
帰り道で後をつけられる、自宅の近くで待ち伏せされるなど、知らない人につきまとわれている気がしても、「気のせいかもしれない」「相手が誰かも分からないのに、警察に相談していいのだろうか」と迷っていませんか。
身の危険を感じたら、まず人のいる場所へ移って安全を確保し、見たことを記録に残してください。相手がどこの誰か分からなくても、警察には相談できます。
この記事では、ストーカー問題に注力する弁護士が、次の点を解説します。
- 知らない人のつきまといかどうかを見分けるポイント
- つきまとわれたときにその場でとるべき行動
- 相手が誰か分からなくても警察に相談する方法
- つきまとう相手の心理と取り締まる法律
お読みいただくことで、いま自分の身に起きていることを整理し、今日から何をすればよいかを判断できます。
なお、知らない人からのつきまといでお困りの方は、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談をご利用ください。地域を問わずご相談を承っています。
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知らない人のつきまといとは?
知らない人のつきまといとは、名前も素性も知らない相手に、後をつけられたり、行く先で待ち伏せされたりすることをいいます。
警察庁の統計によると、令和7年に警察が受けたストーカー事案の相談等は22,881件で、前年より約17%増えました。そのうち、相手と面識がなかったものは2,021件(8.8%)で、知らない人からのつきまといも決して珍しい被害ではありません。
つきまといにあたる主な行為
ストーカー規制法(ストーカー行為等の規制等に関する法律)が対象とする「つきまとい等」には、次のような行為があります。
- 後をつける
- 通り道や行き先で待ち伏せする
- 進路に立ちふさがる
- 自宅・勤務先・学校などの近くで見張る
- 自宅などに押し掛ける、近くをみだりにうろつく
つきまとう相手と以前に面識があったかどうかは問われず、知らない人からのつきまといも対象になります。ただし、この法律が規制するのは、好意や、好意が満たされなかった恨みを満たす目的で行われた場合です(目的が違う場合に使える法律は後半で説明します)。
気のせいとの見分け方と危険なサイン
知らない人につきまとわれているかどうかは、同じ人物を、いつもの駅や近所だけでなく、行き先を変えた日にも見かけるかどうかで判断しやすくなります。同じ駅を使う人や近所に住む人とは、偶然何度もすれ違うこともあるためです。
気になる人物を見かけたら、スマートフォンに日時と場所をメモしておき、別の日や別の場所に同じ人物が現れていないかを照らし合わせてみてください。
次のようなことがあれば、偶然とは考えにくい危険なサインです。
- 自宅や職場の近くで待ち伏せされた
- 道を変えたり立ち止まったりしても、ついてくる
- 進路をふさがれた、急に話しかけられた
- 郵便受けに身に覚えのない物が入っていた
こうしたサインがあれば、気のせいで片づけず、次に説明する対処に移ってください。特に自宅の近くでの待ち伏せや郵便受けへの投函があった場合は、相手が自宅をすでに知っている可能性があります。
知らない人につきまとわれたときの対処法
知らない人につきまとわれたら、何よりも身の安全を優先し、落ち着いてから記録を残して、警察に相談します。相手の正体を自分で突き止めようとする必要はありません。
身の安全の守り方を含め、ストーカー被害全般の対処法は「ストーカー被害に遭ったらすぐすべき8つの対処法と対策」でも解説しています。
人の多い場所へ移り、危険を感じたら110番する
知らない人に後をつけられている、待ち伏せされていると気づいたら、すぐに人のいる場所へ移ってください。身の危険を感じたときは、ためらわずに110番通報します。
コンビニや駅、交番など、店員や駅員、警察官がいる場所に入れば、相手と二人きりになる状況を避けられます。店の中までついてくるときは、店員に事情を話して助けを求めましょう。
そのまま帰宅すると、自宅の場所を知られるおそれがあります。遠回りをする、家族に迎えに来てもらう、タクシーで帰るなどして、相手を自宅に近づけないようにしてください。
その後も、家族や職場の人に事情を伝え、しばらくは夜道を一人で歩かない、帰る時間や道順を毎日同じにしないといった工夫を続けます。防犯ブザーを持ち歩くのも一つの方法で、具体的な防犯グッズは「ストーカー対策グッズ8選。何を買うべきか迷っている人向け」で紹介しています。
日時・場所・相手の特徴を記録に残す
