脅迫罪の加害者が初犯だと実刑の懲役にならないって本当?

「脅迫の加害者が初犯だから、実刑にはならないらしい」そんな話を耳にして、「あれだけ怖い思いをさせられたのに刑務所にも入らないのか」と納得できない気持ちを抱えている方もいるのではないでしょうか。

脅迫罪は初犯でも実刑の懲役(拘禁刑)になる可能性はあります。しかし実際には、不起訴や罰金刑、執行猶予付き判決で終わるケースが多いのが現状です。さらに、被害者が示談に応じると加害者の処分はより軽くなる傾向があります。

この記事では、年間1100件以上の脅迫被害相談を受けている当事務所の弁護士が、脅迫罪の初犯における量刑の実態と、被害者として知っておくべき示談の判断ポイントをわかりやすく解説します。

なお、脅迫被害について早急に対応したいとお考えの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談をご利用ください。

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脅迫罪の罰則について

脅迫罪を犯すと、2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金となります(刑法222条)。

※拘禁刑とは、2025年6月1日に施行された改正刑法により、従来の懲役刑と禁錮刑が一本化された刑罰のことです。

拘禁刑とは、犯罪を犯した人を刑務所に拘置する刑罰のことで、受刑者の改善更生を図るため、必要に応じて刑務作業や改善指導が行われます。

罰金は、国が犯罪者から強制的に金銭を徴収する刑罰です。

拘禁刑に服すると、雑居房で赤の他人と生活し、掃除や炊事、木工や金属加工の生産作業などの刑務作業を行うことになりますから、罰金刑とは雲泥の差です。

ただし、もし拘禁刑を言い渡された場合でも、「執行猶予」がつけば刑務所に入りません。

執行猶予とは、有罪判決となっても一定期間は刑の執行を猶予(先延ばしすること)し、その一定期間内に刑事事件を起こさなかったことを条件として刑罰権を消滅させる制度のことです。

マスコミ報道で、「拘禁〇年、執行猶予□年の有罪判決が下されました」といった報道を目にしたことがあるはずです。

これは、「執行猶予期間である□年の間に犯罪を犯さなければ、拘禁〇年の刑罰はなくなりますよ」という意味です。

逆に言えば、執行猶予期間中に犯罪を犯せば執行猶予は取り消され、判決で言い渡された拘禁刑に服するために刑務所に収監されることになります。

なお、執行猶予が付かない拘禁刑のことを「実刑」といいます。脅迫罪の成立要件や強要罪・恐喝罪との違いについて詳しくは「脅迫罪になる言葉・ならない言葉は?成立要件と刑罰を解説」で解説しています。

脅迫罪は初犯でも実刑の懲役(拘禁刑)になるのか

初犯とは、一般的には「前科」がない人による犯罪のことを言います。

「前科」とは、過去に有罪判決を言い渡されたことです。

では、脅迫罪の初犯でも実刑の懲役(拘禁刑)になるのか。

答えは、「初犯でも実刑の懲役(拘禁刑)もありえます」。

量刑は、脅迫行為の悪質性、具体的には、脅迫行為の内容、生じた結果の大小、犯行に及んだ者の人数、被告人の反省の態度などから総合的に判断されます。

脅迫行為の悪質性が高いと裁判官が判断すれば、初犯であっても実刑判決が言い渡されることもあるのです。

脅迫罪の初犯は不起訴、罰金刑、執行猶予付き懲役(拘禁刑)になりやすい

脅迫罪の初犯でも実刑の懲役(拘禁刑)になることもあるとお伝えしましたが、検察統計調査/検察統計のデータによると令和6年の脅迫事件の起訴率は35.3%となっており、約6割以上が不起訴となっています。

