
「やり取りしている相手は、国際ロマンス詐欺ではないか」と不安を感じている方へ、先に結論をお伝えします。一度も会っていない相手からお金の話が出たら、理由が何であれ、その時点で送金を止めてください。
すでに送ってしまった方にも、今からできることはあります。この記事では、詐欺被害の返金交渉を数多く扱ってきた弁護士が、次の点について解説します。
- 国際ロマンス詐欺のよくある5つの手口
- 一度も会わずに送金してしまった被害事例
- 相手が詐欺かどうかを見分ける方法
- 詐欺の被害に気づいたときの対処法
お読みいただくことで、いまの相手を疑うべきか、送ってしまった場合に何をすべきかを判断できます。
なお、ロマンス詐欺の被害についてお悩みの方は、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談へお気軽にご連絡ください。地域を問わずご相談を承っています。
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国際ロマンス詐欺とは
国際ロマンス詐欺とは、マッチングアプリやSNSで知り合った外国人(を名乗る相手)が、恋愛感情や結婚への期待を抱かせ、さまざまな名目でお金を送らせる詐欺のことです。
警察庁は相手が日本人を名乗る事案も含めて「SNS型ロマンス詐欺」として集計しており、令和7年の認知件数(警察が把握した件数)は5,645件(前年比+47.6%)、被害額は546.4億円(同+36.3%)にのぼりました。男女別では男性3,633件・女性2,012件で、男女とも40代から60代が多くを占めています。
国際ロマンス詐欺が日本人同士の結婚詐欺と違うのは、次の2点です。
- ①一度も会わないまま、お金を送らせることが多い
- ②組織で役割を分担して騙してくることがある
②について、外務省の広域情報は、詐欺師が仲間と組んで友人や弁護士、空港の係官を演じる例を紹介しています。
日本人同士の結婚詐欺については「結婚詐欺師の5つの特徴と見分け方|手口と被害時の対処法」にまとめています。
国際ロマンス詐欺の5つの手口
公的機関が注意を呼びかけている国際ロマンス詐欺の手口を、5つの型に整理しました。いくつかが組み合わされることもあります。
①軍医・国連職員など信用されやすい肩書を名乗る
外務省は国際ロマンス詐欺の典型的な手口として、紛争地で軍医として働いている、国連関連の仕事をしているといった架空の経歴を示しています。こうした経歴なら、会えないことやビデオ通話に出られないことにも、言い訳を用意しておけます。
②知り合った直後に別のアプリへ移そうとする
警察庁は、知り合った直後にLINEなど別のアプリへやり取りを移そうとすることを典型的な手口に挙げ、その場合は詐欺を疑うよう求めています。国際ロマンス詐欺の相手がアプリの外へ移りたがるのは、運営側による監視や通報の仕組みが働きにくくなるためです。LINEなど別のアプリへの誘導は「マッチングアプリ詐欺女の手口と特徴!投資詐欺や結婚詐欺に注意」でも紹介しています。
③荷物や現金を送ると言って通関料を求める
「現金や贈り物を送ったが、税関で止められた。通関料を払えば受け取れる」と持ちかける、国際ロマンス詐欺によくある型です。受け取る側に置かれると、お金を出すことへのためらいが薄れます。要求は1回では終わらず、名目を変えて続きます。
④会いに行くための渡航費や違約金を求める
「乗り継ぎ先で現地の警察に拘束され、保釈金が必要だ」「会いに行く旅費を立て替えてほしい」「仕事の契約を解く違約金がいる」。いずれも外務省が国際ロマンス詐欺の口実として挙げているもので、「もうすぐ会える」という期待とセットで持ち出されます。
⑤「二人の将来のために」と投資に誘う
国際ロマンス詐欺を含むSNS型ロマンス詐欺全体で、いま最も多いのがこの型です。警察庁は、投資の勧誘などでお金をだまし取る手口が約8割としています。利益が出たように見せて入金を重ねさせ、引き出そうとすると手数料や税金を求めて出金させない、という相談が国民生活センターに寄せられています。
