
「交際していた相手が既婚者だったなんて知らなかった。それなのに、その配偶者からいきなり慰謝料を求められた…」と戸惑っていないでしょうか。
慰謝料請求が認められるには、あなたに故意(既婚者と知っていた)または過失(注意すれば気づけた)があることが要件です。つまり、過失なく既婚者であることを知らなかったと証明できれば、慰謝料の支払いを拒否できる可能性があります。
ただし、「知らなかった」と口で伝えるだけでは通用せず、それを客観的に示す証拠がそろっていることが求められます。
この記事では、不倫問題に強い弁護士が、以下の点についてわかりやすく解説します。
- 既婚者だと知らなかったことを証明するための6つの証拠
- 証拠を集める際に押さえておくべき注意点
- 証拠を慰謝料の拒否・減額や逆請求に活用する方法
なお、既婚者だと知らずに関係を持ち慰謝料を請求されている方で、一人での対応が難しいとお感じの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談をご検討ください。
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既婚者だと知らなかったことを証明する証拠
不貞行為(既婚者との性的関係)が問題となる場合、「相手が既婚者であることを知らなかった」と主張しても、認められるケースは多くありません。交際相手の言動や状況に注意を払えば、結婚していると気付けたと判断されることがあるためです。
たとえ本当に知らなかったとしても、不注意によって気付けなかった場合は、裁判で過失が認定され、慰謝料請求を免れるのは困難になる可能性があります。そのため、「過失なく既婚者であることを知らなかった」ことを立証できる証拠を集めることが重要です。
具体的には、次のような証拠が考えられます。
- ①交際のきっかけがわかる証拠
- ②交際期間が短いことがわかる証拠
- ③相手が独身を装った言動をしていた証拠
- ④相手との行動を記録した証拠
- ⑤相手との共同生活の証拠
- ⑥相手の自白を記録した証拠
①交際のきっかけがわかる証拠
交際相手とどのように知り合い、どのような関係であったかは、婚姻状況を知る機会があったかどうかを判断するうえで重要な要素です。
例えば、同じ職場の同僚や上司・部下の関係であれば、日常的に接する機会が多く、結婚指輪の着用や家族の話題などを通じて既婚であることを知る機会があったと見なされる可能性が高くなります。このような状況では、「相手が既婚者であることを知らなかった」と主張しても、通常なら気づけたはずだとして、あなたの落ち度が認められやすくなります。
一方で、マッチングアプリや婚活サイト、お見合いパーティーで知り合った場合には、相手の婚姻状況を知る機会は限られます。特に、婚活サイトでは独身証明書の提出が求められることもあり、マッチングアプリでも既婚者の利用を禁止する規約があることが一般的です。そのため、これらの方法で出会った場合には、相手が独身であると信じる合理的な理由があったと主張しやすくなります。たとえば、次のようなものが証拠として役立ちます。
- 婚活サイトの登録記録
- マッチングアプリの相手プロフィール画面を撮影したスクリーンショット
- 相手とのやり取りの履歴
②交際期間が短いことがわかる証拠
交際期間の長さも、相手の婚姻状況を知る機会があったかどうかを判断する重要な要素です。一般的に、交際期間が長ければ、その間に相手が既婚者だと気づく機会もあったと考えられます。一方、交際期間が比較的短かった場合には、相手の生活実態や結婚の有無を見極めるだけの時間的な余裕がなかったといえる場合があります。
例えば、交際を始めて間もなく肉体関係を持ち、その後1回~数回の接触のみで関係が終了した場合、相手の婚姻状況を把握する機会がほとんどなかったと判断される可能性があります。一方で、交際が一定期間続いていた場合には、その間に相手の言動や生活環境を知る機会があったと見なされやすく、過失を否定するのは難しくなります。こうした交際期間の長さを証明するためには、次のような証拠が有効です。
- 交際開始日や終了日がわかるメールやLINE、SNSでのやり取りの履歴
- 交際期間が短かったことが確認できる日記やスケジュール帳の記録
③相手が独身を装った言動をしていた証拠
交際中に相手が自分から進んで「独身だ」と偽っていた場合、あなたに落ち度はなかったと認められやすくなります。
例えば、婚活サイトやマッチングアプリ上のプロフィール欄に「独身」と表示されていたり、LINEやメールで「独身」または「バツイチ」と説明していた場合、その記録を証拠として残しておくことが重要です。また、「過去に結婚していたが現在は独身」などと誤認させるような発言も、独身を装った証拠になり得ます。
さらに、交際相手があなたとの結婚を真剣に考えていると示すような言動をしていた場合、それも未婚を装っていた証拠として有力です。日本では二重に婚姻することは刑法第184条で禁止されており、重婚罪に該当します。そのため、相手が「あなたとの婚姻を視野に入れている」と発言していた場合、単に婚姻していないと伝えなかっただけでなく、「自分は未婚である」と積極的に述べていたと解釈することができます。
