横領した人の末路は?弁護士が10個の末路を解説
横領した人の末路はどうなってしまうのだろう…

このようにお考えではないでしょうか。

会社のお金に手をつけてしまい、懲戒解雇で職を失ったり逮捕されて刑務所に収監される不安にさいなまれて弁護士に相談される方も少なくありません。

そこでこの記事では、業務上横領に強い弁護士が、横領した人の末路はどうなるのかについて詳しく解説していきます

なお、心当たりのある行為をしてしまい、いつ警察に逮捕されるか不安な日々を送られている方で、この記事を最後まで読んでも問題解決しない場合には全国無料相談の弁護士までご相談ください

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横領した人の末路はどうなる?

横領した人の末路として起こり得る事態は以下の通りです。

  • ①会社を懲戒解雇される
  • ②逮捕と長期の勾留をされてしまう
  • ③実名報道されて社会的信用を失う
  • ④起訴されて刑事裁判にかけられてしまう
  • ⑤民事裁判を起こされる
  • ⑥返済義務を負い続ける
  • ⑦家族の人生を狂わせる
  • ⑧再就職が困難になる
  • ⑨離婚請求をされてしまう
  • ⑩刑務所に収監されてしまう

横領をしてしまった人が具体的にどのような末路を辿るおそれがあるのか、以下で解説していきます。

①会社を懲戒解雇される

会社のお金を横領した人は、業務上横領罪に問われることになります。

業務上横領をすると、会社を懲戒解雇される可能性が高いでしょう。懲戒解雇とは、使用者が従業員の企業秩序違反行為に対して課す制裁罰としての解雇です。

企業は、多数の労働者を組織し円滑に企業活動を行っていくためにも就業規則に服務規律を定めることが一般的です。例えば、職場の風紀を乱さないこと、会社の名誉を毀損する行為をしないことなどの服務規律に違反した場合、会社は制裁として懲戒処分を課すことができます。

一般的に会社が従業員を解雇する場合には、30日前に解雇予告をするか30日分以上の解雇予告手当の支払いをする必要があります(労基法第20条1項)。

しかし、「労働者の責めに帰すべき事由に基づいて解雇する場合」については、予告も解雇予告手当もなしに即時解雇することができます(同項但書)。

そのため、従業員が業務上横領を行った場合には、即日解雇されてしまう可能性があります。さらに、懲戒解雇されると会社から離職票が交付され、離職票の「重責解雇」の欄にチェックが付けられている可能性があります

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②逮捕と長期の勾留をされてしまう

業務上横領が発覚した場合には、捜査機関に逮捕・勾留される可能性があります

逮捕とは、被疑者の身体を比較的短時間拘束する強制処分のことです。勾留とは被逮捕者に更なる留置が必要な場合に、逮捕に引き続き行われる身体拘束のことです。

警察官に逮捕された場合には、48時間以内に検察官に送致され、検察官は被疑者の身柄を受け取った時から24時間以内・当初の身体拘束から72時間以内に勾留請求をするか否かを判断します。横領事件の場合には、横領の手口や被害金額を明らかにするため時間がかかる可能性があり、逮捕された場合にはその後勾留される可能性が高いでしょう。

また、業務上横領事件は、長期間に渡って着服を繰り返しているケースが多く、捜査が進展すると新たな横領が発覚した場合には、複数回の逮捕・勾留が繰り返され全体として長期間の身体拘束を受けるリスクがあります

③実名報道されて社会的信用を失う

横領事件を起こした場合には、警察に逮捕され、実名報道される可能性があります

大手の会社や上場企業の従業員が横領行為をした場合や、被疑者の会社内での地位が高い場合、または横領の金額が高額に及ぶ場合などには、話題性が大きいため実名報道される可能性が高まります。

インターネット上のニュースや記事で実名が公表されてしまうと、誰でも簡単に事件の概要を知ることができ、また時間が経過しても半永久的に残ってしまうおそれがあります。

実名報道されるような事件の場合には、失職してしまう可能性も高いですが、再就職する際のハードルが高くなることもあります。企業によっては、採用面接の際に求職者の名前を事前にインターネット上で検索する場合もあります。実名報道がされている場合には、過去の横領事件が明らかになり、採用が見送られるおそれもあります

また、実名報道によって、周囲の人たちに事件のことが広く知られることになる可能性もあります。周囲の人たちの噂話やゴシップの的になり、日常生活が送りづらくなったり、社会的な差別を受けたりするおそれもあります

