脅迫罪の時効は何年?民事(慰謝料)の時効も併せて解説

脅迫罪の公訴時効は3年、民事の消滅時効は原則3年(最長20年)です。

「過去に受けた脅迫について、今からでも法的な対応ができるのだろうか」と気になっている方もいるのではないでしょうか。時効期間内であれば、刑事告訴や慰謝料請求によって被害回復を図れる可能性は十分に残されています。

この記事では、脅迫被害に強い弁護士が、脅迫罪の刑事・民事両面の時効について、起算点や停止事由もあわせてわかりやすく解説します。

なお、脅迫被害について早急に対応したいとお考えの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談をご利用ください。

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脅迫罪の時効は何年?

脅迫罪の公訴時効は3年です。

公訴時効とは、犯罪が終了してから一定期間が経過すると検察官が起訴(公訴の提起)できる権限がなくなる刑事事件の時効を指します。よく刑事ドラマで、犯人が時効直前で逮捕されるシーンがありますが、それがまさに公訴時効です。

公訴時効については刑事訴訟法第250条に規定されていますが、犯罪の重大さ(刑罰の重さ)によってその期間が変わります。

第二百五十条
(前略)
② 時効は、人を死亡させた罪であつて拘禁刑以上の刑に当たるもの以外の罪については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。
一 死刑に当たる罪については二十五年
二 無期拘禁刑に当たる罪については十五年
三 長期十五年以上の拘禁刑に当たる罪については十年
四 長期十五年未満の拘禁刑に当たる罪については七年
五 長期十年未満の拘禁刑に当たる罪については五年
六 長期五年未満の拘禁刑又は罰金に当たる罪については三年
七 拘留又は科料に当たる罪については一年

※拘禁刑とは、2025年6月1日に施行された改正刑法により、従来の懲役刑と禁錮刑が一本化された刑罰のことです。

脅迫罪(刑法222条)の刑罰は「2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金」ですので、刑事訴訟法250条2項6号に該当し、公訴時効は3年で完成するということです。

その他、脅迫が手段となりうる犯罪の公訴時効は以下となります。

罪名 法定刑 公訴時効
恐喝罪 10年以下の拘禁刑 7年
強要罪 3年以下の拘禁刑 3年
強盗罪 5年以上の有期拘禁刑(※1) 10年
不同意わいせつ罪(旧:強制わいせつ罪) 6月以上10年以下の拘禁刑 12年(※2)
不同意性交等罪(旧:強制性交等罪) 5年以上の有期拘禁刑(※1) 15年(※2)

(※1)有期拘禁刑の上限は原則20年以下
(※2)2023年刑事訴訟法改正により性犯罪の公訴時効が延長されました

脅迫罪の時効の進行が開始する時期はいつ?

脅迫罪の公訴時効の進行が開始する時期(起算点)は、脅迫行為が終わった時点、つまり、最後に脅迫行為があった日です。

例えば、これまで同一人物に継続的に脅され続け、2025年1月31日を最後に脅迫被害が収まった場合は、2025年1月31日から3年経過後の2028年1月31日に脅迫罪の時効が完成します。

時効期間内に刑事事件として対応を進めたい場合は、被害届の提出も有効な手段です。被害届の具体的な出し方やメリットについては「恐喝・脅迫の被害届を出す3つのメリットと出し方をわかりやすく解説をわかりやすく解説」で詳しく紹介しています。

脅迫罪の時効の停止について

脅迫罪の公訴時効の進行が開始した場合でも、時効が停止する事情が生じた場合にはその停止している期間は3年間の時効期間に含まれません。時効を停止する事情がなくなれば時効の進行は再開します。

公訴時効の停止については、刑事訴訟法第254条・255条に規定されています。

第二百五十四条 時効は、当該事件についてした公訴の提起によつてその進行を停止し、管轄違又は公訴棄却の裁判が確定した時からその進行を始める。
② 共犯の一人に対してした公訴の提起による時効の停止は、他の共犯に対してその効力を有する。この場合において、停止した時効は、当該事件についてした裁判が確定した時からその進行を始める。

第二百五十五条 犯人が国外にいる場合又は犯人が逃げ隠れているため有効に起訴状の謄本の送達若しくは略式命令の告知ができなかつた場合には、時効は、その国外にいる期間又は逃げ隠れている期間その進行を停止する。
② 犯人が国外にいること又は犯人が逃げ隠れているため有効に起訴状の謄本の送達若しくは略式命令の告知ができなかつたことの証明に必要な事項は、裁判所の規則でこれを定める。

