示談金の過剰請求が恐喝罪・脅迫罪になるケースと対策

示談交渉の場であっても、相手の言動が一定のラインを超えれば脅迫罪や恐喝罪に該当し得ます。たとえ相手に示談金を請求する権利があったとしても、脅しや暴力的な言動で金銭を要求することは許されません。

「示談の相手から脅迫まがいの発言をされた」「法外な金額を要求されて怖い」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。示談交渉ではお互いに感情的になりやすく、相手の言動がエスカレートするケースは珍しくありません。

この記事では、脅迫・恐喝被害の相談を年間1100件以上受けている弁護士が、示談交渉が脅迫・恐喝になり得る具体的なケースや、法外な示談金を過剰請求されたときの対処法、脅迫・恐喝まがいの交渉を切り抜ける方法について解説します。

  • どんな言動が脅迫罪・恐喝罪になるのか
  • 法外な示談金を過剰請求されたときの対処法
  • 脅迫・恐喝まがいの交渉を切り抜けるコツ

なお、示談交渉での脅迫・恐喝にお困りの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談へお早めにご連絡ください。早期対応が結果を左右します。

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示談交渉で相手の言動が脅迫罪・恐喝罪になるケース

話の内容や進め方、お互いの態度しだいでは、示談交渉の場でも脅迫罪や恐喝罪が成立することがあります。どのような言動が当たるのかを具体例で確認しましょう。

こんな脅し文句は脅迫罪にあたる

たとえば、あなたが居酒屋で同僚に暴行を振るって怪我をさせ、反省して示談を持ちかけたところ、同僚に代わってその父親と交渉することになったとします。ところが金額をめぐって折り合えず、父親から「あんたの明日はないよ」と言われたとします。

この場合、父親は脅迫罪(刑法222条)に問われるおそれがあります。脅迫罪は、相手やその親族の生命・身体・自由・名誉・財産に害を加えると告げる「害悪の告知」によって成立する犯罪です。

(脅迫)
第222条
1.生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金に処する。
2.親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

※拘禁刑とは、2025年6月1日に施行された改正刑法により、従来の懲役刑と禁錮刑が一本化された刑罰のことです。

「あんたの明日はないよ」は「あなたの命はない」という趣旨に受け取れ、生命や身体に対する害悪の告知に当たるため、父親には脅迫罪が成立し得ます。

支払わせるための脅しは恐喝罪にあたる

次に、父親から「こちらの言うとおりに支払わないと、あんたの明日はないよ」と言われた場合は、脅迫罪ではなく恐喝罪(刑法249条1項)が成立する可能性があります。

(恐喝)
第249条
1.人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の拘禁刑に処する。

恐喝罪は、暴行または脅迫で相手を畏怖させ、お金などの財物を交付させることで成立します。ここでの脅迫には、「殴るぞ」といった直接的なものだけでなく、「犯罪を家族や職場にバラす」「警察に通報する」と告げて金銭を求める行為も含まれます。父親の発言は、害悪を告知したうえで支払いを要求しているため、恐喝罪に問われる可能性があるわけです。脅迫罪・恐喝罪に当たる言葉や両者の違いは「脅迫罪になる言葉・ならない言葉は?成立要件と刑罰を解説」で詳しく解説しています。

法外な示談金を過剰請求されたら?恐喝になるケースと対処法

ここまでは加害者側が脅されるケースでしたが、逆に被害者の側が相場を大きく超える示談金を要求し、かえって恐喝罪に問われることもあります。「示談金を過剰請求された」「言いがかりのような金額を求められて怖い」という場合の考え方と対処法を解説します。

相場を大きく超える請求に脅しが加わると恐喝罪になりうる

被害者には被害弁償や慰謝料を請求する権利があり、処罰感情が強いと相場を超える額を求めることもあります。お金を求めること自体は正当で、金額が相場より高いだけで、ただちに違法とまではいえません。

しかし、権利があっても、どのような手段で取り立ててもよいわけではありません。最高裁も、債権額を上回る金銭を脅して交付させた事案について、次のように判断しています。

「他人に対して権利を有する者が、その権利を実行することは、その権利の範囲内であり且つその方法が社会通念上一般に忍容すべきものと認められる程度を超えない限り、何等違法の問題を生じないけれども、右の範囲程度を逸脱するときは違法となり、恐喝罪の成立することがあるものと解するを相当とする」(最高裁昭和30年10月14日判決)

