【一覧表つき】親告罪とは?告訴期間と非親告罪との違いを解説

親告罪とは、被害者などが告訴しなければ、検察官が刑事裁判に持ち込めない犯罪です。名誉を傷つけられた、物を壊された、別居しているおじやいとこに財産を持ち出されたといった被害が、これにあたります。

もっとも、告訴できる期間は無期限ではありません。「自分の被害は親告罪なのだろうか」「もう間に合わないのでは」と気がかりな方も多いはずです。

この記事では、刑事事件の解決実績が豊富な弁護士が、次の点について解説します。

  • 親告罪と非親告罪は何が違うのか
  • 自分が受けた被害は親告罪にあたるか
  • 法改正で非親告罪に変わった犯罪
  • 告訴期間はいつまでか、取り消すとどうなるか

お読みいただくことで、ご自身の被害が親告罪にあたるのか、いつまでに告訴すべきかの見通しを持てます。

なお、親告罪の被害への対応でお困りの方は、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談へお気軽にご連絡ください。地域を問わずご相談を承っています。

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親告罪とは?非親告罪との違い

「警察に届け出れば処罰してもらえるのか」と考えるとき、必ず出てくるのが親告罪です。まずは意味と、告訴という手続きを押さえます。

親告罪とは、被害を受けた本人などが処罰を求めて告訴しない限り、検察官が裁判にかけることのできない犯罪をいいます。告訴がないことで止まるのは起訴だけで、警察が捜査を始めること自体は告訴がなくてもできます。

反対に、告訴がなくても検察官が起訴できる罪を「非親告罪」といいます。殺人罪や傷害罪など、刑法に定められた罪の多くは非親告罪です。

親告罪と非親告罪は何が違うのか

次の4点を比べると、違いがはっきりします。

比較の観点 親告罪 非親告罪
起訴に告訴が必要か 必要 不要
罪の例 名誉毀損罪・器物損壊罪など 殺人罪・傷害罪など
告訴できる期間 犯人を知った日から6か月 定めなし
告訴の取消しの影響 起訴できなくなる 取消し後も起訴できる

親告罪は、検察官だけが持つ起訴の権限に被害者の意思という条件を付けた例外で、主に次の3つの事情によるとされます。

  • 裁判で事実が公になり、被害者のプライバシーが害されるおそれがあるため
  • 被害が軽微で、処罰を求めるかを被害者の意思に委ねてよいため
  • 親族間のもめごとに国家が刑罰で立ち入るのは控えるべきであるため

告訴とは?被害届・告発との違い

告訴とは、捜査機関に被害を伝えたうえで、犯人を処罰してほしいという意思をはっきり示すことです。似た手続きとの違いは次のとおりです。

手続き 内容 親告罪で起訴の条件になるか
告訴 被害を申告し、犯人の処罰を求める意思を示すもの なる
被害届 被害に遭った事実の届出。処罰を求める意思表示は含まない ならない
告発 被害者や告訴権者以外の人が申告して処罰を求めるもの ならない

被害届を出しただけでは、親告罪の犯人を起訴してもらうことはできません。告訴ができるのは、告訴権者(告訴する権限を持つ人)に限られます。主な告訴権者は次の方です。

  • 被害者本人(刑事訴訟法230条)
  • 被害者の法定代理人(親権者・後見人など)。本人に告訴の意思がなくても独立して告訴できます(同法231条1項)
  • 被害者が死亡した場合の配偶者・直系の親族・兄弟姉妹(同法231条2項)。ただし被害者が生前に示した明示の意思には反せません
  • 死者の名誉が毀損された場合の親族・子孫(同法233条1項)
  • 法定代理人が加害者本人であるときなどの、被害者の親族(同法232条)

