勾留とは?逮捕との違いと要件、勾留期間を解説

「家族が逮捕された。このまま勾留されてしまうのだろうか」と不安を抱えていらっしゃるのではないでしょうか。

勾留とは、被疑者・被告人の身柄を捜査や裁判のために拘束する処分です(起訴前の勾留は、逮捕に引き続いて行われます)。起訴前は原則10日、延長されると最大20日続きます。もっとも、逮捕された人が必ず勾留されるわけではありません。勾留するかどうかは逮捕から3日ほどのあいだに判断されるため、この短い時間に弁護人が動けるかどうかが結果を分けます。

この記事では、刑事事件の解決実績が豊富な弁護士が、以下のポイントをわかりやすく解説します。

  • 勾留とは何か、逮捕とどう違うのか
  • 勾留が決まる要件と決まるまでの流れ
  • 勾留される期間と、どこに入るのか
  • 勾留を回避し早期に釈放される方法

お読みいただくことで、ご家族がこれからどう扱われるのか、そして今日のうちに何をすべきかを整理できます。

なお、ご家族が逮捕・勾留されてお困りの方は、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談へお早めにご連絡ください。地域を問わずご相談を承っており、早期対応が結果を左右します。

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勾留とは

勾留(こうりゅう)とは、罪を犯した疑いのある人の身柄を、捜査や裁判のために一定期間、拘置所や警察署の留置場に拘束する処分です。逮捕が捜査機関の手で執行される処分であるのに対し、勾留は裁判官が勾留状を発付して初めて行われる「裁判とその執行」にあたります(起訴後の勾留を決めるのは裁判所です)。

身柄を拘束される期間も大きく異なります。逮捕は長くても約3日ですが、勾留は起訴前で原則10日、延長されれば最大20日に及び、起訴後はさらに長期化します。

勾留は、ニュースで「容疑者が勾留された」と報じられる場面のほか、ご家族が「昨日から帰ってこない」と気づいたあとに警察から連絡を受けた場面で、最初に直面する手続きです。この段階では取調べが連日続き、弁護人以外との面会も制限されるため、本人は外部の情報からほぼ切り離されます。この段階で本人がいちばん知りたいのは「いつ帰れるのか」ですが、その見通しを外から伝えられるのは弁護人だけです。

勾留の種類は2つ

勾留は、起訴の前か後かで被疑者勾留と被告人勾留に分かれます。分かれ目は手続の入り方と期間で、被疑者勾留は検察官の請求と裁判官の勾留質問を経て10日単位で決まり、被告人勾留は起訴によって自動的に移行し、まず2か月、その後は1か月ごとの更新になります。

被疑者勾留

被疑者勾留とは、起訴される前の段階で被疑者を勾留することをいいます。逮捕に引き続いて、検察官の勾留請求と裁判官の勾留質問を経て勾留決定が出ると、留置場などで生活しながら取調べ等の捜査を受け、起訴・不起訴の判断を待つことになります。もっとも、勾留決定後でも、起訴・不起訴の判断がなされる前に釈放されることがあります。具体的な手続きの流れは後述の「勾留が決まるまでの流れ」をご参照ください。

被告人勾留

被告人勾留とは起訴後の勾留のことです。

被疑者勾留のまま起訴されると、前述のような手続きを経ることなく自動的に被告人勾留へと移行してしまいます。起訴されると刑事裁判を受ける必要があります。釈放されるまでは引き続き拘置所や留置場で生活し、裁判の日になれば、施設職員の護送の下、裁判所へ出廷します。

逮捕と勾留の違い

逮捕と勾留の違いはどこにあるのでしょうか。

いずれも被疑者の逃亡・罪証隠滅を防止するために身柄拘束をするという点では共通しています。

まず、「逮捕」とは勾留に先立ち比較的短時間(最大72時間)被疑者を拘束する強制処分を指します。逮捕は逮捕状に基づいてなされる通常逮捕が原則ですが、例外として現行犯逮捕・緊急逮捕が法定されています。

これに対して、「勾留」とは逮捕に引き続き更なる身柄拘束が必要な場合になされる強制処分を指します。勾留するには裁判官による勾留状の発付が必要です。

被疑者については、勾留に先立って逮捕の手続きがとられていなければなりません。このようなルールを逮捕前置主義と呼びます。このようなルールがある理由は、身柄拘束の当初は事情変更が生じやすく犯罪の嫌疑や身柄拘束の必要性の判断が流動的であるためです。すなわち一挙に長期間の拘束(勾留)はせずに、短期間の拘束(逮捕)を先行させることで勾留に至らない釈放の可能性を認めています。