この事案では、受け取った金額の全額について恐喝罪の成立が認められました。権利行使が社会通念上許される範囲を逸脱すれば恐喝罪となりうるとした裁判例も、その後示されています(東京地裁昭和52年8月12日判決、東京高裁昭和57年6月28日判決など)。つまり、請求する権利があっても、相場を著しく超える額を「払わなければ危害を加える」「会社にバラす」などの脅しとともに求めれば、恐喝罪になりうるのです。盗撮の現場を押さえて法外な金銭を求める「盗撮ハンター」や美人局のように、弱みに付け込む手口もあります。示談金には事件の種類ごとにおおよその相場があり、その目安を大きく超えるかどうかが過剰請求かを見極める判断材料になります。脅迫・恐喝事件の示談金相場は「脅迫・恐喝の示談金相場と示談の流れ・メリットを徹底解説」もご確認ください。

過剰請求されたときの対処法

相場を大きく超える示談金を求められても、応じる義務はありません。まずは、相手の主張の根拠や裏付け資料の提示を求め、証拠の裏付けがない請求には応じないことが大切です。

そのうえで、あなたが妥当な額を提示しているのに過剰な請求を続けられる場合は、その経緯を検察官に伝えることが考えられます。誠実に示談を試みた事情は処分で有利に考慮される可能性があり、事案によっては示談が成立していなくても不起訴となることもあります。執拗な過剰請求で身の危険を感じるときは、早めに弁護士へ相談してください。弁護士が窓口になれば相手も相場を意識せざるを得なくなり、適正な金額で解決できる可能性が高くなります。示談交渉中に脅迫や恐喝を受けた場合の対処法は「脅された時の対処法は?恐喝・脅迫被害の相談先も弁護士が解説」で解説しています。

脅迫・恐喝まがいの示談交渉を切り抜ける方法

明確な犯罪とまではいえない「脅迫まがい」「恐喝まがい」の言動を受けたときは、次のポイントで冷静に対応しましょう。ただし、相手が暴力団・半グレといった反社会的勢力の場合は、自分で交渉しようとせず、弁護士に任せて直接のやり取りを断つのが安全です。暴力団関係者とのトラブル対応は「ヤクザとトラブルになって脅された場合の対処法と頼れる相談先」で紹介しています。

まず大切なのは、譲れるところと譲れないところの線引きをはっきりさせることです。そのためにも、示談金のおおよその相場を知っておくとよいでしょう。示談交渉で最も揉めやすいのが金額です。あなたが「30万円が妥当」と考えていても、相手から「50万円」、時には「100万円」と想定を超える金額を提示されることもあります。一度こちらの考えを決めたら、まずはその主張を貫くことです。途中で主張を変えると、その隙を突かれて要求がエスカレートし、収拾がつかなくなりかねません。

相手が引かない場合は、その金額の裏付けとなる証拠の提示を求めましょう。あわせて、交渉の材料とするため、また警察に被害届を出す際の証拠とするためにも、相手の発言を録音しておくことが重要です。録音という備えがあること自体が、相手の言動を抑える効果を持つこともあります。脅迫罪の証拠については「脅迫罪の証拠となる5つのもの!証拠がない場合はどうすればいい?」もご確認ください。

示談交渉での脅迫・恐喝にお困りの方は弁護士にご相談ください

示談交渉でも、相手の言動が社会通念上許される範囲を超えれば、脅迫罪や恐喝罪が成立することもあります。

示談交渉で相手から威圧的な言動を受けると、「自分にも非があるから仕方ない」と我慢してしまう方も少なくありません。しかし、不当な要求に応じてしまえば、その後もさらなる要求を受けるおそれがあります。少しでも不安を感じたら、お一人で抱え込まず、早めに弁護士へご相談ください。

当事務所では、脅迫・恐喝被害に関するご相談を年間1100件以上お受けしており、示談交渉のトラブル解決にも豊富な実績がございます。弁護士が間に入れば、暴力団・半グレといった相手であっても直接のやり取りを遮断し、依頼者を守るため迅速に対応します。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

脅迫・恐喝被害の解決に豊富な実績を持つ。一般社団法人 詐欺・不当要求対策協会の代表理事として、不当要求対策の研究・啓発活動にも取り組んでいる。「警察沙汰にしたくない」「家族や会社に知られたくない」といった被害者特有の事情に寄り添い、粘り強い交渉で解決に導く。他の事務所で断られた案件にも積極的に対応。

脅迫・恐喝被害 不当要求対策 リベンジポルノ 美人局被害 男女トラブル
メディア掲載 フジテレビ「とくダネ」/ ダイヤモンド・オンライン / @DIME / サイゾー 他多数
講演実績 「不当要求対応の基礎」「犯罪組織によるマネー・ロンダリングと投資詐欺への法的処置」等
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