では、具体的にどのような証拠が有効なのか見ていきましょう。
- 相手の婚姻状況を誤認させる発言が記録されたLINEやメールの履歴
- 婚活サイトやマッチングアプリで独身と記載されたプロフィール画面のスクリーンショット
- 結婚を前提としていたことを示す婚約指輪の購入履歴
- 結婚式場の下見や予約をした記録
- 結納品を購入した記録
④相手との行動を記録した証拠
相手が独身であると信じていたことに相当な理由があると考えられる行動や発言をしていた場合、それを記録しておくことは、無過失を証明するうえで重要な証拠となります。
特に、相手との結婚を真剣に考えていた場合、そのような関係性の中で相手が独身であることを当然と信じても無理はなかったといえるでしょう。加えて、相手が「独身」「バツイチ」などと明言しており、それに矛盾しない行動をとっていた場合には、あなたの注意義務が否定される可能性が高まります。
証拠として有効なものには、次のようなものがあります。
- 交際相手として両親や知人に紹介していたことがわかる写真やLINEの履歴
- 二人で住むために不動産を探していたことがわかる契約資料ややり取りの履歴
- 結婚を前提として結婚式場を探していたことがわかるやり取りや資料
- 土日も会っていたことがわかるLINEのやり取りや日記
- 自分や相手の自宅でお泊まりをしたことがわかるLINEのやり取りや日記
- 二人だけで宿泊を伴う旅行に行ったことがわかる写真や動画
- 休日や夜間も電話していたことがわかるLINEの通話記録
⑤相手との共同生活の証拠
交際相手と一定期間同棲していた場合、それは相手が独身であると信じていたことの強い裏付けとなります。特に、同棲中に相手が家族と一緒に住んでいる様子を見せなかった場合、独身だと信じたことについて過失はなかったと判断されやすくなります。
同棲していたことを証明するために、次のような証拠が有力です。
- 同棲していた住居の賃貸契約書や公共料金の支払い記録
- 二人で購入した家具や家電の領収書や契約書
- 同棲中の写真や動画
- 二人での生活を記録したLINEやメールの履歴
こうした記録は、同棲の事実を客観的に裏付ける有力な資料となります。
⑥相手の自白を記録した証拠
最後に、相手が自身の非を認める発言や書面は、決定的な証拠となります。
例えば、交際相手が「自分は独身だと言っていた」「あなたが私を既婚者だと知らなかったのは当然だ」と認める発言をしていた場合、それを録音や書面で記録しておくことが重要です。また、交際相手が「あなたが私を既婚者だと知らなかったのは、自分の発言が原因である」と認める場合、それは無過失を推認する証拠にもなり得ます。
相手自身の言葉で裏付けられるため、他の証拠と比べても説得力が高いといえます。たとえば、次のようなものが挙げられます。
- 交際相手が独身だと認めた発言が記録された音声データやメッセージ履歴
- 交際相手が既婚者であることを隠していたと認めた書面
既婚者だと知らなかった証拠の集め方と保管の注意点
既婚者であることを知らなかったと主張するには、証拠の収集と保管が重要です。しかし、証拠の中には時間が経つと消えてしまうものや、単体では証拠力が弱いものもあります。後から「証明できない」とならないよう、慎重に対応する必要があります。具体的な注意点は次の通りです。
- ①消去される可能性のある証拠は早めに保存しておく
- ②できるだけ多くの証拠を確保しておく
①消去される可能性のある証拠は早めに保存しておく
証拠は、失われてからでは取り戻すことができません。
マッチングアプリやSNSによっては、相手がアプリを退会・アカウントを削除したり、メッセージを後から消したりすることで、やり取りの内容を確認できなくなってしまうおそれがあります。
無過失を推認することができるやり取りをしていたとしても、すでに確認できず証拠がない場合には、その事実がなかったものと扱われる可能性があります。
したがって、マッチングアプリの相手のプロフィールややり取りは、早めにスクリーンショットで保存しておくことが重要です。
②できるだけ多くの証拠を確保しておく
相手が既婚者であることについて、故意や過失がなかったことを証明するためには、できるだけ多くの証拠を収集・保管しておく必要があります。
相手が既婚者であることを「知らなかったこと」、または知らなかったことに「相当な理由があったこと」という主観面を推認するためには、それと整合する客観的な事実が多ければ多いほど有利となります。
一つひとつは決め手に欠ける事実でも、いくつも重ね合わせて示すことで、注意を尽くしても気づけなかったという評価を引き出せる場合があります。
例えば、規約において既婚者のユーザー登録が禁止されているマッチングアプリを通じて知り合い、相手から「自分は独身である」とLINEで言われており、さらに結婚に向けて様々な準備を進めていた証拠がある場合、それらを総合的に判断した結果、本人には注意義務違反による過失はなかったと認められる可能性があります。
そのため、どのような事実であっても、証拠として残っているものは有利に利用できる可能性があるため、できるだけ保管しておくことをおすすめします。
既婚者だと知らなかった証拠の活用方法は?
