
不同意わいせつ罪の量刑相場は拘禁刑1〜3年程度で、約77%に執行猶予が付いています。ただし、初犯でも犯行態様が悪質な場合や被害が重大な場合には実刑になる可能性があります。
「不同意わいせつで逮捕されたら実刑になるのか」「初犯なら執行猶予がつくのか」「量刑を少しでも軽くする方法はないのか」と不安を感じている方もいるのではないでしょうか。
不同意わいせつ罪の法定刑は「6月以上10年以下の拘禁刑」で、罰金刑がないため、起訴されれば必ず正式裁判になります。実刑を回避して執行猶予を得るためには、早期に弁護士を通じて被害者との示談を成立させることが重要です。
この記事では、不同意わいせつ罪の量刑について、以下のポイントを解説します。
- 不同意わいせつ罪の量刑相場と執行猶予率
- 初犯でも実刑になるケースとは
- 量刑を左右する6つの判断基準
- 量刑を軽くするための示談の重要性と弁護士に依頼するメリット
なお、不同意わいせつ事件について早急に対応したいとお考えの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談をご利用ください。
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不同意わいせつ罪とは?
不同意わいせつになる行為
2023年(令和5年)7月13日の刑法改正により、従来の「強制わいせつ罪」と「準強制わいせつ罪」が統合され、新たに「不同意わいせつ罪」が新設されました。
この改正の大きなポイントは、「同意しない意思を形成・表明・全うすることが困難な状態」であったかどうかに重点が置かれるようになった点です。これにより、これまで処罰が難しかった「暴行または脅迫」がないものの「同意もしていなかった」というグレーゾーンも処罰対象として明確になりました。
不同意わいせつ罪(刑法176条)は、相手の同意がない、あるいは同意を得ることが困難な状況に乗じて「わいせつな行為」をすることで成立します。
ここでいう「わいせつな行為」とは、単に性交等(不同意性交等罪の対象)に至らないまでも、キスをする、胸やお尻を触る、衣服の中に手を入れる、といった性的な羞恥心を害する行為を指します。
法律上、以下の8つの要因などによって、被害者が「同意しない意思」を持ったり伝えたりすることが難しい状態にある場合、不同意わいせつ罪が成立します。
- ①暴行もしくは脅迫
- ②心身の障害
- ③アルコール・薬物の摂取
- ④睡眠・意識不明
- ⑤拒絶する暇がないほどの不意打ち
- ⑥恐怖・驚愕(フリーズ)
- ⑦虐待に起因する心理的反応(無力感・恐怖心など)
- ⑧経済的・社会的関係上の地位に基づく影響力(上司と部下など)
強制わいせつ・準強制わいせつとの違いは?
「不同意わいせつ罪」と、それ以前の「強制わいせつ罪・準強制わいせつ罪」の大きな違いは、処罰範囲の拡大・明確化にあります。
- 旧・強制わいせつ罪:成立には「暴行または脅迫」が必要とされていました。
- 旧・準強制わいせつ罪:成立には「心身喪失または抗拒不能(抵抗できない状態)」が必要でした。
従来の法律では、例えば「上司に逆らえず嫌々従った」場合や、「恐怖で体がすくんで声が出なかった」場合、加害者が直接的な暴行・脅迫を行っていなければ、構成要件に該当しないため、罪に問うのが難しいケースがありました。
しかし、新設された不同意わいせつ罪では、前述した「経済的・社会的関係上の地位に基づく影響力」や「恐怖・驚愕(フリーズ)」といった事由が明文化されたため、「同意しない意思を表明できなかった理由」が幅広く考慮されるようになっています。
なお、旧法では、13歳未満の者にわいせつな行為をすると暴行・脅迫・心神喪失・抗拒不能といった事情がなくても強制わいせつ罪・準強制わいせつ罪が成立しました。しかし、新法では、16歳未満の者にわいせつな行為をすると、不同意わいせつ罪が成立します(ただし、13歳以上16歳未満の者に対しては、行為者が5歳以上年長である場合に限ります)。
不同意わいせつ罪(旧強制わいせつ罪)の刑罰は?
