器物損壊の公訴時効は3年!民事は何年?時効完成前にすべきこと

器物損壊罪の公訴時効は3年、民事の時効も3年(または20年)です。器物損壊罪とは、他人の物を故意に壊したり使えない状態にする犯罪で、親告罪のため告訴期間である「犯人を知ってから6か月」が経過すれば起訴されることはなくなります。

器物損壊をしてしまい、「いつまで逮捕の可能性があるのか」「時効が成立するまで待っていれば大丈夫なのか」と不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、刑事事件に注力する弁護士が、器物損壊罪の時効について以下の内容をわかりやすく解説します。

  • 公訴時効と告訴期間の違い
  • 時効のカウントはいつから始まるのか
  • 時効が停止するケース
  • 民事上の時効(損害賠償請求権)についても解説

なお、器物損壊について早急に対応したいとお考えの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談をお気軽にご利用ください。

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器物損壊の時効

ここからは、器物損壊罪の時効について詳しく解説します。公訴時効の年数だけでなく、時効がいつからカウントされるのか、親告罪特有の告訴期間についても押さえておきましょう。

公訴時効は何年?

器物損壊の公訴時効は3年です。

刑事犯罪の公訴時効は、法律で各罪の罰則を基準に決めるとされています。

たとえば、「人を死亡させた罪であって拘禁刑以上の刑に当たるもの」のうち、「無期の拘禁刑に当たる罪」の公訴時効は「30年」、「長期20年の拘禁刑に当たる罪」の公訴時効は「20年」とされています。

一方、「人を死亡させた罪であって拘禁刑以上の刑に当たるもの以外の罪」のうち、「長期10年未満の拘禁刑に当たる罪」の公訴時効は「5年」、「長期5年未満の拘禁刑又は罰金に当たる罪」については「3年」とされています。

この点、器物損壊の罰則は「3年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金若しくは科料」ですので、器物損壊は「人を死亡させた罪であって拘禁刑以上の刑に当たるもの以外の罪」のうち、「長期5年未満の拘禁刑又は罰金に当たる罪」に当たります。

※拘禁刑とは、2025年6月1日に施行された改正刑法により、従来の懲役刑と禁錮刑が一本化された刑罰のことです。

したがって、器物損壊の公訴時効は3年となります。

時効はいつからスタートする?

公訴時効は「犯罪行為が終わったとき」から進行すると法律で決められています。

たとえば、令和5年11月10日にAさんの車に傷をつけたという場合、令和5年11月10日から公訴時効が進行します。一方、令和5年11月10日から同月22日まで、数回にわたり同じAさんの車に傷をつけたという場合は、令和5年11月22日から公訴時効が進行します。

一方、令和5年11月10日にAさんの車を傷つけ、令和5年11月15日にBさんの車を傷つけたという場合は、Aさんの車を傷つけたことに対する器物損壊とBさんの車を傷つけたことに対する器物損壊という2つの罪が成立します。

罪名は同じでも、2つ以上の罪が成立する場合は個別に公訴時効が進行します。つまり、Aさんの車を傷つけたことに対する器物損壊については令和5年11月10日から、Bさんの車を傷つけたことに対する器物損壊については令和5年11月15日から公訴時効が進行します。