勾留と拘留・留置の違い

勾留と拘留は読み方は同じですが、意味はまったく異なります。両者の違いは、刑罰かどうかという点です。すなわち、勾留は刑罰でないのに対し、拘留は拘禁刑、罰金などと同様に刑罰の一種です(刑法9条)。

(刑の種類)
第九条 死刑、拘禁刑、罰金、拘留及び科料を主刑とし、没収を付加刑とする。

出典:e-Gov法令検索

※拘禁刑とは、2025年6月1日に施行された改正刑法により、従来の懲役刑と禁錮刑が一本化された刑罰のことです。

勾留されても刑罰を科されるわけではありません。起訴され刑事裁判を受け、判決(又は命令)で有罪認定を受けなければ、刑罰を科されることはありません。逆に、勾留されずに在宅のまま裁判を受けて拘留を科されることもあり得ますが、拘留が定められた罪は少なく、実際に求刑されるケースはほとんどありません。

また、「留置」という言葉も混同されやすいものです。留置は処分の名称ではなく、警察署内にある留置施設(留置場)に身柄を置くことを指す言葉です。つまり、勾留という処分を受けた結果として留置場で過ごす、という関係になります。

逮捕・勾留・拘留・留置の関係を整理すると、次のとおりです。

用語 性質 根拠 期間
逮捕 捜査のための身柄拘束(刑罰ではない) 刑事訴訟法199条ほか 最大72時間
勾留 捜査・裁判のための身柄拘束(刑罰ではない) 刑事訴訟法60条・207条 起訴前は原則10日・最大20日(例外的に最大25日)/起訴後は2か月(更新あり)
拘留 刑罰の一種 刑法9条・16条 1日以上30日未満
留置 処分名ではなく、身柄を置く場所を指す言葉 刑事収容施設法14条・15条(刑事訴訟法上の処分名ではない) 勾留などの期間に従う

勾留と拘留のより詳しい違いについては「拘留とは?勾留との違いと前科・科される罪を解説」をご参照ください。

勾留の要件

勾留が認められるためには、「勾留の理由」と「勾留の必要性」の2つの要件を満たす必要があります。

①勾留の理由があること

勾留の理由があるといえるためには「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること」が必要です。この勾留の理由となる「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」とは、有罪の確証までは不要ですが、犯罪を犯したことが相当程度の可能性をもって認められる状態を意味しています。

また、勾留の理由があるといえるためには、上記の相当な理由に加えて、次のいずれかにあたることも必要です。

  • 住居不定であること
  • 罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があること
  • 逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があること

いずれの場合も今後の捜査や裁判に支障をきたすことから、勾留の理由にあげられています。

住居不定であること

逃亡生活をしている場合はもちろん、

  • ネットカフェやホテルで寝泊まりしている場合
  • 車上生活をしている場合
  • 自宅に帰らず知人宅で寝泊まりしている場合

なども住居不定と判断される可能性があります。

罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があること

殺人で使ったナイフを処分したり、重要な証言をもつ被害者や参考人に暴行を加えたり脅迫したりするなど、物的・人的証拠を隠滅する可能性がある、ということです。「相当な理由」があることが必要ですから、単なる抽象的な可能性では足りず、何らかの具体的事実によって裏付けられた蓋然性があることまで必要とされます。

逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があること

被疑者が現に逃亡しているか、将来起訴されることをおそれて捜査機関にとって所在不明になるおそれがある、ということです。

逃亡のおそれがあるかどうかは、

  • 身上関係(家族関係、年齢、職業・職歴、資産状態など)
  • 住居状態(居住形態、居住期間、転居歴など)
  • 前科・前歴の有無及びその内容
  • 余罪の有無

などを総合的に勘案して判断されます。

②勾留の必要性があること

勾留の必要性とは、勾留の理由は認められるものの、なお、捜査して刑事処分(起訴・不起訴)を判断するため、あるいは起訴して裁判を受けさせるために、身柄拘束する必要があるのか、ということです。

