保釈金制度はおかしい?よくある疑問に弁護士が回答
  • 経済的に裕福な人にだけが保釈されるのはおかしくないですか?
  • 保釈金さえ払えば罪を犯しても釈放されるのはおかしくないですか?

このような疑問を持っている方も多いかもしれませんが、それは誤解です

この記事では、これらの「保釈金制度はおかしいのでは?」という疑問について、弁護士が詳しく回答します。

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保釈金制度はおかしい?よくある疑問と回答

お金持ちしか保釈されないのはおかしくないですか?

確かに保釈金は安くはありません。しかし、そもそも保釈金制度があるのは、裁判所にお金を納めさせることで被告人の逃亡を防止し、裁判への出頭を確保するためにあります。被告人は起訴され、これから刑事裁判に出頭しなければならないという重責を負わされているわけですから、保釈金の金額は「逃亡してお金が没収されたくないからきちんと裁判に出頭しよう」と被告人に思わせるだけの金額でなければならないのです。このような保釈金制度の趣旨から、裁判所が数万円や数十万円程度の保釈金を指定することは難しいというのが現実です。

もっとも、保釈金の金額は一律にいくらと決まっているわけではありません。保釈金の金額は、事件の規模・性質、被告人の罪証隠滅、逃亡のおそれの程度、被告人の資産の内容などの諸事情を鑑みて個別具体的に決められます。したがって、比較的軽微な事件で、逃亡のおそれがなく、資産がないという状況であれば、比較的安い金額を指定される可能性も考えらえます。なお、自身の資産で保釈金を納めることが難しい場合は、第三者に援助してもらう、日本保釈金支援協会の立替え払い制度を利用するなどの方法で保釈金を納めることも考えられます。

また、保釈金を納付することは釈放されるための一つの条件にすぎません。いくら保釈金を納めることができるだけのお金をもっていたとしても、裁判所に罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれがあると判断されたときは釈放を認めてもらえません。このことからも、保釈金制度はお金持ちを優遇するための制度ではないといえます。

罪を犯したのに保釈金を払えば釈放されること自体おかしくないですか?

そもそも、現行制度上、保釈金を払う段階(刑事裁判で有罪と認定され、その裁判が確定する前の段階)では、被告人は無罪であると推定されます。被告人が罪を犯した犯人かどうかは、これからの刑事裁判で結論が出されます。被告人が有罪か無罪かと、身柄拘束されるかどうかはまったく別の話です。

保釈金を支払ったとしても、その後の裁判で有罪判決が下された場合、再び身柄拘束されることになります。保釈金制度自体が「無罪推定」に基づいているため、罪を犯したかどうかが確定する前に保釈されることは、制度上は矛盾しないのです。

まとめ

保釈金制度は、多額のお金を裁判所に納めさせ、「もし逃亡したり、裁判所に出廷しないときは没収しますよ」という威嚇のもと、被告人の逃亡を防止することにあります。裁判所は刑事裁判を最後までやり遂げるという職責を負っているわけですから、被告人に逃亡されてしまっては困るわけです。したがって、保釈金の金額も、みなさんがびっくりするぐらいの金額を指定されることがあります。制度としておかしいというわけではありません。

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