
日本の罪を重い順に並べたとき、頂点に立つのは殺人罪ではありません。条文に死刑しか書かれていない罪が、たったひとつだけ存在します。
「日本で一番重い罪は何なのか」「殺人より重い罪なんてあるのか」と気になって調べてみたものの、記事によって書いてあることが違う、と感じた方もいるのではないでしょうか。死刑になる罪の数が「12種類」と書かれていたり「19種類」と書かれていたりするのは、刑法だけを数えるか、特別法まで含めて数えるかで変わるためです。
この記事では、刑事事件の解決実績が豊富な弁護士が、法定刑(法律があらかじめ定めている刑の範囲)をもとに、次の点を解説します。
- 日本の罪を重い順に並べたランキング
- 死刑になる罪19種類の一覧
- 2番目に重い罪と殺人より重い罪
- 実際に死刑判決が出ている罪
なお、ご家族が重い罪に問われてお悩みの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談へお気軽にご連絡ください。
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日本で重い罪ランキング
日本の罪の重さは、その罪に定められた法定刑で決まります。極刑とも呼ばれる死刑を法定刑に含む罪、いわば日本で重い罪の上位を占めるグループは全部で19種類あり、それらを重い順に並べると次のようになります。
| 順位 | 罪名 | 法定刑 | 根拠条文 |
| 1位 | 外患誘致罪 | 死刑(死刑のみ) | 刑法81条 |
| 2位 | 内乱罪(首謀者) | 死刑または無期拘禁刑 (有期刑を選べない) |
刑法77条1項1号 |
| 汽車転覆等致死罪 | 刑法126条3項 | ||
| 往来危険による汽車転覆等致死罪 | 刑法127条 | ||
| 強盗致死罪(強盗殺人罪) | 刑法240条後段 | ||
| 強盗・不同意性交等致死罪 | 刑法241条3項 | ||
| 航空機強取等致死罪 | ハイジャック防止法2条 | ||
| 人質殺害罪 | 人質強要処罰法4条 | ||
| 海賊行為致死罪 | 海賊対処法4条 | ||
| 3位 | 爆発物使用罪 | 死刑または無期もしくは7年以上の拘禁刑 | 爆発物取締罰則1条 |
| 航空機墜落等致死罪 | 航空危険行為処罰法2条3項 | ||
| 4位 | 組織的な殺人罪 | 死刑または無期もしくは6年以上の拘禁刑 | 組織的犯罪処罰法3条1項7号 |
| 5位 | 現住建造物等放火罪 | 死刑または無期もしくは5年以上の拘禁刑 | 刑法108条 |
| 激発物破裂罪 | 刑法117条1項・108条 | ||
| 水道毒物等混入致死罪 | 刑法146条後段 | ||
| 殺人罪 | 刑法199条 | ||
| 決闘殺人罪 | 決闘罪ニ関スル件3条 | ||
| 6位 | 現住建造物等浸害罪 | 死刑または無期もしくは3年以上の拘禁刑 | 刑法119条 |
| 7位 | 外患援助罪 | 死刑または無期もしくは2年以上の拘禁刑 | 刑法82条 |
同じ順位に複数の罪が並んでいるのは、法定刑がまったく同じで、条文上は優劣をつけられないためです。
なお、拘禁刑は2025年6月1日の改正刑法の施行により、それまでの懲役刑と禁錮刑を一本化した刑です。罪ではなく刑罰そのものの序列(死刑から科料まで)については、日本の刑罰は6種類|死刑・拘禁刑・罰金など内容と違いを解説で一覧にまとめています。
罪の重さは法定刑の上限と下限で決まる
刑の重さの比べ方は、刑法10条が定めています。まず刑の種類で比べ、上限が同じ場合は下限(短期)が長いほうを重い刑とする、という考え方です。
この記事のランキングも、次の2段階で並べています。
- 1段階目:選べる刑が重いほど上位(死刑のみ>死刑か無期のみ>死刑・無期・有期)
- 2段階目:有期刑を選べる罪どうしは、下限が長いほうが上位(7年以上>6年以上>5年以上)
選べる刑の幅が狭いほど、裁判官が軽い刑を選ぶ余地がなくなります。つまり「重い罪」とは、法律が裁判官から手加減の自由を奪っている罪だといえます。
1位の外患誘致罪は法定刑が死刑だけ
日本で最も重い罪として1位に立つのが、外患誘致罪です。外国と通じて日本に武力を行使させる罪で、条文には死刑しか書かれていません。
(外患誘致)