通常、勾留の理由が認められると勾留の必要性も認められることが多いです。

ただ、たとえば、

  • 住居不定であっても、適切な身元引受人がいる場合
  • 罪証隠滅のおそれは認められるものの、罰金又は不起訴が見込まれる場合

などは勾留の必要性がないと認められる場合もあります。弁護人は、こうした「必要性がない」といえる事情(身元引受人の確保、示談の見込み、勤務先や学校の状況など)を資料にまとめ、検察官と裁判官に示していきます。

勾留が決まるまでの流れと勾留期間

勾留は、逮捕された全員に当然に行われるものではありません。逮捕から通算72時間以内に検察官が勾留を請求し、裁判官がこれを認めたときに初めて決まります。ここでは決まるまでの流れと、決まった場合の勾留期間を順に見ていきます。

勾留が決まるまでの流れ

逮捕された被疑者については、警察官(司法警察員)が留置の必要があると判断した場合、身柄を拘束された時から48時間以内に検察官へ送致する手続きがとられます(送検。刑事訴訟法203条1項)。送致を受けた検察官が、勾留を請求するかどうかを判断します(同法205条1項)。検察官は被疑者を受け取った時から24時間以内、かつ逮捕から通算72時間以内に勾留請求をしなければならず、この時間内に請求も起訴もされなければ釈放されます(同法205条)。勾留請求がされると、被疑者は裁判所に移送され、裁判官の勾留質問を経て、勾留状が発付されると勾留が決まります。一連の流れは次のとおりです。

  1. 逮捕(最大72時間の身柄拘束)
  2. 警察署の留置場などに収容
  3. 検察庁への送致(送検)
  4. 検察官の勾留請求
  5. 裁判官の勾留質問
  6. 勾留状の発付・勾留決定
  7. 取調べ等の捜査
  8. 起訴・不起訴の判断

逮捕から勾留が決まるまでは、おおむね3日程度です。時間制限があるのは検察官が勾留請求をするまで(逮捕から通算72時間)で、勾留請求から勾留決定までの時間を定めた規定はないため、これより長くなることもあります。この間に釈放されることもありますが、釈放されずに勾留決定が出ると、次に述べる期間の身柄拘束を受けることになります。

勾留の期間や期間の延長・更新は、被疑者勾留と被告人勾留とで異なります。

被疑者勾留の期間と延長

被疑者勾留の期間は、はじめ検察官の勾留請求日を含めて「10日」と定められています。その後、検察官が期間の延長が必要と判断した場合は、1日~10日の範囲内で期間を指定して裁判官に勾留延長の請求を行います。

裁判官は検察官から提出された書面、記録をもとに、勾留期間を延長することにつき「やむを得ない事由」があるかどうかを見極めます。この判断に対しては、弁護人も延長に反対する意見書を提出できます。そして、やむを得ない事由があると判断した場合は、1日~10日の範囲内で期間の延長を決定します。

この際、裁判官は検察官が指定した期間を参考にはしますが、それに縛られずに独自に期間を設定することができます(もっとも、実際は、検察官の指定した期間かそれ以下の期間となることがほとんどです)。

なお、内乱・外患・国交・騒乱に関する罪にあたる事件に限り、延長された期間をさらに通じて5日を超えない範囲で延長できるため、勾留期間が最大25日となる場合があります(刑事訴訟法208条の2)。一般的な事件では最大20日と考えて差し支えありません。

「やむを得ない事由」とは、事件の困難性、あるいは、証拠収集の遅延若しくは困難等により、勾留期間を延長して更に調べるのでなければ起訴若しくは不起訴の決定をすることが困難な場合をいう、とされています。

具体的には、

  • 否認事件
  • 重大事件(殺人、強盗殺人、放火、特殊詐欺、ひき逃げなど)
  • 関係者が多い事件
  • 薬物事件

などの事件では、勾留が延長されると考えておいた方がよいです。

被告人勾留の期間と更新

被告人勾留の期間は、起訴の日から「2か月」です(刑事訴訟法60条2項)。その後は、特に継続の必要がある場合、裁判所が具体的な理由を付した決定で、1か月ごとに期間を更新できます(刑事訴訟法60条2項)。ただし、刑事訴訟法89条1号・3号・4号・6号に該当する場合を除き、更新は1回に限られます。これらに該当する場合は更新回数の制限がなくなり、特に継続の必要があると認められる限り、1か月ごとの更新が繰り返されることがあります。