不起訴になると、検察官が公訴を提起しないため、被疑者は刑事裁判にかけられず、何のお咎めもなしで前科もつきません(ただし、「前歴」はつきます)。

不起訴処分にならないにしても、略式裁判で30万円以下の罰金刑で済まされることも少なくありません。

略式裁判は、100万円以下の罰金・科料に相当する事件に用いられる手続きです。検察官が提出した捜査に関する書面をもとに、裁判所が罰金・科料の額を法定刑の範囲内で決定します。

正式裁判(通常の裁判手続きのこと)と違い、公開裁判は開かれず、被告人が裁判に出廷することもなく、書面で処分が言い渡されます。

また、正式裁判となった場合でも、初犯であれば、罰金刑や執行猶予付き判決となりやすい傾向もあります。

例えば、警察官が取調べ中の相手に対し「お前の人生無茶苦茶にしたるわ」などと脅して罰金刑が言い渡された裁判では、当該警察官に前科前歴がなかったことも量刑判断において斟酌されています(平成23(わ)134 脅迫被告事件 平成23年4月28日 大阪地方裁判所)。

罰金刑も執行猶予付き判決もどちらも前科はつきますが、脅迫被害者からしてみれば、初犯であろうが実刑の量刑判断とならないことに納得のいかない方も多いのではないでしょうか。脅迫被害に遭った場合の具体的な対処法については「脅された時の対処法は?恐喝・脅迫被害の相談先も弁護士が解説」もあわせてご確認ください。

加害者と示談すると実刑の懲役(拘禁刑)はさらに遠のく

脅迫の加害者が警察に逮捕されると、弁護士を通じて被害者に示談の申し入れをしてくることがよくあります。

そして、宥恕(「処罰を望まない」こと)文言を入れた示談書に署名捺印するようお願いされます。

何故なら、それにより被害者の加害者に対する処罰感情が低下したと検察官や裁判官は判断してくれるからです。

起訴前であれば検察は不起訴の判断をすることが多くなるでしょうし、起訴後であれば執行猶予が付きやすくなります。

つまり、実刑の懲役(拘禁刑)を回避できる可能性が高まります。

言い換えれば、脅迫の被害者が加害者の刑事処罰を強く望むのであれば、加害者と示談を結ばないようにする必要があります。示談金や慰謝料の相場については「脅迫の慰謝料相場はいくら?示談交渉による慰謝料額の事例も紹介」で詳しく解説しています。

脅迫被害でお悩みの方は弁護士にご相談ください

脅迫罪は初犯であれば不起訴や罰金刑、執行猶予付き判決となるケースが多く、被害者としては歯がゆい思いをされることも少なくありません。一方で、示談に応じるかどうかは被害者自身の判断に委ねられており、加害者の処分に影響を与えることができる数少ない手段でもあります。

示談の申し入れがあった場合、慰謝料の金額が妥当かどうか、今後の接触禁止条項を盛り込むべきかなど、法的な知識がなければ判断が難しい場面が多くあります。弁護士に相談することで、ご自身の安全を守りながら、納得のいく条件で交渉を進めることが可能になります。

「加害者からまた連絡が来るのではないか」「示談に応じるべきか判断がつかない」など、おひとりで不安を抱えていらっしゃる方は、まず専門家にご相談ください。当事務所では年間1100件以上の恐喝・脅迫被害のご相談をお受けしており、被害者の方が安心して日常を取り戻せるよう全力でサポートいたします。

全国どこからでも24時間対応の無料相談が可能です。まずはお気軽にお電話ください。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

脅迫・恐喝被害の解決に豊富な実績を持つ。一般社団法人 詐欺・不当要求対策協会の代表理事として、不当要求対策の研究・啓発活動にも取り組んでいる。「警察沙汰にしたくない」「家族や会社に知られたくない」といった被害者特有の事情に寄り添い、粘り強い交渉で解決に導く。他の事務所で断られた案件にも積極的に対応。

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メディア掲載 フジテレビ「とくダネ」/ ダイヤモンド・オンライン / @DIME / サイゾー 他多数
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