スナックで風営法違反になるケースと罰則|2025年改正対応

スナックの営業で風営法違反となる主なケースは、無届で深夜0時以降に酒類を提供する行為、そして無許可で接待行為を行う行為の2つです。特に接待行為については、2025年6月の法改正により罰則が大幅に強化され、法人には最大3億円の罰金が科される可能性があります。

「うちは接待なんてしていない」と思っていても、カウンター越しの談笑やカラオケのデュエットが接待に該当するケースは少なくありません。気づかないうちに法律に抵触し、摘発されてしまう事例が実際に発生しています。

この記事では、風営法に精通した弁護士が、スナック経営における風営法違反の具体的なケースと、それぞれの罰則について解説します。どのような行為が「接待」に該当するのか、違反を防ぐためにどのような対策を講じるべきか、経営者が押さえておくべきポイントを網羅的にお伝えします。

最後までお読みいただければ、ご自身の営業スタイルに潜むリスクを把握し、安心してスナック経営を続けるための具体的な対策を立てることができます。

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スナックは飲食店営業許可のみで経営可能

一般的に「スナック」とは、女性の「ママ」や従業員が接客をしてくれる、お酒を提供する飲食店を指します。

そのため、スナックがどのような営業形態であっても、料理やアルコールなどを提供する際には、食品衛生法に基づく「飲食店営業許可」を、営業所の所在地を管轄する保健所から取得することが必須となります。

しかし、この飲食店営業許可だけでは、後述する「接待行為」や「深夜の酒類提供」といった営業は行えません。

スナックが風営法違反となるケースは?

スナック経営において風営法違反となる主なケースは、以下のとおりです。

  • ①無届で0時以降の酒類提供をした場合
  • ②無許可で接待行為をした場合
  • ③深夜営業違反をした場合
  • ④未成年を雇用した場合
  • ⑤客引き行為をした場合

特に②の接待行為については、経営者が「接待」と認識していないサービスが法律上は接待に該当するケースが多く、注意が必要です。それぞれのケースについて、具体的な違反内容と罰則を解説します。

①無届で0時以降の酒類提供をした場合

飲食店営業許可を得たスナックが、午前0時(条例により午前1時までの地域もあります)以降も主として酒類を提供する営業を続ける場合には、営業所を管轄する公安委員会に「深夜酒類提供飲食店営業開始届出」を提出する必要があります(風営法第33条)。

この届出を行わずに午前0時以降も営業を継続した場合、無届営業になるため、風営法違反にあたります。

この場合、50万円以下の罰金が科される可能性があります(風営法第55条第6号)。さらに、無届営業は行政指導や立入検査の強化につながり、その後の警察の調査で別の違反が発覚するリスクも高まります。

②無許可で接待行為をした場合

スナックで、女性従業員が客の隣に座ったり、継続的に会話をしたりする「接待行為」を行う場合、風営法上の「接待飲食等営業(1号営業)」に該当するため、公安委員会の許可(1号営業許可)を取得する必要があります。

この許可を得ずに「接待行為」を行った場合、無許可営業として風営法違反となります。

無許可で接待行為を伴う営業を行った場合、5年以下の拘禁刑若しくは1000万円以下の罰金、またはこれらの併科が科される可能性があります(風営法第49条第1号)。

さらに、2025年6月28日に施行された改正風営法により罰則が大幅に強化され、違反行為が法人の業務として行われた場合、法人に対しては最大3億円の罰金が科されるようになりました(同法第57条1項1号)。なお、他人名義で営業許可を取得する「名義貸し」も無許可営業と同様の罰則が適用されます。この法改正の詳細については「2025年風営法改正のポイント|何が変わった?店舗経営者の対策」で詳しく解説しています。