令和7年は暗号資産(インターネット上でやり取りされる財産的価値)で送らせる形態が2,177件(前年比+177.0%)・247.7億円と急増しました。これに振込の形で実質的に暗号資産を受け取ったものを合わせると、SNS型ロマンス詐欺の被害額全体の約5割にのぼります。
出典:警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」
一度も会わないまま送金してしまった被害事例
当事務所に寄せられたご相談のなかから、一度も会わないまま送金してしまった、国際ロマンス詐欺の典型といえる事例を、相談者の体験談で紹介します(プライバシー保護の観点から内容を一部加工しています)。
41歳の女性です。私は実際に会ったことのない外国人にお金を騙し取られました。きっかけはFacebookでした。
ジェイソン(仮名)は「日本語を勉強したいので、テレビ電話をしてくれませんか」というメッセージを突然送ってきました。私は英語を話せるようになりたかったので、申し出は嬉しいものでした。
最初は訝しく思っていましたが、何度かビデオ通話で教え合ううちに、その気持ちも忘れてしまいました。回を重ねるうちに私のほうが恋愛感情を抱くようになっていました。
ある日、彼が片言の日本語で「Nさん(私)に会いたいから日本に行ってみたい」「Nさんと結婚したい」と言ってきたんです。嬉しくて、私は渡航費用を出すことに決めました。
彼は遠慮がちに銀行口座の番号を告げ、いつ会いに来るかまで約束しました。ところが指定された口座に振り込んだ瞬間から、ぱったり連絡が取れなくなったのです。Facebookの履歴まで消されて彼は消えました。送った50万円は、私にとって決して安い金額ではありません。
前章の手口との対応:④会いに行くための渡航費や違約金を求める
相談者はビデオ通話を重ねて安心していましたが、警察庁は、SNSの写真や翻訳アプリ、AIを使えば本人そっくりの音声や動画まで作れると注意を呼びかけています。ビデオ通話をしたことは、本人である証明になりません。
国際ロマンス詐欺の見分け方と5つのチェックポイント
国際ロマンス詐欺かどうかは、相手への気持ちではなく手順で確かめます。次の5点のうち一つでも気になる点があれば、送金の前に立ち止まってください。
プロフィール写真を逆画像検索にかける
国際ロマンス詐欺を疑ったら、まず相手の写真をGoogleの画像検索にかけ、同じ画像が使われているページがないか探してください。別人のSNSや素材サイトが見つかれば、なりすましを強く疑ってよいでしょう。ただし、見つからなくても本人だとは限りません。生成AIで作った画像には、元になるページがないからです。
その場で答えが必要な質問に応じるか見る
いま窓から何が見えるか、今日のニュースをどう思うかなど、前もって準備できない質問を投げてみてください。見るべきは答えの中身より、回線が悪い、仕事中だといった断りが続いていないかです。応じられない状態が続くなら、国際ロマンス詐欺を疑う十分な理由になります。
お金の話が出たら理由の中身を問わず疑う
警察庁の注意喚起ページは、会ったことのない人からお金の話が出たら、振り込む前に警察へ相談するよう勧めています。国際ロマンス詐欺では、理由がもっともらしいかどうかで判断しないことが大切です。基準は「一度も会っていない」「送金先が本人以外の名義になっている」という形式面に置き、どちらかに当てはまれば送金しないでください。
「誰にも言わないで」と口止めされていないか振り返る
二人だけの秘密にしよう、家族には話さないでほしい。こうした口止めは、周りの人の冷静な目から被害者を遠ざける、国際ロマンス詐欺の常套手段です。相手とのやり取りを誰にも話していないなら、自分で決めたことか、相手に仕向けられたことかを振り返ってください。
狙われやすい状況に自分が置かれていないか確かめる
国際ロマンス詐欺の被害者になりやすいかは、性格より状況に左右されます。次の状況にある方は注意してください。
- 相談できる相手が身近におらず、孤独を感じている
- 経済的な余裕があり、少額なら出せてしまう
詐欺の被害に気づいたときの対処法
