昏睡強盗罪(準強盗)とは?弁護士がわかりやすく解説

昏睡強盗(こんすいごうとう)とは、薬物やアルコールなどで人を昏睡させ、その隙に財物を奪う犯罪です。刑法第239条に規定されており、強盗罪と同じ5年以上の有期拘禁刑が科される重い罪です。

「昏睡強盗にあたる行為をしてしまったかもしれない」「家族が昏睡強盗の容疑で逮捕された」など、突然の事態に不安を感じている方もいるのではないでしょうか。

この記事では、刑事事件に強い弁護士が、昏睡強盗の構成要件や実際の事例、執行猶予の可能性などについてわかりやすく解説します。

なお、昏睡強盗について早急に対応したいとお考えの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談をお気軽にご利用ください。

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昏睡強盗の構成要件

※2025年6月1日施行の刑法改正により、「懲役」と「禁錮」は「拘禁刑」に一本化されました。本記事では改正後の名称で記載しています。

昏睡強盗罪は刑法第239条に規定されています。

第二百三十九条 人を昏酔させてその財物を盗取した者は、強盗として論ずる。

出典:e-Gov法令検索

「強盗として論ずる。」とは、刑法236条に規定される強盗罪と同じ取扱いにするという意味で、昏睡強盗罪の罰則も強盗罪と同じく5年以上の有期拘禁刑です。人を昏睡させ、反抗を抑圧して財物を奪う行為は強盗罪に匹敵する悪質性を有することから、強盗罪とは別の罪として規定されました。強盗罪の構成要件や刑罰について詳しくは「強盗罪とは?構成要件や刑罰は?強盗事件に強い弁護士が徹底解説」をご参照ください。

昏睡強盗罪は事後強盗罪(刑法238条)と同じく準強盗罪とも呼ばれます。昏睡強盗罪が成立するための要件は次のとおりです。

人を昏睡させること

昏睡強盗罪の成立には、まず人を昏睡させる行為が求められます。

「昏睡させる」とは、睡眠薬や麻酔薬などの薬物を使用したり、アルコールを飲ませるなどして人の意識作用に一時的又は継続的な障害を引き起こさせることをいいます。被害者に暴行を加えて意識不明の状態にした上で財物を奪った場合は昏睡強盗罪ではなく強盗罪が成立します。

あくまで財物を奪う手段として人を昏睡させたといえることが必要です。したがって、犯人が被害者と性交する目的で被害者を昏睡させた後、被害者の財物を奪おうと思い、被害者の昏睡状態に乗じて財物を奪った場合は昏睡強盗罪ではなく窃盗罪が成立します。

財物を奪うこと

次に、昏睡させた上で財物を奪うことが求められます。

財物は、金銭や物(腕時計や指輪・ネックレスといった装飾品など)のほか、クレジットカードも含みます。

財物を自己の占有下に置いた場合は既遂罪が成立しますが、昏睡強盗罪では未遂罪も規定されています。そのため、財物を奪う目的で被害者を昏睡させ、被害者のバッグの中から財布を抜き取ろうと財布に手をかけたものの、第三者に声をかけられ止められたために財布をとることができなかったなどという場合は昏睡強盗の未遂罪が成立します。

なお、昏睡強盗の過程で被害者に怪我を負わせた場合はより重い罪に問われます。具体的な量刑の傾向については「強盗致傷とは?量刑(刑期)の傾向や執行猶予がつく割合を解説」で詳しく解説しています。

昏睡強盗の事例(判例)

ここで昏睡強盗の事例をご紹介します。

ウォッカ入りのカクテルを飲ませ昏睡強盗

バーテンダーが客に対しカクテルを飲ませようとした際、「ウォッカは入っていない」と嘘を言って客に飲ませ、意識不明に近い状態にまで酔わせた上で客の財布をとった事案で、裁判所は昏睡強盗の成立を認めています(横浜地裁昭和60年2月8日)。この裁判例によると、昏睡強盗の「昏睡」の程度は、被害者を完全に意識喪失させるまでは必要ではないとの考えによっています。

昏睡強盗ではなく窃盗罪の成立を認めた事例

被害者自らが酒に酔っている隙に被害者の財物をとった事案で、裁判所は昏睡強盗ではなく窃盗罪の成立を認めています(名古屋高裁昭和29年10月28日)。昏睡強盗が成立するためには、少なくとも犯人自らか、共犯者が昏睡させる行為を行うことが必要です。

よくある質問

最後に、昏睡強盗でよくある質問にお答えします。

昏睡強盗で執行猶予がつくことはある?

昏睡強盗の法定刑は5年以上の拘禁刑であるため、判決で「3年以下の拘禁刑」を受けなければならないとする執行猶予の要件を満たさず、基本的には執行猶予がつくことはありません。もっとも、心神耗弱、自首などの法律上の減軽事由が認められ、法定刑が減軽された場合には執行猶予となる可能性はあります。

昏睡強盗の着手時期は?

犯罪の実行の着手は、犯罪実現の危険性が高まった段階で認められると考えられています。したがって、薬物注射を昏睡強盗の手段とする場合は、被害者の腕に手をかけた時点で昏睡強盗の実行の着手が認められるでしょう。一方、被害者の飲食物に睡眠導入剤を入れて被害者に飲ませることを手段とする場合は状況によります。すなわち、被害者が飲食物をすぐにでも飲む状況であれば、睡眠導入剤を入れた段階で昏睡強盗の実行の着手が認められやすくなります。他方、そうした状況にない場合は、ただちに昏睡強盗の実行の着手があるとは言い難い可能性も出てくると考えられます。

昏睡強盗でお悩みの方は弁護士にご相談ください

昏睡強盗罪は強盗罪と同じ5年以上の有期拘禁刑が科される重い罪であり、逮捕・起訴されると実刑判決を受ける可能性も十分にあります。一方で、早い段階で被害者との示談を成立させることができれば、不起訴や執行猶予の獲得につながるケースもあります。

ただし、昏睡強盗の被害者が加害者本人やそのご家族との直接の交渉に応じることはほとんどありません。示談交渉を進めるには、弁護士に依頼する必要があります。

「自分のしたことが昏睡強盗にあたるのか不安だ」「すでに警察から連絡が来ている」という方は、一人で悩まず、できるだけ早くご相談ください。当事務所では昏睡強盗を含む強盗事件の示談交渉や不起訴の獲得に豊富な実績があり、全国どこからでも無料でご相談いただけます。親身かつ誠実に、弁護士が全力でお守りしますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

逮捕回避・早期釈放 不起訴獲得 示談交渉 痴漢・盗撮 性犯罪 暴行・傷害
メディア掲載 フジテレビ「とくダネ」/ ダイヤモンド・オンライン / @DIME / サイゾー 他多数
講演実績 「不当要求対応の基礎」「犯罪組織によるマネー・ロンダリングと投資詐欺への法的処置」等
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