
「この人は国際ロマンス詐欺なのだろうか」。そう思ってこのページを開いた方へ、先にお伝えします。相手からお金の話が出たら、理由の中身で判断しないでください。一度も会っていないなら、それだけで送金を止める理由になります。
もう送ってしまった、連絡が取れない。そういう段階の方も少なくありません。詐欺被害の返金に強い弁護士が解説します。
- 公的機関が挙げる5つの典型的な手口
- 実際にあった3件の被害はどう進んだか
- 詐欺かどうかを自分で見分ける方法
- 送ってしまったお金は取り戻せるのか
お読みいただくことで、いまの相手を信じてよいのか、送ってしまった場合に何ができるのかを判断できます。
なお、国際ロマンス詐欺の被害についてお悩みの方は、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談へお気軽にご連絡ください。
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国際ロマンス詐欺とは
国際ロマンス詐欺とは、ネット上で知り合った外国人(を名乗る相手)から、恋愛感情や結婚をちらつかされ、さまざまな名目でお金を送らされてしまう詐欺のことです。入口になるのはSNSやマッチングアプリで、別名として国際結婚詐欺、国際恋愛詐欺とも呼ばれます。
国際ロマンス詐欺は、警察庁が統計上「SNS型ロマンス詐欺」として集計している類型に含まれます(同統計には相手が日本人を名乗る事案も入ります)。同庁は専用の注意喚起ページも設けています。2026年6月に公表された令和7年の確定値では、SNS型ロマンス詐欺全体で認知件数5,645件(前年比+47.6%)、被害額546.4億円(同+36.3%)と、件数・金額ともに増加が続いています。
日本人同士の結婚詐欺と違うのは、次の3点です。
- ①一度も会わないまま海外へ送金してしまうケースが多い
- ②出会いのきっかけがSNS・マッチングアプリなどインターネットであることが多い
- ③単独犯ではなく、組織的に役割分担して騙してくることがある
③については、外務省の広域情報にも「詐欺師は単独犯に限らず、詐欺団を結成している場合も多く」とされ、友人や弁護士、空港係官の役を演じ分ける例が示されています。1年以上かけて信頼関係を築いてから金銭を求めるケースもあり、「時間をかけてくれたから本気だろう」という判断は通用しません。
もっとも、入口がネットとは限りません。この記事で紹介する3つの体験談のうち2つは結婚相談所や婚活パーティーがきっかけで、実際に結婚まで至っています。
日本人同士の結婚詐欺の手口や見分け方については「結婚詐欺とは?5つの特徴と見分け方・手口・対処法を解説」で詳しく解説しています。
国際ロマンス詐欺の5つの手口
公的機関が実際に注意喚起している国際ロマンス詐欺の巧妙な手口を5つの型に整理しました。順番に現れるとは限らず、複数が組み合わされることもあります。
①軍医・国連職員など信用されやすい肩書を名乗る
外務省が国際ロマンス詐欺の「これまでの典型的な手口」として挙げているのが、イエメンやシリアなどの紛争地で軍医や国連関連の仕事をしていると嘘をつくパターンです。資産家や医師、弁護士など、世間から信用されやすい架空の肩書を借りるのも同じ狙いで、肩書そのものが「疑いにくさ」を作り出します。
紛争地や海外勤務という設定には、もうひとつ役割があります。会えないこと・ビデオ通話に出られないことに、あらかじめ言い訳を用意しておけるのです。顔写真は他人のSNSなどから無断で持ち出されたものが大半で、身分証も画像を加工したものである場合があります。
②知り合った直後に別のアプリへ移そうとする
警察庁は、知り合った後の典型的な手口として「他のサービスでやり取りをするよう持ちかけられる」を挙げています。マッチングアプリで知り合った直後にLINEなどへ誘導された場合は、その時点で警戒してください。
国際ロマンス詐欺で移動を促す理由は、アプリ運営側の監視や通報機能から逃れるためです。同庁は「マッチングアプリ上で知り合った後、早い段階でLINEに誘導された場合は詐欺等を疑ってください」と明確に呼びかけています。
③荷物や現金を送ると言って通関料を求める
「あなたに現金や贈り物を送ったが、税関で止められた」「通関料を払えば解除できる」と請求してくる型です。警察庁の注意喚起にも「荷物を送るから手数料を払って」という例があります。
