
「口論の末に相手を殴り、けがをさせてしまった」「家族が傷害罪で逮捕された」という状況で、どのような罪に問われ、この先どうなるのかと不安を抱えていませんか。
傷害罪は、暴行などによって人にけがを負わせたときに成立する犯罪で、法定刑は15年以下の拘禁刑(刑事施設に収容される刑)または50万円以下の罰金です。けがをさせる意図がなかった場合でも成立することがありますが、早い段階で被害者との示談(話し合いによる解決)を進めれば、不起訴で終わる道も残されています。
この記事では、傷害事件の解決実績が豊富な弁護士が、次の点について解説します。
- 傷害罪が成立する行為
- 傷害罪の刑罰と処分の重さの決まり方
- 傷害罪で逮捕された後の流れ
- 示談など処分を軽くするためにすべきこと
お読みいただくことで、ご自身やご家族の処分の見通しと、今すぐ取りかかるべきことを整理できます。
なお、傷害事件でお困りの方は、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談へお早めにご連絡ください。早期対応が結果を左右します。ご相談は地域を問わず承っています。
| 気軽に弁護士に相談しましょう |
|
傷害罪とは?成立要件と暴行罪との違い
傷害罪は、暴行などによって相手にけがを負わせたり、健康な状態を悪くさせたりしたときに成立する犯罪で、刑法204条に定められています。
第二百四条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
出典:e-Gov法令検索
条文にある拘禁刑は、2025年6月1日にそれまでの懲役と禁錮をまとめる形で設けられた刑罰です。
傷害罪が成立する4つの要件
傷害罪にあたるかどうかは、主に次の4つがそろっているかで判断されます。
- 殴る・突き飛ばすなど、相手の健康を害するおそれのある行為をしたこと(実行行為)
- 相手にけがや体調の悪化(傷害)が生じたこと
- その行為が原因でけがが生じたこと(因果関係)
- 自分の意思でその行為をしたこと(故意)
因果関係については、暴行とは別の機会に負ったけがのように、暴行が原因とはいえない場合には傷害罪は成立せず、暴行罪にとどまることがあります。
故意については、殴る・蹴るといった暴行によってけがをさせた場合、けがをさせるつもりまではなくても傷害罪が成立します。
一方、暴行をわざとしたのではなく、不注意で人にけがをさせた場合は、過失傷害罪(刑法209条)の問題になります。具体的な事例については「過失傷害罪とは?成立要件や事例、傷害罪との違いを解説」をご覧ください。
どの程度のけがで「傷害」にあたる?
判例や実務では、傷害罪にいう「傷害」とは人の生理的機能を害すること、つまり健康な状態を悪くすることだと考えられています。打撲や骨折、切り傷といった目に見えるけがだけでなく、睡眠障害や心的外傷後ストレス障害(PTSD)のように精神的、身体的な働きに出る不調も含まれます。
最高裁判所平成17年3月29日決定は、連日深夜にわたり、ラジオの音声及び目覚まし時計のアラーム音を大音量で鳴らし続けるなどして、隣家の被害者に慢性頭痛症、睡眠障害などの傷害を負わせた事案で、傷害罪の成立を認めています。
傷害事件では、医師の診断書に書かれたけがの内容や「加療約1週間」といった治療期間が、傷害の有無や程度を示す資料になります。診断書が出されないときの扱いは、「傷害事件で診断書がないと暴行罪止まり?提出期限はある?」で詳しくまとめています。
傷害罪と暴行罪の違い
傷害罪と暴行罪の分かれ目は、相手にけがが生じたかどうかです。殴ったり突き飛ばしたりしても、けがが生じなかった場合は暴行罪(刑法208条)となり、刑は2年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料です。けがが生じれば傷害罪となり、そのけがが原因で相手が亡くなった場合は傷害致死罪(刑法205条)に問われます。両罪の違いをさらに詳しく知りたい方は、「暴行罪と傷害罪の違いは?成立要件とどちらが重いかを解説」もあわせてご確認ください。
傷害罪の刑罰と量刑の決まり方
前述のとおり、傷害罪の法定刑は15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金ですが、拘禁刑が導入された2025年6月1日より前の行為には、改正前の刑(懲役)が適用されます。
また、けがが原因で相手が亡くなった場合の傷害致死罪は、3年以上の有期拘禁刑と定められており、傷害罪より重くなっています。
処分の重さを左右する事情
同じ傷害罪でも、検察官の処分と裁判の結果には大きな幅があります。不起訴(起訴されずに事件が終わること)となることもあれば、略式起訴(公開の裁判を開かず、書面の審理だけで罰金を科す手続)によって罰金となることも、正式に起訴されて法廷で裁判を受け、拘禁刑または罰金を言い渡されることもあります。
検察統計(2025年)によると、傷害罪や暴行罪などをまとめた「傷害」の区分で起訴された人の割合(起訴率)は28.6%でした。同じ区分の内訳である暴行罪だけでみると26.4%です。
処分の重さを左右するのは、主に次のような事情です。
- けがの程度(治療にかかる期間、後遺症の有無)
- 凶器の使用や暴行の回数・態様
- 前科・前歴の有無
- 被害者との示談の有無
正式に起訴された場合の処分の重さ(拘禁刑の長さ)の目安は、「傷害罪の懲役の目安は?量刑相場と実刑・執行猶予の判断基準」をご参照ください。
初犯なら処分はどうなる?
