準強制性交等罪(準強姦罪)とは?強制性交等罪の違いを解説
  • 準強制性交等罪ってどんな犯罪?
  • ”準”がつくから強制性交等罪よりも軽い罪?両罪は何が違うのだろう…

このような疑問をお持ちではないでしょうか。

そこでこの記事では、強制性交(強姦)に強い弁護士が、

  • 準強制性交等罪とは
  • 準強制性交等罪の構成要件(成立要件)
  • 準強制性交等罪は懲役何年か
  • 準強制性交等罪と強制性交等罪の違い
  • 逮捕されるとどうなるのか。どう対応すべきか

などについて徹底解説していきます。

なお、身に覚えのある行為をしていつ逮捕されるか不安な方、既に逮捕されてしまった方のご家族の方で、この記事を最後まで読んでも問題解決しない場合には弁護士までご相談ください

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準強制性交等罪とは?

準強制性交等罪(じゅんきょうせいせいこうとうざい)とは、相手の心神喪失もしくは抗拒不能の状態を利用し、または相手を心神喪失もしくは抗拒不能の状態にさせて、性交等をした場合に問われる罪です。刑法第178条第2項に規定されています。

(準強制わいせつ及び準強制性交等)
第百七十八条 (省略)
2 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。

(強制性交等)
第百七十七条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

刑法 | e-Gov法令検索

準強制性交等罪の構成要件(成立要件)

準強制性交等罪の構成要件は次のとおりです。

心神喪失、抗拒不能

まず、性交等を行う手段として次のいずれかを行ったことが必要です。

  • 人の心神喪失もしくは抗拒不能の状態を利用すること
  • 人を心神喪失もしくは抗拒不能の状態にさせること

心神喪失とは、精神の障害によって正常な判断能力を失っている状態をいいます。熟睡、泥酔、麻酔状態、高度な精神病などがこれに当たります。

抗拒不能とは、心神喪失以外の理由によって心理的・物理的に抵抗することが不可能または著しく困難な状態をいいます。たとえば、恐怖、錯誤(勘違い)などによって行動の自由を失っている場合がこれにあたります。

相手が泥酔状態であるのを利用して性交等に及んだ場合、あるいは相手を泥酔状態にさせた上で性交等に及んだ場合、いずれの場合も準強制性交等罪が成立する可能性があります。

性交等

次に、上記を手段として性交等を行ったことが必要です。性交等とは次のいずれかの行為をいいます。

  • 性  交:膣内に陰茎を挿入する行為
  • 肛門性交:肛門内に陰茎を挿入する行為
  • 口腔性交:口腔内に陰茎を挿入する行為

準強制性交等罪は懲役何年?

準強制性交等罪の罰則は5年以上(上限20年)の有期懲役です。

このように準強制性交等罪の法定刑は長く、非常に重い罪ですので、初犯であっても被害者と示談が成立しない場合には起訴される可能性は非常に高いでしょう。仮に示談が成立したとしても起訴される可能性もあります。

また、執行猶予がつくには判決の内容が懲役3年以下であることが条件の一つとしてありますので、情状酌量により刑が減軽されない限り準強制性交等罪では懲役実刑が確定してしまいます。

準強制性交等罪と強制性交等罪の違いは?

準強制性交等罪に似た罪として強制性交等罪があります。では、これらの罪にはどのような違いがあるのでしょうか。以下で確認しておきましょう。

強制性交等罪とは?

強制性交等罪とは、暴行又は脅迫を手段として、相手と性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」といいます。)をした場合、あるいは相手が13歳未満の場合は、相手が13歳未満の者と認識しつつ、性交等をした場合に成立する罪です。相手が13歳未満の場合は暴行又は脅迫を加えなくても強制性交等罪が成立する可能性があります。

暴行とは、殴る、蹴る、叩く、押し倒すなど、相手に対し不法な有形力を行使することをいいます。

脅迫とは、相手の生命、身体、自由、財産又は名誉に害を加える旨を告知すること(害悪の告知)をいいます。「性交に応じなければ殺す」は生命に対する、「性行に応じなければ裸の写真をネットにバラまく」は名誉に対する害悪の告知の典型例です。