刑事罰だけでなく、指示処分や営業停止命令、許可取消しといった行政処分の対象にもなり、これによって廃業に追い込まれるケースも少なくありません。

風営法における「接待行為」とは、「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」と定義されています。これは、飲食物の提供にとどまらず、客の慰安や歓楽の期待に応えるために、従業員が特定の客に対し、積極的に、そして継続的に行う会話やサービス全般を指します。

以下、スナックで問題になりやすい具体的な接待行為について解説していきます。

客と継続して談笑する・お酌する

「カウンター越しだから接待にはあたらない」という誤解がスナック経営者には多く見られますが、カウンターの有無や客の隣に座るかどうか、同性かどうかは関係ありません。

営業者側(ママやキャスト)が、特定少数の客に対し、積極的にかつ継続して話し相手になる行為は「接待」に該当します。

常連客の隣またはカウンター越しで、一定時間以上にわたって客の悩みを聞いたり、世間話の相手をしたり、客のお酒が減るたびに積極的にお酌をするといった行為は接待にあたります。実際に「客の横に座った」「おしぼりを手渡した」という理由で逮捕され、21日間拘留されたスナックのママの事例も報道されています。

一方、客の注文に応じて酒類を提供する際に、社交儀礼としての挨拶や若干の世間話をする程度で、すぐにその場を立ち去る場合は接待には当たりません。

「継続性」と「積極性」をもって客の歓楽を求めているかどうかが判断のポイントとなります。

カラオケで一緒に歌う・手拍子をする

特定少数の客の近くにはべり、その客に対し歌うことを勧めたり、その客の歌に手拍子・拍手・褒めはやしたり、客と一緒にデュエットしたりする行為は、客の歓楽的雰囲気を高めるため、「接待」に該当します。

客から「一緒に歌ってほしい」と求められても、飲食店営業許可や深夜酒類提供飲食店の届出だけの場合は、これに応じてはいけません。

ただし、従業員が客から離れた場所で、不特定の客に向けて歌を歌うことや、カラオケの準備や操作を手伝う程度の行為は接待には該当しません。

カラオケはスナックの重要な要素ですが、従業員が「特定の客の歌唱に対する積極的なアシスト」を行うと風営法違反となります。

客と身体接触する・「あーん」する

客と身体を密着させたり、手を握るなど客の身体に接触する行為は、「接待」に該当します。飲食物を客の口元まで運び、客に飲食させる「あーん」といった行為も、特定少数の客に対する積極的かつ親密なサービスと見なされ、「接待」にあたります。

ただし、社交儀礼上の握手や酔客の介抱のために必要な限度での接触、または、単に飲食物を運搬し、又は食器を片付ける行為、客の荷物、コートなどを預かる行為は、接待に当たりません。

客とゲームやトランプをする

特定少数の客と共に、ダーツ、トランプ、オセロ、テレビゲームなどの遊戯や競技を行う行為は、客の遊興を目的としたサービスであり、「接待」に当たります。

客からの要望や「付き合い」として行った場合でも、その行為自体が接待に該当するという判断は変わりません。特にダーツマシンを設置している店舗では、従業員が客と対戦することで摘発される事例も発生しています。

これに対し、客一人または客同士でゲームをしたり、遊戯をさせたりする行為は、直ちには接待行為とは見なされません。従業員が客の遊びに「参加する」ことが、接待行為となるかどうかの別れ道となります。

客とダンスをする

特定の客の相手となり、その身体に接触しながらダンスをさせる行為は「接待」に該当します。身体接触がない場合でも、特定少数の客の近くで継続して客と一緒に踊る行為は接待と見なされます。