国際ロマンス詐欺のなかでもこの型が厄介なのは、「相手があなたに何かを贈ろうとしている」という前提で話が進むことです。受け取る側という立場に置かれると、お金を出す心理的なハードルが下がります。請求は一度で終わらず、保険料・滞在費・追加手数料と名目を変えて続きます。
④会いに行くための渡航費や違約金を求める
国際ロマンス詐欺の口実は具体的です。今の仕事の契約を解除するには違約金がいる、あなたに会うための旅費を一時的に立て替えてほしい、日本へ向かう途中の経由地で拘束され保釈金が必要になった。どれも外務省が挙げている例です。最近では、タイ・ミャンマー国境付近の特殊詐欺拠点から抜け出す費用が必要だと騙されて送金した事例も報告されています。
いずれも「あと少しで会える」という期待と抱き合わせになっているのが特徴です。
⑤「二人の将来のために」と投資に誘う
現在、国際ロマンス詐欺でもっとも多いのがこの型です。警察庁は、SNS型ロマンス詐欺のうち投資の勧誘などで金銭をだまし取る手口が7割以上を占めると公表しています。
最初は少額で利益が出たように見せかけ、被害者が信じたところで高額の入金を促します。出金しようとすると手数料や税金を理由にさらなる送金を求められ、結局引き出せないという相談が国民生活センターに寄せられています。令和7年の統計では、暗号資産(ビットコインなどインターネット上でやり取りされる財産的価値)で送らせる形態が2,177件(前年比+177.0%)と急増し、その被害額は247.7億円にのぼります。振込型で暗号資産を振り込ませたものと合わせると、被害総額の約5割が実質的に暗号資産で交付されています。
出典:警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」
実際にあった国際ロマンス詐欺の被害事例3選
ここからは、当事務所に寄せられた3つの国際ロマンス詐欺の被害事例を紹介します。それぞれの末尾に、前章の手口との対応を付記しました。
※ご相談者のプライバシー保護のため、氏名・年齢・具体的な状況等には一部変更を加えています。
結婚相談所と中国人女性の両方に騙された事例
43歳の男性です。4年前、39歳だった私は「いい加減結婚しないとまずい」という焦りから婚活に力を入れていました。職業が農家ということもあり、いくつもの結婚相談所を回っていました。
そこで見つけたY相談所が悪質なところでした。紹介される相手がなぜか韓国系や中国人ばかりで、それまで会ってきた女性より遥かに若く、私に優しく接してくれる。警戒はしていたのに、つい良い気になってしまったんです。
紹介された中国人のチェン(仮名)は15歳下の24歳。付き合って1ヶ月ほど経った頃、留学ビザが切れるので帰国しなければならないと泣いて訴えられ、「それなら結婚しよう」と決めてしまいました。
彼女の両親に挨拶へ行く費用として30万円。挨拶の席で「国際結婚の許可には役人への謝礼がいる」と言われて100万円。Y相談所には成約金として50万円。結婚式と新婚旅行まで含めると、支払いは400万円近くになりました。
態度が変わったのは新婚旅行のあとです。ある日、両親と出荷から戻ると、家財道具がチェンごと消えていました。警察の話では、Y相談所に騙された方は10人近く、中には1,000万円以上を失った方もいたそうです。法律事務所に依頼してある程度の返金は受けられましたが、失った時間は戻りません。
前章の手口との対応:結婚相談所を介して対面で始まった事例のため、前章の5類型には当てはまりません
この事例で返金が実現したのは、紹介元のY相談所が国内の事業者だったためです。国際ロマンス詐欺でも結婚詐欺でも、結婚適齢期を過ぎて周囲から結婚を迫られている状況は、焦りを生みます。焦りは判断を鈍らせます。この事例で一度でも「なぜ結婚前にこれだけの請求が続くのか」と立ち止まっていれば、被害額は大きく違ったはずです。結婚詐欺の被害金や慰謝料の請求については「結婚詐欺の慰謝料相場は?請求できる条件と必要な証拠を解説」もあわせてご確認ください。
日本国籍の取得が目的だったアメリカ人男性の事例
36歳の女性です。若い頃から「結婚するなら欧米の人がいい」と思っていました。そこで「外国人男性と結婚できる」という触れ込みの結婚相談所の婚活パーティーに参加したんです。相談所自体はまともで、参加者も外資系企業の方ばかりでした。
出会ったアメリカ人のアレックス(仮名)は、大手外資系のビジネスマンだと言っていました。顔立ちが整っていて、エスコートも自然で、私は一瞬で夢中になりました。
「アメリカの両親に仕送りしているからお金がなくて」という言葉を真に受けて、食事もデートも毎回私が払っていました。ある日「話がある」と呼び出され、プロポーズかと期待していたら、「独立するつもりだが就労ビザが下りないのでアメリカに帰る」という別れ話でした。
