あなたは、このような脅迫電話で悩んでいませんか?
- 男女トラブルの相手方から職場にまで脅迫の電話がかかってきている
- 電話勧誘やセールスを断っているのに会って話を聞くよう凄んでくる
- 会社や店舗にクレームの域を超えた脅し文言の電話がある
- 電話で恫喝されているが非通知のため犯人が誰かわからない
- 脅迫電話の録音方法や警察に持っていくべき証拠はなにかわからない
そこでここでは、脅迫電話への対応方法や対策について弁護士が解説します。
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目次
脅迫電話への対応方法
1.通話を録音することを事前に伝える
脅迫電話を未然に防ぐ最も効果的な対策は、通話を録音することを事前に伝えることです。
電話は意識して録音しない限りメールやLINEのように記録が残らないことから、気が大きくなって威圧的な脅迫文言を口にしてくる者もいます。
通話録音することを事前に相手に伝えることで、証拠を残すことを恐れて脅迫的な言動を控えるようになります。
事前に伝える方法として最も簡単なのは、自動応答録音アダプターを電話機に取り付けることです。
企業のコールセンターに電話した時に、「この通話を録音させていただいております」といった自動音声メッセージを聞いたことがあるはずです。
アダプターを取り付けることでまさにこのメッセージを流すことが出来るようになります。
人気の商品としては東芝のTY-REC1となります。ただし、ビジネスフォン非対応のため会社に導入する場合は録音前事前ガイダンス機能付きビジネスフォンの導入などを検討する必要があります。
1-1.自動録音応答装置をつけられない場合
携帯電話のように装置を取り付けることができない場合や、会社の電話機に勝手につけられない場合にも、やはり通話録音することを相手に伝えることが一番の抑止力となります。
「建設的な話しにするためにも、後で言った言わないといったトラブルを避けたいので録音します」と言い切ってください。
もちろんそれを言ったことで必ず相手が脅迫してこないとは限りませんので、証拠を残すためにも録音は必要です。
固定電話・携帯の両方で使える録音装置としては、ICレコーダーと組み合わせて使う電話録音用テレホンピックアップ TP8が値段も安くておすすめです。
また、スマートフォンの場合には、通話録音アプリが無料で出回っていますのでそれを活用しても良いでしょう。
2.非通知電話へは拒否機能を使う
携帯に非通知での脅迫電話がきている場合は、各携帯会社のサービスで非通知拒否設定を行えます。
固定電話に対してかかってきている場合には、
- ①ナンバーディスプレイ対応・非通知拒否機能付きの電話機で
- ②NTTのナンバーディスプレイサービスに申込んでいること
この2つを満たせば固定電話への脅迫電話もブロックできます。
非通知拒否機能のついていない電話機の場合には、NTTのナンバーリクエスト(有料)に申し込めば非通知拒否が可能です。
3.会社宛てに脅迫電話がかかってくる場合の対応
プライベートのトラブルだが、会社にまで脅迫電話がかかってくる。
このように、会社宛てに電話がかかってくる場合、会社での業務を妨害しているため、威力業務妨害罪にあたることもあります。
職場へのこういった電話に対しては、まずは「仕事に差し支えるので二度とかけてこないでほしい」と伝えることが重要です。
その旨を伝えたのにしつこく電話してくれば、”業務を妨害することを分っていながら電話をしてきている”という前提ができるので警察が威力業務妨害罪で被害届を受理してくれる可能性が高まるからです。
ですので、個人携帯であろうと会社宛てであろうと必ず通話は録音し、いつでも警察に被害届を出せるよう証拠を揃えておくことが重要です。
4.携帯番号しか知られていない場合の対応
脅迫電話の加害者に携帯番号しか知られていない場合、単に着信拒否をするか携帯を解約すれば大丈夫と思い込んでいる人も少なくありません。
しかし、携帯番号(解約番号を含む)から名前や住所を調べることはできます。さらに調べれば実家の住所や勤務先まで判明してしまいます。
ネットで知り合った素性も良くわからない相手に携帯番号を教えてしまい、自宅を調べて押しかけると脅されるケースも少なくありません。
不倫トラブルなどで家族と同居する自宅に来られたら大惨事です。
この場合、友人や親戚に事情を説明して、携帯ショップで回線名義の変更手続きに協力してもらうことで、判明する情報をその友人や親戚のものにしてしまう対策法があります。
もちろん協力者に迷惑がかかることもあるため、しっかりと状況を理解してもらうことが前提です。