未成年者でも、被害を理解して処罰を求める意思を示せれば告訴できるとされています。

告訴と告発の違いは「告訴と告発の違いとは?仕組みと取り下げを解説」で解説しています。

親告罪・非親告罪の一覧表

親告罪は刑法だけでなく、著作権法などの特別法にも置かれています。告訴が必要と定められた罪以外は、原則として非親告罪です。性質ごとに一覧で確認します。

絶対的親告罪の一覧

絶対的親告罪とは、犯人が誰であっても、告訴がなければ起訴できない親告罪です。

罪名 親告罪とする条文
信書開封罪(刑法133条)・秘密漏示罪(刑法134条) 刑法135条
過失傷害罪(刑法209条1項) 刑法209条2項
未成年者略取誘拐罪(刑法224条)とその未遂罪 刑法229条
名誉毀損罪(刑法230条)・侮辱罪(刑法231条) 刑法232条1項
私用文書等毀棄罪(刑法259条)・器物損壊罪(刑法261条)・信書隠匿罪(刑法263条) 刑法264条
リベンジポルノ防止法違反 リベンジポルノ防止法3条4項
著作権侵害罪(著作権法119条1項ほか) 著作権法123条1項(同条2項の例外あり)

※リベンジポルノ防止法の正式名称は「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」です。

相対的親告罪の一覧

相対的親告罪とは、犯人と被害者が同居していないおじ・おばのような一定の親族関係にある場合に限り、告訴が起訴の条件になる親告罪です。

罪名 親告罪とする条文
窃盗罪(刑法235条)・不動産侵奪罪(刑法235条の2)とこれらの未遂罪 刑法244条2項
詐欺罪(刑法246条)・電子計算機使用詐欺罪(刑法246条の2)・背任罪(刑法247条)・準詐欺罪(刑法248条)・恐喝罪(刑法249条) 刑法251条・244条2項
横領罪(刑法252条)・業務上横領罪(刑法253条)・遺失物等横領罪(刑法254条) 刑法255条・244条2項

ここでいう親族とは、「配偶者」「直系血族(親・祖父母・子・孫など)」「同居の親族」以外の親族です(刑法244条2項)。つまり、別居している兄弟姉妹やおじ・おば、いとこ、配偶者の親などです。

これらの罪で配偶者・直系血族・同居の親族が犯人の場合は、刑法244条1項により刑が免除されます。裁判所の裁量はなく、告訴の有無にかかわらず処罰されないため、親告罪の枠組みの外に置かれています。ただし1項・2項のいずれも、親族でない共犯者には適用されません(同条3項)。また、盗まれた物が第三者の所有物である場合など、そもそも244条1項が適用されないこともあり、その場合は通常どおり処罰の対象になります。

法改正で非親告罪になった犯罪の一覧

かつては親告罪だったものの、法改正によって告訴がなくても起訴できるようになった罪があります。

現在の罪名 法定刑 非親告罪になった日
不同意わいせつ罪(刑法176条) 6月以上10年以下の拘禁刑 平成29年7月13日
不同意性交等罪(刑法177条) 5年以上の有期拘禁刑 平成29年7月13日
ストーカー行為罪(ストーカー規制法18条) 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 平成29年1月3日

性犯罪の罪名は、平成29年の改正で強姦罪が強制性交等罪に改められ、令和5年7月13日施行の改正で不同意性交等罪・不同意わいせつ罪に再編されました。なお、平成29年7月13日より前の性犯罪でも、その時点で告訴ができる状態が残っていたものは、告訴がなくても起訴できます(平成29年改正法の附則2条2項)。拘禁刑は、令和7年(2025年)6月1日施行の改正刑法で懲役刑と禁錮刑が一本化された刑罰です。

性犯罪が非親告罪に改められたのは、告訴するかの選択を被害者に委ねること自体が負担になっているとの指摘があったためです(法制審議会刑事法(性犯罪関係)部会)。

著作権侵害の罪も、現在は原則として親告罪です(著作権法123条1項)。ただし平成30年12月30日に施行された法改正により、次の3つの要件をすべて満たす場合に限って非親告罪となりました(同条2項)。

  • 侵害の対価として財産上の利益を受ける目的、または権利者が得られると見込まれる利益を害する目的があること
  • 有償で提供・提示されている著作物などを「原作のまま」公衆に譲渡し、または公衆送信(インターネットなどで送信すること)する行為(そのために複製する行為を含む)であること
  • 権利者が得られると見込まれる利益が不当に害されることとなる場合であること