なお、法定刑が30万円以下の罰金・拘留・科料に限られる事件(刑法などの罪以外では当分の間2万円以下)については、被告人が定まった住居を有しない場合に限り、勾留が認められます(刑事訴訟法60条3項)。起訴前の勾留についても、勾留請求を受けた裁判官が裁判所と同一の権限を持つため(同法207条1項)、この制限は被疑者勾留にも及びます。逆に言えば、拘禁刑が定められている罪では、住居がはっきりしていても勾留され得るということです。

また、判決で刑が言い渡される際には、勾留されていた日数(未決勾留日数)の全部又は一部が刑に算入される場合があります。算入の考え方は「未決勾留とは?刑の期間に算入される日数の計算方法を徹底解説」で解説しています。

罪名別の勾留請求と認容状況

検察官が勾留請求をした場合、裁判官がこれを認容する割合は極めて高い水準にあります。令和7年版犯罪白書によると、令和6年の勾留請求却下率は4.3%にとどまります(刑法犯と特別法犯の合計に対する割合)。認容率は刑法犯全体で95.2%、特別法犯全体では96.8%にのぼります。

罪名別の勾留請求人員・認容人員・却下人員・認容率(認容÷請求)は次のとおりです。

罪名 勾留請求人員 認容人員 却下人員 認容率
刑法犯(全体) 69,688 66,368 3,320 95.2%
殺人 440 439 1 99.8%
放火 407 407 0 100.0%
強盗 1,031 1,027 4 99.6%
詐欺 8,623 8,552 71 99.2%
不同意性交等 2,001 1,995 6 99.7%
不同意わいせつ 2,708 2,541 167 93.8%
窃盗 24,067 23,264 803 96.7%
恐喝 1,454 1,445 9 99.4%
傷害 9,401 8,843 558 94.1%
暴行 4,626 4,078 548 88.2%
特別法犯(全体) 25,824 24,990 834 96.8%
覚醒剤取締法 7,110 7,100 10 99.9%
大麻取締法 4,499 4,398 101 97.8%
入管法 4,817 4,814 3 99.9%

出典:令和7年版犯罪白書 2-2-3-2表「検察庁既済事件の身柄状況(罪名別)」より、勾留請求人員(認容+却下)と認容率(認容÷請求)を算出(過失運転致死傷等及び道交違反を除く。単位は被疑者人員)

殺人・放火・強盗・覚醒剤事件など重大な罪名では認容率が99%を超えています。いったん検察官が勾留請求をすれば、ほぼ確実に勾留されると考えておくべき数字です。裁判官の判断で覆る割合は、罪名によっては1%未満にとどまります。

勾留される場所と面会・差し入れ

勾留が決まったあと、本人はどこで過ごし、家族はいつから会えるのか。ここが最も気がかりな点でしょう。結論として、起訴される前は警察署の留置場、起訴された後は拘置所が中心になります。

勾留される場所は警察署の留置場が中心

起訴される前の被疑者勾留では、多くの場合、逮捕した警察署内の留置施設(留置場)に収容されます。取調べを担当する警察署に留め置かれることが多いものの、留置施設の運用は地域や事案によって異なるため、実際の収容先は個別に確認する必要があります。

起訴された後の被告人勾留では、法務省が管理する拘置所へ移されることが多くなります。ただし、拘置所の収容状況などによっては、起訴後も警察署の留置場にとどまる場合があります。

いずれの施設でも一日の日課が決まっており、過ごし方を本人が自由に決めることはできません。外部との連絡も制限されます。差し入れや面会のルールも施設ごとに異なるため、まずは本人がどの施設にいるのかを確かめることが出発点になります。弁護人を選任していれば、収容先の確認も含めて弁護士が窓口になります。

家族の面会と差し入れの範囲

ご家族が本人と面会できるようになるのは、原則として勾留が決まった後です。逮捕から勾留が決まるまでのあいだは、ご家族による直接の面会は一般に認められていません。面会できる時間・人数・回数は施設ごとに定められており、平日の日中に限られるのが通常で、職員の立会いのもとで行われます。

差し入れについても、衣類や現金など受け付けられる物の範囲が施設ごとに決まっています。持ち込めない物を持参しても受理されないため、事前の確認が欠かせません。

なお、逃亡のおそれ又は罪証隠滅のおそれを理由に、弁護人以外との面会・差し入れを制限する「接見禁止」が付されるケースもあります(刑事訴訟法81条)。この場合、ご家族は原則として面会できず、書類や物の差し入れも制限されます。もっとも、ご家族との面会に限って禁止を解くよう弁護人が申し立てる(一部解除)方法もあり、事案によっては認められます。接見禁止が付いても、弁護人は本人と会うことができます。