スナックで頻繁に行われる行為ではありませんが、客と一緒にフロアで踊ることは、風営法上極めてリスクが高い行為です。

特定客にショーを見せる

特定少数の客に対して、その客専用の客室や区画された場所で、ショー、歌舞音曲等を見せる、または聴かせる行為は接待に当たります。

これに対して、ホテルのディナーショーのように不特定多数の客に対し、同時に、ショー、歌舞音曲等を見せ、又は聴かせる行為は、接待には当たりません。

風営法違反の具体的な行為や罰則については「風営法違反で逮捕されるのは約半数|誰が捕まる?刑罰と勾留期間」もあわせてご確認ください。

③深夜営業違反をした場合

風営法1号営業の許可を取得してスナックを営業する場合、原則として営業時間は午前6時から午前0時までと定められています。

この許可を得て営業している店舗が、午前0時を超えて(条例で午前1時まで営業可能な地域を除いて)営業を継続した場合、これは営業時間外営業の禁止(時間外営業)に違反することになります。

営業時間外営業そのものに対する直接的な刑事罰の規定は風営法上原則としてありません。しかし、営業時間違反をきっかけに警察の立入調査が入り、その際に無許可で接待行為を行っていたり、立入検査を拒否したりした場合は、より重い無許可営業や検査拒否として摘発される可能性があります。

営業時間に関する規制と罰則の詳細は「風営法の営業時間違反は何時から?時間外営業の罰則を解説」をご覧ください。

④未成年を雇用した場合

風営法は、18歳未満の者に客の接待をさせることを禁止しています(風営法第22条第1項第3号)。

深夜酒類提供飲食店営業であっても、午後10時から翌日午前5時までの時間帯に18歳未満の者を就労させることは労働基準法で禁止されており、また各都道府県の青少年健全育成条例でも18歳未満の者を深夜に接客業務に就かせることが原則として禁止されています。

18歳未満の者に接待をさせた場合、1年以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金、またはこれらの併科が科される可能性があります(風営法第51条第1項第4号)。

⑤客引き行為をした場合

風俗営業を営む者は、営業に関して客引きをすること、または客引きのために道路などの公共の場所で人の身辺に立ちふさがったり、つきまとったりすることが風営法で禁止されています(風営法第22条第1項第1号・第2号)。

違法な客引き行為を行った場合には、6月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはこれらの併科が科されます(風営法第53条第1号)。

客引き行為は、各都道府県が定める迷惑行為防止条例にも違反する可能性があり、その場合は条例に基づき罰金や拘留・科料が科されることになります。

スナックで風営法違反をしないための対策

風営法違反による摘発を防ぐためには、日頃から対策を講じておく必要があります。スナック経営者が実践すべき主な対策は、以下のとおりです。

  • ①営業形態に合った許可・届出を取得する
  • ②従業員への風営法教育を徹底する
  • ③営業時間を厳守する
  • ④警察の立入調査に備える
  • ⑤風営法に詳しい弁護士に相談する

これらの対策を組み合わせることで、意図せず法律に違反してしまうリスクを大幅に軽減できます。それぞれの対策について具体的に解説します。

①営業形態に合った許可・届出を取得する

スナックを開業する際には、まずは自店の営業スタイルを明確にしておく必要があります。

従業員がお客様と談笑したり、お酌をしたりする「接待行為」を行う場合は、必ず風俗営業1号許可(接待飲食等営業)を取得しなければなりません。

一方で、接待行為は一切行わず、午前0時(または条例による延長時間)以降も酒類提供をしたい場合は、深夜酒類提供飲食店営業の届出が必要です。

どちらの手続きもせずに営業を開始すると、無許可・無届営業として風営法違反となり、刑事罰または行政処分の対象となります。

営業開始前に、接待の有無と営業時間を明確にし、風営法に詳しい行政書士や弁護士などの専門家にも確認しながら正しい許可・届出を完了させてください。

②従業員への風営法教育を徹底する

深夜酒類提供届出店としてスナックを営業する場合には、従業員全員に禁止されている接待行為の基準を教育しておかなければなりません。

お客様に喜んでもらおうとして、カラオケのデュエットに応じたり、長時間の談笑に付き合ったりする行為は、接待と見なされます。

したがって、スナックの経営者は、「何が接待行為に当たるのか」を具体例(デュエット、手拍子、継続的なお酌など)を挙げて全従業員に徹底して教育してください。

新人研修はもちろんのこと、定期的なミーティングや掲示物などを活用し、従業員一人ひとりの「接待行為」に対する意識を常に高く維持させることが、違反を防ぐための生命線となります。