なお、共犯者がいる場合は、最終の犯行が終わった時から、すべての共犯者に関する公訴時効が進行します。

器物損壊には公訴時効のほかに告訴期間がある

同じ期間でも、器物損壊では公訴時効のほかに告訴期間があります。

告訴とは、被害者が捜査機関に対して被害事実と犯人に対する処罰意思を申告することです。器物損壊罪は、被害者の告訴がなければ起訴できない「親告罪」にあたります。

器物損壊の告訴期間は、被害者が犯人を知ったときから「6か月」です。この6か月が経過すると、被害者は捜査機関に対して告訴できなくなります。

前述のとおり、器物損壊は、検察官が起訴するにあたって被害者の告訴を必要とする親告罪ですから、告訴期間が経過すると被害者から告訴される可能性はなくなります。

時効期間と比べて告訴期間は短いですので、時効期間が経過しないうちに告訴期間が経過することは十分に考えられます。

器物損壊罪の公訴時効と告訴期間の比較図。公訴時効は犯行日から3年、告訴期間は犯人を知った日から6か月。起算点が異なるため告訴期間が先に経過することが多い。

器物損壊の時効で注意すべきポイント

器物損壊の時効については、単純に3年経過すれば安心というわけではありません。以下のようなケースでは注意が必要です。

  • ①器物損壊罪以外の罪を犯した場合は時効期間が異なる
  • ②時効が停止することがある

①器物損壊罪以外の罪を犯した場合は時効期間が異なる

物を壊した、隠したという場合は器物損壊に問われる可能性が高いですが、対象物が物以外のものの場合は器物損壊以外の罪に問われる可能性があります。

たとえば、公文書を破ったという場合は公文書毀棄罪(刑法258条)に、建物を壊したという場合は建造物損壊罪(刑法260条前段)に問われる可能性があります。公文書毀棄罪の罰則は「3月以上7年以下の拘禁刑」で時効期間は「5年」、建造物損壊罪の罰則は「5年以下の拘禁刑」で時効期間は同じく「5年」です。建造物損壊罪の詳細については「建造物損壊罪とは?成立要件や罰則、器物損壊罪との違いを解説」をご覧ください。

また、喧嘩をして相手の私物を損壊させただけでなく、暴行を加えて相手に傷害を負わせた場合は傷害罪が成立し、時効期間は10年となります。

このように、壊した物や問われる罪によっては時効期間が異なる場合があります。なお、器物損壊罪と異なり、公文書毀棄罪、建造物損壊罪、傷害罪は親告罪ではありませんので、告訴期間による制限はありません。

②時効が停止することがある

器物損壊罪の公訴時効の進行が開始した場合でも、時効が停止する事情が生じた場合にはその停止している期間は3年間の時効期間に含まれません。時効を停止する事情がなくなれば時効の進行は再開します。

公訴時効の停止については、刑事訴訟法第254条・255条に規定されています。これらの条文によると、公訴時効が停止する事情は以下の3つとなります。

  • ①犯人が起訴された
  • ②犯人が国外にいる
  • ③犯人が逃げ隠れしていて起訴状の送達もしくは略式命令の告知ができなかった

「①犯人が起訴された」については、器物損壊行為が複数人で行われた場合、そのうちの一人が逮捕され起訴されれば、その起訴された犯人の刑事裁判が確定するまでは共犯者の時効も停止します。

「②犯人が国外にいる」については、器物損壊の犯人が海外にいる期間は時効が停止し、日本に帰国することで時効の停止が解除されて時効の進行が開始されます。

「③犯人が逃げ隠れしていて起訴状の送達もしくは略式命令の告知ができなかった」については、"検察官が起訴をした"ことが前提となっているため、起訴されずに器物損壊の犯人がただ逃げ回っているだけだと時効は停止せず進行します。

器物損壊の民事の時効は?

時効には、刑事上の時効(公訴時効)のほかに民事上の時効があります。

器物損壊の刑事時効と民事時効の比較表。刑事は公訴時効3年、民事は消滅時効3年または20年。刑事と民事は別物で、罰金を払っても損害賠償責任は残る。

民事上の時効は、一定期間を経過すると権利を取得する取得時効と権利が消滅する消滅時効があります。このうち、犯罪を犯した場合に関係する時効は消滅時効です。

加害者の器物損壊行為という不法行為によって損害を被った被害者は、加害者に対して損害の賠償を求めることができる権利を取得します。

民法という法律では、この権利の消滅時効の期間を、被害者が損害及び加害者を知ったときから3年(または不法行為のときから20年)と定めています。そのため、器物損壊の消滅時効の期間は3年(または20年)となります。

器物損壊の民事時効(消滅時効)のタイムライン。損害・加害者を知った時から3年、または不法行為の時から20年で損害賠償請求権が消滅する。

また、不法行為とは、故意または過失により他人の権利または法律上保護される利益を侵害することですので、故意犯である器物損壊罪が成立しない場合、すなわち過失により他人の物を損壊させたケースでも不法行為に該当し、損害賠償(弁償)する責任を負います。過失による損壊と弁償について詳しくは「故意ではない器物損壊でも罪に問われる?弁償は必要?」をご覧ください。

