組織的な詐欺は、捜査が広域・長期に及びやすいためです。もっとも、本記事で紹介したとおり実際の逮捕事例は多数あり、被害回復のためには早めに証拠を残して専門家に相談することが大切です。
犯人にはどんな罪が科されますか?
競馬情報をかたって現金をだまし取る行為は詐欺罪(刑法246条1項)にあたり、有罪となれば10年以下の拘禁刑(2025年6月に懲役・禁錮を一本化した刑罰)が科されることもあります。本記事で紹介したように、組織的に多数の被害者から多額の金銭を集めていた事件では、グループの複数人がまとめて逮捕・立件されるケースもあります。
競馬詐欺の被害でお困りの方は弁護士にご相談ください
5つの逮捕事例が示すように、競馬詐欺は「必ず儲かる」「関係者の裏情報がある」といった虚偽の勧誘で多額の情報料をだまし取る点が共通しており、組織的に行われているケースが大半です。そのため、個人で業者に返金を求めても応じてもらえないことがほとんどです。
弁護士に依頼すれば、振込先口座の凍結請求や内容証明郵便による返金交渉など、法的な手段を用いた被害回復を進めることができます。詐欺業者は被害金を素早く引き出してしまうため、対応が早いほど回収できる可能性は高まります。
「情報料を支払ったのに何の情報も提供されなかった」「怪しいと思いつつ複数回振り込んでしまった」と、一人で抱え込んでしまう方は少なくありません。しかし、詐欺の被害に遭うことは決して恥ずかしいことではなく、早めに専門家の力を借りることが解決への第一歩です。
当事務所は詐欺被害の返金請求に豊富な実績があり、全国どこからでもご相談いただけます。無料相談も設けておりますので、少しでも不安を感じたら、まずは一度ご相談ください。
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この記事の監修者
詐欺被害の返金交渉に豊富な実績を持つ。一般社団法人 詐欺・不当要求対策協会の代表理事として、詐欺被害の撲滅に向けた研究・啓発活動にも取り組んでいる。投資詐欺、情報商材詐欺、占い詐欺など多様な手口に精通し、被害者の大切なお金を取り戻すために迅速に行動する。警察が動かないケースでも、弁護士による返金交渉や刑事告訴で解決に導いている。

