「犯罪をするよう脅されている…従わなければ何をされるかわからない…このような場合でも犯罪を実行すれば罪に問われるのだろうか…」
このような疑問をお持ちではないでしょうか。
そこでこの記事では、脅されて犯罪を実行した場合でも罪に問われるかにつき、刑事事件に強い弁護士がわかりやすく解説していきます。
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目次
脅されて犯罪を実行した場合でも罪に問われる?
他人から脅されて犯罪を実行してしまったという場合でも行為者には犯罪が成立するのでしょうか。例えば、AがBから「今すぐCを殴れ」「そうしないとお前を殺すぞ」と言われたためにCに暴行を働いたようなケースです。
まず犯罪が成立するためには、「構成要件(犯罪行為の類型)に該当する」「違法」かつ「有責」な行為を行う必要があります。
この点、AがCを殴った行為は暴行罪の構成要件に該当しますが、AはBに脅されてやむなくCに暴行を働いており、違法性や有責性が阻却されて罪に問われないケースもあります。以下で解説します。
罪に問われないケース
脅されて実行した犯罪行為が緊急避難と認められる場合には違法性が阻却されて犯罪が成立しません。
緊急避難とは、自己又は他人の生命、身体、自由もしくは財産に対する現在の危難を避けるためにやむを得ずにした行為をいいます(刑法第37条)。緊急避難が成立した場合は、その行為は「(本来違法であるものの)違法ではない」と評価され、犯罪が成立しません。つまり裁判では無罪が言い渡されます。
緊急避難の成立要件については、緊急避難とは?成立要件・正当防衛との違い・判例を解説に詳しく書かれているためここでは割愛しますが、今回のケースでAはBの指示に従わなければ生命を奪われる危難に接しており、Cを殴った行為は「やむを得ずした行為」と考えられるため、緊急避難の成立により違法性が阻却され罪に問われない可能性もあります。
また、行為者に犯罪以外の適法な行為をとることを期待することが不可能であった場合(これを、「期待可能性がない」と言います)には、有責性が阻却されると解することもできます。
今回のケースでAがCを殴る以外の選択肢(周囲に助けを求める、警察に通報するなど)をとることができなかったと判断できる場合、AがCを殴った行為が構成要件に該当しかつ違法であったとしても、有責性が阻却されて罪に問われない可能性があります。
もっとも、過去の判例(東京地裁平成8年6月26日判決)では、宗教団体の施設内において複数人の教団関係者に取り囲まれ、友人を殺せばお前を助けると言われて殺害に及んだ事件で、緊急避難を否定して殺人罪の成立を認めたものもあります(ただし、過剰避難の成立は認め執行猶予付き判決となっています)。
脅されて罪を犯したことは量刑に影響する?
犯罪が成立した場合でも、「第三者から脅された」という点は量刑上有利に考慮される可能性はあります。
ただし、刑の重さを判断するのに重要視されるのは、犯罪行為や犯罪結果そのものの評価です。したがって犯罪行為の方法や悪質性、被害の程度や被害者との示談の有無が重視されます。
これらに対して、第三者から脅されていたというのは、動機や事情にあたる行為や結果の外にある情状です。そのため第三者から脅されたという事情は量刑上大きな考慮要素とはならない可能性が高いです。
脅されて犯罪を強要されたら?
証拠を確保して警察に相談
脅されて犯罪を強要された場合には、脅迫してきている相手には、脅迫罪や強要罪などのあなたの意思決定の自由に対する犯罪が成立する可能性があります。
そのため、相手方からの脅迫の内容がわかる証拠を確保したうえで、警察に相談してください。
行為者が犯罪行為に出る以前であれば、不法な行為をしているのは脅してきている第三者です。したがって適法な方法によって、トラブルを解決することが刑法をはじめとする法律の要請に適うことになります。
警察に頼れないケースでは弁護士に相談
ただし、相手方からの脅しのネタが被害者の犯罪行為である場合や相手方からの報復が怖くて、警察に相談することができないという場合には、弁護士に相談してください。
弁護士は依頼者に対して守秘義務を負っていますので、弁護士に相談したからと言って告発されるということはありません。弁護士に代理人として行動してもらうことで、相手方に警告したり、ひどい場合には損害賠償請求や刑事告訴・告発をしてもらったりすることも可能です。
脅されて犯罪を強要されたけど、警察か弁護士どちらに相談すべきか判断がつかないといった方は、恐喝・脅迫された時の目的別の相談先と対処法|警察と弁護士の使分けを参考にしてみてください。
当事務所では、脅迫・恐喝被害を穏便かつ内密に解決することを得意としており豊富な解決実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力で守りますので、弱みやゆすりのネタを掴まれていて犯罪の実行を強要されてお困りの方は当事務所の弁護士までご相談ください。お力になれると思います。
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