既婚者であることを知らなかった証拠は、慰謝料請求への対応や法的請求の場面で重要な役割を果たします。適切に活用すれば、不当な請求を避けたり、正当な主張を裏付けることが可能です。具体的には、次のような形で利用できます。
- ①慰謝料拒否や減額交渉する場合に使う
- ②交際相手を訴えるのに使う
①慰謝料拒否や減額交渉する場合に使う
交際相手の配偶者から慰謝料請求を受けた場合、相手が既婚者であることを知らなかったという証拠は、支払いを拒否したり、減額を求めたりするための重要な根拠となります。
前述の通り、不貞行為における慰謝料請求は、通常、相手が既婚者であると知っていた、または知るべき状況であったことが前提となります。そのため、無過失を証明できる証拠があれば、慰謝料を支払う義務がないと主張することが可能です。支払義務の有無や具体的な対応方法については「既婚者だと知らなかった場合の慰謝料請求の支払義務と対処法」で詳しく解説しています。
また、裁判になった場合でも、相手が独身だと装っていた、既婚者であると知る機会がなかったといった客観的な証拠を提示できれば、過失が軽微であると判断され、慰謝料の減額が認められる可能性があります。
もっとも、一般の方が故意や過失の判断をすることは難しく、本来証拠となるものを見落としてしまう恐れもあります。また、裁判での主張や立証には大きな負担がかかるため、ストレスを感じることも少なくありません。ご自身での解決が難しいと感じたら、弁護士に相談するのが賢明です。弁護士に依頼すれば、証拠の整理や評価を正確に行い、最適な交渉や訴訟の進行を支援してもらえます。
②交際相手を訴えるのに使う
交際相手が既婚者であることを隠し、独身だと嘘をついていた場合、慰謝料請求の訴えを起こすことができます。
交際相手が独身だと装っていたために、既婚者であると知っていたら性的関係を持たなかったと考えられる場合、人格権侵害や貞操権侵害(独身だと偽られ、性的な関係を結ぶかどうかを自分で判断する機会を奪われたこと)を理由として慰謝料などの損害賠償請求ができます。特に、相手との結婚を真剣に考えていた場合には、独身であると騙されていた点であなたも被害者と言えるでしょう。
裁判で慰謝料請求が認められるかどうかは事案によりますが、騙されたことで精神的苦痛を受けた場合、慰謝料請求を検討する価値があります。
もっとも、交際相手に言いくるめられそうな場合や、訴訟手続きに不安がある場合は、弁護士への依頼を検討しましょう。慰謝料請求や訴訟の代理を任せることで、手続きの負担を大幅に軽減でき、有利な結果にもつながりやすくなります。
既婚者に騙されていた場合の慰謝料請求の可否や進め方については「騙された!彼氏が結婚してたなんて...精神的苦痛で慰謝料請求できる?」もあわせてご確認ください。
既婚者だと知らずに慰謝料を請求されてお悩みの方へ
相手が既婚者だと気づかなかったことを盾に慰謝料の支払いを退けるには、出会った経緯や相手の言動、交際の長さといった複数の角度から、「落ち度なく知らずにいた」といえる裏付けを揃えておくことが欠かせません。
しかし、どの証拠にどれだけの証明力があるのか、複数の証拠をどう組み合わせれば効果的なのかを判断するには、法的な知識と経験が欠かせません。証拠の評価を誤れば、本来拒否できるはずの慰謝料を支払うことになりかねず、逆に交際相手への貞操権侵害に基づく慰謝料請求の機会を逃してしまうこともあり得ます。
突然の慰謝料請求に戸惑い、相手の配偶者や交際相手とのやり取りに精神的な負担を感じている方も多いのではないでしょうか。すでに慰謝料の請求書が届いている場合や、相手方に弁護士がついている場合は、早めの対応が結果を左右することもあります。
当事務所は、既婚者だと知らずに交際した結果、慰謝料トラブルに巻き込まれた事案を数多く解決してきた実績があります。全国どこからでも無料でご相談いただけますので、おひとりで抱え込まず、まずはお気軽にご連絡ください。
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この記事の監修者
男女問題・男女トラブルに強い法律事務所の代表弁護士。事務所全体で年間1,500件以上の男女トラブル相談を受けており、不倫慰謝料、妊娠トラブル、婚約破棄、パパ活トラブル、ストーカー被害など、他人に相談しづらい問題を穏便かつ内密に解決することを得意とする。相手の暴力的・脅迫的な言動にも弁護士が毅然と対応し、依頼者の平穏な生活を取り戻すために全力を尽くしている。