罰金刑はないので拘禁刑(旧懲役刑)のみ
不同意わいせつ罪の法定刑は、「6月以上10年以下の拘禁刑」と定められています。かつては「懲役刑」と呼ばれていましたが、2025(令和7)年6月の改正刑法施行により、刑務作業の義務化を前提とせず、受刑者の特性に応じた作業や指導を柔軟に組み合わせた「拘禁刑」へと名称が変更されました。
不同意わいせつ罪の刑罰の特徴は、罰金刑の規定がないという点です。
暴行罪や迷惑防止条例違反の罪(痴漢)など、比較的軽微な事案なら罰金(略式起訴)で終わることもありますが、不同意わいせつ罪にはその選択肢がありません。
検察官によって起訴された場合、必ず公開の法廷で審理が行われる「正式裁判」にかかることになります。そのため、裁判官から「有罪」と判断された時点で、言い渡されるのは拘禁刑のみとなります。
執行猶予が付されて実刑を免れたとしても有罪判決として前科が残ることは避けられません。
初犯でも実刑はあり得る?
「初犯であれば執行猶予がつく」と安易に考えるのは危険です。不同意わいせつ罪は、初犯であっても犯行の態様や被害の程度によっては、直ちに刑務所へ収容される「実刑判決」が下される可能性が十分にあります。
執行猶予が付くためには、言い渡される刑期が「3年以下」である必要がありますが、以下のようなケースでは量刑が重くなり、実刑のリスクが高まります。
- 凶器を用いたり、怪我を負わせたりするなどの悪質な犯行
- 職場や教師と生徒など、拒絶しにくい上下関係を悪用した場合
- 被害者が年少者であり、精神的苦痛が甚大である場合
- 計画性が高く、再犯の恐れが強いと判断された場合 など
実刑判決になれば、会社や学校を長期間休むことになるため、懲戒解雇や退学は免れません。初犯で前科がないことは有利な事情の一つにはなりますが、それだけで執行猶予が約束されるわけではありません。
実刑を回避し、日常生活を守るためには、できる限り早い段階で弁護士を介して被害者との示談交渉を進めることが重要です。
不同意わいせつの量刑
量刑相場
不同意わいせつ罪の法定刑は、「6月以上10年以下の拘禁刑」ですが、裁判で言い渡される実際の刑期には、一定の相場が存在します。ただし、不同意わいせつ罪は2023(令和5)年の法改正で新設された犯罪であり、同罪単独の量刑統計はまだ十分に蓄積されていません。そのため、ここでは不同意性交等罪とあわせた統計や、改正前の旧・強制わいせつ罪のデータも参照しながら量刑の傾向を確認します。
法務省が公表している「令和7年版 犯罪白書」によれば、2024(令和6)年における不同意性交等罪と不同意わいせつ罪をあわせた科刑状況は以下のとおりです。
【不同意性交等・不同意わいせつの通常第一審における有期刑(懲役・禁錮)の科刑状況(令和6年)】
| 7年超10年以下 | 5年超7年以下 | 3年超5年以下 | 2年以上3年以下 | 1年以上2年未満 | 6月以上1年未満 | ||||||
| 65件 | 166件 | 311件 | 実刑 | 全部執行猶予 | 実刑 | 全部執行猶予 | 実刑 | 全部執行猶予 | |||
| 163件 | 686件 | 68件 | 321件 | 4件 | 1件 | ||||||
このデータには、不同意性交等罪の科刑状況も含まれている点には留意が必要ですが、全体のボリュームゾーンとして「1年〜3年」が多くなっていることは明らかです。
したがって、多くのケースで執行猶予が付される可能性がある一方で、被害の大きさや行為の悪質性によっては、いつでも実刑が言い渡されるリスクもあるのです。
執行猶予となる割合
不同意わいせつ罪で有罪判決が言い渡されたとしても、執行猶予が付されれば刑務所への収監は回避することができます。
不同意わいせつ罪単独での執行猶予率はまだ公的な統計が公表されていないため、ここでは改正前の旧・強制わいせつ罪のデータを参考にします。不同意わいせつ罪は旧・強制わいせつ罪の処罰範囲を拡大・明確化したものであり、法定刑は同じ「6月以上10年以下」のため、量刑傾向の参考になります。