なお、携帯回線の名義貸しは違法となりますので、名義変更した回線は自己使用してはいけません。
新たに回線契約する必要がありますので、電話番号やメールアドレスが変わると困る方はこの方法を採るのは難しいでしょう。
5.警察に被害申告をする
警察が被害届を受理して捜査に乗り出してくれれば、非通知や公衆電話からの脅迫電話であっても犯人を突き止めることは可能です。
ただし、脅迫電話の①頻度・回数②証拠の有無③被害の程度などを総合的に勘案して、かなり悪質であると認めてもらえなければ、被害届を受理してもらえないこともあります。
証拠の確保の際は、通話内容の録音だけでなく、着信の頻度がわかるもの、具体的には、着信日時を書き留めておいたメモや電話会社から発行される通話履歴の書面も残しておきましょう。
また、近年ストーカーによる凶悪犯罪が頻発していることから、ストーカーからの脅迫には警察も積極的に対応してくれます。
仮に脅迫電話を録音していなかった場合でも、ストーカー規制法に基づく口頭警告等で対応してくれることもありますのでまずは警察に相談してみましょう。
6.内密に解決したい場合は弁護士に相談
脅迫電話の被害者の中には、自分も法律に違反するような弱みを握られていたり、犯人からの報復行為が懸念されるため警察沙汰にしたくない人もいるでしょう。
また、脅迫電話のケースでも、現場検証のために自宅や会社に警察が来ることもあります。
事件化すれば、刑事裁判に証人として出廷しなくてはならないこともあります。
そこで、家族や職場に知られずに内密に解決することを考えた場合は、交渉に長けた弁護士に対応を依頼しましょう。
弁護士は刑事告訴や民事訴訟の代理権限がある資格ですので、逮捕や損害賠償請求をされるのではという抑止力が加害者に対して働きます。
また、すぐに警察に突き出すのではなく、ワンクッション置くことで報復感情が生じにくい状況を作り出すこともできます。
脅迫電話の録音に関する重要ポイント
1.無断録音に証拠能力はあるか
基本的には、脅迫されている場合、相手には知らせずに通話を録音することが一般的です。相手の了承を得て録音することなど不可能でしょう。では、相手に無断で録音した会話は裁判で証拠として使えるのでしょうか?
裁判で証拠調べの対象となる資格のことを証拠能力といいますが、民事事件では原則として無断録音(秘密録音ともいいます)した音声データも証拠となります。
なぜなら、民事訴訟法では、証拠能力を制限する規定を設けていないからです。
ですので、脅迫電話の加害者に対して慰謝料請求訴訟をするなどの民事的な対応をする場合、相手に無断で録音した脅迫音声は証拠として使えます。
ただし、無断録音の証拠能力が争われた事案で、「著しく反社会的な手段を用いて人の精神的肉体的自由を拘束する等の人格権侵害を伴う方法によつて採集された証拠は、証拠能力を否定されてもやむを得ない」との判例の見解もありますので、民事裁判であればどのような手法によって得られたものでも証拠になるというわけではない点に注意が必要です。
しかし、脅迫電話を相手の了解を得ないで録音することが著しく反社会的な手段とはいえませんので、裁判で証拠能力を否定されることはないでしょう。
一方、脅迫罪で加害者が逮捕された場合が問題です。逮捕後は起訴され、刑事裁判という手続きに入りますが、刑事裁判では証拠調べの対象となる証拠はかなり制限されます。
録音の状況がかなり違法性が高いなど、ケースによっては、その時点で証拠調べの対象から外されることがあるかもしれないのです。
この点について不安がある場合には、法のプロである弁護士に相談して判断を仰ぐのも一つの方法です。
2.脅迫になる言葉が録音されていなくても警察は対応してくれるのか
「殺すぞ」「会社にバラすぞ」などの典型的な脅迫文言を相手が言った場合は別ですが、「わかってるよね?」など、害を与えることを遠まわしにほのめかしている場合にも、電話での会話内容を録音した音声を持っていけば警察は対応してくれるのでしょうか?
警察は、「明らかに脅迫を受けている」という状況が客観的に判断できない限り、具体的な対応はしてくれません。
そういったケースにまで対応していると、人手が足りなくなるばかりか、逮捕しなくていい人まで逮捕することになりかねないからです。
もしも脅迫罪になる言葉が入っていないのなら、複数にわたる通話を極力多く録音する、その他、電話の音声以外にも脅迫の事実を証明してくれそうなものを出来る限り揃えて、客観的に脅迫被害を受けていると警察が判断できるように準備しておく必要があります。
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