国際ロマンス詐欺だと気づいてから動く早さで、その後にできることが変わります。次の順に進めてください。
送金を止めて、やり取りの記録を残す
まず、手続き中の送金を止め、国内の口座へ振り込んだ場合は振込先の金融機関にもすぐ連絡します。「これを払えば取り戻せる」という追加の請求にも応じないでください。国際ロマンス詐欺の被害回復ができるとうたう広告を見て多額の費用を払ってしまう二次被害についても、第二東京弁護士会が注意を呼びかけています。被害回復をうたう手口は「探偵詐欺で払った費用は取り戻せる?手口と返金を求める方法」でも取り上げています。
振込の明細、メッセージ、相手のプロフィール画面、通話の履歴を、消される前にスクリーンショットで保存してください。
相手との連絡を絶ち、SNSに通報する
問い詰めても、国際ロマンス詐欺の相手は口実を作り直して、もう一度お金を送らせようとすることがあります。返信をやめて連絡を絶ち、使っていたSNSやマッチングアプリの運営に通報したうえで、アカウントをブロックしてください。
警察と消費生活センターに相談する
警察には、最寄りの警察署のほか都道府県警察本部のサイバー犯罪相談窓口があり、緊急でない相談は警察相談専用電話「#9110」でも受け付けています。消費者ホットライン「188」に電話すると、最寄りの消費生活センターなどにつながります。海外に滞在しているときは、滞在先の日本大使館・総領事館にも相談できます。
国際ロマンス詐欺は相手の特定が難しいことから、警察が被害届の受理に慎重になる場合もあります。そのときに備えて、やり取りを時系列にまとめた資料を持参して相談してください。被害届の受理に慎重な場合の対応は「詐欺で警察が動かない4つの理由|民事不介入と動いてもらう方法」で解説しています。
取り戻せる見込みを弁護士に確かめる
送ってしまったお金を取り戻すことは、多くの場合きわめて難しいのが実情です。振り込まれたお金はすぐに移され、口座を凍結(出金を止める措置)しても残っていないことがあります。名義人を突き止めても、その口座が売買された他人名義のもので、実際にお金を受け取った相手にはたどり着けない場合もあります。暗号資産で送った場合や相手が海外にいる場合は、特定も請求もさらに難しくなります。返金請求の手段は「出会い系詐欺の返金は可能?方法と相談先を弁護士が解説」で紹介しています。
一方、相手が国内に住んでいて所在がわかる場合や、国内の口座への振込直後で凍結が間に合った場合には、お金を取り戻せることもあります。
当事務所が全額を回収できた国際ロマンス詐欺の事例も、マッチングアプリで知り合い実際に会ったこともある、国内に住む外国籍の相手の事案でした。
依頼は、回収の見込みと費用の説明を十分に受けてから決めてください。第一東京弁護士会もこの点を呼びかけ、茨城県弁護士会は深夜にすぐ契約を勧められた場合の注意を促しています。費用の目安は「詐欺被害の弁護士費用と相場|費用倒れを防ぐ方法も解説」が参考になります。
国際ロマンス詐欺の被害でお悩みの方は弁護士にご相談ください
国際ロマンス詐欺で送ったお金を取り戻すのは簡単ではありませんが、気づいた時期や送金の方法によって、できることは変わります。
「騙された自分が悪い」と責める必要はありません。相手は役割を分担した組織であることもあり、一人で見抜くのは困難です。送金してしまった後でも、一人で抱え込む必要はありません。
当事務所では、詐欺被害で失ったお金の返還を求める交渉に数多く携わってきました。回収が難しい見込みのときは率直にお伝えし、費用倒れ(回収額より費用がかさむこと)になりそうなら依頼をお勧めしません。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
詐欺被害の返金交渉に豊富な実績を持つ。一般社団法人 詐欺・不当要求対策協会の代表理事として、詐欺被害の撲滅に向けた研究・啓発活動にも取り組んでいる。投資詐欺、情報商材詐欺、占い詐欺など多様な手口に精通し、被害者の大切なお金を取り戻すために迅速に行動する。警察が動かないケースでも、弁護士による返金交渉や刑事告訴で解決に導いている。

