
「浮気相手から慰謝料請求されたが、本当に払う必要があるのか」と、突然の請求に戸惑っている方もいるのではないでしょうか。浮気相手から慰謝料を請求されても、原則として支払義務はありません。
ただし、既婚であることを隠して交際した場合など、例外的に支払いを命じられることもあります。
この記事では、男女トラブルの解決実績が豊富な弁護士が、次の点について解説します。
- 浮気相手に慰謝料を払う義務はあるのか
- 例外的に支払義務が生じうる3つのケース
- 慰謝料請求されたときにとるべき対応
- 請求に応じる前にやってはいけないこと
お読みいただくことで、支払う必要があるのかを見分け、請求への向き合い方を整理できます。
なお、このような請求にお悩みの方は、一人で抱え込まず、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談をご利用ください。地域を問わずご相談を承っています。
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浮気相手から慰謝料請求されても原則として支払義務はない
浮気相手から慰謝料請求されたとしても、法律上は原則として応じる義務はありません。
慰謝料とは、他人の違法な行為によって受けた精神的な苦痛に対して支払われる損害賠償金です。浮気や不倫で問題になるのは、結婚している人が配偶者以外の人と肉体関係を持つ「不貞行為」であり、これによって害されるのは、夫婦が共同生活を平穏に送る利益です。
そのため、慰謝料を求める権利を持つのは、不貞行為によって裏切られた配偶者です。浮気をした本人と不倫相手の2人は、配偶者に対してともに不法行為の責任を負う側にあたり、当事者同士で慰謝料を求め合っても、原則として認められません。
請求してきた浮気相手が、こちらが既婚者だと知りながら交際していた場合は、不法な原因に自ら関わった人の請求を保護しないという民法708条(不法原因給付)の趣旨から、交際や肉体関係を持ったことそのものを理由とする慰謝料請求は、原則として認められません。もっとも、最高裁判所は、妻と別れて結婚すると偽って関係を続けた事案で、関係を持つに至った責任が主に男性にあり、男性側の違法性が女性側の不法の程度より著しく大きいときは、妻がいると知っていた女性の慰謝料請求も認められるとしています(最高裁判所 昭和44年9月26日判決)。
浮気相手からの慰謝料請求が認められる例外的なケース
浮気相手から慰謝料請求されたときに、例外として支払義務が生じうるのは、主に次の3つのケースです。
- ①既婚者であることを隠して交際・肉体関係を持ったケース
- ②妊娠や中絶をめぐる不誠実な対応があったケース
- ③重婚的内縁関係を一方的に破棄したケース
このほか、暴力や脅迫によって性的な関係を強いた場合も、慰謝料の対象になります。また、既婚と知っていた相手でも、前述の最高裁判決の条件にあたる場合は、支払いを命じられることがあります。
①既婚者であることを隠して交際・肉体関係を持ったケース
貞操権とは、誰と性的な関係を持つかを自分の意思で決める権利のことです。
既婚であることを隠し、独身だと信じさせて肉体関係を持った場合、相手から「結婚している人だと知っていれば関係を持たなかった」と主張され、それが認められると、この貞操権の侵害にあたり、慰謝料を支払う責任を負うことがあります。
交際期間の長さや、結婚をほのめかしていたかどうか、相手が妊娠中絶に至ったかどうかは、浮気相手から慰謝料請求されたときに支払う金額を左右する事情になります。
◆貞操権侵害により慰謝料70万円が認められた裁判例
独身であると偽った男性が、2人の女性(原告A・B)とそれぞれ交際していた事案です。裁判所は精神的苦痛を認めつつ、交際期間が短かった点を踏まえ、慰謝料70万円が相当と判断しました(東京地裁 令和5年2月1日)。
②妊娠や中絶をめぐる不誠実な対応があったケース
浮気相手から慰謝料請求されたとしても、相手が妊娠したことや、話し合ったうえで中絶を選んだこと自体は、支払義務の根拠にはなりません。
問題になるのは、次のように相手に向き合わず、心身の負担を一方的に負わせた場合です。こうした場合は、不誠実な対応として慰謝料の対象になりえます。
- 妊娠を告げられた後、話し合いを拒んで連絡を絶った
- 中絶を強要したり、威圧的な態度で決断を迫ったりした
- 中絶費用や体調への配慮など、負担を分かち合おうとしなかった
相手が出産を選んだ場合は、慰謝料とは別に、子の認知(父親が法律上の親子関係を認めること)や養育費が問題になります。認知は子の側から訴えで求められることがあり、認知が成立すれば、養育費の支払義務を負います。くわしくは彼女を妊娠させてしまったら?中絶費用・認知・養育費はどうなる?をご覧ください。