なお、器物損壊罪の刑罰である「罰金」と、民事責任である「損害賠償金」を混同されている方がいますが、全くの別物です。器物損壊罪で罰金刑に処せられて罰金を納付したとしても、それとは別に、被害者に対して損害賠償責任を負う点に注意が必要です。

時効の完成を待たずにすべきこと

ここまで器物損壊罪の時効について解説してきましたが、時効の完成をただ待つことが最善の選択とは限りません。以下の点を踏まえて、早期の対応を検討しましょう。

  • ①時効完成を待つリスク
  • ②示談交渉をする・自首を検討する

①時効完成を待つリスク

これまで説明した通り、器物損壊罪の公訴時効は「犯罪行為が終了したとき」から3年です。

公訴時効が完成するまでの間、あなたは罪を犯した負い目やいつ逮捕されるかわからない不安を抱えながら肩身の狭い生活を送らなければなりません。生きた心地がしないでしょう。

また、逮捕されると場合によっては実名報道され、それまで積み上げてきた社会的な評価や信用が一気に崩れ落ち、社会復帰の妨げとなる可能性もあります。初犯であっても、逮捕・起訴されれば仕事や家庭に大きな影響を及ぼすことになります。

さらに有罪判決となれば、仮に執行猶予が付いた場合でも前科がつきますので、資格の取得や海外渡航にも影響が出てしまいます。

なお、時効完成を待っている間に警察から呼び出しを受けることがあります。呼び出しへの対応方法については「器物損壊で警察に呼び出しされたら無視していい?対応方法を解説」をご覧ください。

②示談交渉をする・自首を検討する

このような事態を招かないためにも、器物損壊につき身に覚えのある方は、被害者に早急に謝罪をするとともに、示談交渉を開始することをお勧めします。

器物損壊罪は、前述の通り親告罪ですので、被害者との示談が成立すれば告訴されずに済む、すなわち事件化するのを回避できます。すでに告訴されている場合でも、示談の中で告訴を取り消してもらえれば、検察官は起訴できなくなるため不起訴となります。

もっとも、器物損壊事件に限らず、犯罪被害者は加害者に対して不信感、恐怖感を抱いていることが多く、加害者と直接示談交渉に応じる可能性は低いです。仮に直接の示談交渉に応じてもらえた場合でも、器物損壊で実際に生じた損害金を大幅に超える示談金を請求されるケースもあります。

この点、弁護士であれば示談交渉に応じてくれる被害者も多く、適切な金額で示談を成立させられる可能性も高まります。示談書の具体的な書き方や示談成立までの流れについては「器物損壊の示談書の書き方と例文【テンプレート有り】」で詳しく解説しています。

また、被害者と連絡が取れない場合には、自首を検討するのも一つの方法です。自首そのものの効果ではありませんが、自首することで「証拠隠滅・逃亡のおそれがない」と捜査機関が判断して、逮捕を回避できる可能性が高まります。

もっとも、自首したからといって必ずしも逮捕を回避できる保証はありませんので、自首するかどうかはやはり弁護士の判断が必要となります。また、弁護士に依頼すれば、逮捕回避のための対策をとったうえで自首に同行してくれますので、一人で不安を抱えながらの自首をせずに済みます。

器物損壊事件を起こしてしまった方は弁護士にご相談ください

器物損壊罪の公訴時効は3年、告訴期間は犯人を知ってから6か月です。しかし、時効の完成を待つ間は「いつ逮捕されるかわからない」という不安を抱え続けることになり、精神的な負担は大きいものです。

器物損壊罪は親告罪ですので、被害者との示談が成立すれば告訴を回避でき、事件化を防ぐことができます。弁護士であれば被害者との示談交渉をスムーズに進められる可能性が高く、適切な金額での解決も期待できます。

「被害者にどう連絡すればいいかわからない」「逮捕前に何とかしたい」とお悩みの方は、一人で抱え込まず、まずは弁護士にご相談ください。当事務所は刑事事件に注力しており、示談交渉から自首の同行まで一貫して対応しています。全国どこからでも無料相談を受け付けております。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

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