③営業時間を厳守する

風俗営業1号許可を取得しているスナックは、原則として午前0時まで(都道府県の条例により延長が許容されている地域では午前1時まで)の営業が義務付けられています。

この時間までに全てのお客を退店させなければなりません。そのため、ラストオーダーの時間を23時や23時半に設定するなど、閉店に向けた準備を怠らないようにしましょう。

閉店時刻を過ぎても、店内で「従業員だけで飲んでいた」「清算作業をしていた」といった言い訳は、警察の立入調査では通用しません。

経営者自身が時計を見ながら閉店時刻の厳守を徹底し、従業員にも時間に対する意識を浸透させてください。

④警察の立入調査に備える

警察官や行政の職員は、予告なしでお店の立入調査を行う権限を持っています。突然の調査にも対応できるよう、日頃から法令遵守体制を整えておきましょう。

具体的には、営業許可証や届出書を店内の見やすい場所に掲示し、風営法で定められた従業者名簿(氏名、生年月日、住所、採用日、業務内容など)を速やかに提出できる状態にしておきましょう。もし立入調査で違反が発見された場合、その場で指導を受けたり、後日営業停止などの重い処分を受けることになります。

日々の営業において、接待行為や時間外営業といった法令違反がない状態を常に維持することが、最も有効な対策となります。

⑤風営法に詳しい弁護士に相談する

「このような営業スタイルは風営法違反になるのか」、「警察から注意を受けたがどう対応すべきか」など、判断に迷ったら早めに弁護士に相談することをおすすめします。

誤った自己判断が、後々の摘発につながるケースが後を絶ちません。

ご自身の営業スタイルに潜む法的なリスクについて判断に迷った場合や、警察から注意指導を受けた場合は、速やかに風営法に詳しい弁護士に相談してください。

法律の専門家から、適切な法的判断や、万が一摘発された際の防御活動といったサポートを受けることで、経営者は安心して本業に専念することができます。

スナックの風営法違反でお悩みの方は当事務所にご相談ください

この記事では、スナック経営において風営法違反となる具体的なケースと、その罰則、そして違反を防ぐための対策について解説しました。

深夜0時以降の無届営業や、接待行為の無許可営業は、いずれも風営法違反として刑事罰や行政処分の対象となります。特に接待行為については、カウンター越しの談笑やカラオケのデュエットなど、日常的なサービスが「接待」に該当するケースも多く、経営者の認識と法律の基準との間にギャップが生じやすい分野です。

「自分の店は大丈夫だろうか」「今の営業スタイルで問題はないだろうか」と不安を感じていらっしゃる方もいるかもしれません。風営法の解釈や適用は細かな事実関係によって判断が分かれることも多く、ご自身だけで正確に判断することは難しい場合があります。

当事務所では、風営法をはじめとする営業関連法規に精通した弁護士が、スナック経営者の皆様からのご相談に対応しております。風営法違反に問われる可能性がある場合や、すでに警察から摘発を受けてしまった場合には、早期の対応が重要です。

当事務所では全国どこからでも無料相談を受け付けております。ご不安な点がございましたら、お電話またはお問い合わせフォームよりご連絡ください。当事務所の風営法事件への取り組みについては「風営法違反に強い弁護士による弁護活動を解説」をご覧ください。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

逮捕回避・早期釈放 不起訴獲得 示談交渉 痴漢・盗撮 性犯罪 暴行・傷害
メディア掲載 フジテレビ「とくダネ」/ ダイヤモンド・オンライン / @DIME / サイゾー 他多数
講演実績 「不当要求対応の基礎」「犯罪組織によるマネー・ロンダリングと投資詐欺への法的処置」等
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