前科のない初犯であることは、傷害罪の処分を決めるうえで有利な事情として考慮されます。けがが比較的軽く、被害者との示談がまとまっていれば、不起訴になる可能性が高まります。
ただし、初犯でも、けがが重い場合や凶器を使った場合には、正式に起訴されて実刑(刑の執行が猶予されず、刑事施設に入ること)となる可能性があります。
起訴された場合でも、前に拘禁刑以上の刑を受けたことがない人が、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金を言い渡されるときは、情状によって刑の執行が猶予されること(執行猶予)があります(刑法25条1項)。初犯で罰金にとどまる場合の相場や、実刑を避けられるかどうかについては「傷害罪の初犯はどうなる?罰金の相場と逮捕の流れ・実刑を解説」で具体的に紹介しています。
傷害罪で逮捕されたらどうなる?逮捕後の流れ
傷害事件の逮捕には主に、現場で取り押さえられる現行犯逮捕と、裁判官が出した逮捕状にもとづく通常逮捕があります。その場で逮捕されなくても、防犯カメラの映像や被害者の診断書、目撃者の話などから加害者が特定され、後日逮捕されることがあります。「傷害罪の証拠になるものは?証拠がないと後日逮捕されない?弁護士が解説」では、逮捕に至る証拠や時期を説明しています。
逮捕された場合、警察は身柄を拘束し続ける必要があると考えるときは、逮捕から48時間以内に事件を検察官に送ります(送致)。送致を受けた検察官は、24時間以内(逮捕から通算72時間以内)に、引き続き身柄を拘束する勾留を裁判官に請求(勾留請求)するかを決めます。勾留が認められると原則10日間、延長されるとさらに最大10日間拘束され、その間に検察官が起訴するか不起訴にするかを判断します。
警察で事情を聴かれた後、逮捕されずに帰宅を許された場合でも手続は続き、事件が検察官に送られて起訴するかどうかが判断されます。なお、傷害罪で起訴できる期間(公訴時効)は事件から10年で(刑事訴訟法250条2項3号)、加害者が国外にいる期間などは数えられません(同法255条1項)。不起訴を目指すための具体的な対処を知りたい方は、「傷害罪で不起訴になるには?起訴率と示談なしの対処法」で確認できます。
傷害事件を起こしたときにすべきこと
傷害罪での処分を少しでも軽くするために、事件を起こした後は、被害者に謝罪して示談を申し入れることと、弁護士に依頼することの2つを早めに進めることが大切です。
被害者に謝罪し、示談を申し入れる
傷害罪で起訴するかどうかや刑の重さを決める場面では、被害者との示談がまとまっているかが重く見られます。被害届が出される前に示談がまとまれば事件化を避けられることがあり、起訴前であれば不起訴の判断に結びつきやすくなります。
被害者と面識がない場合や連絡先を知らない場合は、弁護士から警察や検察官を通じて申し入れることになります。加害者本人には連絡先を教えてもらえないことが多く、被害者が了承した場合に、弁護士に限って伝えられるのが通常です。
示談交渉では、弁護士が、被害届を取り下げる旨や宥恕(ゆうじょ:加害者を許し、処罰を望まないという被害者の意思)を示談書に盛り込めるよう求めます。ただし、傷害罪は親告罪ではなく、被害者の告訴(処罰を求める意思表示)がなくても起訴できる罪のため、示談が成立して被害届が取り下げられても、それだけで必ず不起訴になるわけではありません。
傷害罪の示談金(慰謝料や治療費などの損害賠償)の額に決まった基準はなく、けがの程度や治療期間、被害者の処罰感情などによって変わります。「傷害事件の示談金相場を全治別に解説|示談書テンプレート付き」では、けがの程度ごとの示談金の目安を紹介しています。
示談や身柄の解放を弁護士に依頼する
傷害罪に問われて弁護士に依頼すると、示談交渉のほか、身柄の解放や処分を軽くするための活動を任せられます。逮捕された直後であれば、弁護士は本人と面会(接見)して取調べへの対応を助言し、検察官には勾留を請求しないよう、裁判官には勾留を認めないよう求める意見書を出します。勾留が決まった場合も、勾留の決定に不服を申し立てる手続(準抗告)をとることができます。
傷害罪で起訴される前に被害者との示談がまとまれば、弁護士は示談書の写しとともに、不起訴が相当であるとする意見書を検察官に提出します。身柄の拘束をできるだけ短くし、不起訴に向けた示談を早く進めるため、早い段階で弁護士に相談してください。
当事務所の刑事事件の着手金は33万円~で、初回のご相談は原則無料です(事案の難しさなどに応じて別途お見積りします)。
傷害事件の解決事例
当事務所の弁護士が傷害罪に問われた方の弁護を担当し、事件化の回避や不起訴などにつながった事例を紹介します(プライバシー保護の観点から内容を一部加工しています)。