法務省が公表している「性犯罪の量刑に関する資料」によると、2019(令和元)年に旧・強制わいせつ罪で有罪判決を受けた800件のうち、614件に執行猶予が付与されています。
つまり、執行猶予率は約77%にのぼり、起訴されたとしても約4人に3人は直ちには刑務所に収容されず、社会内で更生を図る機会を与えられています。
しかし、執行猶予は自動的に付くものではありません。弁護士による適切な弁護活動を通じて、有利な情状を一つひとつ主張・立証していくことが求められます。
不同意わいせつにおける量刑の判断基準
裁判官は、被告人に科すべき刑罰の重さを決める際、単に罪名だけで判断するのではなく、犯行の情状や事後的な事情を総合的に評価します。
不同意わいせつ罪の量刑判断において重要視される基準は以下のとおりです。
・犯行の態様・悪質性:
着衣の上から触る行為と、下着内に手を入れる、あるいは直接性器を触る行為では、後者の方が圧倒的に悪質とみなされます。また、凶器の使用や暴行の程度、執拗さなども「態様の悪質性」として量刑を重くする要因となります。
・犯行の計画性と動機:
突発的な「通り魔」的な犯行か、あるいは事前にターゲットを物色し、睡眠薬を用意するなどした「計画的」な犯行かで、非難の程度が大きく変わります。ストーカー行為がエスカレートしたケースなどは、再犯の恐れも相まって厳罰化しやすい傾向にあります。
・結果の重大性(被害の程度):
被害者が受けた精神的苦痛の大きさや、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの発症有無が考慮されます。特に被害者が年少者である場合、その後の発育に与える影響が甚大であると判断され、結果はより重く評価されます。
・示談の成否と処罰感情:
被害者との間で示談が成立し、被害弁償が行われているか、さらには被害者が「寛大な処分を求める(宥恕)」意思を示しているかは、執行猶予獲得のためのポイントとなります。
・前科・前歴の有無:
過去に同種の性犯罪歴がある場合、「更生が困難」「規範意識が欠如している」とみなされ、初犯と比べて実刑判決を受けるおそれが格段に大きくなります。
・被告人の反省と再犯防止策:
自身の罪を認め、真摯に謝罪しているかといった態度のほか、専門医療機関での性依存症治療の受診など、具体的な再犯防止への取り組みも評価の対象となります。
関連記事:強制わいせつで前科があると量刑は重くなる?軽くするには?
不同意わいせつの量刑を軽くするには示談が重要
不同意わいせつ罪において、言い渡される刑罰を軽くし、あるいは実刑を回避して執行猶予や不起訴処分を獲得するためには、被害者との「示談」が成立しているかどうかが重要となります。
裁判官や検察官が処分を決定する際、犯行時の態様(悪質性)や計画性は、既に行われた事実として変えることができません。しかし、事件後の事情である「被害回復」や「被害者の処罰感情」は、示談を通じて大きく変えられる余地があります。
まず、検察官が起訴・不起訴を判断する際、示談が成立し被害者が宥恕(許すこと)を表明していれば、「当事者間で解決済み」とみなされ、不起訴処分となる可能性が高まります。
また、仮に起訴されて裁判になった場合でも、示談金による賠償を済ませていれば、刑務所に収容されない執行猶予付き判決を得られる蓋然性が非常に高くなります。
示談とは単にお金を支払うことではありません。真摯な謝罪を通じて被害者の精神的苦痛を和らげ、実質的な損害を賠償し、最終的に「加害者を許す」という合意を得るプロセスです。
特に不同意わいせつ罪は、罰金刑がない重い罪です。
社会復帰を円滑にし、人生へのダメージを最小限に抑えるためには、事件後すみやかに弁護士を通じて示談交渉に着手することが、最良かつ現実的な防御策となります。こうした示談の具体的な進め方や金額の目安については不同意わいせつ(旧強制わいせつ)の示談金相場や示談の進め方で詳しく解説しています。
示談交渉を弁護士に依頼するメリット
刑事事件になるのを回避できる