③重婚的内縁関係を一方的に破棄したケース
内縁関係とは、婚姻届を出していないものの、夫婦同然の生活を送っている関係のことです。このうち、一方が法律上の配偶者を持ちながら別の相手と内縁関係にある状態を、重婚的内縁関係といいます。
重婚的内縁関係は原則として法的な保護を受けにくいものの、法律上の夫婦関係がすでに事実上破綻している場合には、例外的に保護されることがあります。夫婦同然の生活の実態があるかどうかは、同居や生活費の分担などから個別に判断されます。
このように保護される内縁関係を一方的に解消したり、別の異性と交際を始めたりした後に浮気相手から慰謝料請求されたときは、不法行為として支払いを命じられる場合があります。
浮気相手から慰謝料請求されたときの対応
浮気相手から慰謝料請求されたときは、慌てて支払う前に、次の3つを押さえて対応を考えましょう。
- ①請求の理由と証拠を確かめる
- ②相手と話し合い、合意は示談書に残す
- ③弁護士に相談して交渉を任せる
①請求の理由と証拠を確かめる
まずは、浮気相手から慰謝料請求された理由として、相手が何を挙げているのかを確かめます。既婚であることを隠していた、妊娠・中絶の際に不誠実だったなど、例外のケースにあたる主張でなければ、支払う義務は原則としてありません。
例外にあたる主張であっても、それを裏付ける証拠があるかどうかが重要です。相手は、こちらが独身だと伝えていたLINEやメール、妊娠がわかった時期のやり取りなどを、証拠として示してくることがあります。
②相手と話し合い、合意は示談書に残す
浮気相手から慰謝料請求された理由に心当たりがあり、相手も落ち着いて話せる状態なら、話し合いで解決する方法もあります。
話がまとまったら口約束で済ませず、支払う金額と方法、今後お互いに連絡を取らないこと、ほかに金銭を請求しないことなどを示談書(話し合いで合意した内容をまとめた書面)に残しておきましょう。内容があいまいなままだと、あとから請求を蒸し返されかねません。署名する前に、内容を弁護士に確認してもらうと安心です。
③弁護士に相談して交渉を任せる
浮気相手から慰謝料請求された後、相手が感情的で話し合いにならない場合や、根拠のはっきりしない高額な金銭を求められている場合は、弁護士に相談してください。
弁護士が代理人になれば、相手と直接やり取りする必要がなくなり、支払義務があるかどうかの見通しを踏まえて交渉を進められます。すでに調停や訴訟を起こされている場合は、なるべく早く相談しましょう。
浮気相手が弁護士を立てて通知書を送ってきた場合の対応は、弁護士からの通知書が届いたら?無視のリスクと取るべき対応もご参照ください。
請求に応じる前にやってはいけないこと
浮気相手から慰謝料請求されたときに次の2つをすると、かえって不利になるおそれがあります。
- 請求や通知書を無視して放置する
- その場で支払いを約束したり、相手が用意した書面に署名したりする
支払義務がないと考えられる場合でも、請求を無視し続けると、相手が訴訟に踏み切ることがあります。訴えられたのに反論せず期日にも出なければ、相手の言い分どおりの判決が出るおそれがあります。
反対に、責められた勢いで支払いを約束したり、相手が用意した書面に署名したりすると、あとから撤回するのは難しくなります。
請求に応じなかったことなどをきっかけに、無言電話や待ち伏せ、SNSでの中傷などの嫌がらせに出る相手もいます。その場合は、一人で抱え込まず、警察や弁護士に相談してください。嫌がらせの中でも「会社にばらす」と言われている場合の進め方は、浮気(不倫)を会社にバラされた時の5つの適切な対処法を解説で解説しています。
浮気相手からの慰謝料請求で悩んだら弁護士へ相談を
例外のケースにあたらない限り、浮気相手から慰謝料請求された場合でも、支払わなくてよいのが原則です。
ただ、例外にあたるかどうかは、交際の経緯や相手の主張、証拠によって変わります。弁護士が間に入れば、支払義務の有無を見極めたうえで、交渉から示談書の作成まで任せられます。
交際していた相手から責められる状況は、精神的にも大きな負担です。「配偶者や職場に知られる前に終わらせたい」という方も、早めにご相談ください。
当事務所では、男女トラブルを数多く扱ってきた弁護士が、周囲に知られないよう配慮しながら解決にあたります。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
不倫慰謝料、婚約破棄、妊娠トラブル、パパ活トラブル、元交際相手からのつきまといなど、男女トラブルのご相談に力を入れて取り組む。慰謝料を請求する側・請求された側のどちらのご相談も、お話を丁寧に伺ったうえで、相手方との交渉や調停・訴訟など状況に応じた手段を検討する。「家族や職場に知られたくない」といった事情にも配慮して対応している。