文化庁は、海賊版の販売などは非親告罪になる一方、同人誌などの二次創作は一般に原作のまま用いるものではなく原作と競合しないため、非親告罪にはならないと考えられるとしています。ただし親告罪としては残るため、権利者が告訴すれば処罰の対象になります(文化庁)。

ファイル共有ソフトを使った違法アップロードで逮捕される可能性については「トレントで捕まる確率は?逮捕される違法行為と対処法を解説」で解説しています。

告訴期間と告訴の取消し

親告罪の告訴には期限があり、一度取り消すとやり直しがききません。数え方と取消しの効果を確認します。

親告罪の告訴ができるのは、犯人を知った日から6か月以内です(刑事訴訟法235条)。この期間を告訴期間といいます。

混同されやすいのが公訴時効です。これは犯罪が終わったときから一定期間で検察官が起訴できなくなる制度です。公訴時効が残っていても、告訴期間が過ぎれば起訴してもらえません。罪ごとの年数は「刑事事件の時効は何年?公訴時効を一覧表で犯罪別に解説」でまとめています。

「犯人を知った日」はいつを指すか

親告罪の告訴期間は、告訴権者が犯人が誰であるかを知った日を基準に6か月を数えます。氏名や住所まで分からなくても、その人物を他の人と区別できる程度に分かっていれば「犯人を知った」ことにあたるとされています。ただし、告訴するかを決められる程度の認識が必要とした裁判例もあります。判断に迷うときは、早いほうの日から数えて備えておくと安全です。

もっとも、犯罪行為が続いている間は告訴期間が進みません。インターネット上の書き込みによる名誉毀損では、閲覧できる状態が続く限り犯罪は終わっていないと判断した裁判例があり、その状態が解消されてから6か月を数えると扱われる可能性があります。

告訴期間の数え方と例外

親告罪の告訴期間の数え方には、次の決まりがあります。

  • 犯人を知った日は数に入れず、その翌日から数えはじめます(刑事訴訟法55条1項)
  • 末日が土曜日・日曜日・祝日(振替休日などを含む)、1月2日・1月3日、12月29日から12月31日までの日にあたるときは、その日は期間に算入されません(同条3項)。これらにあたらない日まで、末日は後ろにずれます

親告罪の告訴期間の事例

外国の君主・大統領や日本国に派遣された外国の使節が名誉毀損罪・侮辱罪の被害者となった場合、その国の代表者または使節が行う告訴は、6か月の制限を受けません(刑事訴訟法235条ただし書)。

告訴状の書き方や提出方法は「告訴・告発の方法|告訴状を受理してもらうための5つの注意点とは」でご確認ください。

告訴を取り消すと再告訴できない

告訴を取り消した人は、同じ事件について改めて告訴することができません(刑事訴訟法237条2項)。親告罪では告訴が起訴の条件になるため、取消しは処罰を求める道を自ら閉ざす判断になります。

取消しができるのは、起訴されるまでの間です(同条1項)。加害者との示談(当事者どうしの話し合いによる解決)がまとまり、処罰までは望まなくなった場合などに行われます。

示談の交渉で取消しを求められることもありますが、後で約束が守られなくてもやり直しはできません。条件が確実に実行される形になっているかを、取消しの前に確認する必要があります。

親告罪の被害に遭われた方・告訴をお考えの方へ

親告罪では、被害者側が告訴しなければ加害者が起訴されることはありません。告訴には6か月の期限があり、一度取り消せばやり直しもききません。告訴状の準備に手間取れば、その間にも期限は進みます。弁護士に依頼すれば、告訴状の作成から捜査機関とのやり取りまで任せられ、期限内に手続きを進めやすくなります。

親告罪の被害に加えて手続きにも追われるのは大きな負担です。被害届を出した方、示談を持ちかけられている方、期限が迫っている方も、状況の整理からお手伝いします。

当事務所は刑事事件を専門分野として数多くの案件を扱ってきました。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

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