強制性交等罪の暴行又は脅迫の程度は、被害者の反抗を著しく困難ならしめる程度であることが必要とされています。具体的にはケースバイケースで判断されます。

強制性交等罪(強姦)とは?構成要件と法改正での変更点を解説

準強制性交等罪と強制性交等罪の違い

準強制性交等罪も強制性交等罪もともに、性交等を処罰対象の行為とする点、罰則が5年以上の有期懲役とする点では共通しています

一方、強制性交等罪は暴行または脅迫を手段とする罪であるのに対し、準強制性交等罪は暴行または脅迫を手段としない点が大きく異なります。前述のとおり、準強制性交等罪は、相手の心神喪失もしくは抗拒不能の状態を利用するか、または相手を心神喪失もしくは抗拒不能の状態にさせて性交等に及んだ場合に成立しうる罪です。

準強制性交等罪などの性犯罪の法改正について

なお、以前は、準強制性交等罪は「準強姦罪」、強制性交等罪は「強姦罪」という罪名でしたが、平成29年の法改正により、それぞれ今の罪名に変更されています。

改正前は両罪とも親告罪(被害者等の告訴がなければ検察官が起訴できない犯罪)でしたが、改正後は非親告罪となっております。つまり、被害者が告訴しなくても、警察などの捜査機関が事件を認知すれば、逮捕・起訴される可能性があるということです。

また、改正前は両罪とも「女性の膣内に陰茎を挿入すること」が処罰される行為でしたが、改正後は、肛門性交や口膣性交も処罰対象となり、保護の対象も女子だけでなく男子も含まれることになりました

さらに、改正前は両罪と3年以上の有期懲役が法定刑でしたが、改正後は、5年以上の有期懲役となっており、刑罰も重くなっています

準強制性交等罪で逮捕されるとその後どうなる?

準強制性交等罪で逮捕された後は、以下の流れで手続きが進んでいきます。

  1. 警察官の弁解録取を受ける
  2. 逮捕から48時間以内に検察官に事件と身柄を送致される(送検)
  3. 検察官の弁解録取を受ける
  4. ②から24時間以内に検察官が裁判官に対し勾留請求する
  5. 裁判官の勾留質問を受ける
    →勾留請求が却下されたら釈放される
  6. 裁判官が検察官の勾留請求を許可する
    10日間の身柄拘束(勾留)が決まる(勾留決定)
    →やむを得ない事由がある場合は、最大10日間延長される
  7. 原則、勾留期間内に起訴、不起訴が決まる
  8. 正式起訴されると2か月間勾留される
    →その後、理由がある場合のみ1か月ごとに更新
    →保釈が許可されれば釈放される
  9. 勾留期間中に刑事裁判を受ける

逮捕されてから最大3日間(48時間+24時間)は弁護士以外の者との連絡はとれません。そのため、会社勤めされている方や学校に通われている方は、弁護士を介して家族から会社や学校に休みの連絡を入れるようお願いしましょう。また、勾留が決定すると、刑事処分(起訴・不起訴)が決まるまで最大20日間身柄拘束されます。

起訴された場合は、日本では99%以上の確率で有罪判決となってしまいます。また、有罪判決になるとたとえ執行猶予が付いたとしても前科がついてしまいます

そのため、準強制性交等罪の容疑で逮捕されてから刑事処分が決まるまでの最大23日間の間に被害者と示談を成立させるなど不起訴に向けた弁護活動が重要となります。以下で説明します。

準強制性交の罪を犯したら弁護士に相談

準強制性交等罪を犯してしまったかも?と思う場合ははやめに弁護士に相談しましょう。

準強制性交等罪は、被害者に被害届を提出され、警察に疑われると逮捕される可能性が高い罪といえます。

もっとも、弁護士への相談、依頼は逮捕前から可能です。逮捕前から弁護士に相談、依頼しておけば、状況によっては警察への発覚そのものを回避でき、逮捕やその後の長期間の身柄拘束、刑事罰を回避することにもつながります。

逮捕や長期間の身柄拘束の回避、不起訴処分獲得のために最も有効な手段は被害者と示談交渉し示談を成立させることですが、準強制性交等罪のような性犯罪では、弁護士の力を借りなければ示談は難しいといっても過言ではありません

逮捕のタイミングは警察以外知る由はありませんから、はやめに行動することが大切です。

当事務所では、準強制性交等罪の示談交渉、逮捕回避、不起訴処分の獲得を得意としており実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力で守りますので、身に覚えのある行為をした方、逮捕された方のご家族の方は弁護士までご相談ください。相談する勇気が解決への第一歩です。

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当法律事務所では、ご相談=ご依頼とは考えておりません。弁護士に刑事事件の解決方法だけでもまずは聞いてみてはいかがでしょうか。

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