捜査機関に被害届を提出される前に示談し、刑事事件化を回避した例
被疑者は、職場の廊下で職場の同僚と仕事の進め方などを巡って口論となり、被害者を殴る、蹴るなどして被害者に加療約1週間のけがを負わせました。
被害者は会社に迷惑をかけたくないとの思いから警察に被害届を提出せず、その代わりに被疑者に対して70万円の示談金の支払いを求めてきました。
被疑者から依頼を受けた弁護士は、被害者に対して誠心誠意謝罪の意を伝える一方で、示談金については減額をもちかけました。
その結果、示談金20万円で示談を成立させることができ、かつ、被害者に被害届を提出されずに済みました。
傷害罪で検挙されたものの起訴前に示談し、不起訴(起訴猶予)を獲得した例
被疑者は、元交際相手と交際している被害者に「話がある」といって自宅付近の公園に呼び出し、公園に来た被害者に、いきなり殴る、蹴るの暴行を加えて被害者に加療約2週間の怪我を負わせた事案。
被疑者は、警察に被害届を提出され、警察での取り調べ→検察への事件送致の後、就職のため前科をつけたくないという希望から、弁護士に被害者との示談交渉を依頼されました。
依頼後、弁護士は早速、検察官に対して被害者と示談交渉したいので、被害者の氏名、連絡先などを教えてほしい旨を申し入れました。
数日後、弁護士は、被害者から了承を得た検察官から被害者の氏名、連絡先を教えてもらい、被害者に連絡を入れて謝罪と示談交渉を進めました。
その結果、示談金30万円で示談を成立させることができました。
そして、被害者と取り交わした示談書の写しを検察官に提出したところ、不起訴(起訴猶予)を獲得することができました。
傷害罪の略式命令発布後に正式裁判を申し立て、暴行罪で罰金5万円となった例
被告人は、知人に暴行を加え、加療約10日間の怪我を負わせた傷害罪で略式起訴され、裁判所から罰金20万円の略式命令を受けていました。
ところが、被告人は、本当に自分の暴行によって相手に怪我が生じたのかどうか納得がいっておらず、傷害罪の略式命令を受けたことに不満を抱いていました。
そこで、弁護士は、裁判で、被告人の暴行によって傷害が生じたのかどうか、すなわち、暴行と傷害との因果関係を明らかにするため、裁判所に正式裁判の申立てを行いました。
裁判では、暴行と傷害との間の因果関係に疑義があることを立証するため、病院から取り寄せたカルテなどを証拠として提出したほか、被害者と同居している家族を尋問しました。
その結果、被告人の暴行と傷害との間に因果関係があるとするには疑いの余地が残る、と認定され、傷害罪ではなく暴行罪で罰金5万円の判決が言い渡されました。
傷害罪で逮捕されたものの、勾留期間中に示談し早期釈放、不起訴を獲得した例
被疑者は、路上で被害者の肩とぶつかったことに因縁をつけ、被害者に対して土下座を強要したほか、被害者をその場に押し倒し、被害者の顔などを蹴る暴行を加えた結果、被害者に加療約1か月の怪我を負わせた強要、傷害事件です。
被疑者ははじめ、「相手からぶつかってきたため、自分は悪くない」などと話しており、事実を認めていませんでしたが、弁護士が接見を繰り返した結果、反省の弁を言うようになり、話し合いの末、被害者と示談することとしました。
弁護士は捜査機関から被害者の氏名、連絡先などの情報を入手の上、被害者に連絡を取り合ってまず謝罪と示談の意思があることを伝えました。
はじめ被害者の処罰感情が厳しく、示談交渉は難航しましたが、粘り強く交渉した結果、示談金60万円で示談することができました。
そして、検察庁に被害者と取り交わした示談書のコピーと不起訴(起訴猶予)が相当である旨の意見書を提出した結果、被疑者は釈放され、処分は不起訴(起訴猶予)を獲得することができました。
傷害罪に問われたら一人で悩まず弁護士へ相談を
暴行で相手がけがをした場合は、けがをさせる意図がなくても傷害罪が成立します。もっとも、実際の処分は、けがの程度や示談がまとまったかどうかによって大きく変わります。
被害者との示談交渉や、勾留を避けるための働きかけは、早く始めるほど選べる手段が増えます。弁護士に依頼すれば、身柄の解放や不起訴に向けた活動を早い段階から進められます。
傷害罪で警察から呼び出しを受けている、家族が逮捕されたといった状況では、ご本人もご家族も先の見えない不安を抱えていることと思います。当事務所は傷害事件の弁護を数多く取り扱ってきました。依頼者の不利益を最小限に抑えるため弁護士が迅速に動き、全力を尽くしてご本人とご家族を守ります。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
| 気軽に弁護士に相談しましょう |
|
この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