上記条文によると、公訴時効が停止する事情は以下の3つとなります。

  • ①犯人が起訴された
  • ②犯人が国外にいる
  • ③犯人が逃げ隠れしていて起訴状の送達もしくは略式命令の告知ができなかった

「①犯人が起訴された」場合、脅迫行為が複数人で行われていれば、そのうちの一人が逮捕され起訴された時点で、起訴された犯人の刑事裁判が確定するまで共犯者の時効も停止します。

「②犯人が国外にいる」場合は、海外にいる期間中は時効が停止し、日本に帰国した時点で時効の進行が再開します。

「③犯人が逃げ隠れしていて起訴状の送達もしくは略式命令の告知ができなかった」場合ですが、これは"検察官が起訴をした"ことが前提です。起訴されずに犯人がただ逃げ回っているだけでは、時効は停止せず進行し続けます。

なお、刑事告訴や被害届の提出にあたっては証拠の有無が重要になります。脅迫の証拠として何が有効かについては「脅迫罪の証拠となる5つのもの!証拠がない場合はどうすればいい?」をご参照ください。

脅迫罪の民事事件の時効

民事事件の時効とは、加害者に損害賠償請求(民法709条・710条)が可能な期間のことです。刑事事件の時効は「公訴時効」という名前でしたが、民事事件では「消滅時効」といいます。

精神的苦痛に対する損害賠償を「慰謝料」と言いますが、脅迫された場合も恐怖を感じたことで精神的苦痛を受けたわけですから慰謝料請求できます。具体的な金額については「脅迫の慰謝料相場はいくら?示談交渉による慰謝料額の事例も紹介」で解説しています。

この損害賠償(慰謝料)請求権は、被害者が損害と加害者を知ってから3年で時効によって消滅します(民法第724条1項)。また、不法行為の時から20年経過した場合も消滅時効にかかります(民法第724条2項)。

(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
第七百二十四条 不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。
二 不法行為の時から二十年間行使しないとき。

ただし、脅迫文言が「人の生命や身体を害する」内容であった場合には、上記の3年の時効期間が5年となります(民法第724条の2)。例えば、「お前を殺す(生命への侵害)」「お前の家族を殴る(身体への侵害)」と言われたようなケースです。

(人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
第七百二十四条の二 人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効についての前条第一号の規定の適用については、同号中「三年間」とあるのは、「五年間」とする。

脅迫被害に対して時効期間内に適切に対応するためには、早い段階で専門家に相談することが大切です。脅された場合の具体的な対処の流れや相談先については「脅された時の対処法は?恐喝・脅迫被害の相談先も弁護士が解説」で詳しく紹介しています。

脅迫被害の時効でお悩みの方は弁護士にご相談ください

脅迫罪の公訴時効は3年、民事の消滅時効は被害者が損害と加害者を知ってから原則3年(生命・身体への脅迫は5年)です。時効期間内であれば、刑事告訴や慰謝料請求といった法的手段によって被害回復を目指すことができます。

時効が成立しているかどうかの判断は、起算点や停止事由が関わるため、ご自身だけで正確に見極めるのは難しいことも少なくありません。脅迫被害に詳しい弁護士に相談すれば、時効の成否を正確に判断したうえで、刑事告訴の手続きから慰謝料請求の交渉まで一貫したサポートを受けることができます。

「被害から時間が経ってしまったけれど、まだ間に合うのだろうか」「証拠が十分にあるか不安」という方も、おひとりで悩まず、まずは専門家にご相談ください。

当事務所では、脅迫をはじめとする刑事被害のご相談を数多くお受けしており、被害回復に向けた対応を一貫してお任せいただけます。全国どこからでも無料でご相談いただけますので、お気軽にお問い合わせください。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

脅迫・恐喝被害の解決に豊富な実績を持つ。一般社団法人 詐欺・不当要求対策協会の代表理事として、不当要求対策の研究・啓発活動にも取り組んでいる。「警察沙汰にしたくない」「家族や会社に知られたくない」といった被害者特有の事情に寄り添い、粘り強い交渉で解決に導く。他の事務所で断られた案件にも積極的に対応。

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メディア掲載 フジテレビ「とくダネ」/ ダイヤモンド・オンライン / @DIME / サイゾー 他多数
講演実績 「不当要求対応の基礎」「犯罪組織によるマネー・ロンダリングと投資詐欺への法的処置」等
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