ヤクザから借金後に数百万円請求されるも支払わず関係を清算した事例

※本記事は当事務所が実際に解決した事例をもとに作成しています。依頼者のプライバシー保護のため、氏名・年齢・具体的な状況等については一部変更を加えています。

1. 事案の概要(相談前の状況)

依頼者:Aさん(20代男性・自営業)
状況:反社会的勢力に属する人物から高額な請求を受けている

Aさんは、地方都市で飲食店を経営しており、幅広い人脈を有しておりました。

ある時、事業に用いるお金が不足したことから、知り合いの伝手を頼り、とある人物からお金を借りたところ、その人物はいわゆるヤクザであったことが後に分かりました。

借りたお金についてはきちんと返済をしましたが、利息を含む様々な名目でさらに支払うよう強く請求を受け、怖くなったAさんは、借り入れた金額の3倍を超える金額を支払わされておりました。

また、その後も数百万円の根拠不明のお金を支払うよう請求を受けているという状況にありました。

支払いができずにいると、自宅や経営している店舗、実家などに相手方やその関係者と思われる人物が訪問してきたことから、身の危険を感じたAさんは最寄りの警察署に被害相談に行きました。

しかしながら、相手方の行為を裏付ける十分な証拠がなかったことから、警察では何ら対応をしてもらえず、困り果てて弊所に相談に来ました。

2. 弁護士の対応と解決への流れ

Aさんは、当初、警察に対して不信感を持っていました。

証拠が無く、事件として捜査できないことはやむを得ないとAさんは分かっていましたが、反社会的勢力に属する人物が暴利を貪り、さらにお金を支払わせるために自宅や実家、職場を頻繁に訪問しているにもかかわらず、警察からは警告の一つもしてくれないという点に納得が行かないようでした。

それでもいわゆるヤクザが相手方となる事案では、警察との連携なく対応を進めることは危険であるため、警察でも証拠が無ければ対応が難しい点を説明し、一度、当職が過去に相談したことのある組織犯罪対策課の刑事Bに話を聞いてもらうことを提案しました。

相手方の身元に関する情報や時系列で事実関係を整理した資料を持参のうえ、Aさんとともに刑事Bを訪問すると、親身になって相談を聞いてくれました。

刑事Bからは、現時点では証拠が十分でなく刑事事件として対応することは難しいとの回答はあったものの、今後、どういった事実があり、その点を裏付けるどのような証拠があれば事件として進めることができるかの詳しい説明がありました。

また、所轄の警察署の組織犯罪対策課に連絡のうえ、パトロールの強化を要請するとともに、不測の事態に陥った場合には迅速に対応するよう連絡をしてくれました。

さらに、所轄は違うものの、今後、困ったことがあればいつでも相談を受けると仰ってくださいました。

刑事Bの話を聞いて、Aさんも少し落ち着きを取り戻し、毅然とした態度で相手方との関係を清算する気持ちを固めるに至りました。

上記のとおり、刑事事件として対応することがすぐには出来なかったため、Aさんは弁護士を介して相手方との関係を清算することを希望し、当職でご依頼をお受けすることになりました。

なお、相手方の属性を考えると、過去の過払い部分を返金するよう請求しても、素直に返してくるとは思えず、証拠が無いことから訴訟も現実的ではないため、現時点で請求されている金銭の支払を拒みつつ、関係を解消するという点をメインの目的として対応していくことを確認しました。

ご依頼をお受けしてすぐに、相手方に連絡をして、全ての対応窓口が当職であることを伝えました。

相手方は弁護士が介入したことに反発しましたが、本件は警察にも相談のうえ連携を取っていることを伝えると、渋々当職とのやり取りを受け入れました。

また、当方は相手方に対して過払い金があると認識していること、少なくとも現在残っている金銭請求には応じかねることを伝えたところ、相当強く反発をしましたが、当方に支払義務があると証拠をもって確認できない金銭を支払うことは一切できないと伝えると、これ以上の請求については諦めたようでした。