別れたくなかった私は「それなら結婚して日本国籍を取ろう」と提案し、籍を入れました。数年後に彼は帰化し、しばらくして突然姿を消しました。それまでに彼が理由をつけて借りていったお金は800万円以上。すべては日本国籍と私のお金が目的だったのだと思います。
弁護士に相談したことで、騙し取られたお金は戻ってきました。
前章の手口との対応:①信用されやすい肩書を名乗る
この事例では、金銭と日本国籍の両方が目的でした。「お金は返ってきた」と本人は言っていますが、これは相手が日本国内に住み、帰化して所在が判明していたという特殊な条件があったからです。相手が海外にいる典型的な国際ロマンス詐欺では、同じ結果は期待できません。相談先と費用の目安は「結婚詐欺の相談は弁護士へ|相談窓口と費用を解説」にまとめています。
一度も会わないまま渡航費を送金した事例
41歳の女性です。私は実際に会ったことのない外国人にお金を騙し取られました。きっかけはFacebookでした。
ジェイソン(仮名)は「日本語を勉強したいので、テレビ電話をしてくれませんか」というメッセージを突然送ってきました。私は英語を話せるようになりたかったので、申し出は嬉しいものでした。
最初は訝しく思っていましたが、何度かビデオ通話で教え合ううちに、その気持ちも忘れてしまいました。回を重ねるうちに私のほうが恋愛感情を抱くようになっていました。
ある日、彼が片言の日本語で「Nさん(私)に会いたいから日本に行ってみたい」「Nさんと結婚したい」と言ってきたんです。嬉しくて、私は渡航費用を出すことに決めました。
彼は遠慮がちに銀行口座の番号を告げ、いつ会いに来るかまで約束しました。ところが指定された口座に振り込んだ瞬間から、ぱったり連絡が取れなくなったのです。Facebookの履歴まで消されて彼は消えました。送った50万円は、私にとって決して安い金額ではありません。
前章の手口との対応:④会いに行くための渡航費を求める
一度も会わないまま送金した、国際ロマンス詐欺の典型例です。ビデオ通話をしていたことが安心材料になっていますが、警察庁は「SNS上に公開された写真や翻訳アプリ、AIなどを利用すれば、誰でも簡単に他人になりすますことができ、本人の音声、動画を作ることができてしまいます」と注意を促しています。ビデオ通話をしたことは、本人であることの証明になりません。
SNSやマッチングアプリを通じた詐欺の手口については「マッチングアプリ詐欺女の手口と特徴!投資詐欺や結婚詐欺に注意」でも具体的な事例を紹介しています。
国際ロマンス詐欺かどうかを見分ける5つのチェックポイント
やり取りしている相手が国際ロマンス詐欺かどうかは、感情ではなく手順で確かめます。一つでも引っかかる点があれば、送金の前に立ち止まってください。
プロフィール写真を逆画像検索にかける
国際ロマンス詐欺を疑ったとき最初に試すべきは、相手の写真がインターネット上のどこかから持ってこられたものでないかの確認です。Googleの画像検索で写真をアップロードすると、同じ画像が使われているページを探せます。
別人のSNSやストックフォトがヒットしたら、実在の人物へのなりすましの可能性が高いといえます。ただしヒットしなかったからといって本人だとは限りません。生成AIで作られた画像は元になるページが存在しないため、逆画像検索では検出できないからです。この手順は「クロを見つける」ためのもので、「シロを証明する」ためのものではありません。
その場で答えが必要な質問に応じるか見る
本人確認の手がかりになるのは、事前に用意できない質問です。今そちらの窓から何が見えるか、今日のニュースをどう思うか、といったリアルタイムの反応を求める問いかけが有効です。
前述のとおり、国際ロマンス詐欺ではビデオ通話に応じたことも本人確認になりません。確かめるべきは、ビデオ通話に応じたかどうかではなく、回線が悪い、仕事中だという断りが何度も返ってきていないかです。理由に説得力があるかは関係ありません。応じられない状態が続くこと自体が答えです。
お金の話が出たら理由の中身を問わず疑う
警察庁は「実際に会ったことがない人からお金の話をされたら要注意」とし、一つでも当てはまればお金を振り込む前に警察へ相談するよう呼びかけています。
ここで大切なのは、理由がもっともらしいかどうかで判断しないことです。国際ロマンス詐欺で使われる税関、違約金、保釈金、家族の治療費といった口実は、どれも「断りにくい理由」として設計されています。理由の説得力を検討し始めた時点で、相手の土俵に乗っています。判断の基準は理由の中身ではなく、「一度も会っていないか」「送金先が本人名義か」という形式面に置いてください。