安全な場所に移れたら、その日のうちに、見たことを記録に残しましょう。相手が知らない人の場合、名前の代わりに特徴や行動の記録が、警察に状況を説明する手がかりになります。
- 日時(何月何日の何時ごろか)
- 場所(駅名・店名・歩いていた道など)
- 相手の特徴(性別、年齢の見当、背格好、服装、持ち物)
- 何をされたか(どこからどこまでついてきたか、どこで待っていたか)
- 同じ人物を見かけた回数
はっきり見ていないことは無理に埋めず、「顔は見えなかった」のように、分からなかったと書いておけば十分です。郵便受けに入っていた物や手紙は捨てずに保管し、自宅や職場の防犯カメラに映っていそうなときは、映像が消えてしまう前に管理者へ相談してください。
一方で、相手に近づいて写真を撮ったり、声をかけて問い詰めたりするのは避けましょう。相手を刺激して、かえって危険が増すおそれがあります。
相手が誰か分からなくても警察に相談できる
知らない人からつきまとわれていて、相手が誰なのか見当もつかない場合でも、警察に相談することはできます。警察庁も、相手が誰か分からないこと自体が強い不安を伴う危険な状況だとして、すぐに警察へ相談するよう呼びかけています。
「気のせいだったら申し訳ない」「この程度で相談していいのか」とためらう必要はありません。まずは今の状況を伝えるだけでもかまいません。
緊急でなければ#9110か最寄りの警察署へ
今まさに身の危険を感じているときは110番です。緊急ではないものの、知らない人からのつきまといへの不安が続いているときは、「#9110」(警察相談専用電話)に電話するか、最寄りの警察署の相談窓口を訪ねてください。
#9110は、お近くの都道府県警察の相談窓口につながる電話です。政府広報オンラインでは、受付時間は平日の午前8時30分から午後5時15分とされていますが、都道府県警察によって異なります。都道府県ごとの相談窓口の一覧は「ストーカー被害の相談窓口|警察以外の窓口も紹介」でも確認できます。
相談では見たことと記録をそのまま伝える
相談するときは、残しておいた記録を手元に用意し、いつ・どこで・何があったかを順に伝えます。相手が知らない人なら、名前や住所など分からないことは、分からないと伝えてかまいません。
実際に見たことと、「たぶんこうだろう」と感じたことを分けて話すと、状況が正確に伝わります。一人で行くのが不安なときは、家族や友人に付き添ってもらうのも一つの方法です。
相談したあとも、つきまといが続けば記録を足して、改めて警察に伝えましょう。警察への相談の流れは「ストーカーを警察に相談したらどうなる?相談後の流れを解説」で詳しく解説しています。
相手が分かった段階で、つきまといをやめさせたい、慰謝料(精神的な苦痛に対する賠償金)を請求したいと考えるときは、弁護士に相談することも検討してください。
知らない人につきまとう相手の心理と目的
知らない人がつきまとう目的としては、一方的な好意か、嫌がらせや恨みが考えられますが、外から見ただけでは相手の本当の目的までは分かりません。ただ、目的が分からなくても、身を守る・記録する・相談するという対処は変わりません。
また、「自分の服装や振る舞いが悪かったのでは」と考える必要はありません。相手が一方的に対象を選んでいるのであって、つきまといの責任はつきまとう側にあります。
狙われやすいといわれる傾向と対策を知りたい方は「ストーカーされやすい人の特徴は?狙われないための対策と対処法」をご覧ください。
一方的に好意を募らせている
通勤電車やよく行く店で見かけた人に一方的に好意を抱き、話したこともないまま後を追ったり、住まいや勤務先を調べたりするケースです。
つきまとう側は「声をかけるきっかけを探しているだけ」と考えていることもありますが、されている側から見れば、知らない人につきまとわれていることに変わりはありません。
最初は遠くから見ているだけでも、次第に待ち伏せや直接の接触に発展することもあります。つきまとう側になりやすい人の傾向をさらに知りたい方は「ストーカーになりやすいのはどんなタイプ?その特徴と心理を徹底解説」もご参照ください。
恋愛感情のない嫌がらせや逆恨み
恋愛感情がないまま、知らない人がつきまとってくる場合もあります。相手が怖がる様子を見て楽しむ嫌がらせや、恨んでいる人に外見が似ているというだけで標的にする逆恨みなどです。
夜道を追いかける、郵便受けに物を入れる、自宅の前で待ち伏せするなど、行為そのものは好意によるつきまといと変わらず、受ける恐怖も同じです。
ただし、恋愛感情がない場合は、ストーカー規制法では取り締まれないことがあります。
恋愛感情のないつきまといも法律で取り締まれる?
