- 「自分が受けている被害は、ストーカーや脅迫にあたるのだろうか…」
- 「そもそもストーカー行為と脅迫行為のラインが分からない…」
- 「どんな行為がストーカーや脅迫になるか知りたい…」
このような悩みを抱えている方も多いと思います。
そこでこの記事では、年間2000件以上の恐喝・脅迫の相談を受けている法律事務所の弁護士がこれらの悩みを解決していきます。
具体的には、
- ストーカー行為とは
- ストーカー行為と脅迫罪の境界線
- この行為はストーカーや脅迫になる?【Q&A】
について、重要なポイントに絞って解説していきます。
およそ3分で読めますので、ご自身がストーカーや脅迫の被害に遭っているかどうか知りたい方は最後まで読んでみてください。
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ストーカー行為とは
ストーカー行為をすると、ストーカー規制法という法律に違反し、加害者は逮捕されることもあります。
では、「ストーカー行為」とはなにか。
ストーカー行為とは、反復して(繰り返し)「つきまとい等」をすることです。
「つきまとい等」に該当する行為は以下の8つとなります。
- ①つきまとい、待ち伏せ、押し掛け、うろつき等の行為
- ②相手の服装や行動を伝えてくるなど、監視していることを告げる行為
- ③面会や交際を強要するなど、相手に義務がないことを要求する行為
- ④怒鳴りつける、大声で叫ぶなど、乱暴な言動をする行為
- ⑤無言電話や、何度も電話やFAX、メールを送りつける行為
- ⑥糞尿、犬猫の死骸など、汚物等を送りつける行為
- ⑦性的画像のネットへの流出や誹謗中傷の投稿など、名誉を傷つける行為
- ⑧わいせつ写真の送付や卑猥な言動の電話など、性的羞恥心を傷つける行為
「不安を覚えさせるような方法」
①~④までのつきまとい行為については、反復性に加え、「身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法」がストーカー行為となる要件となっています。
判例(大阪高裁平成16年8月5日判決)によれば、「不安を覚えさせるような方法」かどうかの判断は、一般人に通常不安を覚えさせるかどうかではなく、相手(被害者)に通常不安を覚えさせるかどうかで判断すべきと述べています。
一般人からすれば不安を覚えないような行為でも、諸々の事情(被害者と行為者の人的関係性や、これまでのつきまとい行為の頻度や回数など)から被害者に不安を覚えさせるような方法と認められれば要件を満たすということです。
なお、相手の不在時に行われたつきまとい行為であっても、もし相手に直接的に向けられたら不安を覚えさせるであろうと認められれば、当該方法に該当します。
例えば、被害者が外出時に家に押しかけたり、自宅周辺をうろついたりした場合でも、もし被害者がその場に居合わせたとすれば不安を覚えて当然ですので、当該方法に該当します。
ストーカー行為と脅迫罪の境界線は?
既に触れたように、ストーカー行為とは、つきまとい行為を反復して行うことです。対して、脅迫罪とは、生命・身体・自由・名誉・財産に対して害を加える旨を告知すること(これを「害悪の告知」と言います)です。
ストーカー行為となるためには、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情またはそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的が必要です。対して、脅迫罪は目的の如何を問いません。
ストーカー行為の対象となる人は、特定の者やその配偶者、直系または同居の親族、その他特定の者と社会生活において密接な関係を有する者(交際相手・友人・会社の同僚など)です。対して、脅迫罪の対象となる人は、相手または相手の親族で、恋人や友人等は含まれません。
ストーカー行為となるには、つきまとい行為を反復して行う必要があります。対して、脅迫罪は、害悪の告知を1回でも行えば成立し得ます。
ストーカー行為の法定刑は、(※)1年以下の懲役または100万円以下の罰金(禁止命令違反は2年以下の懲役または200万円以下の罰金)です。対して、脅迫罪の法定刑は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金です。
なお、ストーカー行為も脅迫罪も、(※)被害者の刑事告訴がなくても検察が起訴できる「非親告罪」です。
※以前はストーカー規制法の罰則は6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金刑で、親告罪でしたが、平成29年に施行された改正ストーカー規制法で上記のように変更されています。
ストーカー行為と脅迫罪の境界線のまとめ(一覧表) | ||
---|---|---|
ストーカー規制法 | 脅迫罪 | |
行為の内容 | つきまとい行為の反復 | 害悪の告知 |
目的 | 恋愛感情や怨恨の感情等の充足 | 不要 |
行為の対象 | 特定の者やその配偶者、直系または同居の親族、恋人・友人等 | 相手や相手の親族 |
反復性 | 必要 | 不要 |
法定刑(刑罰) | 1年以下の懲役または100万円以下の罰金(禁止命令違反は2年以下の懲役または200万円以下の罰金) | 2年以下の懲役または30万円以下の罰金 |
親告罪か非親告罪か | 非親告罪 | 非親告罪 |
この行為はストーカーや脅迫になる?【Q&A】
しかし、これまで分割返済だったものが、復縁メールを無視し始めてから全額一括返済の要求に変化しています。彼の一連の行動から見て、恋愛感情が満たされないことに対する怨恨の感情から無茶な要求をしていると考えられます。連続したメールの送信はつきまとい行為となりますし、それが反復しているようですから、ストーカー行為になるでしょう。また、「職場に取り立てに行く」という発言は、職場の人に知られたくない借金の事実を知らせることを示唆しており、名誉に対する害悪の告知として脅迫罪が成立する余地もあります。
ただし、「自殺する」「死ね」という言葉は、相手に対する害悪の告知とはいえないため脅迫罪にはなりません。「奥さんにバラす」という言葉も、奥さんに不倫の事実をバラしたところで不特定または多数の人に不倫の事実が広まるものでもないため脅迫罪に該当しない可能性が高いでしょう。これが、「会社にバラす」であれば、社内に不倫の事実が伝播する可能性があるため名誉に対する害悪の告知として脅迫罪に該当する可能性は十分あります。
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