ただ、相手方から、Aさんに預けているものがあるので返還して欲しい、それが返還されればこれ以上関わらない、物の返還は直接持参して欲しいという要望がありました。

Aさんに確認をすると、たしかに預かっているものがあるとのことだったので、返還を進めることとなりました。

当然のことながら、Aさんを直接行かせることはできないため、当職が地方都市まで物の返還に行きました。

相手方は複数名で待ち合わせ場所に来て、若干威圧してくるような場面もありましたが、無事に物を返還したうえ、Aさんとの間で関係を清算する旨の合意書を取り交わすこともできました。

3. 解決結果と弁護士のコメント

請求額:相手方からの数百万円の請求があったが、支払わず終件
その他:相互に関わりを持たないようにすることを約し、相手方との関係を清算した

弊所では数多くの不当要求の事案に対応してまいりましたが、いわゆるヤクザなど反社会的勢力に属する人物を相手方とするご相談・ご依頼は少なくなってきた印象があります。

警察からの締め付けが厳しいヤクザなどが、前面に出てくることを控え、半グレや一般人を窓口にして事件に関与している可能性はあります。

また、ヤクザであると疑われるような相手方であっても、必ずしも裏付けを確実に取れるという訳ではないため、実は反社会的勢力に属する人物であったが確認できなかったというケースもあるのかもしれません。

いずれにせよ、そのような傾向がある中、本件は、相手方が組織に所属していることが明確に把握できる昨今では珍しい事案でした。

ヤクザを相手方とするケースについて、弊所では必ず警察と連携を取るようにしております。こうしたヤクザを相手方とするケースでの具体的な対処法や相談先については「ヤクザとトラブルになって脅された場合の対処法と頼れる相談先」もあわせてご参照ください。

過去にも複数、組織犯罪対策課と連携のうえ、暴力団対策法上の中止命令を活用するなど、相手方の特性に合った手段を講じつつ、依頼者やその家族の安全確保を図りながら対応をしてまいりました。

本件のように、刑事事件としての対応や中止命令を活用することが難しい場合であっても、必ず警察との連携は取って行くべきです。

物理的な防御を図るためには警察の協力が必要になりますし、迅速な対応を要請するためにも被害相談を行い、継続的に情報を提供しておく必要があります。

本件では、請求を受けていた数百万円の支払は回避し、関係を遮断することに成功しましたが、過払い金の返還請求はしませんでした。

事例説明の部分でも触れましたが、ヤクザを相手方にして、お金を回収することは一般的にかなりハードルが高いと言えます。

十分な証拠が残っていない(書面を作成するようなことはしません。相手方は常に証拠に残されないか警戒しています)、資産があったとしてもうまく隠匿しており、訴訟などのスタンダードな方法での回収は困難である、そもそも法的理屈を説明しても取り合わないといったことが理由として挙げられます。

そのため、現実的な落としどころを考えるのであれば、本件のように、今後の関わりを解消するといった選択もやむを得ないところであったかと思います。同様にヤクザからの不当な金銭請求に対応した事例については「ヤクザの夫から1億円以上恐喝された妻が追加支払いなく離婚した事例」でも紹介しています。

以上、支払ってしまったものの取り戻しが難しいことからすると、被害を未然に防ぐ、または現在進行形で被害を受けている場合には、これ以上の被害拡大を防ぐといった対応が極めて重要になります。

ヤクザを相手方とする事件について、弁護士に相談をしても無駄であると考えている方も多くいらっしゃいます。

もちろん、警察のように強制力を背景とする強い威嚇をもって対応するということを弁護士はできませんが、被害の予防や拡大回避のため、民事事件として対応しつつ、警察との連携をもって、不当要求事案に対応していくことは可能です。

早期の介入が鍵となりますので、弊所までお気軽にご相談いただきたく思います。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

脅迫・恐喝被害の解決に豊富な実績を持つ。一般社団法人 詐欺・不当要求対策協会の代表理事として、不当要求対策の研究・啓発活動にも取り組んでいる。「警察沙汰にしたくない」「家族や会社に知られたくない」といった被害者特有の事情に寄り添い、粘り強い交渉で解決に導く。他の事務所で断られた案件にも積極的に対応。

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メディア掲載 フジテレビ「とくダネ」/ ダイヤモンド・オンライン / @DIME / サイゾー 他多数
講演実績 「不当要求対応の基礎」「犯罪組織によるマネー・ロンダリングと投資詐欺への法的処置」等
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