④起訴されて刑事裁判にかけられてしまう

業務上横領を起こした場合には、起訴されて刑事裁判にかけられる可能性があります。逮捕・勾留された場合には、基本的に身体拘束から23日以内に起訴されるかどうかが判断されることになります。身体拘束を受けず在宅事件として捜査される場合には、最初の取調べから検察官に送致されるまで数か月〜1年程度かかる可能性もあります。

そして、検察官によって公訴提起されてしまうと、高い確率で有罪判決を受けてしまう可能性があります。

日本の刑事裁判の有罪率は99.9%と言われており、起訴されてしまうと有罪認定される可能性が相当高く、無罪とされるケースはほとんどありません

さらに、横領事件により有罪判決を受けてしまうと「前科」が付くことになります。前科とは、過去に有罪判決を受けたという記録のことをいいます。懲役や罰金などの実刑に処せられたケースのみならず、執行猶予が付されたケースでも前科記録は残ります。

盗撮によって前科が残ると、以下のような不利益を受けることになります。

  • 検察庁や警察に前科記録が残る
  • 再犯で逮捕された場合、重い刑罰が科される可能性がある
  • 前科が付されることで、就業規則上の懲戒事由に該当する可能性がある
  • 就職活動・転職活動の際に、前科を秘匿すると経歴詐称に当たる可能性がある
  • 前科があることで、一定の職業には就けない など

⑤民事裁判を起こされる

会社のお金を横領した場合には、横領した金額については不当利得として返還する義務があります。さらに、横領事件を起こして会社に損害を与えた場合には、会社に対して損害賠償義務を負う可能性もあります。

横領した金銭を事後的に返還したとしても、犯罪事実が遡って無くなるわけではありません。

横領した金銭を全額返済することができない場合には、被害者から民事裁判を提起されるおそれもあります

被害者が民事裁判で勝訴判決を得たにもかかわらず、お金を支払わない場合には、被害者の申立てに基づいて裁判所が強制的に権利を実現することができます。このような強制執行手続きが行われることで、不動産や銀行預金が差し押さえられる可能性があります。

⑥返済義務を負い続ける

上記のように、横領被害を受けた会社に返済義務があったとしても、「自己破産」をすればそのような義務を免れることはできるのでしょうか。

自己破産とは、支払い不能に陥った債務者が、裁判所に対して破産申立書を提出して「免責許可」決定を受けることで、債務の支払いを免除してもらう手続きです。

ただし、自己破産には「非免責債権」といって、支払いの免除の効果が及ばない債権が法定されています。

この「非免責債権」のなかには租税や罰金の請求権のほか「破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」が規定されています(破産法第253条1項2号)。

この「悪意」とは被害者の権利を侵害することを認識しているという意味です。横領行為は故意犯ですのでこの「悪意で加えた不法行為」に該当することになります。

したがって、横領により被害者に損害を与えた場合には、いつまでも返済義務を負い続けることになる可能性があるのです。

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⑦家族の人生を狂わせる

横領をしたことで、その人の家族が法的な責任を負うことになる可能性もあります

横領した金銭を生活費として費消していた場合には、家族にも返還義務が発生する可能性が高いです

なぜならこのような場合には、法律上の原因なく他人の財産によって利益を受け、他人に損失を及ぼしているとして不当利得返還責任が発生すると考えられるからです(民法第703条参照)。善意の受益者、つまり横領された金銭であると知らずに生活費として費消した家族はその利益の現存する限度(現存利益)を返還する必要があります。

また、家族が本人の身元保証人になっていた場合には、その家族が賠償請求されることがあります。身元保証契約とは、使用者と労働者の身元保証人(家族)が締結する、損害賠償責任に関する合意です。労働者が会社に何らかの損害を与えたときには、本人に代わり身元保証人が賠償金を支払うという内容の契約です。

実名報道などで事件が公けになってしまうと、家族が日常生活を送ることが難しくなり、転居、転職・転校などを強いられるおそれもあります

⑧再就職が困難になる

前述の実名報道による影響のほか、退職理由をごまかすと再就職ができなくなるリスクもあります

転職・再就職をする際、前職の退職理由を尋ねられたにもかかわらず、懲戒解雇されたことを秘匿して虚偽の事実を告げて採用された場合、後で転職先から解雇されてしまうことがあります。