面会できる時期や手続きの詳細は「勾留(拘留)中の面会はいつからできる?休日でも可能?面会時間は?」で解説しています。

弁護人の接見は家族の面会と何が違うか

身柄を拘束されている本人は、弁護人と立会人なしで接見し、書類や物を授受することができます(刑事訴訟法39条1項)。まだ選任前でも、ご本人やご家族など弁護人を選任できる方の依頼を受けて弁護人になろうとする弁護士であれば、同じ扱いになります。ご家族の面会が職員の立会いのもとで行われるのに対し、弁護人は事件の内容に踏み込んだ打ち合わせができます。また、勾留が決まる前の段階で本人に会えるのは、原則として弁護人だけです。

この違いは、会いやすいかどうかという話にとどまりません。取調べにどう答えるか、供述調書に署名すべきかといった判断は、勾留の期間中に次々と迫られます。弁護人が接見を重ねることで、本人は見通しを持って取調べに臨めるようになり、ご家族も現在の状況を把握できます。接見禁止が付いた事件では、弁護人が本人とご家族をつなぐ唯一の経路になります。

勾留回避・早期釈放のための方法

打てる手は段階によって変わります。勾留が決まる前は弁護人の接見、決まった後は弁護士の選任・準抗告・勾留取消し・勾留理由開示、起訴・不起訴が判断される段階では不起訴処分の獲得、起訴された後は保釈請求です。以下、7つの手段を順に解説します。

①勾留が決まる前に接見を要請する

勾留を回避するには、勾留決定が出る前、つまり逮捕直後の段階で弁護士との接見を要請することが重要です。知っている弁護士がいればその弁護士に接見を依頼し、いない場合は当番弁護士の派遣を要請しましょう。逮捕された方のご家族から接見を要請することもできます。

接見によって弁護士から勾留回避に向けたアドバイスを受け、弁護活動を依頼することができます。ただし、勾留決定前の段階で依頼する場合は国選弁護人ではなく、私選弁護人としての活動を依頼することになります(国選弁護人は勾留決定後に選任されるため)。私選弁護人は、検察官に対し勾留請求をしないよう求める意見書、裁判官に対し勾留決定をしないよう求める意見書の提出など、勾留回避のための弁護活動を行います。

弁護士費用の目安について知りたい方は「刑事事件の弁護士費用の相場は60万円~150万円程度」もあわせてご確認ください。

②弁護士を選任する

勾留決定が出てしまった場合でも、弁護士に依頼することで早期釈放を目指せます。依頼できる弁護人には、国が費用を負担する「国選弁護人」と、自ら弁護士を選んで依頼する「私選弁護人」の2種類があります。両者の差が出るのは動き出せる時期です。国選弁護人が付くのは勾留状が出た後であるため、勾留そのものを止める段階の活動は私選弁護人でなければ行えません。それぞれの違いや依頼方法については「国選弁護人とは?費用は無料?私選弁護人との違いやメリット」もあわせてご確認ください。

③準抗告を申し立てる

起訴前は主に、裁判官が出した勾留決定に不服を申し立てる「準抗告」という手段を使います。弁護士が準抗告申立書を作成し、被疑者に逃亡のおそれ・罪証隠滅のおそれがないことを示す書類(家族の身元引受書、上申書など)とあわせて裁判所に提出します。裁判所は検察官からも意見を聴いた上で申立てを認めるか、認めないかを判断します。

④勾留取消しを申し立てる

刑事弁護人を選任したあとには、勾留取消しの申立てを行ってもらうこともできます。

裁判官による勾留決定がされて以降、被疑者の状況が変化することはよくあります。例えば、犯罪の嫌疑がなくなった場合、罪証隠滅のおそれがなくなった場合、被害者と示談が成立し被害弁償が完了した場合などです。こうしたときは、これ以上の勾留の必要がないと判断され、勾留取消しが認められる可能性も十分にあります。本人の反省文や、ご家族による身元引受の誓約書を添えて申立てを行うことで、説得力をより高めることができます。示談の進め方やメリットについては「刑事事件で示談するメリットは?示談金相場と流れを徹底解説」をご参照ください。