第八十一条 外国と通謀して日本国に対し武力を行使させた者は、死刑に処する。引用:刑法|e-Gov法令検索
日本の犯罪で、法定刑が死刑ひとつしかないのは外患誘致罪だけです。条文が用意している刑は死刑だけで、無期拘禁刑や有期の拘禁刑は選択肢に入っていません。心神耗弱や自首、酌量減軽といった刑を軽くする事情が認められない限り、判決は死刑になります。
もっとも、外患誘致罪が現在の刑法のもとで適用された例は一件もありません。外国と通謀して日本に武力を行使させたと認定された事案が、これまで存在しないためです。成立要件や過去に適用が議論された事案については、法定刑が死刑のみの外患誘致罪とは?過去の適用実例や判例はなしで詳しく解説しています。
2番目に重い罪は死刑か無期しか選べない罪
「外患誘致罪の次に重い罪は何か」という疑問には、法定刑から明確に答えられます。2番目に重いのは、死刑と無期拘禁刑の二択しかなく、有期の拘禁刑を選べない罪です。次の8つがこれにあたります。
- 内乱罪(首謀者)
- 汽車転覆等致死罪
- 往来危険による汽車転覆等致死罪
- 強盗致死罪(強盗殺人罪)
- 強盗・不同意性交等致死罪
- 航空機強取等致死罪
- 人質殺害罪
- 海賊行為致死罪
ここで注目したいのが、よく「日本で最も重い罪」と誤解される殺人罪の位置です。殺人罪の法定刑は死刑・無期拘禁刑・5年以上の拘禁刑で、有期の拘禁刑を選ぶことができます。一方、強盗致死罪は死刑か無期拘禁刑の二択です。
つまり強盗致死罪や内乱罪は、法定刑の上では殺人罪より重い罪ということになります。人が死亡したという点は同じでも、強盗という手段が加わることで、法律は裁判官から有期刑の選択肢を取り上げているのです。強盗致死罪と強盗殺人罪がどう違うのかは、強盗致死罪・強盗殺人罪とは?その違いと未遂の処罰について解説をご覧ください。
死刑になる罪は19種類ある
法務省の資料「死刑を法定刑に定める罪」によれば、日本で死刑が定められている罪は19種類です。内訳は刑法に12罪、特別法に7罪となります。
なお、この数え方は数える範囲によって変わります。「12種類」と説明されている場合は刑法だけを数えたもので、特別法を含めれば19種類になります。
刑法で死刑が定められた12の罪
刑法のなかで死刑を定めているのは、次の12の罪です。
- 内乱罪(首謀者・77条1項1号)
- 外患誘致罪(81条)
- 外患援助罪(82条)
- 現住建造物等放火罪(108条)
- 激発物破裂罪(117条1項・108条)
- 現住建造物等浸害罪(119条)
- 汽車転覆等致死罪(126条3項)
- 往来危険による汽車転覆等致死罪(127条)
- 水道毒物等混入致死罪(146条後段)
- 殺人罪(199条)
- 強盗致死罪(240条後段)
- 強盗・不同意性交等致死罪(241条3項)
並べてみると、国家の存立を脅かす罪(内乱・外患)、多数の人命を一度に奪いうる罪(放火・浸害・爆発・列車転覆・水道毒物)、そして人を死亡させた罪(殺人・強盗致死など)の3つに分かれることがわかります。このうち内乱罪がどのような行為で成立するのかは、内乱罪とは?構成要件・刑罰・過去の事例をわかりやすく解説で紹介しています。
強盗・不同意性交等致死罪は、2023年の刑法改正まで強盗・強制性交等致死罪と呼ばれていた罪です。古い記事では旧名称のまま記載されていることがあります。
特別法で死刑が定められた7つの罪
刑法以外の法律にも、死刑を定めた罪があります。次の7つです。
| 罪名 | 根拠となる法律 | どんな行為か |
| 爆発物使用罪 | 爆発物取締罰則1条 | 治安を乱す目的などで爆発物を使う |
| 組織的な殺人罪 | 組織的犯罪処罰法3条1項7号 | 団体の活動として組織的に人を殺す |
| 航空機強取等致死罪 | ハイジャック防止法2条 | 航空機を乗っ取り、人を死亡させる |
| 航空機墜落等致死罪 | 航空危険行為処罰法2条3項 | 航空機を墜落させるなどして人を死亡させる |
| 人質殺害罪 | 人質強要処罰法4条 | 人質を取って要求し、その人質を殺害する |
| 海賊行為致死罪 | 海賊対処法4条 | 海賊行為によって人を死亡させる |
| 決闘殺人罪 | 決闘罪ニ関スル件3条 | 決闘によって相手を死亡させる |