「誰にも言わないで」と口止めされていないか振り返る
二人だけの秘密にしよう、家族には話さないでほしい。こうした口止めは、被害者を孤立させて第三者の冷静な判断を遮断する、国際ロマンス詐欺の常套手段です。
自分では気づきにくいので、次の形で確認してください。この関係について、家族や友人に一度も具体的に話していないなら、それは自分で選んだのか、相手にそう仕向けられたのか。後者であれば、それだけで警戒に値します。
狙われやすい状況に自分が置かれていないか確かめる
国際ロマンス詐欺の被害に遭いやすいのは、性格の問題ではなく状況の問題です。実際の相談から見えてくるのは、次のような状況に置かれた方がターゲットにされやすいという傾向です。
- 結婚を急いでおり、周囲からもプレッシャーを受けている
- 相談できる相手が身近におらず、孤独を感じている
- 外国人との交際・結婚に憧れがあり、相手を理想化しやすい
- 異性関係に不慣れで、ストレートな愛情表現への免疫がない
- 経済的な余裕があり、少額なら出せてしまう
とくに最後の項目は見落とされがちです。日本人同士の婚活では経済力はアピールポイントになりますが、詐欺師から見れば「回収できる金額の目安」でしかありません。相手が外国人だからと態度の変化に鈍感になると、その隙を突かれます。
国際ロマンス詐欺の被害に気づいたときにすぐすべきこと
おかしいと気づいてからの数日で、その後にできることが変わります。順番に進めてください。
送金を止めて、やり取りの記録を残す
まず、進行中の送金を止め、国内の口座への振込なら金融機関にも連絡します。追加の請求に応じないことはもちろん、「これを払えば取り戻せる」という誘いにも乗らないでください。国際ロマンス詐欺の被害回復をうたって再び金銭を求める二次被害は、この分野で繰り返し報告されています。こうした二次被害の具体的な手口は「詐欺解決をうたう探偵に注意|お金を取り戻す方法も解説」で取り上げています。
同時に、証拠を保全します。振込明細、メッセージのやり取り、相手のプロフィール画面、送られてきた画像、通話履歴を、削除される前にスクリーンショットで保存してください。相手のアカウントが消されると、手元で内容を復元することはできません。
相手との連絡を絶ち、SNSに通報する
問い詰めれば認めるだろう、とは考えないでください。追及された相手は、口実を作り替えて二度目の送金を狙ってきます。返信をやめ、連絡先を断つのが先です。
そのうえで、利用していたSNSやマッチングアプリの運営に通報し、アカウントをブロックします。通報は他の国際ロマンス詐欺の被害を防ぐことにもつながります。
警察と消費生活センターに相談する
警察には、最寄りの警察署のほか、都道府県警察本部のサイバー犯罪相談窓口があります。緊急でない相談は警察相談専用電話「#9110」でも受け付けています。
消費生活に関する相談は、消費者ホットライン「188」で最寄りの消費生活センターにつながります。
国際ロマンス詐欺は立件が難しく、警察が被害届の受理に慎重になることもあります。その場合も、時系列を整理した資料を持参して粘り強く求めてください。警察が動きにくい具体的な理由や、それでも被害届を求める際の進め方については「詐欺で警察が動かない4つの理由|民事不介入と動いてもらう方法」をご参照ください。
国際ロマンス詐欺の被害金は取り戻せるのか
結論からお伝えすると、国際ロマンス詐欺の被害金は、被害回復が極めて難しい類型とされています。第一東京弁護士会も、被害を回復できない可能性が高く、弁護士に依頼しても費用倒れになる可能性が高いと公表しています。
ごくまれに、加害者の身元が国内で特定でき、口座の凍結や刑事事件化を通じて回収できた事例もあります。実際の回収例は「国際ロマンス詐欺で騙し取られた400万円を全額回収した事例」でご覧いただけますが、これはあくまで例外的なケースです。
なぜ難しいのか、理由を3つに分けて説明したうえで、弁護士に依頼する前に確認しておきたい点にも触れます。理由を知っておくことは、二次被害を持ちかけてくる業者を見分けることにもつながります。
口座を凍結しても戻らないことが多い理由
国際ロマンス詐欺の被害では、振り込め詐欺救済法(犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律)に基づき、送金先の口座を凍結し、そこに残っていたお金を被害者で分け合う手続きがあります。この分け合うお金を被害回復分配金といいます。制度の概要は金融庁のページで確認できます。