職歴や犯罪歴の詐称は、企業秩序に影響を与えるとして懲戒解雇の対象となる可能性があります。従業員は、必要かつ合理的な範囲で申告を求めた場合には、信義則上、真実を告知すべき義務を負うと考えられています。

そのため、経歴詐称が事前に発覚していれば会社がその労働者を雇入れることはなかったといえる場合には、信頼関係、企業秩序維持等に重大な影響を与えたとして、転職先から解雇されてしまうリスクがあります

⑨離婚請求をされる

会社のお金を横領すると刑事事件として逮捕・勾留される場合があります。早期に釈放される場合には、身元引受人として警察署まで迎えに来るように家族に連絡が入ることがあります。立件された場合には、配偶者に事件が発覚する可能性があります。

このように、自分の配偶者が横領行為を行った犯罪者であるとわかると、配偶者との離婚を希望する人もいます。事件が社会的に有名になった場合には、子どもへの影響を懸念して離婚を希望することもあります。

横領事件を起こして会社を解雇された場合には、「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)という法定離婚事由に該当すると判断される可能性があります。法定離婚事由が認められる場合には、相手方配偶者が裁判所に裁判上の離婚を請求することができるため、離婚を争うことは事実上困難になります。

このように、横領事件を起こして離婚した場合には会社への返済義務を負うほか、財産分与や養育費、慰謝料などの支払い義務を負う可能性があるのです

⑩刑務所に収監されてしまう

業務上横領罪により刑事裁判で有罪判決を受けると、10年以下の懲役が科される可能性があります。実刑判決の言い渡しの翌日から14日目に刑が確定し、被告人は受刑者となります。

刑が確定するまでの間は拘置所で身柄の拘束が継続され、受刑者となった段階で刑務所に収監されます

最終的な判決の内容については、事案の悪質性や過去の犯罪歴、再犯可能性などを考慮して決定されることになります。

300万円以上のお金を横領して被害弁償を一切していない場合や、1000万円以上のお金を横領した場合には、悪質な業務上横領事件であるとして、実刑判決が言い渡される可能性が高いといえます。

悲惨な末路を辿らないためにすべきこと

被害者との示談

悲惨な末路を辿らないようにするためには、横領の被害者と示談をすることが重要です

会社としては着服されたお金が返金されれば実害はないと考えて、被害届・告訴状を提出しない可能性があります。刑事事件化して会社や従業員がマスコミによって大々的に報道されてしまうことは会社としてデメリットが大きいと考えるケースもあります。

そのため、会社が刑事事件化する前や、事件化されて逮捕される前に、被害弁償をして被害者と示談を成立させることが大切です。

また、逮捕・勾留されたとしても被害がある程度回復している場合には、検察官が起訴を見送る判断をする可能性があります。このように不起訴処分になると刑事裁判にかけられることは無くなりますので有罪判決が出されるリスクも消滅します

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弁護士への相談・依頼

横領事件を起こしてしまった場合には、すぐに弁護士に相談・依頼するようにしてください

弁護士に事件を依頼した場合には、逮捕の回避、早期釈放・不起訴を獲得できるように、刑事弁護に尽力してくれます。特に被疑者が逮捕された場合には、勾留・起訴までに時間制限があります。短い期間の間に被疑者にとって有効な弁護活動を展開してもらうことが非常に重要となります。

また、被害者との示談交渉についても弁護士に対応を任せることができます。刑事事件の解決実績が豊富な弁護士に任せておけば、公正中立な立場で適切な内容・金額による被害弁償・示談をすることが期待できます。

さらに、起訴されても執行猶予や刑の減軽を目指して弁護活動を続けます。示談のほか、謝罪文の提出などによって反省の意思表示をするほか、ご家族による監督体制の整備や再犯防止策を裁判官に示すなど、さまざまな角度から弁護活動を行ってもらえます。

まとめ

以上、横領した人は、法的、社会的、経済的に制裁を受けることになります。また横領した人の家族にも迷惑がかかる可能性もあります。

このように横領事件を起こして悲惨な末路を辿らないようにするためには、すぐに弁護士に相談・依頼することが重要となります。

当事務所には、横領事件を含む刑事事件の解決実績が豊富な弁護士が在籍しております。親身誠実に弁護士が依頼者を全力で守りますので、横領事件を起こして対応にお悩みの方は、ぜひ当事務所の弁護士にご相談ください。

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