組織的な殺人罪は、1999年に制定された組織的犯罪処罰法で新しく設けられた罪です。決闘殺人罪の根拠となる決闘罪ニ関スル件は1889年(明治22年)に制定された法律で、現在も効力を持っています。
一般の事件で死刑になりうるのは殺人・放火・強盗致死
19種類のうち、内乱や外患、ハイジャック、海賊行為といった罪は、日常の事件で問題になることがまずありません。実際の刑事事件で死刑が視野に入るのは、主に次の3つの罪です。
- 殺人罪:殺意をもって人を死亡させた場合に成立する
- 現住建造物等放火罪:人が住んでいる、または人がいる建物などに放火した場合に成立する
- 強盗致死罪(強盗殺人罪):強盗の機会に人を死亡させた場合に成立する
殺人罪で問われるのは、殺すつもりがあったかどうか(殺意の有無)です。過失によって人を死亡させた場合は殺人罪にはならず、過失致死罪などが成立します。殺人罪が成立する条件を詳しく知りたい方は、刑法199条の殺人罪とは?構成要件・刑罰・関連する罪の種類が参考になります。
現住建造物等放火罪に死刑が定められているのは、放火が結果として多数の人命を奪う危険を持つためです。誰も住んでおらず、人もいない空き家などへの放火(非現住建造物等放火罪)には死刑の定めがありません。なお、住人が留守にしていただけの住宅は「現に人が住居に使用している建物」にあたるため、現住建造物等放火罪が成立します。
死刑になる罪は多いが死刑判決はごくわずか
法定刑に死刑がある罪が19種類あるからといって、その19種類で死刑判決が出ているわけではありません。
法務省の令和7年版犯罪白書によれば、最近10年間の通常第一審(略式手続によらない通常の刑事裁判の第一審)で死刑が言い渡されたのは、殺人罪・強盗致死罪・強盗・不同意性交等致死罪の3つの罪に限られています。
つまり、法律上は19種類の罪に死刑が用意されていても、現実に死刑判決が出ているのは、人の生命が奪われた罪だけということになります。内乱罪や外患誘致罪はもちろん、水道毒物等混入致死罪でも、この10年間に死刑判決は出ていません。なお、放火によって多数の死者が出た事件で死刑が言い渡されることはありますが、統計上は殺人罪として計上されています。
言い渡された人数もわずかです。2015年から2024年までの10年間に、通常第一審で死刑を言い渡されたのは合計26人でした。1年あたり平均2〜3人という水準で、2022年は0人、直近の2024年は3人です。
また、これらの罪で起訴されれば必ず死刑になるわけでもありません。量刑(言い渡される刑の重さ)は、犯行の動機、計画性、手口の残虐さ、被害者の数、遺族の被害感情、被告人の反省の程度といった事情を総合して判断されます。同じ殺人罪でも、無期刑や有期刑にとどまる判決のほうが圧倒的に多いのが実態です。実際、2024年に無期懲役が言い渡されたのは22人で、同じ年の死刑(3人)の7倍を超えています。
ただし、罪を犯したとき18歳未満だった場合は、死刑にあたる事件であっても無期刑が科されます(少年法51条1項)。18歳・19歳は特定少年として扱われ、死刑判決の対象になり得ます。
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罪の重さは条文に書かれた刑の幅で決まり、その頂点に立つのが外患誘致罪でした。もっとも、現実の刑事事件で死刑が視野に入るのは、殺人罪・現住建造物等放火罪・強盗致死罪といった、人の生命に関わる罪に限られています。
これらの罪は、選びうる刑が死刑にまで及びます。だからこそ、動機や経緯、被害者側との示談、本人の反省といった一つひとつの事情をどう主張し、証拠として積み上げるかが、判決を大きく左右します。弁護士が早期に関与できるかどうかで、結論が変わりうる領域です。
ご家族が重い罪の疑いで身柄を拘束されると、面会もままならないまま時間だけが過ぎ、何をすればよいのか分からないという不安に襲われます。すでに逮捕されている場合や、警察から呼び出しを受けている場合は、時間の余裕がありません。
弁護士法人若井綜合法律事務所は、重大事件を含む刑事事件を数多く取り扱ってきました。逮捕直後から弁護士が迅速に動き、依頼者の不利益を最小限に抑えるため全力を尽くします。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