ただし第一東京弁護士会が説明しているとおり、犯罪に使われた口座は振り込まれるとすぐに出金されることが多く、凍結しても残高がほとんどない例が目立ちます。他にも被害者がいれば分配になるため、預金の全額が自分の被害回復に充てられるとも限りません。
弁護士会照会でも加害者にたどり着けないことがある
弁護士会照会(弁護士法23条の2に基づき、弁護士会を通じて銀行などに情報の開示を求める手続き)や、訴訟・民事調停での調査嘱託(裁判所から銀行などに照会してもらう手続き)を使えば、送金先口座の名義人を特定できる場合があります。
問題は、その名義人が国際ロマンス詐欺を行った本人とは限らないことです。犯罪による収益の移転防止に関する法律や銀行約款で口座の譲渡は禁じられていますが、実際には銀行に無断で譲渡された別人名義の口座が使われることが多く、名義人を特定しても加害者本人には届きません。しかも口座を売るほど資力のない方であることがほとんどで、責任を追及しても回収は期待できないのが実情です。
暗号資産で送った場合の追跡の限界
国際ロマンス詐欺で暗号資産を送金した場合、送金先アドレスから移転先を追うことは技術的には可能です。しかし第一東京弁護士会は、指定されたアドレスを調査しても加害者を特定するのは極めて困難であり、調査会社に依頼すれば費用もかかると説明しています。
仮に特定できても、海外に居住する外国人であることが多く、回収は困難を極めます。前述のとおり令和7年は暗号資産で送らせる形態が急増し、被害総額の約5割を占めるまでになりました。この形態が増えていること自体が、回収の難しさを押し上げています。
弁護士に依頼する前に確認しておきたいこと
国際ロマンス詐欺の被害回復にかかる弁護士費用には一律の基準がなく、弁護士ごとに決められています。第一東京弁護士会は、費用倒れにならないかを含めて納得するまで話し合うよう案内しています。
同会が挙げている注意点のうち、実務上とくに重要なのは次の点です。不特定多数に向けて大々的な広告をしているのに、その広告で集まる依頼者に対応できるだけの弁護士がおらず、弁護士が個々の事件を把握できない事務所には、依頼を勧められません。口座凍結や弁護士会照会をしても被害回復ができるとは限らないというリスクを、依頼前に十分説明しているかどうかも判断材料になります。
Q6 弁護士に頼めば国際ロマンス・投資詐欺の被害回復はできますか?
A6 国際ロマンス・投資詐欺は、一般的に、被害回復が極めて難しい類型とされており、被害を回復することができない可能性が高いとされています。
そのため、新たに弁護士に依頼しても、その弁護士への支払分も回収できずに、費用倒れになる可能性が高いとされています。
依頼に当たっての見込みや可能性については、依頼を検討されている弁護士と十分に話し合ってください。
依頼した場合の費用感は「詐欺被害の弁護士費用と相場|費用倒れを防ぐ方法も解説」が参考になります。
国際ロマンス詐欺の被害でお悩みの方は弁護士にご相談ください
国際ロマンス詐欺は、恋愛感情という断りにくい入口を使う手口です。この記事で見てきたとおり、送金先の追跡も相手の特定も難しく、弁護士が介入しても回収に至らないケースが大半を占めます。
それでも、動く時期によってできることは変わります。国内の口座に振り込んだ直後であれば凍結が間に合うことがありますし、相手の所在が日本国内だとわかれば請求の道も残ります。反対に、時間が経つほど選択肢は狭まります。
「騙された自分が悪い」と責めてしまう方は少なくありません。ですが、国際ロマンス詐欺は役割を分担したプロによる犯行であり、あなたの落ち度ではありません。すでに送ってしまった方、相手と連絡が途絶えてしまった方は、一人で抱え込まないでください。
当事務所は詐欺被害の返金交渉を数多く扱ってきました。回収が難しいケースにはその旨を率直にお伝えし、費用倒れになる見込みであれば依頼をお勧めしません。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
詐欺被害の返金交渉に豊富な実績を持つ。一般社団法人 詐欺・不当要求対策協会の代表理事として、詐欺被害の撲滅に向けた研究・啓発活動にも取り組んでいる。投資詐欺、情報商材詐欺、占い詐欺など多様な手口に精通し、被害者の大切なお金を取り戻すために迅速に行動する。警察が動かないケースでも、弁護士による返金交渉や刑事告訴で解決に導いている。