示談交渉を弁護士に依頼することで、事件が警察に受理され、正式な「刑事事件」として捜査が始まる前に解決を図れることがあります。
被害者が被害届を提出する前に、弁護士が代理人として真摯な謝罪と賠償を尽くし、示談を成立させることができれば、事件化そのものを防げる可能性があります。
特に、職場や家族に知られずに解決したい場合、警察の介入を未然に防ぐ「内々での解決」は、その後の社会生活への影響を最小限に抑える唯一の手段といえます。加害者本人が接触を試みると、ストーカー行為や証拠隠滅と疑われ事態を悪化させかねませんが、第三者である弁護士であれば、被害者の心情に配慮しながら、法的に有効な合意を取り付けることが可能になります。既に警察から連絡が来ている場合や逮捕が心配な場合の対処法については不同意わいせつで逮捕されるとどうなる?逮捕を回避するには?をご参照ください。
適切な内容での示談を目指せる
示談交渉には、法的な専門知識と過去の裁判例に基づいた「相場」の把握が欠かせません。
不同意わいせつ事件では、被害者側から感情的に極めて高額な慰謝料を請求されるケースも少なくありません。弁護士は、事案の態様や被害の程度に照らして妥当な示談金を提示し、経済的な負担を抑えつつ、双方が納得できる着地点を見出します。
また、単に金銭を支払うだけでなく、示談書に「被害届の取り下げ」や「宥恕(加害者を許すという意思表示)」、さらには「口外禁止条項」などを適切に盛り込むことも重要です。これらの文言が漏れていると、後日さらなる請求を受けたり、刑事処分に有利に働かなかったりするリスクがあります。
弁護士が作成する書面は、検察官や裁判官に対しても高い証明力を持ちます。当事務所で実際に示談が成立し不起訴を獲得できた事例については飲酒後に不同意わいせつを疑われ示談成立で不起訴となった事例もあわせてご確認ください。
刑事処分の軽減・回避を目指せる
既に警察が介入している場合でも、弁護士を通じて起訴前に示談を成立させれば、「不起訴処分(起訴猶予)」を獲得できる可能性が飛躍的に高まります。不起訴になれば前科はつかず、裁判も開かれないため、最短ルートで社会復帰を果たせます。
万が一起訴された場合でも、公判(裁判)までに示談が成立していれば、実刑を回避して「執行猶予」を得るための強力な好材料となります。弁護士は、成立した示談の結果を速やかに検察官や裁判所に報告し、被害回復がなされたことや被害者の処罰感情が和らいだことを論理的に主張します。
罰金刑のない不同意わいせつ罪で刑務所への収容を避けるには、弁護士が司法機関に対して情状酌量を粘り強く訴えていくことが欠かせません。不起訴処分を獲得するための具体的なポイントについては不同意わいせつ(旧強制わいせつ)で不起訴処分を得るには?で紹介しています。
不同意わいせつ事件の量刑でお悩みの方は弁護士にご相談ください
不同意わいせつ罪は罰金刑がなく、起訴されれば拘禁刑のみが科される重い犯罪です。量刑相場は1〜3年程度で執行猶予が付くケースも多いものの、被害者との示談が成立しているかどうかが処分の結果を大きく左右します。
不同意わいせつ事件では、加害者本人が被害者に接触することは許されません。示談交渉は弁護士を通じて行う必要があり、示談書の内容や宥恕条項の有無が不起訴や執行猶予の獲得に直結します。対応が遅れるほど起訴のリスクは高まり、取り返しのつかない結果を招きかねません。
「警察から連絡が来ている」「既に逮捕されてしまった」「被害者から示談を求められている」など、状況はさまざまかと思いますが、どのような段階であっても弁護士が介入することで状況を改善できる可能性があります。ご本人はもちろん、ご家族の方の精神的なご負担も大きいことと思います。
当事務所は刑事事件を専門的に取り扱っており、不同意わいせつ事件の弁護実績も豊富です。全国どこからでもご利用いただける無料相談を実施しておりますので、おひとりで抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