⑤勾留理由開示を請求する

勾留理由開示は、日本国憲法34条に基づく被勾留者の権利で、公開の法廷で勾留の理由を裁判官に告げさせる制度です(刑事訴訟法82条~86条)。被勾留者本人のほか、弁護人、法定代理人、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹などが、裁判所に対して請求できます(起訴前の勾留については、勾留請求を受けた裁判官が裁判所と同一の権限を持ちます)。

勾留理由開示の手続きそれ自体には、勾留を解く効力はありません。ただし、公開の法廷で裁判官が勾留理由を告げる過程で、勾留理由が不適法であることや、勾留の理由・必要性がないことが明らかになれば、勾留取消しにつながる可能性があります。また、勾留理由を公の場で問いただすこと自体が、検察官・裁判官に勾留継続の妥当性を再考させる契機となります。

ただし、同一の勾留について複数の請求があった場合、開示が行われるのは最初の請求についてのみで、残りの請求は却下されます(刑事訴訟法86条)。実際に開示の法廷が開かれるのは1度だけだと考えておく必要があります。

⑥不起訴処分を獲得する

起訴前の勾留は最大20日間ですが、起訴されると被告人勾留に移り、保釈などが認められない限り身柄拘束が続きます。不起訴処分を得られれば、起訴前の勾留だけで釈放されるということです。

したがって、早期に釈放され社会に戻るためには不起訴処分の獲得がもっとも重要です。不起訴処分の種類や獲得方法については「不起訴とは|無罪との違いと不起訴になる理由・前科前歴の有無」で具体的な方法を紹介しています。

⑦保釈請求をする

起訴後も勾留が続く場合は、保釈請求をして保釈(起訴後の釈放)を求めます。保釈を請求する際は、弁護人が保釈請求書に身元引受書や上申書などを添えて裁判所に提出します。裁判所は検察官の意見も踏まえた上で、許可するかどうかを決定します。

刑事訴訟法89条の除外事由に当たらなければ、保釈は原則として許可されます(権利保釈)。除外事由とは、一定の重大犯罪であること、罪証隠滅のおそれ、被害者等に対する加害のおそれなどです。

除外事由に当たる場合でも、保釈の道が閉じるわけではありません。裁判所が、逃亡や罪証隠滅のおそれの程度と、身柄拘束が続くことで被告人が受ける健康上・経済上・社会生活上・防御の準備上の不利益を考慮して適当と認めれば、職権で保釈が許されることがあります(裁量保釈。同法90条)。また、勾留による拘禁が不当に長くなったときは、勾留の取消しまたは保釈が認められます(同法91条)。重大事件や否認事件では、この裁量保釈を求めていく場面が多くなります。

請求が許可された場合は、裁判所に保釈保証金を納付した後、勾留を解かれて釈放されます。保釈金の額は、犯罪の性質及び情状、証拠の証明力並びに被告人の性格及び資産を考慮して、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額でなければならないと法律で定められています(刑事訴訟法93条2項)。

勾留からの釈放や保釈の仕組みについて詳しくは「保釈と釈放の違いは?早期釈放のためにすべきこと」で具体的に紹介しています。

ご家族の勾留でお困りの方はすぐにご相談ください

勾留されるかどうかが決まるまでの時間は、逮捕からおおむね3日ほどです。そして罪名によっては勾留請求の認容率が99%を超え、検察官が請求した時点でほぼ確実に勾留される現実があります。

一方で、勾留が決まる前に弁護人が検察官・裁判官へ意見書を提出して勾留を避ける、決まった後も準抗告・勾留取消し・勾留理由開示・不起訴処分の獲得・保釈請求で身柄を解く、といった手段があります。いずれも動ける時間が限られた手続きであり、弁護士の介入が早いほど選べる手段は多くなります。

ご家族が突然逮捕されると、「いつ帰ってこられるのか」「このまま起訴されてしまうのか」「仕事や学校はどうなるのか」と、ご本人だけでなくご家族にも重い精神的負担がのしかかります。すでに勾留が決まっている場合はもちろん、逮捕直後でまだ判断が出ていない段階でこそ、弁護士にできることは多くあります。

当事務所は刑事事件を多数取り扱ってきた実績があり、所属弁護士が勾留の回避と早期釈放のために迅速に動き、全力を尽くしてご家族をお守りします。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

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