恋愛感情のないつきまといでも、法律で取り締まれる場合があります。知らない人の目的が好意ならストーカー規制法、そうでなければ軽犯罪法(比較的軽い迷惑行為などを罰する法律)や、都道府県ごとの迷惑防止条例(迷惑行為を禁止するために都道府県が定めた条例)が問題になります。
好意が動機ならストーカー規制法の警告・禁止命令の対象
ストーカー規制法が対象にするのは、「恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」で行われるつきまとい等です(2条1項)。知らない人につきまとわれるときも、この目的があれば対象になります。
このつきまとい等でつきまとわれた人に不安を覚えさせることは禁じられており、1回だけでも、さらに繰り返すおそれがあると認められれば、警察からの警告(「これ以上繰り返してはならない」と行為者に告げるもの)や、都道府県公安委員会(警察を管理する都道府県の機関)からの禁止命令(同じ内容を命じるもの)の対象になりえます。警告は被害者の申出によるほか、令和7年12月30日からは職権(警察の判断)でも出せるようになりました。
身の安全などに不安を覚えさせる方法で繰り返しつきまとうと「ストーカー行為」(2条4項)にあたり、1年以下の拘禁刑(令和7年6月に懲役と禁錮を一本化してできた刑罰)又は100万円以下の罰金の対象です(18条)。禁止命令に違反してストーカー行為をした場合は、さらに重く処罰されます。警告・禁止命令の具体的な要件や手続きは「ストーカー規制法とは?対象となる行為と警告・禁止命令を解説」で解説しています。
好意が動機でなければ迷惑防止条例や軽犯罪法
知らない人につきまとわれる場合で、好意が動機でないときは、軽犯罪法1条28号の、いわゆる追随等の罪(「不安若しくは迷惑を覚えさせるような仕方で他人につきまとつた者」を罰する規定)が使える場合があります。拘留(1日以上30日未満の身柄の拘束)又は科料(1,000円以上1万円未満の金銭の支払い)の対象です。
また、迷惑防止条例の中には、恋愛感情に基づかないつきまといを禁じているものがあります。ただし、要件は都道府県ごとに異なります。
たとえば神奈川県迷惑行為防止条例は、目的を問わず、正当な理由なく、不安を覚えさせる方法で特定の人につきまといなどを繰り返すことを禁じており(11条)、違反すると6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の対象です(15条3項)。一方、東京都の条例(公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例)は、もっぱらねたみや恨みなどの悪意の感情を満たす目的で、不安を覚えさせるつきまといなどを繰り返すことを禁じています(5条の2)。
どの法律が使えるかは、相手の目的やつきまといが行われた都道府県によって変わるため、判断に迷うときは記録を持って警察や弁護士に相談してください。
知らない人からのつきまといは弁護士に相談を
知らない人からつきまとわれたときは、身を守ることを第一に、記録を残して警察に相談するのが基本です。
相手が分かった段階では、弁護士が代理人として警告書を送ってつきまといをやめるよう求めたり、告訴(捜査機関に犯罪の事実を申告し、処罰を求めること)を支えたり、慰謝料などの損害賠償(被害に対する金銭の支払い)を請求したりできます。相手の特定や証拠集めを探偵に頼む方法もありますが、探偵が相手への法的な請求を代わりに行うことはできません。
一方、相手が誰か分からない段階では、弁護士にできることは限られます。インターネット上の投稿で被害を受けていれば、発信者情報開示請求(投稿者の情報の開示を求める手続き)で特定を目指せる場合もありますが、対面のつきまといでは警察への相談と記録が先です。
知らない人に生活をのぞかれているような不安は、一人で抱え込んでしまいがちです。「自意識過剰かもしれない」と感じていても、違和感を覚えた段階で動くことが、被害を深刻にしないための第一歩です。
当事務所はストーカー被害のご相談に力を入れており、状況に応じて警告から損害賠償の請求まで対応いたします。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
ストーカー被害の解決に豊富な実績を持つ。元交際相手からのつきまとい、ネットストーカー、職場でのストーカー被害など、警察に相談しても動いてもらえないケースにも弁護士として毅然と対応。「報復が怖い」「大事にしたくない」という被害者の心情に寄り添い、穏便かつ確実にストーカー行為を止めさせることに全力を注いでいる。

